概要
龍賀一族が経営する会社『龍賀製薬』が特別な客だけに卸している秘薬。「血液製剤M」とも呼ばれている。
人間が摂取すると凄まじい力を発揮し、何日も飲まず食わず眠らず、疲れもなく昼夜働く事が出来る。
かつての日清・日露戦争で日本が勝利を得たのは、この薬品を摂取した「不死身の部隊」によるものと言われている。太平洋戦争後も復興のために使用されており、昭和31年当時、焼け跡と化した日本が奇跡の復興を遂げつつあるのも『M』を打った人々による働きらしい。
水木は当初、戦場でのお伽話と『M』の存在を信じていなかったが、勤め先の血液銀行にて実物を見た事で信じざるを得なくなった。血液銀行の社長曰く、不死身は流石に誇張らしいが、それでも効果は絶大だという。
製造は東京で行われているが、元となる原液は哭倉村で作られており、その原料や製法は龍賀製薬の社長である龍賀克典にも知らされていない。
余談
名前の由来について、ファンの間では
…のいずれかの頭文字『M』
- 数々の詐欺事件を産み続けている伝説上の秘匿資金『M資金』
…から取られているのではないかと考察されている。
Mは当然架空の薬品だが、似た効果を持つ現実の薬品は医療用に用いられる事がある。2024年現在、自衛隊では『麻薬及び向精神薬取締法等の特例』として自衛隊法の第八章第百十五条の三により、特例の形で自衛隊補給処のみ所持が許可されている。
騒動
2023年冬のコミックマーケット103にて、とあるサークルが『M』のレプリカオブジェを頒布しようとしたが、直前になって規約と薬事法に抵触するので頒布中止するという騒動が起きた。
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謎に包まれた製造方法(ネタバレ注意!!)
※この先、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の中盤以降、及び物語の核心に関わるネタバレ注意!!
その材料はなんと血桜によって生きながらに搾り取られ続けられてきた幽霊族の血液であり、そのために無数の幽霊族が犠牲になっていた。
そして、幽霊族の血を人間にそのまま投与してしまうと赤い肌をした生きていながら死んでいる「屍人」と化し、その屍人から抜き取った血液を精製した物が『M』の原液であった。これを聞いたゲゲ郎は当初哭倉村の村人を生贄にしたのかと考えていたが、実際は村人達も村の外の人間を拉致しては屍人へと仕立て上げていった共犯者であった。
更に捕らえられたゲゲ郎が連れていかれた地下の採血施設のゴミ捨て場には人形が捨てられていたが、この人形は水木が村に向かう際に利用した汽車に乗っていた「煙草の煙で咳き込む少女」が持っていたものと同じものだった。
それを裏付けるかの様に、血を抜き取られている屍人の中にも咳き込む者とそれを案じる者(恐らく母親)がいる事から、あの汽車の乗客の内、かなりの数が拉致されたと推測される。
あるいは、普通の売血と騙された人達だった可能性もある(現在の法律で売血は禁止されているが、本作が舞台の昭和31年『西暦1956年』の日本は高度経済成長期で復興が進んでいたが貧富の差は激しく、生活苦から売血をしなければいけない人も多かった)。
この非道の元締めが龍賀一族であり、更に村の住人達は薬の原料として搾り取るために、拉致監禁され苦しみ続けている屍人と化した者達の管理を仕事としていた。
つまり『M』は、龍賀一族どころか村全体が私腹を肥やすために、幽霊族と自分達以外の人間に犠牲を強いらせる非道によって生みだされたものだったのである。
ちなみに隙を見て逃げようとした死人は長田率いる『裏鬼道』に捕まり、哭倉村の秘密が外部の村に漏れない様に口封じまたは証拠隠滅に殺される、もしくは連れ戻されている。
また、水木が村に向かった後の血液銀行の上司達の会話から、『M』の秘密を探ろうと何人もの人間が哭倉村へ向かったが帰って来なかったらしい。
恐らく同じ様に始末されたか屍人にされたのだろう。