オヤジ狩りの派生種。ただしこちらの場合公権力である警察やマスコミが行うこともある。
強盗や恐喝を目的とするオタク狩り
オタクは高価なグッズや商品を購入するために多額の金銭を所持しており、「確実に金を取れる」「オタクは暴力に弱い」と思われていることから加害者側としてはノーリスク・ハイリターンと考えられているらしい。そのためオヤジ狩りに代わって横行するようになってしまった。また加害者側は「汚れた存在であるオタクに制裁を加えている」という間違った正義感の下で襲撃するので違法行為に手を出しているという意識が欠け、警察に逮捕されても反省の態度を示さない者も多い。
他にもオタクをターゲットとした店で恐喝紛いの手法で来店者に商品を買わせた店もある。
自衛方法
- 服装をしっかりとする。相手からあいつはオタクだと思われないような格好をする。最も良いと思われるのがスーツ着用である。
- 人通りの少ない路地には入り込まない。人通りの少ない路地の中に目的地がある場合は可能な限り複数人(できれば3人以上)で行動する。
- 相手を怪我させない程度の護身術を身につける。
- 相手からオタクだと思われないように胸を張って堂々と行動する。
警察のオタク狩り
警察官がオタクと思われる人物に集中的に職務質問をかけること。仮に職務質問を受けても普通に堂々と答えれば何の問題もないので最初は恐れるかもしれないが(他のオタク狩りと比べれば)一番難易度の低いものである。
過去には警視庁本富士署が管轄区域外の地域にまで出向いてオタク狩り紛いの職務質問を展開していたことがある。これは2003年に東京都副知事に就任した竹花豊の意向で職務質問による検挙件数のノルマが増えたことが関係しているらしい。他にも前項で記した間違った正義感とノルマの増加が結びついてしまい、警察官によるオタク狩りが発生したのではないかとする意見もある。
自衛方法
- 前項と同じだが服装をしっかりとし、堂々と行動する。挙動不審、あるいは妙に萎縮したような行動は職務質問のターゲットになりやすい。
- 武器と見なされるものを持ち歩かない。オタクが趣味で特殊警棒を持ち歩いていたり、便利工具のつもりで十徳ナイフなどを持ち歩いている事も多いが、これこそ警察に逮捕の理由を与え、職務質問にも正当性を与えている。なお「路上強盗に対する自衛」と言う理由は「傷害目的」と見なされる為言ってはいけない。そもそも警察官の拳銃は当然として、警備員の警棒でさえ私的に持ち歩いたら違法なのだから。
ただし、このような「警察によるオタク狩り」や、それに類する警察の行為(例えば、アウトドア用の車を停車させ職務質問などを行ない、たまたま、車内にアウトドア用のナイフなどを置き忘れていたならば、銃刀法違反で逮捕する、など)は新人警官に対する「通過儀礼(ぶっちゃけ、カルト宗教で新入りの信者に洗脳の為の試練を与えたり、ブラック企業における理不尽な新人教育のようなもの)」の場合が有り、運悪く「狩られてしまった」側が「正当な理由・権限で、こんな事をやっているのか?」と抗議しても、あらかじめ論破されないような「マニュアル」が用意されているのが普通である。
なので、「警官によるオタク狩り」にあってしまった場合は、後日、弁護士などに相談して対応を考えた方が良い。
マスコミのオタク狩り
こちらはオタクバッシングと呼ばれることの方が一般的。過去にオタクが関係する(またはそう思われる)事件が起きるたびにマスコミが行っていたオタク叩きのことを言う。1989年に東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の時に展開された報道が代表的。
「べたっと油っぽい長めの髪に眼鏡をかけていて、開襟シャツに肩掛けカバン。すぐに文句をつけ、自分に権利ばかり主張する。宮崎のクローンみたいな連中ですよ」(サークル関係者)
出典:週刊文春 1989年8月31日号 「ロリコン5万人 戦慄の実態 あなたの娘は大丈夫か?」
現在のオタク族の中から第2の宮崎が出て来る可能性もじゅうぶんにあるということになる。
出典:週刊ポスト 1989年9月1日号「総力特集「宮崎勤」は我らに潜む」
美少年に走る「女宮崎」はキミのクラスにも1人いる!
