概要
本作の世界の中に存在する、輪郭と葉脈が発光する半透明の植物の葉のような物体の総称。
名付けたのは姉妹のうちの誰かと思われるが、名前の由来は不明。
なお、発光は採取後に時間経過で失われる。
複数の種類が存在しており、それぞれ異なる性質や能力を秘めている。
「ミドリ」と「キイロ」は木から生えてくるが、それ以外は地面から直接生えている場合もある。
生えるために土は少量もしくは不要と思われ、コンクリートやアスファルト、ジェットコースターのレールにも生えていた。いずれも高所であり、赤霧の滞留性と合わせて考えると、ケムリクサは赤霧を避けて生える性質があると推測される。
種類によっては成長と存在の維持に水は不可欠であり、寿命もあるようで第5話と第6話でこれまで使ってきた「アイ」が弱っていく様が描かれ、最終的には消滅している。
ケムリクサは何が起こるかわからないため、姉妹たちは「ミドリ」以外は食べない。
自主制作アニメ版
同人版ではりんが携行しているタバコ型の道具。姉妹の拠点に置かれている「木」を原料として作られており、口に咥えることで外傷を治癒したり紅霧の中でも行動できるようになる。赤虫たちにとってはこの上ない毒でもあり、彼らへの対抗手段(武器)としても使用される。
紙煙草のような形状をしており、味もわかば曰く「水気の多いタバコ」であるらしい。
2019年版ではTVの放送規制の為か、下記の葉っぱをそのまま利用するという形式に変更されており、本来の語源である「煙草」としての意味が通じ難くなっている。
ケムリクサの使い方
わかばが六島の地下街廃墟で出会ったりくから教わった所によると、一部のケムリクサの制御には
①押す
②更に強く押す
④円が複数表示されるので、目的に合った円を選ぶ(通常動作、出力調整、ロックetc)
などいわゆるスマートフォンによく似た手順を用いる。
「りくが一番巧かった」「わかばにしか使えない」と言われる理由は『②更に強く押す』に依る所がとから力加減には触覚が必要だからであると考えられる。
種類
- ミドリ(緑)
りつが「ミドリちゃん」と呼ぶ小さな木から生み出す緑色の物(作中でケムリクサと言えば大抵これを指す)。
この緑が持つエネルギーがアカムシに対して非常に有効であるため、りんはこれを体内に取り込んでそのエネルギーを身体に纏ったり、放出したり、あるいは剣といった武器に変えたりするなどして様々な形で虫との戦闘に活用している。
姉妹達が食べることができる唯一のケムリクサ。
強力なエネルギーが込められているように思われたが、実際の用途は特定の対象の修復および復元であり、破損していた物質の修復だけでなく、生体の回復や治癒などにも効果を発揮する。
アカムシに対して有効だったのもムシを破壊するのではなく、実際はこの性質を反映して暴走状態のムシのプログラムを修正あるいは初期化し、その機能を停止させているからではないかと考えられる。
他にもタバコのように口に付けて吸う事で体力の補給や体調の管理もできるようだが、その際には現実のタバコと同じく強いニコチン・タール臭が発生するらしい。
- キイロ(黄色)
常に黄色く発光している銀杏型のケムリクサ。
一島の廃墟内に残っていた木に生えており、他と異なり採取後も長時間発光を続ける。
姉妹が定期的に採取して拠点を照らす照明として利用しているが、りん以外は色の認識に難がある為なのか採取は主にりんが行っている。
接触操作で出力を上げると、巨大な蛍光管の様な見た目になり、光量も増える。
日清とのコラボCMではおそばの上に浮かべて「月見そば(りなはキイロを使っているのでキイロそばと命名)」を作っているが、食事シーンは汁を啜っているところしか映っていないので単なる添え物扱いでキイロは食していないと思われる。
- アイ(藍)
藍色の金魚葉椿に見えるケムリクサ。
水の場所を探知できるという性質から、遠征の際には金魚鉢に入れられて水場の探索に用いられている。
新鮮なものは水に入れると泳ぐ、跳ねるなど、本当に魚のような挙動を見せる。
- モモ(桃)
