概説
アフリカに生息するゾウ。ゾウ科アフリカゾウ属。別名サバンナゾウ。体長は約7m、体高は約3~4m、重量は最大で10tに達する。
現存する陸上最大の動物で、車でも簡単にひっくり返すような巨体に違わぬ力を持ち、地上で最も強い猛獣なのは間違いない。また、巨体に反して意外と素早く、その走行速度は時速24kmに達する。
あまりに体が大きいため、毎日200㎏~300㎏のエサを食べ、100リットル以上の水を飲むとされる。なぜかゴリラ共々バナナばっかり食ってる印象が先行するが、実際は果実や葉っぱよりも枝や幹を好んで食べ、おもちゃに丸太を与えられたら一通り楽しんだ後、そのままおやつにすることもある。しかし消化能力は低く、仲間の糞を食べることもある。アフリカゾウは1個2kgで1日100kgの大便をするが、この糞は繊維質が多く、紙の原料に出来るとさえ言われている。というか(素材の生産者はインドゾウだが)実際に商品化されていたりする。またインドゾウ共々飼育している動物園では肥料に加工して餌にする野菜の栽培に使うところもある。
その巨体と堂々とした佇まいから穏やかそうに思われがちだが、アジアゾウに比して歴史的に人馴れしていないこともあり、野生の個体は人間が近づくと縄張りを守るために積極的に攻撃を仕掛けて来る。現地の観光ガイドも、アフリカゾウを発見すると決して一定の距離から近づくことはせず、こちらに気づいたと判断すると一目散に逃げるよう指示するほど。
故に現地では「ビッグ5」と呼ばれる、アフリカを代表する危険動物の一角に名を連ねている。
見分け方
インドゾウとの見分け方は簡単で、耳が頭部と同等かそれ以上に大きかったらアフリカゾウ、小さかったらインドゾウである。アフリカゾウは全体的に体が大きく、インドゾウとは比べ物にならないほど牙が長い。他にも鼻の突起が1個(上にある)だけならアフリカゾウ、2個(上下にある)ならインドゾウという見分け方もある。
他種動物との関係
銃を持った人間という特別な事例を除き、成体には天敵と呼べる生き物は存在せず、個体戦力は文句無しの現代のアフリカ最強。
サイやカバ、キリン、アフリカスイギュウ、ナイルワニもアフリカゾウには子供扱いで殺される(アフリカゾウは草食動物ではあるが気性が荒いので、縄張りを犯した、子象に危険と見做せば、他の大型動物も容赦なく襲って殺してしまう)。サイぐらいなら鼻で一押しして引っ繰り返し、人間と遭遇した場合も乗用車を鼻で引き摺り回すぐらいである。ライオンやハイエナなどの獰猛な肉食動物も、アフリカゾウ(特に群れ)を避け距離をとるのは一般的。
ただし、幼年個体はライオンの群れやナイルワニの大型個体に襲われて捕食されることがある他、一部地域の大規模なライオンの群れには、夜襲と数の暴力を活かして成獣も積極的に狙う特化タイプが存在し、必ずしも無敵というわけではない。
とはいえ、特化タイプのライオン達もアフリカゾウを心底恐れている。アフリカゾウの凄まじい怪力と非常に優れた防御力はすべてのライオンにとって等しく大きな脅威であり、命懸けで挑まなければ、確実に死ぬ。アフリカゾウの怖さを知ってなお、群れの仲間のために勇ましく挑んでは返り討ちに遭うライオンたちの姿に感涙にむせぶ人も多いだろう。
アフリカゾウは、ライオンは勿論、あらゆる動物にとって今日は勝てたからといって明日も同じように勝てるとは限らない最大最強の強敵なのだ。
これらの事実から俯瞰すればわかる通り、本当の百獣の王とは、トラやライオンではなくアフリカゾウなのではないだろうか。
強さの秘密
まずは長い鼻だ。鼻と上唇が合体して形成されたもので、10万本の筋肉でできている。長さは3メートルにも到達し、カバをひっくり返すほど怪力。
そしてオスは特に巨大な牙を持つ。これは前歯が発達したもので最大3メートルにもなる個体も。このような個体は近年減少しているが「タスカー(tusker)」とも呼ばれる。
