黒蜥蜴
くろとかげ
江戸川乱歩の小説。三島由紀夫による同作の戯曲化。両作に登場する女賊の通称。
小説
江戸川乱歩が大衆誌「日の出」に昭和9年(1934年)1月号から12月号まで連載した長編小説。左腕に黒い蜥蜴の刺青のある美貌の女賊「黒蜥蜴」と名探偵明智小五郎が、「恐ろしくトリッキイでアクロバティックな(乱歩)」対決を繰り広げる物語。対立する両者が互いに惹かれあっていくというロマンティックな展開から、乱歩の通俗長編の中でも人気の高い作品である。
戯曲
三島由紀夫が「婦人画報」昭和36年(1961年)12月号に発表した、乱歩の同名作の戯曲化。大筋は原作と同じだが、舞台や脇役の設定が変えられている他、「会話は三島式警句の連続(乱歩)」となり、黒蜥蜴と明智の精神的同質性が強調されている。翌昭和37年(1962年)にサンケイホールで初演され、黒蜥蜴役に水谷八重子(初代)、明智役に芥川比呂志。近年では美輪明宏の主演・演出する舞台が有名。
主な派生作品
数多く映画・ドラマ化された他、漫画化に高階良子『黒とかげ』等。