※本項ではスピンオフ「1日外出録ハンチョウ」の主人公の大槻について解説する。
※漫画「賭博破戒録カイジ」に登場する大槻については「大槻班長」を参照。
概要
CV:チョー
ご存知、地下労働施設のE班を束ねる班長。
名前の「太郎」は、実写版のオリジナル設定に由来し、そのまま逆輸入される形で本名として扱われる。
地下で他の労働者からチンチロやぼったくり販売でペリカを巻き上げる地下のタヌキ親父であることには変わりないが、作中では巻き上げたペリカで買った一日外出券を行使して、24時間という制限の中、地上生活をマイペースに堪能する道楽家な面を披露している。
人物
作中ではかなりの食通として描かれており、地上に出ては主に「食べ歩き」を目的に活動しており、それによって長年培ってきた審美眼は中々のもので、初めて訪れた場所でも各飲食店の優劣を見極めることに長け、かなり美味い店の的中率は高い。
彼の特技である人心掌握術も大いに発揮しており、当初は強い不信感を抱いていた監視の黒服である宮本一をあっさりと手懐けてかなり良好な関係を築いている。
地下施設内で何かしら流行が起きる(作中では筋トレやカードゲームなどが流行った)時でも、瞬時に利益を得るチャンスとばかりに画策し、流行を助長させる商品を売ったり、起こした張本人に言葉巧みに言いくるめて利益の一部を得るなど、抜け目がない狡猾さも発揮(しかし、大概は帝愛によって流行が唐突に終わったり、やり過ぎて自分に実害が返ってくるなど、しっぺ返しが来る)。
一方で、この漫画ではどこか茶目っ気のあるおじさんとしての一面も見られる。遊び上手な面もクローズアップされている。
自分に明確に敵意を向けてきたり、カモと定めた人物以外の人間に対してはそれほど悪辣な態度を見せる事はなく、子どもの悪戯にも目くじらを立てなかった。とは言え、他人を自分のペースに巻き込み、堕落に追いやったり、手玉に取る様はまさに悪魔的。基本的に棚ボタのラッキーも幸福感を噛みしめるだけで相手への感謝は二の次だったり、隙あらばおいしいところを持っていこうと目論むなど自己中且つ狡猾な素顔を垣間見せる。
ただし、同じ地下労働者の青年(CV:小野大輔)と出会い、地上に出た際に想像以上の食道楽っぷりを目の当たりにした大槻は彼に一目置いたりと、趣味が合う者にはかなり特別な思いを持つようである。
また、看板を見ただけで、おおよその当たり外れや傾向を嗅ぎ分ける特殊能力まであるらしい。
基本大槻はあまり冒険をしない保守派であるらしく、一日外出で躓いて貴重なペリカを無駄にしない為にも、動揺するような事態はなるべく避けようとする傾向がある。特に食に関しては慎重な思考を持っており、滅多に新しい食べ方はしない。後述の脳内会議の様子を見た限りでも定番のメニューを「いつも裏切らない味」として愛好しているようだが、まったくの未知数な料理に挑戦するなど意外なチョイスを見せる事もある。
好物
作中の大好物として挙げているのはレバニラ炒めとレバカツ、それとチキンカツ。
レバニラはいつどんな状態でも外れないと豪語するほどで、後述の脳内で何を食べるか迷った時は無難な候補として挙げられる。一方、チキンカツの方は知名度はあれど、唐揚げのように人気があるわけでもなく、好物に挙げる人があまりいないことに不満を抱いている。
また、作中でも喫茶店に入ると必ずコーヒーを頼むほどコーヒー好きであるが、実はコーヒー豆の良し悪しは分からずこれといったこだわりは無いことが判明(だが、見栄を張って喫茶店等で注文する際、深く思案するふりをしている)。
他にも、好物というほどではないが、基本的にその店の名物や一押しの料理を選ぶことが多い。
嗜好
食べ歩きが好きな一方で自ら手料理を振舞うことも出来る(主に宮本や木村の家に訪れた時に作っている)。特に作中では風邪気味になった時に特製の鶏つみれ鍋を作ったり、カレーに並々ならぬこだわりを持って作っていた(最後の最後で気の緩みから失敗したが…)。
