概要
魔封波は漫画『ドラゴンボール』に登場する封印技。
亀仙人や鶴仙人の師匠である武闘家・武泰斗がピッコロ大魔王相手に編み出した、相手を殺さずに容器に封印する特殊技。
密閉出来る容器と「大魔王封じ」と刻印されたお札の使用が絶対条件で、どちらか一つでもないと封印は失敗に終わる。作中では電子ジャーや梅干しの壺などが使われた他、特殊なケースとして「大魔王封じ」の文字が直接刻印された小瓶が使われたこともある。
特徴
基本的に格上の相手に対しては悲惨なほどに技や術が通用しない事が多いDBのバトルにおいて、術者よりも遥かに強い敵でも通用し、封じることが出来るという強力な技。
両手を前に突き出して発動すると、相手は上下に引っ張られたような体型になり、渦を描くような軌道で術者に拘束される。
その後、相手を引き寄せ、事前にふたを開けて用意しておいた容器に流し込むように放り込む。
最後に蓋を閉め、御札で封をして完了。どんなに強力な相手であろうと、中から解く事は不可能である。
相手を捕えるまでのステップはそれほど難しくなく、天津飯やピッコロ、神様は見よう見まねで練習を重ねて習得し、悟空も亀仙人の指導があったとはいえ一晩で習得している。また、トランクスに至ってはピッコロが使用している所を録画した動画を数分間視聴しただけで実践している。
しかし、この技には二つの大きな欠点があり、一つは捕えた相手を容器に放り込むのが非常に難しいこと。
これは、気の渦によって高速で回転する敵を、精密なコントロールで小さな的に入れなければならないことに加え、魔封波の大きな気の余波で容器が揺れてしまうためである。上述の習得シーンでも、発動までは上手くいくものの放り込むのに失敗してしまう場面が多く見られた。
その為、術者以外の者が容器を押さえしっかり固定すると成功率は大幅に上がる。
もう一つの欠点が、発動の際に術者の身体に大きな負担がかかること。場合によっては命を落とす事もあり、実際に武泰斗や亀仙人は成否を問わずにピッコロ大魔王相手に使用し命を落としている。
ただし、十分な体力があれば命を落とすことはない。神様がマジュニアに使用した際は、憑依されていたシェンを含め特に大きなダメージはなく、天津飯もこの技を会得するための修行中に何度も空撃ちをしている。
発動する相手によって体力消費が異なり、仮に亀仙人がザマスに発動した場合は即座に死亡するらしい。アニメ版では悟空やトランクスが体力を消耗した様子は見られなかったが、ザマス相手に悟空が使用した際には、超サイヤ人ブルーへの変身に支障をきたす程の体力を消費している。
このように総合的には難易度が高いこの技だが、封印を解くのは逆に簡単で、お札を剥がし容器の蓋を開けてしまえば誰でも解く事が出来る。またお札の文字が刻印された小瓶の場合は、蓋を開けるか、小瓶そのものを破壊することで解放可能。と言っても当然中の者からは手出しできないため、封印を解くには外部の協力者が必要となる。
また、一度技をかけられると抜け出すのはほぼ不可能だが、『魔封波返し』を習得していると逆に魔封波を跳ね返し相手を封印することが出来る。
使用場面
ピッコロ大魔王編
悟空が地球に来るよりもはるか昔、亀仙人がまだ若く、ピッコロ大魔王が世界中で暴れまわっていた時代。大魔王に敗北した武泰斗が、山に籠もっての修行によって編み出された。
若き日の亀仙人の協力もあり、ピッコロ大魔王を電子ジャーに封印することに成功するものの、それと引き換えに武泰斗は命を落とした。その後、大魔王が入った電子ジャーは亀仙人の手により海深くに封じられた。
それから数百年後、本編の時系列にて、ピラフ一味の手によって封印が解かれピッコロ大魔王が復活。亀仙人が再び魔封波で封じ込めようとするが失敗に終わり命を落とした。
その後亀仙人達の敵を取るために天津飯も独学で習得し掛けようと試みるが、度重なる練習により電子ジャーにひび割れが入ってしまった為、断念する形となった。
アニメ版ではひび割れることなく実際に使用。ドラムの攻撃を受けてダメージを受け窮地に陥るが、スキを突いてピッコロ大魔王に対して放った。
しかしドラムが庇い、さらにピッコロ大魔王がその際に電子ジャーを破壊したことで失敗に終わっている。結果、生命力を大きく消耗していたものの辛うじて生き伸びて、ピッコロ大魔王が天津飯に対し、自分を魔封波に捕らえ損ねたせいで僅かに寿命が延びたなという旨の発言をしている。
その後、ピッコロ大魔王は悟空に実力負けし死亡するが、それから三年後、生まれ変わりのマジュニアが天下一武道会に出場。マジュニアと命を共有している為、殺すわけにはいかない地球人シェンに扮する神様が使用した。この際、シェン及び神様には特にダメージはなかったようだが、神様はマジュニアの『魔封波返し』で魔封波を跳ね返され逆に封じられることとなった。
『超』
マジュニア戦以降は原作では一切使用されなかったが、“未来”トランクス編で再登場。
