CV: 江川央生
概要
芸能事務所「株式会社苺プロダクション」の(元)代表取締役で、星野アイをアイドルの世界に引き入れた張本人。
中学生だったアイが「ファンを愛せないし、ファンからも愛されない」とスカウトを断るのに、客が求めるきれいな嘘をつけるのも才能だと肯定した上で、『愛してる』という嘘が本当になるかもしれない、という決定的な一言を与え承諾させた。
立場上は社長とお抱えアイドルだが、身寄りのない彼女の実質的な保護者でもある。アイの活動休止を宣言し、名目である体調不良の療養の際も後見人(身元引受人)として地方病院に付き添った。なお、実情は彼女の妊娠・出産のためである。
世間に知られれば事務所ごとアイドル生命も終わるので当然ながら当初は反対していたが、最終的に根負けした。遠方の病院を選んだのも芸能事情に疎い環境を考慮してのことである(担当医がアイのガチファンである雨宮吾郎だったので初診でバレたが)。
壱護のアイへの思い入れは相当なものであり、この最悪な不祥事を受入れた後も手厚くフォローしている。入院中は一緒にマタニティヨガに参加し、出産後は親子三人の住居を用意し、双子のルビーとアクアは対外的に自分たち社長夫妻の子とし、マネージャーである妻のミヤコにはベビーシッターも兼ねさせた。
以前からもアイに嫌がらせをしていた初期からのメンバーに対し、かなり重い処分を迅速に下していたことが『45510』で語られており、残されたメンバー内から不満と不信感を募らされていたが、これは壱護自身が嫌がらせを行うそのメンバーに対して幾度も注意・警告するなどして𠮟りつけていたのだが、それでもそのメンバーはアイを露骨に贔屓しているという不満から聞く耳持たずアイへの嫌がらせを辞めようとしないばかりか非を認めず社長の自分にも逆切れして噛みつく始末だったことからそのメンバーに対してやむなく追放せざる得なかったことが真相であり、「同じグループ内の他のメンバーの悪口を言う人間はいらない」という事務所方針を定めたのはこの事件が切っ掛けであろう。
そもそも順位付けによる待遇差は人気稼業の宿命であり、壱護自身の采配に問題があったかは難しいところであり、実の所壱護も外部との交渉だけでなく、例えば歌割りをアイばかりに偏りすぎないように気を使っていることや現場でのメンバーとスタッフのやり取りを見て陰ながら助け舟を出すなどを始め、彼なりに他のメンバーのことをちゃんと顧みてはいた。
いけなかったのは彼の最大の難点である人の心の機微に疎いせいで、社員やタレントへのメンタルヘルスケアやカウンセリングなどといったマネジメント能力が致命的に乏しいことであり、上記のようにアイにファンを取られてしまって苦悩するニノ達の気持ちに対して適切なフォローやケアができず、そのせいでアイを除いた自分とB小町メンバーとの信頼関係を最後まで構築できず、アイと結成メンバーの確執の改善にも完全に失敗してしまったことで後の様々な悲劇に繋がる遠因の一つを作ってしまったことやアクアが憎しみを保ち続けるのに疲弊していたことから復讐を止めたがっていた本心に気付けず、目を背けていた事実を指摘してしまい彼を復讐への道に後戻りできなくさせる形で引き戻してしまったことなど他人の気持ちを慮る事において致命的な大失態を犯してしまっている。
その欠点を普段から補ってくれていたのは、後にマネージャーとしての才能を開花させた妻のミヤコであり、苺プロは二人が互いに公私両面で支え合っていたからこそ途中で空中分解することなくやってこれていたと言える。
実際、アイを見出した目に狂いはなく、彼女をセンターに配置したB小町は休止前の時点で武道館公演を果たしている。復帰後、双子の将来を見据えたアイもチャンスを確実に掴み、才能にふさわしいスターダムに駆け上がることで壱護の期待に応えた。名前は正しく憶えられていないが。(対して妻のミヤコの方はちゃんとアイに名前を覚えられている)
名実ともにトップアイドルとして成功した背景はアイの天性の才能も勿論だが、壱護の外部へのプロデュース能力とミヤコの内部のマネジメント能力といった経営手腕も大きい。これはルビーも「ママが売れたのはママの力だけじゃない」と評している(アニメ1話では住居レベルが格段に上がった描写が見て取れる)。ついには自分の育てたアイドルをドームに連れていくという夢が叶うことになり上機嫌で前祝いの祝杯を挙げたが、当日にアイの殺害という形で夢が潰え彼女を失う 憂き目に遭い、失意のあまり姿を晦ます。
しかし、その真意はアイを謀殺した黒幕への復讐するべく事件の裏に隠された真相を捜査する為であり、黒幕を殺害した際に残された妻ミヤコと社員達、そしてアイの忘れ形見であるアクアとルビーに累を及ばせないよう全ての咎を自分で背負い込む為であった。
ミヤコ達のことは孤独に事件を追う中でも常に気に掛け続けており、それまで築いたコネを用いて陰ながらミヤコ達の活動と業務を間接的に手助けしていた。
後年、アクアに罠にかけられミヤコとバーで遭遇してしまい彼女にボコボコにされた後、苺プロにバイトとして復帰(描写を見る限りアイの葬儀はミヤコが取り仕切っており、事件の真相の究明と復讐の為に放り出した事務所を10年以上丸投げしたのだから、これで済んだのは温情と言えよう)。再び芸能界の舞台裏に直接関わることになった際に、マネジメント能力が乏しい自分とは対照的にプロデュース能力が乏しいミヤコの欠点を上手くフォローし、彼女が不得手だった業務を請け負ったことでミヤコは再びマネージャー業務に注力できるようになり、アクアとルビーの安否を最愛の妻に託すのであった。