概要
世界各国でその土地々々に合わせたあらゆる刀剣類を用いて行われる武術の一つ。ただし欧州等海外の物は伝承者が完全に居なくなり当時からの技術が途絶えた物も多く当時の出版物や絵画等を解析し「復元ないしは再現」した物も少なくない。
剣術自体は古代から存在するようで、ヨーロッパで初めて軍隊に剣術を取り入れたのは古代ローマ軍だったといわれており、刺突を重視したモノだったらしい。ただし、古代に存在したとされる剣術のほとんどは、伝承・口伝が中心であり、どのようなものだったかよくわかっていない。
剣術の記録がたくさん登場するのは時代が古代から中世に移り変わってからである。
この時代では金属を加工する技術が進歩したため、古代では一握りの金持ちやお貴族様しか買えなかった刀剣類が、徐々に多くの民間人に普及することになった。
「そもそも、この中世ってどんな時代よ?」というと、かんたんにいえば、騎士やサムライと呼ばれるような人々が、互いに殺し合いをしていた時代である。また、中世の特徴の一つとして「何があっても、どのようなトラブルが起こっても自分(たち)の身は自分(たち)で守らなければならない」ことが挙げられる。
この中世は平和な現代の日本と比べると、
- 「警察がいない、もしくは通報しても場所によっては来ない。」
- 「学校のような教育機関がないので、国などが定めた法律を平気で破る。」
- 「他者への暴力に対する抵抗が少なく、喧嘩で武器を使うのは当たり前で強盗や通り魔に手を染める人が多い」
- 「昼間でも酔っぱらいは珍しくなく、トラブルの原因を作りやすい」
という物騒な時代であった。加えて「町・村または同業者グループで、時に国の法律と相反するような独自のルールを勝手に作成する」ためそれが殺人を伴う抗争に発展する火種にもなった。
とにかく当時の人々は、トラブルが起きた際の対応手段として、泥棒にあっても自分で盗まれたものを取り返さなければならなかったし、殺人鬼に遭遇したら、ひたすら逃げるか、予め自衛用に用意した武器を持って抵抗するしかなかったのである。
(実際には少数のグループを組んで、互いに協力して役割分担をして自分の身を守る事が多かった。)。
そのため中世における剣術の目的は、護身術の1つだったという説もある。フィクションとは異なり、剣という武器は槍や弓矢と比べて戦場では脇役でしかなかったが、身につけやすく持ち運びが容易であり、ナイフよりはリーチがあるという性質を持っていた。
剣は、どちらかといえば戦場ではなく、戦争の起きていない平常時で発生しうる喧嘩と強盗の道具(凶器)として、日常生活上で多用される武器であった。同時に護身用としても有用視されており、身分問わず、特に街や村の外を出歩かなければならない場合は、山賊や野犬などから身を守るため、剣(またはナイフ)は必需品であったというワケである。
「殺し合いは戦争時以外は滅多に起きない」・「基本的に武器は戦争でのみ使う」というイメージは根強いが、それは平和な現代日本を基準にした考えでしかない。
日本
詳細⇒日本剣術
海外
詳細⇒西洋剣術