ヨーロッパの北部からヨーロッパ各地に広がった諸部族の総称。世界史で登場する「ゲルマン人の大移動」でおなじみ。今の北欧から広がり欧州各地を荒し回ったノルマン人もゲルマンの一つである。
人種的には白人・コーカソイドに含まれる人々であるが、共通の民族としての意識は存在しなかったと考えられている。彼らはヨーロッパ各地に蛮族として侵入し、現地の民族と混血した。
このゲルマン人の系譜を引く民族はゲルマン系民族と言われ、現代ではイギリスのアングロサクソン族(イングランド人の主流)、ドイツ民族、スヴェーア族(スウェーデン人)などがこれに当たると言われているが、彼らはゲルマン系の言語を話しているという共通点を持つだけで、それぞれに歴史や文化は独自のものを持つ別の民族である。またその言語も互いに通じないほどに異なる。
ナチスドイツが提唱した「ゲルマン民族こそ選ばれし民族」「アーリア人=ゲルマン民族」という説(アーリアン学説)は後世のこじつけが多く根拠薄弱である。ちなみにアーリア人とは中央アジアからインドに侵入し、カーストの上位を占めるようになった民族の自称。アーリアン学説は純粋な白人を指す名称として、この名を転用したものである。