概要
《根島事件》と呼ばれる虐殺事件の犯人として話題になった男。
第一審での判決で無期懲役を言い渡され、服役していたが……。
根島事件
20年以上前に起こった、女子高生惨殺事件。
隅田川で、当時学生だった志岐間春恵が、同級生である被害者の左手の一部を発見したことで事件が発覚し、殺人・死体遺棄事件として捜査が開始された。
当時の酷く汚染された隅田川では調査が困難で、状況証拠が圧倒的に少なく、捜査は難航を極めたが、津詰徹生刑事が些細な綻びから地道な捜査を続け、なんとか犯人である根島の検挙に至った。
遺体の処理方法が手慣れていたため、同時期に発生していた複数の女性の行方不明と関連づけて余罪が追及されたものの、証拠が出ず立件はされなかった。
人物
人物リストを開くと、まずはよく肥えて顎のない顔の写真が目に入る。
第二次大戦中に、捕虜生活の中与えられた食事で出兵時よりも肥えていたり、恋人を失ったストレスで急激に肥えたりした過去があるらしい。
「~なア」「~ねエ」という間延びした話し方と、「カハハハ!」という乾いた笑いが特徴。
ストーリー内での動向
世紀の凶悪犯である根島だが、獄内では模範囚を演じ続け、なんと現在仮出獄している。
家や職も斡旋され、偽名で社会に溶け込んでいるのだ。
出獄からしばらくは大人しくしていたものの、霊夜祭の発生とともに行動を開始。
因縁の相手である津詰に対し、復讐を目的に、自身が『片葉の芦』の呪詛珠を持っていることを暴露したうえで、津詰の愛するひとり娘の殺害、さらには日暮れと同時に呪詛珠を用いた無差別大量殺人の予告電話をかけてくる。
その後の調査によって、現在の姿は駒形高校校務員の葦宮誠であることがほぼ確定。「当時から30キロは痩せた」と言われるほどに劇的なダイエットに成功しており、人物リストの写真とはほとんど別人の如き容姿となっている。
その後、潜伏場所を特定されるも、捜査員の接近を察知し逃走、本所中を巻き込んだ大捕物を繰り広げ、駒形橋で津詰・襟尾両刑事に追い詰められ相対する。
根島の過去
根島の信奉者である岩井官吉郎の自宅の調査、および駒形橋で相対した際の独白で、根島事件の真相を含む根島の過去が明らかになる。
※以下、エンディング部分を含むネタバレがあります!
戦時中、部隊で自分だけが生き残った経験から奇跡を信じるようになり、超常的な力に傾倒していくこととなる。特に、趣味で巡っていた古書肆で発見した西洋黒魔術の本から、その神秘的な魅力に取り憑かれていった。
30歳を過ぎた頃、根島は伴侶を召喚する魔術の儀式を行う。
すると間もなく篠と名乗る女性と知り合い、魔術の件もあり縁を感じた根島は、行き倒れ寸前だった彼女を自宅に迎え、同棲することにする。根島と篠はお互いを支え合いながら、夫婦同然のかけがえのない時間を過ごしていく。
しかし、数年後に篠の容態が悪化。まともな診察を受けさせてやるだけの金もなく、治癒の魔術も効かず、遂に篠は息を引き取り、根島は悲嘆に明け暮れた。
しばらくして根島は、《蘇生の黒魔術》の儀式について書かれた書物を発見する。
黒魔術の生け贄とするため、根島は若い女性を攫い、地下倉庫に監禁して解体した。
この《蘇生の黒魔術》の儀式こそが、根島事件の真相である。
最終的に4人の女性を殺害したが、根島の望む効果は表れなかった。
しかし、4回目の儀式の後、根島はかたわらに瘦せ細った赤ん坊を発見する。
根島は、この赤ん坊こそが黒魔術で転生した篠であると思い込み※、愛する女性が自覚も意識もない小さな赤ん坊となったことに失望し、黒魔術と決別。根島の魔道書は岩井が受け継いだ。
※根島本人は気づいていなかったものの、この子は根島と篠の子で、妊娠・出産が篠の死因だったと津詰は考察している。あるいは行方不明者の中に妊婦がいたため、その妊婦を根島が解体した際に取り出された子である可能性もある。
津詰への復讐心を糧に、模範囚を演じて服役を耐え続け、遂に仮出獄を認められる。
今回の霊夜祭を引き起こした黒幕(リンク先ネタバレ注意)から接触を受け、《蘇りの秘術》の話をいたく気に入り、江戸時代の女陰陽師蘆乃の蘇生を快諾。
黒幕の思惑どおり『片葉の芦』の呪詛珠を手に入れ、津詰への復讐を兼ねて、滓魂を集める役割を担う。一部のバッドエンディングでは根島が大量虐殺に成功しており、黒幕の目的である蘆乃の復活が果たされていると思われる。
根島は、黒幕の女性を「アシノ様」と呼び慕っていた。
呪詛珠
根島の持つ呪詛珠は、前述のとおり『片葉の芦』。
効果は、その時点の顔・住所・氏名・年齢・職業・所在地のすべてを知る相手の手足を切断して失血死させるというもの。
根島は校務員として全校生徒の個人情報を暗記していたため、この呪詛は非常に相性がよく、根島の大量虐殺が起こるバッドエンドでは、駒形高校の生徒たちが名簿順に犠牲となっていった。
生徒全員個人情報を暗記していたことについて、ディレクターの石山氏は「さすがに呪詛珠を手に入れてから全員ぶんを覚えたわけではないでしょう」とコメントしており、呪詛や秘術に関係なく、心機一転して働くため熱心に記憶していた可能性が示唆されている。
『片葉の芦』の呪影は、江戸時代、大名家の謀略で夫を殺された女性、コマ。
大名家の暗躍を勘づいたコマは、夫の仇と、大名家に関する者の名前や住処などの情報をしつこく嗅ぎ回り調査を進めていた。事を荒立てさせぬよう派遣された浪人の留蔵も、誘惑して逆に情報を引き出していたが、逆上した留蔵に片手片足を切断されて殺害されてしまう。
「強い復讐心を原動力に行動」「女性の体を切断」と、根島の過去とリンクする要素も含まれた恨みの記憶であるといえるだろう。