文字通り桃の葉に似たケムリクサ(肉桂の葉に似ているという声も)。
りなが体内に取り込んで分身するために使っているらしい。
- ウスイロ(薄色)
白い蓬の葉に似たケムリクサ。
独特な香りがするとされ、わかばは普通に食べることができるが、姉妹は混ざる可能性を危惧して食べようとしない。
後にわかばがこれの一株を電車内に持ち込んで栽培しはじめるようになる。
- ダイダイ(橙)
表面が唐草模様の長方形の葉という現実でも見られないような形状のケムリクサ。
文字や画像を記録できる情報媒体のような性質を持っていると考えられ、かつてりょくが遺物調査の際に使用し、りつを通じてわかばへと譲渡された。
りょくが使用していたものはとりあえず自分が理解できる範囲の世界の事、自分ら姉妹の体質の事、これまで判明したケムリクサの事、そして水の在り処の手がかりなどが記されていた。
他には姉妹を生み出したという“さいしょのひと”の遺言書らしきダイダイの草もあったが、その内容はりょくにとっても理解しがたいものだったうえ、最後の部分が塗り潰されて判読不能になっていた。
ウルトラジャンプ連載の「わかばメモ」は後日、このケムリクサを使いこなせるようになったわかばが自ら記録したものという設定で描かれている。
- アオ(青)
青い柊黐の葉に似たケムリクサ。
極めて堅固な防護フィールドを発生させる性質を持ち、発動すればヌシのビームすら防ぐ強力な六角形状のシールドを展開する。
これまで姉妹には使えなかったことから彼女たちには無視されていたが、わかばが採取した後に短い時間ながら反応を見せ、後にわかばが効果の発動に成功した。
このシールドのエネルギーは島を隔てる「壁」のエネルギーと同質なものであり、りん達に破壊されそうになった際に“青い霧”を吹き出し周囲の虫達を”アオムシ”化してりん達を襲わせるという反応を見せている(その直前に壁一面に『警』の字が浮かんだので警戒モードに入ったと推測される)。
正常な壁の開放にはアオのケムリクサの制御と同じ手順を踏むか、あるいはこれを展開した人物自身の生体認証が必要なものと思われる。
- 黄色い笹(仮)
六島のトンネルに生えていたケムリクサ。
用途は不明。
- キミドリ(黄緑)
細長いシダの葉、或はオジギソウに似た形状のケムリクサ。
放電現象を起こせる。日清とのコラボCMや11話では湯を沸かす為に使われた(IHヒーター?)。
作中で名前を呼ばれることが無く、2019/5/31のプレシャスメモリーズ『ケムリクサ』先行公開にて初めて判明した。
- 白(仮)
シロを筆頭とするムシ系ドローンの核になっているケムリクサ。
合成ケムリクサ
“さいしょのひと”ことりりがケムリクサを弄っているうちに行きついた"新品種"。
別色のケムリクサをスライドさせるように色を合わせる(混ぜる?)事で一つにし、そうしてできた一枚の葉に全く新しい機能を持たせている。
一つになったクサは上(先端側)の機能がメイン、下(茎側)がサブとして働くらしい。
各クサの働きを部分的に制限することで機能の指向的なプログラミングを行う事も可能となっている。
- 本体(仮)
姉妹たちの核になっていると思しきタンポポの葉に似た紅いもの。
りりが作り上げた合成ケムリクサの一種で、個人を形作る情報を組み替えて別の人格と形態を持った存在を生み出す事ができるものと推測される。
作成後にりりが自身の生命を含めた全ての情報(遺伝子なのか魂なのか明確なベースは描かれていない)を変換してりん達6人の姉妹を創造し、以後彼女たちの核として機能するようになった。
他にも所持者の記憶(自身が自覚していないものも含めて)を記録、投影する性質も有している。
これが無事であればダメージを負っても死亡することはないらしいが、これの維持には他のケムリクサと同じく水が必要不可欠であり、定期的に水分を経口摂取しなければならない。
極めて膨大なエネルギーを内包しているようで、それを開放する事で姉妹たちは限界以上の出力を発揮する事が可能とされるが、それはこのケムリクサ核の消費の加速、すなわち自身の命を削りかねないほどに負担がかかる行為と言われている。
