概要
古来、くノ一が女である自身を最大限に利用し、磨き上げた色香で相手を篭絡するという手段を多く用いていたが、実はそれは性別や職業に関わらずあり得るシチュエーションであり、別段「忍者=裸」という図式には繋がらなかった。
この図式が確立、定着したのは、日本の漫画でもゲームでも、ましてエロゲーでもなく、アメリカで産声を上げた三大コンピューターロールプレイングゲームの1つ『Wizardry』に登場した忍者の存在が大きかったからであろう。
この中で、忍者は「成長すると武具を装備しないほうが死ににくくなる」という特異な存在として描かれ、それを端的に表した「強い忍者=裸」という図式が作り上げられて以来、裸忍者は一般ゲーム誌等で合法的に描かれることが許される存在となったのである。
なお、「何一つ装備しない裸の姿で最強の武装を凌駕する状態」に至るには莫大な経験値を必要とするため、孤高の存在として単独で行動している場合が多い。
Wizardryにおける裸忍者の解説
Wizardryには固有技能を持つ各種職業が存在するが、中でも非常に厳しい転職条件を誇る忍者にはAC(アーマークラス、キャラクターへの被ダメージ難易度を表した能力数値でマイナスに近付くほど強い)に関わる唯一の固有技能が備わっている。
特に、初期Wizardryの世界では種族や職業に関わらずACの基本数値は10であり、ACを補う強力な武具は全て戦利品から賄わなければならず、キャラクターの死亡に対するリスクが非常に高いという大原則があるため、冒険を進めるに当たってはACに対する気配りが死活問題を左右する最重要課題となる。
ところが、忍者は転職直後からACの基本数値が8であり、さらにレベルが3つ上がる毎にACの基本数値が1ずつ減少するという類を見ない強化が成され、24レベルで0、54レベルでLO(Lowの略号、AC-10)、221レベル以上でVL(VeryLowの略号、AC-100)にまで到達し、単身で最高位の敵キャラクターをなぎ倒すほどの無類の強さを顕現する。
しかし、この忍者特有のACは無装備状態でのみ発揮されるという特徴があり、武具を装備すると武具に設定されたACが優先されてしまうため、最終的には何も装備するべきではない状態となり、この様子を当時のプレイヤーが「無装備状態=裸」の図式で表したことで広く認識されるようになる。
ただし、この裸の受け止め方はプレイヤーによって忍び装束のみの状態、頭巾と鎖帷子と褌のみの状態、頭巾と褌のみの状態、頭巾のみの全裸状態と多様であり、初期Wizardryに性別の設定が存在しなかった事も手伝って大半の場合は男性の姿で描かれる。
冷静なツッコミ
「無装備=裸」ではなく「無装備=衣服(忍び装束)のみ」が図式として然るべきではないかとする解釈も存在し、これは一言で表すと「そもそも何も装備していない状態が裸ならばその姿で街中を闊歩できるわけがない」とする現実視点からのシリアスな考えから来るものである。
もちろん、「一糸まとわぬ姿で本来の力を発揮する」という解釈を否定するものではないが。