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チリンの鈴

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ちりんのすず

やなせたかし原作・サンリオ製作によるアニメ作品。オオカミに母親を殺され、復讐のために憎い敵に弟子入りした末に、身も心も魔物になり果てたヒツジの子・チリンの悲劇を描く。

「地獄へ落ちてもかまわない・・・、命だって惜しくない・・・!

ウォー、僕はオオカミよりも強くなって、お前をやっつけてやる!!」

概要

1978年3月公開。配給は日本ヘラルド映画。絵本の他、DVDも発売されている。

愛らしいキャラクターデザインとは対照的に、暗く重々しいストーリーが展開される作品。

あらすじ

チリンの鈴で思い出す……優しいまつげを、微笑みを……

チリンの鈴で思い出す……この世の寂しさ、また悲しみ……

ある春の日。小さな牧場で一頭の子ヒツジが誕生した。

子ヒツジはその首につけられた鈴の音から、「チリン」と言う名をつけられた。

ヒツジ達は牧場で静かな、平和な生活を続けていたが、ある夜、牧場は血に飢えたオオカミのウォーに襲撃され、チリンの母もチリンを庇い、殺されてしまう。

生き残ったチリンは、復讐の念に燃えた。チリンは復讐のために牧場を出て、ウォーを探し当てる。そして弱いヒツジではなく、強いオオカミになりたい、弟子にしてくれと、ウォーに懇願した。羊の身ながらオオカミになりたいと言うチリンを、最初は歯牙にもかけず、相手にしなかったウォーだが、やがてチリンの強い決意を認め、彼に野生に生きる獣として厳しい自然を生き抜くための術を教え込む。復讐心を糧にして、つらく厳しい修行を耐え抜き、殺しの技を身につけたチリンは、徐々にヒツジともオオカミとも思えない(禍々しいアルパカのような姿。偶蹄目には見える程度に面影は残っている)魔獣の如き獣に変わってしまう。

そして三年後、チリンは弱いヒツジの姿を完全に捨て去った。牙はないが、研ぎ澄まされた角を持ち、その蹄は岩よりも硬く、そして何より死をも恐れぬ「野生」を身につけたのである。修行時代、チリンは隙を見ては何度もウォーを殺そうと襲撃した。しかしウォーは、その悉くをはねのけてみせた。ウォーを超える事は叶わないと悟ったチリン。そしていつしかチリンは、自分を鍛えてくれた師であるウォーに対し、憎しみと同時に、本当の父のように思い親愛の感情を持つようになっていく。こうなったら地獄の果てまで彼に付いていこうと、チリンは決意する。

・・・さらに時は流れ、ウォーの部下として成長したチリンは、ウォーと共に森を荒らしまわるようになる。悪魔のように凄まじい力を手にしたチリンとウォーのコンビは、このあたりで誰一人知らぬ者はいない、凶暴な猛獣として恐れられていった。

ある雨の日の夜、ウォーはチリンに、かつての生まれ故郷である牧場を襲撃し、ヒツジたちを皆殺しにするよう命じた。

自分が生まれ、かつての仲間たちが平和に暮らしている場所だが、チリンは言われるままに牧場を襲った。たった一匹で襲い来る番犬の群れを容赦なくなぎ倒し、怯え逃げ惑うヒツジたちの小屋に踏み込んだチリンの姿は、かつてのウォーと生き写しであった。

しかし、その場で、逃げ遅れた子をかばう母ヒツジの姿を、チリンは見た。その母子の姿が、あの日の夜の自分と母の姿と重なり、チリンは激しく動揺する。

けっきょくヒツジたちを殺すことができず、「僕にはできない」と小屋を飛び出したチリンの前に、ウォーが立ちはだかる。チリンに本当のヒツジの殺し方を教えてやると、ウォーは羊小屋に踏み込もうとする。

しかし、今度はチリンがウォーの前に立ちはだかり、その角を突き出した。

チリンは自らの目的を思い出し、「僕はヒツジだ」と叫びウォーに突進する。

チリンとウォーの死闘が始まった―。

「復讐」という行為が導く結末とは、果たして―――――――・・・・・・。

登場キャラクター

チリン

幼少期

青年期

物語の主人公。春の牧場で生まれた、男の子の子ヒツジ。白いふわふわとした毛並みと、首に付けてある金色の鈴が特徴。やんちゃ者だが、心優しい性格。

牧場で母や仲間たちと平和に暮らしていたチリンだが、ある秋の終わりのころ、オオカミのウォーが「狩り」のために、チリンたちの住む牧場を襲撃した。それによりチリンの母は、幼いチリンを庇ってウォーの牙にかかり、殺されてしまう。最愛の母を殺されたことにより、彼の運命は大きく変わり始めていく・・・。

ウォー

チリンの師匠である、黒い毛をした大きなオオカミ(画面右)。岩山の奥深くで暮らし、ヒツジたちに恐れられている。チリンの母を殺し、彼の運命を変えた張本人。熊と一騎打ちで勝ち、自分以上の体格の獲物でも仕留めるほどの腕っぷしを持つ。チリンに強くなるための修行だけでなく、弱肉強食である野生の世界の理や、その世界で生き抜く為の「オオカミの生き方」の術を、彼に教える。

キャスト

アニメーションスタッフ

関連項目

やさしいライオン……チリンの鈴と同じく異種間の親子を描いた作品。「父と子」を描いた本作に対し「母と子」の関係を描いており、ある意味では対極にある作品である。

善児……本作におけるウォーの役割。伊東祐親や梶原景時、そして北条義時に仕えてきた下人。

これまで命ぜられるがままに多くの人物を殺めてきており、かつて自身が梶原景時の名を受けて源範頼を暗殺した際、口封じに村娘・トウの両親を殺したのち、その様子を目撃したトウも殺そうとするが、トウに鎌の刃を向けられてからは彼女を引き取り、後継者として養育する。やがて、源頼家の襲撃の日、頼家の反撃を食らって苦痛にうずくまっているところをトウに殺害されるが、その表情は苦悶に満ちていながらも、トウの積年の恨みや己の因果を受け入れているかのようでもあった。

トウ…本作におけるチリンの役割。両親を善児に殺されてからは善児に引き取られ、殺し屋としての技術を教え込まれる。

頼家襲撃の日の夜、頼家暗殺が終わった後、重傷を負ってうずくまる善児を殺害し、仇討ちを成功させるが、親の敵でもあり、かつ自身を育ててくれた師匠でもあった人物を殺したことで複雑な胸中を顔に浮かべており…

その後は北条義時に仕え続け、承久の乱終了後、つまり義時にとって消すべき政敵がいなくなってからは、戦災孤児に武術を教えるなど、本作のチリンとは真逆の状況である。

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  • 黒いライオン

    どうも、いちおかです。 今回の小説は、やなせたかしの名作「やさしいライオン」の もしもを描いたものになっています。 「チリンの鈴」のあのキャラクターをねじ込んだものになっていますから、 少々ショッキングな部分もありますので、ご注意ください。

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