※この記事は小説『この素晴らしい世界に祝福を!』における最大級のネタバレになります!未読者の方は閲覧注意でお願いします!
「…………お前も苦労したのだなぁ……」
概要
今作におけるラスボス。二本の角が生えた大柄な白髪の老人。
“八坂恭一”という名前が最終巻の17巻にて判明しており、どう見ても日本人風の名前だが、日本人転生者ではなくれっきとした魔族で、ニホンという国の事も噂程度にしか知らない。
日本人転生者の事も把握してお、ず、強い冒険者を倒した後に「冥土の土産に」名前を名乗ってやると語ると、日本人かと驚いた反応をする者が何故か多い程度の認識。
性格は魔王らしく悪属性寄りだが、それでもアクが強すぎる部下達に比べると律儀・常識人なタイプで、ウォルバク以外を纏めるには散々苦労させられたらしい。
厳密に言うと、彼自身は既に老齢で全盛期から大きく衰えており、魔王の座や力も途中とはいえ実の娘に継承済みである、引退間近の状態であった。
少なくとも親子仲は良好らしく、カズマが《窃盗(スティール)》のスキルで魔王から盗んだ宝物は、娘の手作りのハンカチである。
褒章
魔王には魔王軍幹部を越える高額の賞金が掛けられている。
またベルゼルグ王国では、高い能力を持つ冒険者を王家や貴族の血筋に積極的に取り入れており、魔王に止めを刺した者には王族と結婚する権利も授けている。
更にアクアによって送り込まれたチート持ち日本人転生者達の内、魔王を倒した者は天界より何でも1つ願いを叶えて貰える事になっている。
能力・特性
上記の通り全盛期から衰えているが、それでも身体能力、魔・力・魔法抵抗力など全体的なスペックが堅実に優れており、毒や即死なども無効。
ただし魔王はアンデッドや悪魔などと同様に女神の力と相反する存在らしく、アクアの髪の毛が中に詰まったお守りに触れただけで手が焼け焦げている。
また、女神の力によって穢れた力に対する封印を施せば弱体化させる事が可能。
そして最大の特徴は、その場に居る配下を強化するというチート能力。ゆえに一人では何の意味もないが、魔法で生み出した即席ゴーレム等にも有効。
魔王本人の周囲に居なければ効果を受けられない欠点があるが、弱体化した加護を付与する形で離れても効果が持続させる事は可能で、幹部のベルディアが『ターン・アンデッド』に高い耐性を持っていたのも、この加護によるもの。
魔王は魔族の王というだけではなく、世界の理に組み込まれた立場であり、『タイマンを望む冒険者との戦いから逃げられない』制約の他、最期は強い冒険者に華々しく倒されるのも、魔王に課せられている大事な役目なのだという。
ゆえに存在しているだけで世界の理によって、世界中のモンスターは日ごとにだんだん強くなっていき、逆に魔王を倒すと世界中のモンスターは通常よりも1段階弱体化する。
これに上記の律儀な性格も加わり、1対1で挑んで来た勇敢な冒険者には、剣士には剣で、魔法使いには魔法で、なるべく相手の得意分野に合わせて戦う事にしている。
作中の動向
実際に登場する最終巻までは名前のみの存在だったが、以前より『常識を無視した強さを持つ、勇者気取りの変わった名前の連中(要は日本人転生者)』の事を調べており、アクセルの街へ落ちた謎の光(正体は、カズマの異世界転生の道連れにされたアクア)の調査をベルディアに命じたのも彼。
己を弱体化出来る力を持った水の女神は別世界の担当女神だという事を把握しており、その水の女神がこちらの世界に降臨している事を知った時は驚くと同時に、忌々しく思っていた。
そして転生者がカズマを最後に現れなくなった上、そのカズマに軍の幹部が次々と討伐される報を聴いた事で、彼を「お伽話に出て来る伝説の勇者の関係者なのでは?」と警戒。セレナにカズマを自軍にスカウトする様に命じるなど、水面下で暗躍していた。
だが天界ホームシックに陥ったアクアにより、強引に最終決戦がスタート。
アクアの女神の封印で弱体化させられた後、カズマにテレポートで世界一深いダンジョンの最深部に飛ばされ、前述のルールに則りカズマとタイマン勝負する事になる。
カズマの姑息な戦法に翻弄されながらも、オールラウンドな強さで彼を負傷させ徐々に追い込んでいき、遂に自前の『ヒール』だけでは助からないダメージを負わせる。
しかし死を覚悟したカズマは、毎日めぐみんに付き合い続けた為ら上級以上の魔法の中で唯一詠唱や細かい所作を完璧に覚えていた爆裂魔法を土壇場で習得してしまう。
命乞いか心残りか、魔王は「まだ語っていない情報がある」とタンマをかけるが、「うるせー!興味ねーよ!」と打ち切ったカズマによって、ダンジョン諸共道連れの爆炎に消える最期を遂げた。
別働隊でベルゼルグ王国王都を侵攻していた娘も、アイリス達に返り討ちされ逃げ帰った目撃談が語られるのみで、魔王関係の掘り下げは潔い投げっぱなしに終わる。
カズマはその後「魔王を倒した権利」を使い、アクアでも蘇生が不可能な状態でも生き返る事が出来た。
おとぎ話
スピンオフ作品『この素晴らしい世界に爆焔を!』に、魔王になった少年の物語が登場している。
昔、変わった名前の少年が居た。
少年は「少し戦うだけで、すぐに強くなっていく」本人が『チート』と称する不思議な力を持っており、冒険者の間でも天才少年と名高かったが、とても強いため仲間の存在を必要としなかった。
そのまま過去最強の勇者に成長して1人で魔王城に攻め込んだところ、魔王軍幹部にぼっちな事を煽られ、魔王軍に加われば美形の魔族に歓待されると勧誘される。
一旦帰って一週間悩んでから、「ぼっちではなく敢えて足手まといになる仲間を作らなかった孤高のソロプレイヤー」だと自己弁護しつつ断ったら、一週間も悩んだ事を指摘されてしまい、逆上した勢いで当時の魔王を倒してしまった。
そのまま少年は新しい魔王に就き、その後、我が子には自分の様な孤独な魔王にならない様、1人では意味がない能力を与えたという。
この少年は恐らく昔のチート持ち日本人転生者であり、八坂恭一の先祖であり、子孫である代々の魔王に配下を強化する能力を残したのではないかと推察されるが、カズマは聞き出さずに倒してしまったためどんな真実を語ろうとしていたのかは不明。
このお伽話は遠い昔の出来事であり、誰もが知っているほど知れ渡っている有名な物語との事。
そのため、『ぼっちだと魔王になってしまう』の様な言い回しが使われる事がある様で、ゆんゆんも「修行も大事だけどお友達を増やすことも同じくらい大切な事なんだからどっちも頑張りなさい。でないと魔王になっちゃうわよ?」とウォルバクに言われている。
余談
上述のアクアの女神の封印、めぐみんのお陰で覚えられた爆裂魔法、そして魔王を倒したカズマの活躍だけ見るとダクネスが活躍してない様に思えるが、作中では魔王城にてダクネスの圧倒的な防御力を目にした際、流石の魔王も顔が引きつっていた。
上記のとおり、魔王は大概自身の戦闘力もあるのだが、基本は主人公のカズマ同様自分が戦うのではなく、仲間に指示したり、強化したりすることで勝利を収めるタイプであり、バフ能力がトップのメイン能力という今作らしいキャラクターである。