「さぁ、照時間(ショウタイム)だ!」
CV:三宅健太
曖昧さ回避
- 漫画『夢喰いメリー』のキャラクター。本稿を参照。
- 漫画『僕のヒーローアカデミア』に登場する人工知能(AI)。「アーマードオールマイト」を参照。
- スペインのサッカーチーム「エルクレスCF」。
概要
現界と幻界の混乱を招き、メリーたちの敵として立ちふさがった夢魔。二つ名は灯台(ファロス)。
他の夢魔に先駆けて「門番」の不在に気づいて現界に移動し、後述の特殊能力を使用し他の夢魔が現界に現れるようになった原因を作った。
体型は比較的人間に近いが、普通の人間をはるかに上回る巨躯であり、黒一色の胴体を中世の騎士の甲冑のような装甲が部分的に覆った姿をしている。シンボルマークは円とその周囲六方に引かれた放射線でできたマークで、これが身体の黒い部分にちりばめられている。
現界に来ている夢魔を手当たり次第に自身の幻界に引きずり込み、自身の計画に賛同する場合は配下に加え、賛同しない場合は容赦なく殺害するという暴挙に及んだ。その過程でエンギの姉、パティ・スリーピースを殺害し彼女から仇とされたほか、夢魔の殺害に伴い、夢魔に憑かれた(または「共存」の関係の)多くの人間の夢を破壊した。光凪由衣や堀江菜桜の通う学校の吹奏楽部の先輩である日野明音の夢を破壊したのもエルクレスかその配下となった夢魔とされている。自身に賛同したランズボローやノワールらの夢魔、そして幻界から無理やり連れ去り強制的に従わせたクリオネと共に計画の準備を進めていた。
器は夢路の幼馴染にして友人である秋柳貴照。しかし、他の夢魔が器の人間をすぐに支配しようとするのに対し、彼の場合は幾度も意識の支配と返還を繰り返すことで、人間の精神が二度と起きることのない完全な支配を行っていた。彼がこの方法で人間の意識を封じ込めて完全な支配を実現することができるということを知っていた理由は不明。
自身の夢魔としての庭の形は暗闇の広がる荒廃した街に、不気味な装飾のされた灯台が無数に立ち並んだおどろどおろしい場所。「心臓部」として、炎を頂く大灯台がひときわ高くそびえる。自身の庭においてエルクレスは真の能力を発揮でき、戦闘能力が飛躍的に増大するが、一方で心臓部という弱点をさらすことにもなる。
台詞の特徴として、笑う際に「火火ッ(カカッ)!」 「発ッ発ッ(ハッハ)!」など炎に関した漢字を当て字に使う。
能力
誘致の光
自らが現界にいながら、幻界にいる他の夢魔たちに向けて現界への道標として灯台の光を飛ばすことが出来る。エルクレスの持つ夢魔を集める特性があらわれたもので、この光は境界をまたいで現界から幻界に作用する。
これによって夢魔たちは「門番」が不在で境界をまたぐことができ、人間を器にして現界に留まることができるということを知り、夢魔による人間の乗っ取りという現界における異変が始まった。
幻界への干渉
自分以外の夢魔の庭にいる際、その境界を破壊しそのまま自分の庭へと変貌させる力を持つ。これにより自分以外の夢魔の力を抑制し、代わりに自分が真の力を発揮できるようになる。本来、境界に干渉できるのは「門番」であるメリーのみである為かなり特異な力。
炎の記憶
他の夢魔(全員がエルクレスの襲撃により命を落とした夢魔である模様)が使っていた武器などの道具に残った記憶を再生することにより、彼らの能力を自分のものとして使うことができる。ものに残った記憶を使うので、エルクレス自身が彼らの技を見ている必要は無いらしい。この能力を使う際、エルクレスから生じた炎が道具の持ち主の姿を形づくる。エルクレスはこの能力を使うために殺した夢魔の所持品を戦利品として集めており、パティ・スリーピースの仕込み杖紫閃風月漉座刀も彼の手に渡っていた。
戦闘能力
上記のような特殊能力以外にも、夢魔として規格外といえる圧倒的な戦闘能力をも有し、パワー・スピードともに桁外れの実力を誇る。またきわめて好戦的な性質である。
固有の武器として、ただでさえ大柄なエルクレスの身長をさらに上回るほど柄の長い巨大な斧をもつ。ただし、気分次第で素手で戦闘を行うこともあるようだ。炎を操る夢魔であり、直接の殴打以外にも爆炎を巻き起こして広範囲を攻撃することもできる。
さらに並外れた生命力を持ち、手足や胴体、下半身が欠損するほどのダメージを受けても炎とともに再生する。エンギ・スリーピースの必殺の剣技をもものともしない強靭さを有するほか、メリーの「門番」の力をも受け付けない強さを見せつけた。
そのほか、第47話においてはクリオネを幻界から無理やり現界へと移動させ、本人の意思とは関係なく秋柳瑞貴の身体を器にさせるなど、アニメ版に登場したミストルティンと似通った能力も見せた。
ちなみに自身の庭にいる時に戦闘態勢に入る際は頭から長い炎を吹き出し長髪のようになびかせる。後述の「血」の力を引き出したさいには、胸や身体の各所から炎がゆらめく。
目的
当初から夢魔の仲間を集めて現界を侵略、支配することが目的と(彼に賛同した者たちからも)思われており、夢魔たちを現界へと招いていたのはその手駒集めの為とされてきたが、
本当の狙いは大量の夢魔を現界へと渡らせることで幻界と現界のバランスを崩壊させ、夢魔そのものが現実に実体化するよう世界の在り方を変貌させることだった。
これにより本来のメリーの庭であり幻界と現界を繋ぐ『門』に亀裂が生じ、それがそのままメリーへの深刻なダメージにも繋がった。
そして夢魔が、引いては自分が実体を持って具現化した際の本当の目的は只々単純な破壊と殺戮のみ。
現界の支配というのは現界で自分と共鳴する夢魔を集めるためだけの方便であり、自身が光と炎の夢魔であるからこそ人間も夢魔も無差別に“燃やし尽くす”という破壊そのものを最大の目的としていた事が第51話にて判明した。
何の恨みもない人間の世界を、これほどの策を弄してまで破壊しようとする思考は普通の人間には理解できないが、彼は夢魔であり、その思考回路や行動原理は標準的な人間とは全く異なることに注意が必要である。破壊こそがエルクレスの「夢」であり、彼はこれについて「炎が触れた物を焦がすことに疑問を持つ奴はいない」と表現している。
夢も希望も俺のものだ
他者の夢を喰らって 俺の炎(ゆめ)は燃え上がるのさ
決戦後
メリーたちとの戦いに敗れた後、エルクレスは正体不明の全裸の人間の姿をした夢魔の力を借りていたということが判明する。この夢魔は「血」という形で他者に自身の力の一部を貸し与えることができる模様で、エルクレスが見せた「炎の記憶」や「門番」の力への抵抗力といった能力は、大灯台破壊にともない使用不可になったことから、この「血」の力に由来すると考えられる。このように、エルクレスは「血」によって一時的に力を貸与されていたに過ぎず、本来の実力は通常の夢魔に等しいものであったとも考えられる。ただし、全裸の人間の姿をした夢魔の発言から察するに、「誘致の光」はエルクレス自身がもともと持っていた性質らしい。
エルクレスはメリーの力により幻界に送還され、秋柳貴照の支配を喪失した後に全裸の人間の姿をした夢魔により殺害され消滅した。