ハートマン軍曹
ベトナム戦争を題材とした映画「フルメタル・ジャケット」に登場する架空の人物。
海兵隊に志願した新兵を8週間の訓練期間中に一人前の海兵隊員にシゴキあげる鬼教官である。
演じた俳優は実際に海兵隊の訓練教官を務めたこともあるロナルド・リー・アーメイ。
余談ながら、彼は本来演技指導の予定だったのだが、鬼気迫る罵声に急遽ハートマン軍曹役に抜擢されたという経緯がある。
(さらに余談だが、本来ハートマン軍曹を演じる予定だった役者は『いいぞベイべー!逃げる奴はベトコンだ!!逃げない奴はよく訓練されたベトコンだ!!』の機関銃手を演じているとか)
なお、この役のあまりのインパクトからか、リー・アーメイはこの後に海兵隊初の退役後昇進として演じた役通りの一等軍曹に昇進している(退役時は二等軍曹であった)。
ハートマン軍曹の魅力として、本人はおろか家族や出身地まで徹底的に相手をコキ下ろす罵詈雑言が挙げられるだろう。とてもここには書けないような卑猥で侮辱的な言葉を矢継ぎ早に新兵達に浴びせかけ、彼らの自尊心を粉々に砕く様は必見。
その強烈なインパクトから脇役ながら世界中に数多くのファンが存在する。
ちなみに、現在の海兵隊新兵教育ではこれよりも遥かに強烈な罵倒が浴びせられるとか。
(なお罵倒する理由は兵士としての教育を受ける上で余計なプライドを崩し、いわば価値観をリセットするためと言われている)
映画公開から20年以上経過した現在でも多くの作品でオマージュされ続けており、その人気に衰えは見られない。
映画「さまよう魂たち」のワンシーンでは彼と思わしき幽霊が登場。墓場の幽霊たちを相手に衰え知らずの罵声を浴びせていた。