概要
通称「職質」。
警察官職務執行法第二条により、警察官は挙動が不審な人物や、犯罪を犯そうとしていると疑うに足る十分な理由がある人物を停止させて質問をすることができる。
こうした質問は強制的なものではなく、任意であるのが建前で拒否することができる。
また、「質問」とあるが、判例において所持品の検査も限定的に認められている。
「停止させる」については、判例によって「肩に手を置く」「襟首をつかむ」「エンジンキーを抜く」など、拘束力の強い行為も容認された事例がある。
所持品検査についても、「持っているものを出してほしい」と求めるのが通例であるが、「バッグを開けて中身を見る」行為が適法とされた例もある。
ただ、あくまでも任意の協力を求めるのが建前であり、こうした所持品検査や停止させる行為が判例上適法とされたのも、当該職務質問の対象者が犯罪について強い疑いが生じていたケースであった点まで考慮して適法とされたのであり、「職務質問をするならいつでもやってよい」と言うわけではないことには注意しなければならない。
本来ならばこれらは裁判所の令状なくして行ってはならないものであり、必要性が認められなかったり、説得の域を超えた強制と判断された場合にはこれらは違法と判断され、その後に手に入れた証拠を裁判で証拠として使うことができず、犯人であると分かっていながら有罪にできないと言う結果につながってしまうので、注意しなければならない。
「犯罪者が素直に答えるわけないじゃん」と思うところであるが、実際のところ大抵の人間は平然と犯罪を遂行できるメンタルは持ち合わせていないので、事前、事後に職質を受けると、圧に耐えきれずゲロってしまうケースは多かったりする。
検挙の25%ほどが職質をきっかけとしていた年もある。
一方で警官の実績稼ぎとして過剰な職質が行われたケースがあるのも事実である。
抵抗を誘って公務執行妨害での逮捕を狙った事例や、不当な職務質問により証拠が無効とされ犯罪者を見逃さざるを得なかった事例があり、問題になっている。
職務質問を受けたら
職務質問は任意であると言うのは正しいが、さっさと終わらせたいならば一番得策な方法は大人しく従うことである。
法律上職務質問は任意であるが、断られたら諦めろという法律もなく、実際には「説得」の名目でかなりしつこく迫られることになる。
上述の通り接触を伴うような制止も認められる場合があり、無暗に抵抗すると警官に暴力を振るったり、公務執行妨害や暴行が成立してしまう可能性もある。
また、特に近隣で何かの犯罪が起きて警邏中の警察官が声をかけていたようなケースでは、職質から逃げようとするとその犯罪の犯人と疑われ、「準現行犯」として逮捕される可能性も出てくる。
拒否するには動かず騒がずただただ「断ります」と宣言し続けることになる。とても疲れるし、時間も浪費する。
自分が犯罪者だというわけでもないのに、そこまでして拒否すべき職務質問はそうあるものではない。
権利なので立ち去ることを止めるわけではないが、「任意だから」でごり押しするのはあまりお勧めできる方法ではない。要は大人しく職質に応じれば多くの場合、解放されるので素直に応じるのが吉であり、我々一般人だけでなく芸能人でさえ職質に応じており、遠藤憲一は自身の職質エピソードを語ったり、また声優山北早紀の場合、見た目が未成年と見なされたのか職質でその後、実年齢を明かし、職質した警察官をファンした前代未聞のエピソードがある。