また実は走るのも速く、足を地面から離さない特殊走法で最高時速50km/hで走る。こんなスピードで突進されればライオンもそりゃひとたまりもないって…。
更にオスは発情期であるマストと呼ばれる時期に特に荒くれ者になる。こうなればベテラン飼育員でも手が付けられないらしい。
オスのアフリカゾウにとってメスの発情期はそうそう訪れない大チャンスなのだ。というのも、メスの妊娠期間は2年ほどあり、子育てにも長い時間を要するため一度繁殖を済ませると次にいつチャンスが来るかも分からないため、オスたちは必死に強さをアピールしなければならない。何日間もかかるトーナメント戦で正当に強さを競う個体もいればオシッコのちびらせ方でアピールするオスもいるそう。
生態にまつわる逸話
- アフリカゾウは生態系に大きな影響を与える動物である。サバンナでは、シロアリがもともと塚を作っていた場所に質のいい土壌が多くあり、そこでアフリカゾウが泥浴びをすると、なんと雨水などが溜まって乾季だろうが枯れない泉が形成されることもある。また、先述の通り糞には消化しきれなかった草がいっぱいあるため栄養が豊富で、キノコが生えたりフンコロガシの食糧にもなる。このような動物をキーストーン種と呼ぶ。
- インドなどでは白いゾウが神の使いとされるが、ナミビアでは、白いオバケとも称される白いアフリカゾウが目撃されることが多々あるそうだ。しかしなかなかなレア度だそうで出会うのは困難…と思われたが、フジテレビの『世界動物ゲキレアハンター』という番組で激写に成功した。しかし、なにも突然変異などではない。アフリカゾウは寄生虫対策のため、水浴びや泥浴びの後に砂浴びを行うのだが、その砂が塩を含むために白く見えるのだという。つまり天然の岩塩パックで白く染まったということだったのだ。
メディアでの活躍
最強王図鑑フランチャイズ
シリーズの記念すべき初作品『動物最強王図鑑』にて、シードで出場した後、シロサイ、イノシシ、ライオン、ホッキョクグマを打ち破り優勝。『異種最強王図鑑』でもシードで出場、インペリアルマンモス、アンキロサウルス、ペルビアンジャイアントオオムカデといった強豪に勝利しティラノサウルスに次ぐ準優勝と言う好成績を上げている。マンガ版でもシロサイに勝利しているほか、テレビ東京のアニメ版でもオオスズメバチに圧勝するなど、上記の強さが伊達ではないことを示す結果を残している。それ故に現代最強候補の1画と言えるのは間違いないようだ。
2つ名は「地上最大の巨獣」、「難攻不落の巨大要塞」、「怒りの破壊神」(※)。
※アニメ版。
以下、アニメ版及び『動物最強王図鑑PFP』の超絶怒涛の重大ネタバレを含みます
…なのだが、実はファンの間では最近は冷遇気味ではないかと推察されていた。
第一、『動物最強王図鑑PFP』では体格差ハンデをなくすことがあって結果はお察しとしてもライオンと敢闘していただけマシではある。
その一方で、アニメ版ではSPマッチの出場者が相次いでRGマッチに参戦を果たせている中で、アフリカゾウはなぜかRGマッチに参戦していなかった。
が、どうやら33話を見ている限りでは、オオスズメバチ戦での鮮やかな勝利がしっかり放送されており、自動的にトーナメント出場が決定していた模様だったことが判明。
トーナメントの前座というタイミングで公開されたスペシャル上映でも登場試合がプレイバック。鮮やかな逆転劇でオオスズメバチを蝶のように舞いハチのように刺す戦いっぷりを見せた。池崎は動物園のゾウさんコーナー(つまりゾウの展示場)にはしばらく近寄れないとコメント。
動物園なら柵があるので大丈夫だろ…と突っ込みたいが、余談として挙げておくと2019年に愛媛県のとべ動物園でアフリカゾウのメスに上から押さえつけられ飼育員がけがをした例もある。同園はしばらく臨時休園となった。
現在ではアフリカゾウは飼育されていないが、姫路セントラルパークの園長(当時)も2014年に放送された日本テレビ『笑神様は突然に…』での取材に対しオスのアフリカゾウは怒らせたらヤバいです(汗)と語っている。