意外にも漫画好きであり、社会人時代でも仕事をサボってよく読んでおり、漫画に関する知識が豊富で評論も出来る。特にちばてつや作品のファン。元イラストレーターのD班班長の瀬戸内が興味本位で漫画を執筆し、思いのほか面白かったことで彼の編集を買って出る(まったくの善意というわけではなく、漫画賞で入選した時の賞金の分け前をもらうために)。また、その影響でスケッチを始めるようになる。
一方で特撮関連には疎かったが、側近の沼川が大ファンの「友情戦隊ダチレンジャー」(作中の架空の戦隊もの)を冷やかし半分で観た結果、大ハマりして沼川と共に作品を語り合っていた。
幕末ファンとしても造詣が深かったりする。側近の石和も幕末ファンだったことで、二人で幕末について堪能するための外出もすることがある。
高校生の時はバスケ部に所属しており、ポジションはPF(パワーフォワード)。ちなみに、沼川と石和もバスケ経験者。
大学生時代に路上ライブをしていた経験からギターの弾き語りも上手。
変わった妄想癖があり、眠る直前に自分の架空の子供を想像し、その子を幼少期から断片的なイベントをいくつか経て成人にまで育てるという妄想をしている(通称「イマジナリーファミリー」)。その子供達も多くが大槻に似ていないものの個性豊かな者ばかり(中には動物もいる)で、プロ野球や力士になっている者や双子や六つ子までもいる。ついに100人目を達成した時は同窓会を行っていたが、そこに思いもよらぬ人物が現れる……。
弱点?
外出を楽しむがあまりペリカを使い過ぎてしまうことがあり、ある時自分のペリカの残高を確認して使い過ぎていることに気付くとしばらく外出を控えた(この時、本誌ではペリカの使い過ぎという名目で一時休載した)。
実はコンタクトレンズを使用しており、外すとほとんど見えないほど視力は悪い。作中では、目当ての焼肉屋に行く途中で小学生がぶつかってきた時にコンタクトレンズが落ちてしまい、やむなく聴覚と嗅覚を頼りに焼肉屋に向かうが、運悪く店の目の前で車に撥ねられる。
激辛料理は好物でどんなに辛くても完食出来るものの胃腸はそこまで辛さに耐性がないため、翌日には激辛による腹痛に苦しんだことがあり、一度その体験をして以降、十年以上も激辛料理を食べていなかった。
ちなみに、生牡蠣にも当たったことがある(沼川と石和もそれぞれ当たったことがある)。
経歴
地下に落ちる前の過去が断片的に語られている。
かつては両親と3人で暮らしていたことが回想シーンなどで語られており、顔こそはっきりと映されていないが、母親はふくよかな体格でサザエさんにやや似た髪型をしており、父親は今の大槻に似た体格をしている。
大学生の時(20年以上前)には錦糸町の小さなアパートに住んでおり、路上ライブをしながら貧乏生活を送っていた。
その後はサラリーマンとして社会人生活を送っていた。サラリーマン時代は北千住周辺に住んでおり、その時から色んな店を食べ歩きしていた。また、当時はmixiをやっており、一時期は日記を毎日書いていた(ちなみに、アカウントは今でも残っている)。
幼馴染に「陽子」という女性がおり、かつては好意を寄せていたが当時は告白する勇気が無く、そのまま音信不通となってしまう。大槻は今でも陽子のことを引きずっており、時々当時の夢を見ることがある。
交友関係
側近その1。
本編では参謀役だが、作中では大槻の思い付きや奔放な行動に振り回される苦労人キャラ。ゆえに大槻は彼をおちょくることが多い。
側近その2。
本編では暴力装置役だが、作中ではマイペースで自由奔放なおとぼけキャラ。幕末好きという意外な共通点はあるものの、彼の日頃の大雑把さやウザさには内心辟易しており、ストレスの原因でもある。
地下E班監視リーダーの黒服。
当初はチンチロなどで強い不信感を抱かれ、すぐ隣で監視するという異例の行動をしていたが、アンテナショップ巡りで飲食したことが切っ掛けで意気投合して親しくなる。
- 小田切
