やなせたかし
やなせたかし
人物
高知県出身の漫画家、絵本作家、イラストレーター、詩人、歌手。
日本漫画家協会理事長、有限会社やなせスタジオ社長。季刊雑誌『詩とファンタジー』責任編集。
ミシェル・カマという筆名で作曲活動も行っている。聖公会のクリスチャンである。
代表的な作品としては『アンパンマン』シリーズ、『チリンの鈴』『やさしいライオン』など。また、有名な童謡『手のひらを太陽に』を作詞したのは彼である。
遅咲き漫画家
幼少期は父の死、弟の養子、母の再婚など、家族はバラバラの状態にあった。
中学の頃に絵に関心を持って大学は美術科に行き、卒業後は製薬会社の宣伝部に就職。
戦時中は中国戦線に出征。現地民向け啓蒙用のビラや紙芝居を作って各地を従軍。戦闘に関わらず終戦を迎えたが、厳しい飢餓に苦しみ、その後の自身の反戦感情や正義の意味に影響した。
新聞記者、デザイナーなど様々な職業を経て30代半ばで漫画家デビューしたが、デビュー後も長らく鳴かず飛ばずの時期が続き、デビュー後しばらくは舞台美術家や作詞者、テレビ司会者、放送作家としての仕事が多かった。この頃は絵は誰も知らないのに顔は誰でも知っている(テレビ出演しているから)という漫画家としては笑えない事態になっていたという。サンリオから本を出すことで詩人・絵本作家として徐々に売れるようになり、『アンパンマン』が人気作品となった時には既に50歳を過ぎていた。
サンリオの辻信太郎社長とは古い付き合い。生前の手塚治虫とは深い親交があり、年下の手塚を先輩として尊敬している。
不規則な生活がたたって早世する者も少なくない漫画業界にあって、規則正しい生活と十分な睡眠を取るなど体調管理には気を配っており、そのため90歳を過ぎてなお現役であり続ける体力を維持した。
訃報
2013夏に体調を崩し肝臓がんと診断されて入院していたが、同年10月13日午前3時8分、心不全のため都内の病院で死去。享年94歳。