出典:Themis 1989年9月6日号 見出し
など、宮崎勤と、他のオタクを同一視して叩く報道が、人気ニュース番組や大手誌にも多数見つかる。
これに対して、テレビリポーターが「十万人の宮崎勤がここにいる」とコミケを紹介したという話しが、当時のオタクたちの間で広まったが、似たような事を言ったテレビ報道は見つかっても、それと同じ言葉を使った報道が見つからないということで、「オタクバッシングなんて無かった!」という極論を主張する者たちもいる。こうした印象操作を、専門用語で偽旗作戦と呼ぶ。
ただし、「十万人の宮崎勤」報道に対しては、この話を広めた人物が、時期によって「地方紙に書かれていた」「全国ネットのTV番組で流れた」と言っている事が一定しておらず、自分が広めた話から変異・派生した根拠薄弱な噂の影響を逆に受けてしまっている可能性が有り、また、一時期、日本語版Wikipediaに「このレポーターが、この局のワイドショーで、はっきりと言った」と書かれていたが、実は宮崎勤事件が話題になっていた時期、当該レポーターは、そのTV局の番組には出演していたなかった事が後に判明して、その記述が削除されるなど、「マスコミの『正義の暴走』を批判していた者達が同じかそれ以上に酷い暴走をしでかしていた」とも言える一面が有ったのも事実である。
こうしたオタクバッシングの理由として、「オタク向けコンテンツが、マスコミ=広告代理店の利益にならなかったから」という、完全に事実を捻じ曲げた言説が飛び交っているが、宇宙戦艦ヤマトの歴史的ヒットから、ガンダムやマクロスまで、オタク市場は、立派な稼ぎ頭として存在した。特に宮崎勤事件の起きた八十年代は、ロリコン漫画やアニメの隆盛期であり、大手雑誌やテレビでも、人気にあやかった企画やコンテンツが多数制作されていた。にもかかわらず、「オタクコンテンツが金にならないから叩かれた」という奇説を広める者たちの目的には、「叩かれたくなければマスコミに金を払え」という脅迫の意図が見受けられる。
また、2000年代は雪解けの時代などと、おそらく当時のテレビ報道や番組を一切見たことがないか、見たのに、自分の都合により歪曲している者たちもいるが、その時代でも、テレビの人気司会者が「オタクってキモいよね~」と発言したり、ワイドショーネタになる事件があった場合、当事者とオタク趣味を結びつけるコメンテーターがいたり、オタクへの偏見や差別を助長しようと、度々テレビ局は計画した。
このようなオタクバッシングの目的は、むしろ、オタクコンテンツが金になるため、オタクたちを現実で孤立させ、特に女性から相手にされないように印象操作することで、自分たちのコンテンツに依存させようという目的から行われる。だが、そのようなネガティブキャンペーンの結果、テレビによるオタクコンテンツの規模は、縮小の一途を辿り、アニメ映画も、ジャンプ系しかヒットしない状態になっている。そのジャンプも、他の少年誌と同じように、部数の下落に拍車がかからない状態である。ソシャゲ市場は空前の規模に達しているが、これは、パチンコの市場規模と反比例する関係にあり、パチンコから客が移ってきただけである。それでも、2019年から、パチンコ市場から減った5兆円より、ソシャゲ全ての市場規模2兆円は、遥かに小さい。
……と、ここまでの記述を単なる被害妄想とかトラウマ・PTSD・パニック障害に近い過剰反応(あえて差別的な言い方をするならヒステリーや陰謀論)と見る向きも有るだろうが(オタク向けコンテンツに、それほど思い入れの無い人や、オタクでも若い世代の場合は)、オタク・パッシングを経験した世代の中には「実の家族から宮崎勤の同類扱いされた」などという酷い経験をしたケースもザラであるし、いわゆる「オタク第一世代」より更に前の世代(要は1980〜1990年代にオタクだった人達の更に親世代)の中には「ロリコン」と「萌え系」をゴッチャにしている人達も少なくない。
他の差別問題と同様にステレオタイプなイメージは、それが好意的なものであっても抱かれた側にとって傍迷惑極まりないものになりえる。まして、「オタクは危険人物」というステレオタイプなイメージが広がる事は、オタクにとっては身に危険が及びかねないのである。