鏡の中にもう一つの不思議な世界が…その中にカオルちゃんはお母さんを見た
そして鏡の中に誘い込まれたカオルちゃんを追ってゲンも…
しかしそこには凶暴な怪獣スペクターが!2人は再び生きて地球に帰れるか?
さぁ、みんなで見よう「ウルトラマンレオ」!!
放送日
1974年12月20日
登場怪獣
鬼女マザラス星人
STORY
ある日の広場。ゲン、百子、猛、トオル、カオルの5人が遊んでいた。梅田兄妹の手には模型飛行機が握られており、そんな2人をあとの3人が木々の間を縫って追い回し、彼らは楽しい時を過ごしていた。
そんな中、木の下に模型飛行機が落下。その木の影から和服を着た女性が現れ、飛行機を追ってきたカオルに飛行機を拾ってあげる。
女性(なんて可愛いのかしら、そっくりだわ…亡くなった娘にそっくり)
カオルは女性に礼を言う。笑顔を返す女性を見つめる内、カオルは不思議な光景を見た。
真っ青な布に身を包んだ女性…否、死んだ母と光の中で再開する、夢のような光景を。カオルにとっても女性はまた、死んだ母に生写しだった。
カオルは母の手を取り、景色が回ってゆく。しかしいつしか、そこにいたのはゲンに変わっていた。母の姿は遠ざかり、やがて見えなくなる…
トオル「カオル!何やってるんだよ、早く!」
そこでカオルの意識は先程の公園に戻った。
女性「カオルって名前なの?」
そこへゲンが笑顔で駆け寄ってくるが、ゲンには女性の姿がカオルとは異なって見えた。
ゲン「宇宙人…!?」
女性に化けた宇宙人はそそくさと退散。カオルは女性を母親だと思い込み、ついて行こうとするがゲンに止められる。
カオル「待って!私も行く!」
ゲン「カオルちゃん!行っちゃいけない!」
カオル「また邪魔をするのね!?」
ゲン「違う!」
カオル「ゲン兄ちゃんのバカ!」
ゲン「カオルちゃん!」
カオル「離して!離して!ゲン兄ちゃんのバカ!!」
異変に気付いた百子らが駆け寄って来たので、ゲンはカオルを彼らに任せて宇宙人の後を追う。
宇宙人は街の中へ逃げ込んだ。ゲンは電話ボックス越しにその姿を発見し、地下道へ逃げ込む宇宙人を追跡する。暗い地下道を見失いそうになりつつも追跡するゲンだったが、なんと宇宙人は鏡の中に歩いて行き、そのまま姿を消してしまった。
(場面転換)
家へ帰ったカオルはペンダントの中の母の写真を見る。それは今日出会ったあの女性とそっくりだった。母を思うあまり、嘗て母が使っていた口紅を塗るカオル。すると、そこへ何処からかカオルを呼ぶ声が。誰もいない筈の部屋を見回していると、鏡の中に母の姿が。手招きする母に一瞬躊躇するカオルだったが、大丈夫だと丸め込まれカオルは鏡の中へ手を伸ばす。鏡の中の闇へと2人は消えて行き、鏡の上に残されたペンダントが寂しく揺れる…
万華鏡の様な幻想的な世界で、カオルは母と踊り遊ぶ…
(場面転換)
ナレーション「その夜、カオルは遂に帰って来なかった。そして街では不思議なことが起こっていた」
カオルのいなくなった部屋に集まったゲン、百子、トオル、猛。鏡はなぜかひび割れており、ゲンは破片を手に首を傾げる。ペンダントを手に取ったゲンは、百子に尋ねる。
ゲン「これは?」
百子「カオルちゃんのお母さんよ」
ゲン(似てる…鏡の中に逃げた、あの星人そっくりだ)
(鏡が割れる映像と共に場面転換)
翌朝、歯を磨いていたトオルは何処からかカオルの歌う声を聞く。その声のする方を探していると、トオルは鏡の中にカオルと踊る母を見た。
大の字に 寝っ転がって 眩しい 太陽を見よう
大の字に 寝っ転がって 綺麗な 空を見よう
大の字は とっても 楽になる
トオルは何度も声をかけて手を伸ばすがカオルには届かないやがて母がカオルを服で包み、トオルの方を見た瞬間にその光景は鏡が割れる様に崩れ去り、元の鏡に戻ってしまった。
(場面転換)
ナレーション「街に起こった不思議な出来事は、次々MACにも知らされた」
ゲン「トオル君、元気を出すんだ!必ずMACが力になるからね」
本部に集まった隊員達。ダンは敵の正体を既に知っていた。
ダン「マザラス星人だ」
佐藤「マザラス星人ですって!?」
ダン「記録によれば、マザラス星人は鏡の世界に住んでいて、屡々人間の子供を攫うそうだ」
ゲン「じゃ、カオルちゃんは鏡の世界にずっと…」
ダン「恐らく帰ってくる事はできないだろう」
佐藤「カオルちゃんを助ける事は出来ないんですか!?」
ダン「うん…」
ゲン「そんな…!」
ダン「お前の気持ちはよくわかる、しかし出来ない事は出来ないんだ」
ゲン「そんな馬鹿な…!カオルちゃーん!!」
ゲンはやりきれない思いで基地を出て行った…
(場面転換)
無人の体育館に1人座り込んだトオル。どこからかバスケットボールが跳ねて来たがトオルは気にも留めない。2階でゲンが見守っていると、トオルは思わぬ行動に出た。
なんと、飾ってあった鏡を叩き壊したのである。その為にトオルの右手は血塗れになってしまったが、トオルは涙一つ流さず右手を握りしめ、左手で押さえる。
すると、ふと何処からかカオルの声が。ゲンが導かれる様に入ったのは後ろの用具入れ。その中にあった鏡をじっと見ていると、そこには鏡の中で遊ぶカオルとその母…否、マザラス星人の姿があった。
ゲンが鏡に駆け寄ったその時、行手を杖が阻む。何時からいたのか、そこにはダンが立っていた。
ダン「行ってはならん!」
ゲン「僕にはカオルちゃんを見捨てる事は出来ません!」
ダン「あそこに居るのはマザラス星人だ、例え行ってもカオルちゃんを返す様な事はしまい…第一、帰ってくる事は出来ん!」
ゲン「やって見なければ分かりません!」
ダン「ゲン!!」
ゲン「必ずカオルちゃんを連れて帰って来ます!」
ダン「やめろ!!」
ゲン「デヤーッ!!」
ゲンは向かいにあったもう一つの鏡へ突入して行った。鏡の悪魔が待ち受ける、裏の世界へ…
(Aパート終了)
余談
円盤生物編に入る前では最後の通常回。
本話でマザラス星人の人間態を演じた原知佐子女史は実相寺昭雄監督の妻。また本話に実相寺監督は参加していないが、幻想的な演出や「死別した家族との再会」をテーマにした重く切ない物語など、どこか実相寺作品を彷彿とさせる描写が多い。マザラス星人とレオの一騎打ちの殺陣もクオリティの高い特撮であり、隠れた神回と称するファンもちらほら。
本話でカオルは母の墓参りを行ったが、まさかたったの3話後に彼女自身もその墓に入ろうとは誰が予想しただろうか…
レオが1話のうちに複数の巨大な敵を相手に連戦したのはこの回のみ。
鏡の世界のロケ地は鳥取県にある鳥取砂丘である。