C班班長で地下におけるライバル。
大槻達と同じく物販を始めた上にタブレットを使用して公開した「地下映画館」で売り上げを挙げて大槻達とせめぎ合っている。一方で、大槻と漫画や映画の評論で語り合ったり、ネタバレ合戦するなど、そこまで仲が悪いわけではない。
- 板井、岩田
A班班長(板井)とB班班長(岩田)。
同じ班長と趣味も似通っているため小田切と同じく語り合うことが多い。
- 瀬戸内
D班班長。元イラストレーター。
利益よりも良い物を作ることに重きを置く創作者型(クリエイタータイプ)で、大槻とは正反対の存在。
彼が興味本位で執筆した漫画を読んで思いのほか面白かったのとアドバイス無しで高いクオリティだったことで、(入賞した時の賞金目当てで)編集を請け負い漫画賞を取ることを目指している。
- 柳内
寡黙でクールな渋さを持つ初老の黒服。
料理上手で、特に蕎麦打ちは名人級の腕前を持ち、大槻も認めるほど蕎麦は美味い。一時、地下施設の給食長を務め、給食の質を大きく向上させたことで大槻達から慕われる。
- 牧田慎二
2児のシングルファザーの黒服。
国立科学博物館の一件で宮本に次いで親しくなり、時々自分の子供のことで相談されることがある。また、日本橋から箱根までの徒歩旅行、衝動買いしたスイカを持って炎天下をさまよう等、監視対象である大槻の行動に振り回される事も多い。
- 菅結弦
若手の黒服。
宮元と牧田をとても慕っており、それゆえに二人と仲が良い大槻のことをかなり嫌っている。
- 木村正一
労働期間を満了して地上に出た元地下労働者。
非常に温厚な性格で大槻とも親しく、今でも大槻は彼と一緒に遊びに行ったり家に泊まったりしている。
邪神
大槻の中に潜むある特定の料理に対して非常に食べたくなる欲求の総称。一定の周期で発生し、邪神から要求される食べ物を食べない限り収まらない。
作中で最初に登場したのは牛肉に対する牛頭の邪神であり、ある時から肉を求める囁きが止まらなくなり、地下メニューのTボーンステーキで鎮めようとしたが、質が悪かったため邪神はそれを不服としてさらに要求する。地下ではもはや抑えきれないと判断した大槻は地上行きを敢行したが、牛の邪神だけでなく、豚の邪神・鳥の邪神までもが増える事態に。
肉料理食べ放題の店で存分に肉料理を堪能して肉の邪神達が破裂し勝利した。が翌日、大槻の背後にまた邪神が姿を現す。今度はスイーツの邪神があらゆるスイーツを欲しだし大槻は2回戦として続行する。が、単行本おまけで訪れたケーキビュッフェが満席だったため出鼻をくじかれる。
その後、今度は激辛料理に対する激辛の邪神が登場する。しかし、大槻自身は激辛に強い耐性があるわけではないため、激辛によって体調を崩した経験から長らく封印されていた。後述のイギリス大槻がうっかり封印を解いたことで復活し、再び激辛料理を要求した。だが、前回のことを反省しているのか、激しい気性の割には食べに行く前に牛乳を飲んで胃の負担を減らそうとしたり、注文も中々決めかねる等慎重な面を見せている。そして、来店した激辛ラーメン屋で最高ランクの激辛30倍ラーメンを食べ切った後、電子ジャーに封印されてしまい、案の定腹痛に苦しむこととなる。
余談だが牛邪神は「余」、スイーツ邪神は「私」、激辛邪神は「我」とそれぞれ一人称が異なっている。
大槻の脳内
初出は第17話で、大槻の脳内の無意識下に存在する「各国脳内大槻達によるグルメ首脳会議」というものがあり、その時その時の大槻が地上で食べたい料理を各国のステレオ的な特徴を模した大槻達(日本料理なら侍、アメリカ料理ならカウボーイ等)が主張し合って決めている。ただし、中々料理を決断出来ず迷走状態になると、脳内会議は物凄い修羅場と化す事があり、各国の大槻達の無駄に熱い論戦が繰り広げられる。
また、大槻が各国の料理を細かく知りたくなると、その国または地域の大槻の中から細分化された大槻達が羽化するように生まれる。
主な大槻達
- 本体大槻
