当記事では便宜上、名称の誤用が多いPC/AT互換機についても記述する。
ソフトウェアとしてのDOS/V
IBMが開発したオペレーティングシステムで、当該DOSとバージョンの間に「/V」と記される。
VGAを採用した事でDOSでも日本語表記出来るようになり、対応機種であるPC/AT互換機が日本に普及する一因ともなった。
後述の誤用によるものだが、公の場でDOS/Vの名称が最後まで使われたのはインプレス社の雑誌「DOS/V POWER REPORT」であった。
2023年に休刊(廃刊)となった事で、DOS/Vは死語となった。
PC/AT互換機
IBMが開発した「PC/AT」をベースに他社が製造・販売しているパソコン。
現在の世界標準機となっている。
ATはAdvanced Technologyの略。
PC/AT互換機とDOS/Vの普及活動目的で日本IBMによって普及団体OADGが設立されている。(2004年終了)
普及活動の際に、マイクロソフトへDOS/Vの日本語化データを提供し、同社から「MS-DOS/V」が発売された。
2003年にNECがPC-9821を販売終了した事で、日本のメーカーが出すパソコンはPC/AT互換機に統一され、パソコン市場の「開国」が完了した。
現在の世界中のパソコンの殆どはハードウェア面での互換性をほぼ失っているものの、ソフトウェアの後方互換性で見ればPC/AT互換機ベースとなっている。
だが、PC/ATを世に出した当のIBMは競争力を失っていき、IBMのPC部門はレノボに買収され、存在しない。
PC/AT互換機がDOS/Vパソコンと呼ばれる理由
日本ではDOS/VがPC/AT互換機の俗称として誤用される事が非常に多い。
考えられる主な理由は以下の通り。
1:「互換機」の名称が商売の上で好ましくない
言うまでもなくパクリ、模造品、デッドコピーといった悪いイメージが先行しがちである。
「国際標準機」「世界標準機」が使われる場合もある。
2:慣習的に基本ソフトに対応した意味で呼称されやすい
Windowsに対応するパソコンの事を「Windowsパソコン」(※)と呼ぶのと同じく、DOS/Vに対応したパソコンを「DOS/Vパソコン」と呼称してしまいがち。日本で普及した時期がDOS/Vとほぼ重なっていたのも要因。対応するパソコンの本来の正式名称「PC/AT互換機」を知らない人も。
市販されているフロッピーディスク等々の記録媒体やハードウェアの対応機種記述でPC/AT互換機対応がDOS/Vパソコン対応とされる事が多い。
3:名前の呼びやすさ
「PC/AT互換機」だと長ったらしいので「DOS/V」の方が短くて呼びやすい。
※構造が根本的に異なるPC-9821もWindowsに対応している為、この解釈だとPC/AT互換機もPC-9821も一括りとなってしまう。