概要
静脈から採取した血液に医療用オゾンを注入して再び体内に戻すという医療行為。「血液オゾン療法」ともいわれる。
これによりドス黒かった血液は鮮やかな赤となり、またがんや脳卒中などの病気を防いだり、冷え性・高血圧・リウマチ・腰痛など様々な部位の不調に利き、アンチエイジングやダイエットにも効果的…という触れ込み。
この血液クレンジングを売りとしたクリニック等も存在し、2000年代半ば頃から一部で行われてはいたものの、著名人などが施術を受けたと各SNSで拡散したことから、2019年秋頃にTwitter(現X)で一斉に話題になった。
問題点
…が、話題になるや否や「情弱をカモるだけのエセ医療」として炎上し、更に各医療関係者が「感染症のおそれがある危険な行為」として注意喚起するほどの騒動となった。
まず、この血液クレンジング療法には確固たるエビデンス(科学的根拠)が存在せず、その効果を裏付ける論文などもない。
一度採取した血液を再び体内に戻すという行為は、細菌やウイルス等の感染の危険性があり、その点も無視できない。
また、小学校の理科の授業でも習うような事柄であるが、そもそも静脈血というものは全身を巡る際に二酸化炭素や老廃物などを含むためドス黒い色をしているのは不健康でもなんでもなく当たり前である。
オゾンを注入することで鮮やかな赤になり、あたかも「洗浄」されたように感じるが、実際のところこれはオゾン中の酸素とヘモグロビンが結合して赤くなっただけであり、我々が普段呼吸で行っていることと何ら変わらない。
なお施術の料金は、クリニックにもよるが一回3万以上のところもあり決して安くはなく、公的な保険も適用されないとされる。
この血液クレンジング療法に限らず、「SNSで話題だから」「著名人が受けているから」等の理由で安易に怪しい医療に飛びつかず、事前に情報収集を行うことが重要といえる。