NARUTOの夜叉丸→夜叉丸(NARUTO)
概要
声:矢薙直樹
伊賀鍔隠れ衆が一人。メンバーの中ではかなりの若手。
女の髪をより合わせ獣油を染み込ませた糸状の武器「黒縄」を持つ。
蛍火とは許婚で、深く愛し合っている間柄。
甲賀卍谷衆、風待将監との戦いにより髪が切れてしまう。
せがわまさきのラフ画には「美少年?」と書かれていた。
代表試合後に不戦の約定が破られ、その巻物を伊賀の里に持ち帰ろうとするが、甲賀弾正に懐の巻物を奪われてしまう。
その後に無くした巻物を探して里への帰還が遅れ、蛍火や仲間への被害への懸念や失態への不甲斐なさを感じながらの道中で、甲賀に出向した如月左衛門と遭遇する。左衛門は薬師寺天膳の声を模し、姿を隠して探りを入れ、夜叉丸も姿を現さないのは甲賀の攻撃を受けたことで納得し、巻物がなくとも不戦の約定が破られたことを伝え、その情報に素が出てしまい、夜叉丸は糸で反撃に出る。相手が伊賀の倒すべき1人と知り、左衛門の首を土産に失態の汚名返上にと思った瞬間、もう1人の甲賀の忍びである霞刑部の襲撃を受け、手と首の骨を砕かれ、死亡する。
その後は、伊賀の里から弦之介を救うために左衛門に顔を利用される。
戦闘力
若年ながら御前試合に伊賀の代表として選ばれただけはあり、歴戦の猛者である風待将監とも互角の戦いを演じるほどの高い戦闘能力を有している。
しかし、逆にその若さ故に油断しやすく、御前試合の後で預かった大切な人別帳を甲賀弾正に容易くスリ盗られてしまうという大失態を犯している。
概要にもある通り、糸状の武器「黒縄」を自由自在に操る「黒縄地獄の術」の使い手。
「黒縄」は凄まじい剛性と切れ味を誇り、一本だけでも怪力の持ち主を完全に拘束したり、岩塊ですらチーズのように綺麗に切り裂いてしまう。
これを一度に何本も操ることで相手の動きを封じたり、バラバラに切り裂く戦法を得意とする。
また、細く長い糸のような性質と、力加減の僅かな調整だけで拘束と切断を完璧に切り替えたりするほどの夜叉丸自身の驚異的な操作技量も相俟って応用の幅も広く、攻撃から防御、周囲に忍ばせての即席の罠まで、劇中でも変幻自在の多芸振りを見せている。
「糸」を使って戦うキャラの先祖
今でこそ「極細の糸を手足の如く使って戦うキャラ」というのは一ジャンルを形成するほどメジャーなバトルスタイルとなっているが、その源流をたどると行きつくのが夜叉丸である。
正確に言えば「極細の糸を使って万物を拘束・切断する。変幻自在の機動手段としても用いる」というバトルスタイルを作り出して世に広めた元祖と呼べるのは「魔界都市新宿」の秋せつらであるが、作者がこのキャラの扱う武器「極細の鋼糸」を考案する際、アイディア元としたのが夜叉丸の黒縄である、と明言されている。
ただしあくまで「アイディア元」であり、夜叉丸自体が直接、今でいう「糸使い」の元祖となっているわけではない事には注意が必要である。
山田風太郎の原作小説における「黒縄」は描写的には「髪で編んだ極細の鞭」という方が正しく、扱い方もいわゆる「鞭使い」のそれである。
そのため、実は漫画及びアニメ「バジリスク」におけるモノフィラメントウィップのごとき鋼線を無数に操る描写は、上記の「秋せつら」が広めた「糸使い」のパブリックイメージを逆輸入した形である。
更に余談ながら、原作の夜叉丸はこれを用いる際に「黒縄地獄に落ちよ!」と発言しているが、黒縄地獄とは仏教などで説かれるいわゆる「八大地獄」のひとつであり、盗人が熱く焼かれた「黒縄」で縛られ、その縄目跡についた焦げ目に沿って、熱した鉞で切断されたりする地獄である。
山田風太郎がこの忍術を考案する際、この地獄の描写が念頭にあったとも取れる。