首脳会議の議長を務め、最終的な決定権を持つ。見た目は普通の大槻と変わらない。
他の脳内大槻からは「大槻長」と呼ばれる。
ちなみに本体であるもののあくまでも大槻からすれば無意識の存在。
- 日本大槻
侍の格好をした日本料理を司る大槻。見た目通り武士口調で話す。最も多い採用数を誇る。
そばや天丼などの和食のみならず日本食全般を司るらしく、空腹迷子状態の際にはソンブレロを被ったメキシコ大槻とタコスかタコライスかで言い争いになっていた。
刀を差しておりコンビニ大槻襲撃の際にはこれを抜いて対抗しようとするが、死角からの不意打ちを受け制圧された。
- 中国大槻
カンフー服を着た中国料理(及び中華料理)を司る大槻。どことなくあの人物に似た風貌。日本大槻に次ぐ採用数を誇る。定番を好み、未知な料理や大槻らしくない料理(パンケーキ等)には批判的。
半年に一度くらいに大槻が無性に中華料理を食べたくなった時に「大中華喰台祭(だいちゅうかくいたいさい)」というのが始まり、中国大槻から分裂し細分化された各中国大槻たち(北京大槻や広東大槻など)が鎬を削る。ちなみに、登場シーンはさながらあの格闘大会の様相だったりする。
- イタリア大槻
派手なシャツを着たイタリア料理を司る大槻。三番目に多い採用数を誇る。
- アメリカ大槻
カウボーイの格好をしたアメリカ料理を司る大槻。ハンバーガーしか提案しないため採用数は多くはないが、未知な料理に挑む開拓精神が旺盛。後に新参のブルガリア大槻の面倒を見ている。
- イギリス大槻
スーツを着たイギリス料理を司る大槻。かの悪名高いイギリス料理ゆえか、採用数は未だ0回。しかも、フィッシュアンドチップスしか提案せず、他の大槻達からの扱いはぞんざい。ブルガリア大槻の登場で一度会議から離脱させたものの、すぐに戻ってきている。
脳内の話の時にかぎり、単行本のおまけのオチに必ず登場する。
- ブルガリア大槻
見た目は幼少期の大槻の姿のブルガリア料理を司る大槻。当初は「ミッシュマッシュ」の名前しか知らなく自分がどこの国の料理か分からなかった(そのため、当初の格好はタンクトップに短パンの姿だった)が、後に「ミッシュマッシュ」はブルガリア風スクランブルエッグのブルガリア料理と分かると、以降はブルガリアの民族衣装を着るようになる。
新参かつ唯一の少年である為か、「大中華喰台祭」や「コンビニ大槻の襲来」では戦慄と恐怖を目の当たりにして狼狽していた。
- コンビニ大槻
コンビニ店員の格好をした特殊な大槻。稀に大槻が深夜のコンビニ飯のドカ食いに駆られた時に現れる存在で、しかも他の大槻とは違い大量に存在する。常に無言で不機嫌そうな表情を浮かべ、バーコードリーダーとペイントボールを持っている。
作中で、深夜のコンビニ飯に駆られた時に大勢で会議場に乱入し、抵抗する大槻達を拘束して会議場を制圧。そして、コンビニ飯を平らげると成仏するかのように消滅した。
アメリカ大槻曰く「精神のケアのために必要な存在」とのことで、日頃溜まっていたストレスをドカ食いで解消することが目的の模様。
- りぼん大槻
OLの格好をした女性型の大槻。幼少期に少女漫画「りぼん」を読んだことで生まれた紅一点。乙女心を現しているためか、スイーツ系を司る。普段はみんなのお茶くみ係をしているが、自分も主張して選ばれたいという思いもあり、苦悩している。
そんな悩みを抱えていたところにアメリカ大槻が彼女を後押ししたことで、決心した彼女は会議場で「リコッタパンケーキ」を主張し、突然のことに他の大槻達は唖然とし、現実の大槻も思わず沼川と石和にそれを提案してしまう。中国大槻から非難されるが、実は沼川も石和もパンケーキを食べてみたかったことを明かし、「リコッタパンケーキ」に決まったことで、各国の大槻達はりぼん大槻の勇気を称賛した。
余談
「マンガ談義」で安易なスピンオフ作品の登場が多い今日この頃について一言物申しているが、悲しきかな…あんたがそのスピンオフ作品の主人公なんですよ。