超ドラゴンボールにより不死身と化したザマスへの対策として、ピッコロが悟空に(漫画版では悟空がトランクスに)提案し、亀仙人から指南を受け取得している。
アニメ版ではザマスにタイムマシンごと壺を破壊され悟空本人は使用を断念。
だがブルマは諦めておらず、トランクスに頼み接着剤で壺を修復。そして術者は悟空に代わりトランクスとなり、ピッコロの魔封波を録画した動画を視聴し見よう見まねで習得。ブルマの時間稼ぎとマイの協力で不死身のザマスを封じ込める事に成功したが、肝心のお札を悟空が亀ハウスに忘れると言う大失態を犯し壺から脱出されてしまった。
漫画版では壺は破壊されず、悟空本人が魔封波を披露し成功させるも、こちらもお札と間違えて亀ハウスにあった割引券を持ってきてしまい封印しきれず、壺から脱出されてしまっている。
宇宙サバイバル編
アニメ版のドラゴンボール超でのみ再登場。今度は亀仙人が力の大会で使用。
大会前には「萬國驚天掌」と共に場外負けのルールに適した技として期待されていた。
第4宇宙の札術使いダーコリ相手に使用し封印した小瓶ごと場外に投げ出し勝利した。この際、体に相当の負担がかかっているのではないかとクリリンに予想されたが、当の本人は再開した修行の成果かダメージをあまり見せる様子はなかった。
そしてその後も格上の相手である第6宇宙のフロストに狙われた際に使用しているが、こちらはこれまで積み重なったダメージの影響か外してしまい、致命傷ではなかったもののダメージを見せていた。
また、更にフロストと鋼の肉体の持主で超重量級の選手でもあるマゲッタのコンビプレイに苦戦するベジータを救う為、その日三回目の魔封波でマゲッタの封印を試みるも、その間にわざと割って入ったフロストによって即席の『魔封波返し』をかけられ、力を奪われてしまいベジータを封印されてしまった。なおその直後、亀仙人が小型の操作型気弾で瓶を破壊したため、ベジータの封印は解かれている。
一日で三回もの発動という事もあって流石にクリリン達に死を懸念され本人も死を覚悟したが、フロストの『魔封波返し』によって中断されたためか、何とか生き延びている。
なお小瓶の使用については第4宇宙の破壊神キテラと第7宇宙の破壊神ビルスとの間でルール違反かどうかで論争が行われたが、全王の「面白いからセーフ」という意見により有効となった。
漫画版では未登場。
転生したらヤムチャだった件
公式外伝マンガ。ヤムチャに転生した主人公が使用。
説得に応じない同じく黒幕に転生した敵を封印する際に発動。
いつ習得したのかは不明だが、こちらのヤムチャは元は熱心ドラゴンボールファンであり、ピッコロ大魔王編以前からその存在を知っていたと思われる。
舞空闘劇 ピッコロIFストーリー
悟空に倒される前のピッコロ大魔王と同化するためにナメック星に向かいドラゴンボールで蘇ったピッコロ大魔王と同化。
その間に地球の魔人ブウは「善」から「悪」へと姿を変えていた。
自力で完全消滅させる力はないので、最終手段として魔封波を用いて魔人ブウを封印した。
その後、別次元からやって来たゴテンクスのせいで封印は解かれてしまうものの、ゴテンクスと協力して魔人ブウは消滅。ゴテンクスは元の次元へと帰っていった。
ドラゴンボールZ 覚醒編
2周目以降マジュニアを見た後に「そんなようなもんだ」「あいつはピッコロだ」との選択肢が現れ、「あいつはピッコロだ」を選択すると武道会会場の人目に着かない場所で天津飯が魔封波でマジュニアを封印して命を落とす。
この場合はバッドエンドとしてストーリーは終了となる。
ドラゴンボール改 サイヤ人来襲
天津飯が通常の敵に対して魔封波を使用。封印した敵を神の神殿へ持って行くと数によってご褒美が貰える。
使用者
原作
アニメ
特殊ケース
余談
何かが封印される際のパロディとして描かれることが多く、pixivでも作品が上がっている。
『リルトの誓い』では、ゼルダ姫の子孫であるカリンが魔封波とよく似た封印術を使う。両手を前に突き出すことで波動を放ち、対象を地の底(あるいは別世界)に封印することが出来る。ただし未成熟な肉体でこれを使用すると反動で神経が焼き切れ死亡してしまう。
作者は鳥山の意識しているのか、デッサンやポージングに影響が見られる。1巻のある場面では背景に孫悟空が描かれていた。
『1日外出録ハンチョウ』内のエピソードにて、大槻班長の脳内で辛味を異常に欲する激辛の邪神が復活した際、激辛ラーメンを食べて欲求を抑えた後に、邪神に対して魔封波を放ち、電子ジャーに封印した。…のだが、一方で現実の大槻は腹痛を起こした。
関連イラスト
関連タグ
魔法の筒:ジャンプ作品『ダイの大冒険』に登場するアイテムで、筒が空の状態で相手に向けた状態で『イルイル』と唱えれば相手の意思や合意に関係なく強制的に封じ込める『お手軽な魔封波』とも言えるアイテム。
リルトの誓い:鳥山明の影響を受けたと思われる作者による漫画。魔王を封印する術があり、未成熟な肉体で使用すると神経が焼き切れて死に至る。