概要
マサイ族とは、ケニア南部からタンザニア北部に住まう先住民族である。
マーサイ族とも言う。独自言語のマサイ語を話す。
主に牛、羊、山羊の遊牧で生活する。遊牧と村の家畜や人々を守るために戦うのが男性の仕事で、それ以外が女性の仕事とされる。
特に牛は財産価値が高く、牛を所有しない男性の場合、結婚はおろか恋愛も難しいとされる。一夫多妻制が認められており、牛を多くもっている男性はそれだけ女性にもてて、妻も複数もてる。主食は乳製品をはじめとする畜産物。牛に採血してこれを飲む習慣で知られる。家畜は財産で貨幣代わりでもあるため、家畜を潰しての肉は祝いごとなどでしか食べない。
牛糞と泥をねってつくった小屋に住み、その小屋をサークル状に配置し、木の柵で囲った村に住む。夜になると家畜を村落内に入れる事で猛獣や盗難から守る。
垂直ジャンプを繰り返す独特の踊りや視力は実に8.0以上という驚異的な数値を叩き出すことで有名(サバンナで常に遠くを見る生活をしているため。遺伝的なものではないため、都市で暮らすようになったりすると、視力は他の都市住民と変わらないほどに落ちてしまう)。
家畜を守るためにライオンはじめとする野生動物と戦うこともあり、アフリカゾウですらマサイ族(の男性)を恐れるという。
10代以降の男性は12~15年間程で一つの世代としてまとめられて同時に成人し、部族の戦士として同じく12~15年間ほど、次の世代の成人までの間は村の家畜と人を守る役目を与えられる(つまりもっとも早くても10代前半~20代前半、もっとも遅いと20代前半~30代後半頃までの期間は勤めなければならない)。戦士は槍で武装し、結婚することは禁じられる。戦士としての期間が終わると結婚と長老グループに加わることが許され、村や部族の指導層になる。
現在では、上記のような伝統的な生活をせず、都市に住んだり、観光やサファリガイドなどで生計を立てているマサイ族も少なくない。