明言はされていないが、一島でりなこが消滅したのは水を守る為にこの本体を使用した可能性がある。
- アカ
ウスイロの葉に似た深紅のケムリクサ。
りりがワカバの業務を強引に終わらせるため、空間中に存在するケムリクサの機能を低下させようという目的で、様々なケムリクサを融合させて生み出した。
しかし、複数の機能を無理やり組み合わせてしまった結果かは定かではないが、自律機能を持って暴走を始め、誰の制御も受ける事無く無尽蔵にケムリクサを破壊する元素をまき散らす存在と化してしまった。
詳細は赤い木を参照。
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ケムリクサの正体
ケムリクサの実態は地球外の存在が扱っていた多目的エレメントである。
バイオ工学の産物なのか、強い生物的要素と発展性を持ち合わせ、地球の植物に似た特徴を有している。
正方形の板状の"種"の状態で保管、適した土壌に植える(置くだけで良い)ことで発芽、水を与える事(光合成は必要としない)で木へと生長し、そこから葉に当たるケムリクサが生成される。
成長開始当初は茎も枝も半透明だが、最終的には幹全体が現実の原木と同じように変化して巨大な樹木へと成長する。
エネルギーとしての利用だけでなく、物質の構築も可能なようであり、オリジナルのワカバが行っていた地球文明の構造物の転写による複製再現も(印刷用の)ケムリクサの働きで、3D印刷の樹脂に当たる物もまたケムリクサが生み出した物質となっている。
ちなみに、"私的資料集"によると姉妹たちが移動拠点にしている市電車両はスキャンが不十分だった為に半分の状態になっているらしい。
白いムシにケムリクサの成分を噴霧して、大まかな行動パターンを入力することもできる。その際、モニター画面を有する個体は「カンリ イロ ケンシュツ」と表示する。
作中で描写されたのはアカとアオで、アカは"ケムリクサの機能停止"、アオは恐らく"保全と保護"と思われる。ただし、ムシ達はケムリクサによる入力より、ヒトによる口頭での命令を好む。
一方、ケムリクサを持ち込んできたワカバにしてみても自分が100%扱いきれている訳でも、仕組みを理解できている訳でもない一種のオーバーテクノロジーであり、彼自身ケムリクサの研究と調査を続けていた。
基本的に生体への使用は想定されておらず、彼曰く修復と体調管理用のミドリと食用のウスイロ以外を人体に使ってはいけないとのこと。
使用したものにもよると思われるが、怪我するだけならまだマシな方で、そのワカバが知っている範囲でも
- 肉体の部分的変質(姉妹の異能はこれの所為と思われ)
- 記憶の消失
- 脳内の全情報の複製(事実上の同一人物複製)
と、このケムリクサの転写現象が物体の模造だけでなく、場合によってはいわゆる生体のクローニングから再構築、果ては変異の誘発といったイレギュラーな事態を引き起こす可能性が示唆されている(被服まで再現している事から、その記憶した対象を生物的に再生しているのではなく、対象を記憶当時の状態で物質として複製しているものと考えられる)。
とまぁ、このように物質やエネルギーの生成だけでなく、使い方次第では生命の操作と創造さえ可能という総合的に見れば極めて高次元的な性質を秘めた万能マテリアルなのだが、その育成および量産方法は“地面に植えて水をやるだけ”と至って簡単なものであり、水分(と土壌の栄養素?)だけでここまでの情報を集積できるという、SFというジャンルでもなかなか類を見ないチートアイテムだったりする。
結局の所、このケムリクサというシステムがどこでどうやって開発されたのか、どのような元素と情報で構成されているのかといった詳しい設定は最後まで説明、描写される事は無く、本作最大の謎の一つとなっている。
初期案では葉の形ではなく、「内部に環があり粘土の様な可塑性のある透明な物体」であったようだ。千切って増やすこともできたらしい。