演:大野智
概要
本作の主人公。28歳。
成瀬弁護士事務所の所長をしている弁護士。中卒から、大検を経て司法試験に合格したという異例の経歴の持ち主であり、プライベートが一切不明で謎に包まれている。己の利益を無視し、自らを頼ってきた人にはどんなに貧しい・不利な状況でも受け入れ、勝訴し真実を明らかにするスゴ腕弁護士。その弁護方針から人々には天使の弁護士と呼ばれている。マスコミからの取材も多いが、それらは全て断っている。どんな相手にも暖かで柔らかい姿勢と話し方で接し、どんな人も安心する魅力を持つ。
その真の姿は復讐鬼である。本名は真中友雄。父親はおらず、母親と弟・真中英雄と貧しくも暖かな生活を送っていた。物語開始時から11年前に英雄を芹沢直人に殺され、さらに直人の父・芹沢栄作の権力によって無罪にされてしまう。直後に母親は心身共に衰弱し死亡。天涯孤独の身となった友雄はホームレス生活を送ることになる。
成瀬領という名前は、ホームレス時代の友人の名であり、事故で死亡し顔も判別出来ないその友人を友雄とし、自らの出自を偽ったもの。そのため、真中友雄は戸籍上は死亡したことになっている。
長い年月を復讐の炎を燃やしながら過ごし、直人や事件の関連者のことも常に監視していた。
自らの法律への知識や復讐心を最大限に活かし、復讐対象者を恨んでいる者を巧みに誘導し確実かつ法律で罪に問われないように抹殺していく(これは11年前の事件の顛末の再現でもある)。対象者にはタロットカードと相手を殺すためのキーアイテムを送りつける。また、直人に過去の罪を思い出させるような行動も取らせる。
復讐計画を遂行している際は感情を一切見せず、冷徹に行動する。計画が順調に進んでいる時は不敵に笑みを浮かべたようにも見える表情を取る。このさまはまさに魔王といった感じである。しかし、人間の感情を捨て切れた訳ではなく、自分が巻き込んでしまった人や自分の行いへの罪の意識に苦しんでいる。
11年前の第一発見者であり、物に込められた思いを知る能力を持つ咲田しおりに対しては今回の事件の生き証人としての役割を与えている。また、特殊な能力に苦しむしおりに優しく接しアドバイスしている。しおりが務める喫茶店や図書館にもたびたび訪れるなど、自らの心の拠り所としている節がある。