このため池崎の発言はあながち間違いではないのかも。
そしてトーナメント1回戦・第2試合である第35話で再登場を果たし、インペリアルマンモスとのトーナメント戦が決定した。
ステージは荒野。いきなり両者共にゾウの走り方とは思えない軽快なステップでド派手に激突。(多分これはオオスズメバチ戦の走り方を見る限りは制作サイドのリサーチ不足だろうが…。)
ある程度近縁種であるが故に戦い方も似ている両者は好勝負を繰り広げる。
ただ、わずかな体格差もあり、最初こそインペリアルマンモスの攻撃で追い詰められていまい、更には自慢の牙も1本折られてしまった。
が、インペリアルマンモスが本気モードに入ってほどなくしてからアフリカゾウが何かをひらめき、そしてマンモスに答えるかのように本気モードに。なんと、マンモスに報復するかのように片側の牙をへし折ると、それを利用しマンモスの顔面を殴ったのだ。そしてマンモスの攻撃を避けては体当たり、というヒット・アンド・アウェイを繰り返し、そして最後は『異種最強王図鑑』と同じようにマンモスのお腹に強烈な体当たりをお見舞いしたのだ。こうして無事に2回戦進出を果たしたのである。
その2回戦、対戦相手は再三度ライオンであったがここでインペリアルマンモス戦で牙が折れたのが響きベストな状態で戦うことができないというアクシデントに見舞われた挙げ句、戦闘中急所である足の裏を攻撃され傷を負ってしまった結果ライオンに勝利を譲ることとなった。まぁベスト8なのでいつも通り好成績ではあったが、今回は実寸だったのでアフリカゾウが勝つべきだったと原作改変疑惑がまたも生じた…が、先述の通り『動物最強王図鑑PFP』ではライオンが勝っているので原作改変ではない。たぶん。
(そもそもだがライオン側もパラケラテリウム戦にてテストストロンが分泌され能力が上がっている状態であり、両者のコンディションから考えるとライオンが少し有利な状態である。因みにPFPでもアフリカゾウはこの状態のライオンに負けている)
無論2期でベストな状態で再戦すればアフリカゾウが勝つだろうというド正論極まりない意見も散見される。
実は、後述するが意外にもバトル図鑑では本フランチャイズが最も妥当な評価を受けているアフリカゾウ。今後も書籍および2期での活躍が期待されている。
必殺技はロングノーズパワーボム、憤怒のエレファントデストロイタックル。
頂上決戦シリーズ
『頂上決戦! 世界の危険生物 最強王決定戦』で初登場…したが明らかに目元がやばい。(ちなみにこれについては本書のイラストを担当したうちの1人である川崎悟司氏もここまでやっていいのかと印象に残っていると粗方認めていた。)
活躍は予選ブロックでオオアリクイ、ヒョウアザラシ、ズグロモリモズとの戦いをすべて制し、決勝トーナメントへ進出したが、なんと準決勝で思わぬ相手に屈したためベスト4という結果に。ただしこれは当然現実にはあり得ない。
生息状況
上述のように大量のエサを食べるため広大な生活圏を必要とするが、人間の生活圏に圧迫されてゾウが居住できる地域は徐々に少なくなっている。さらに、象牙目当てのハンターに襲われることが多かったためその数を減らし(特に立派な象牙を持つ個体は顕著で、結果成長しても象牙が目立たない個体の割合が増えている)、現在は絶滅危惧種VU(危急種)に認定されている。
実は先述の人間への警戒心の高さは、長らくハンターに狙われ続けたことで、アフリカゾウ自身が「人間=危険生物」と学習した結果という可能性が指摘されている。
事実、ゾウを観光資源として厳重に保護してハンティングを禁止した地域では、かつて神経質に人間を追い払っていたゾウたちの態度が軟化して多少近づいても気にせずにいることが確認されている。
何事においても、付き合い方と距離の取り方が重要だということだろう。
モチーフになったキャラクター
関連項目
ビッグボンバー:ジャッカー電撃隊の後期必殺武器で、本種が変形モチーフの1つに使われた。「アフリカゾウ!! ビーッグ、ボンバー!!」