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艦これ改

かんこれかい

『艦これ改』とは、角川ゲームスより2016年2月18日に発売されたプレイステーション・ヴィータ用艦隊育成シミュレーションゲーム。『艦隊これくしょん改』ではなく、略称の『艦これ改』が正式名称である。2017年1月、販売終了。
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概要

キャッチコピーは「いつでも、いつまでも」

ブラウザゲーム版『艦隊これくしょん』の要素は概ねそのままに、ウォー・シミュレーションの要素を加えた内容である。

艦娘や装備の開発、入渠遠征等の実時間の概念を導入した要素は古典的なシミュレーションゲームで導入されているターン制(ゲーム中では日数として表示)に変更されており、戦場となる各海域はヘックス(六角形のマス)で区切られ、艦隊はこのヘックス間を移動して深海棲艦と戦い、戦線を広げていく事になる。


艦娘を始め、ブラウザ版の要素も数多く取り入れられているものの、相違点も数多く、「別物」と言っても良い内容となっている。

(批判的な部分を含めて)具体的な相違点を列記してみると、


  • 作戦海域が北米西海岸からパナマ運河周辺まで拡大。
  • ゲームの難易度を選択できる(初期で3段階。最大で5段階)
  • 艦隊を最大で8艦隊運用できる。
  • 艦種が一部変更され、「高速戦艦」が追加された。該当する金剛型などの出撃可能海域が拡大し、使い勝手が向上している(なお、通常の戦艦にタービンなどの高速化装備を追加しても、「高速戦艦」扱いにはならない)
  • キラ付けとレベリングは、出撃よりも演習(特に対抗演習)のほうが効率的っぽい。
  • 艦娘のボイスなどは基本、ブラウザ版と同一(流用)だが、ターン制の導入により、時間経過に関する一部の演出(時報など)が省略されている。夜も“リアル夜戦”のみ
  • 季節や特定期日ごとの演出や特殊ボイスもほとんどない。2月14日にチョコをもらえたりはするが、ボイス、メッセージはなし……
  • 秘書艦をタッチすると、“ハートマーク”の色で好感度がわかる。好感度が高いと戦果などに好影響があるともいう(「回避」が向上するらしいが、ちょっと見えにくい)。セクハラ関連のボイスも、やや頻度が少ない?
  • 入渠はドックのある海域でないと不可能。上手く艦隊のローテーションを組んで、ドックに戻さないと(あるいは進めないと)、いろいろと苦労する。
  • 一方で、工作艦の“泊地修理”の特殊スキルはそのまま。明石さん株急上昇。ちなみに、明石は特定の任務をクリアすると確実にゲットできる。
  • 艦娘のドロップ率がかなり低め。頭数をそろえるには積極的に建造を回さなければならない。一方、「イベント限定」の縛りがなく、熱意と運が味方すれば(ほぼ)全ての艦娘が建造、ドロップ、報酬で入手可能である。(後述)
  • 資源の“自然回復”がなく、支配海域を広げて、積極的に「獲りに行く」必要がある。獲得した資源の輸送とその護衛(シーレーン防衛)も大きな要素となる(後述)
  • 母港では艦娘のイラストLive2Dによるアニメーションが取り入れられ、若干ながら表情の変化や仕草なども見られるようになった(ただし、いわゆる“中破絵”は基本“止め絵”となる)
  • 一方で、深海棲艦側の演出はかなり簡略化されている(後述)
  • 資源や戦略ポイント(後述)の獲得に制限がある上に、深海棲艦側からの通商破壊や反攻作戦(後述)も加わるので、効率的な戦略が求められるようになる。
  • 当たり前だが、課金はない。ブラウザ版の「有料」に当たるアイテムを購入するには「戦略ポイント」を使用する(要はゲーム内マネー)。戦略ポイントは海域突破や任務消化で得られるが、後半になるほど入手が難しくなる。もちろん「米帝プレイ」も不可。ご利用は計画的に
  • 当然ながら、とは無縁。これは文句なしにありがたい(もっとも、たまに原因不明のフリーズが発生する。バグを潰しきれていないという話も……)。ただし、件の“妖怪猫吊るし”は、本来の“チュートリアル娘”として登場する。
  • プロダクトコードやダウンロードコンテンツは一切なく、アップデートパッチの適用以外ではオンライン環境は必要ない。

総じて、良くも悪くも“萌え要素”が控えめになった一方、ウォー・シミュレーションの性格が強められた内容となっている。

その一方、「ユニットのキャラクター性が強い」、「出会ったキャラを仲間に加え、レベリングと装備、アイテムで鍛え、強化していく」、「本拠に近づくほど、敵が強力になっていく(普通のウォー・シミュレーションでは、大勢が決すると敵がだんだんショボくなる)」などRPG的な要素も大きく、最も近いジャンルを挙げるならば、コーエーの『大航海時代』や『太閤立志伝』に代表される「リコエイションゲーム」あたりだろう。


詳細については各項参照。なお、本項ではブラウザ版と同一の要素についての解説は省略する。


新規ゲーム開始時について

ゲーム新規開始時に丁(最も易しい)・丙(易しい)・乙(普通)の3種の作戦難易度を選択(乙クリア後はより難しい「甲」を、甲クリア後は最も難しい「史」が選択可能)し、続いてプレイヤーの初期の秘書艦も兼ねた初期艦CLASSICスタータ改スタータの中から選択してゲーム開始となる。


CLASSICスタータ

ブラウザ版の初期艦5隻に3隻の駆逐艦を加えたスタータ。

吹雪 叢雲   五月雨 睦月 時雨 大潮


改スタータ

3隻の川内型軽巡洋艦で構成されたスタータ。

川内 神通 那珂


なお、システムそのものがブラウザ版から変わっている為、本作から初めてプレイする提督は「丁」から、ブラウザ版を経験している提督も「丙」からスタートするのが望ましいとされる。


出撃

本作の海域はヘックスで区切られており、1つの海域には4つの作戦海域が存在。

艦隊が隣接しているヘックス間のみ移動可能で、海域間の移動には1日(1ターン)を要する。目標の海域への移動完了後は行動済みとなり、ターンを終了させる事でその海域への出撃ができるようになり、ブラウザ版でおなじみのすごろくのマスのようなマップに切り替わる。


演習

本作の演習は「艦隊演習」「対抗演習」の2つがある。「艦隊演習」は単独の艦隊で実施できる小規模な演習で、火力や雷装、回避などの各種ステータスをアップさせる事が可能。「対抗演習」は、同じ海域エリアに隣接している自軍の艦隊同士で行うブラウザ版と同じく実戦に即した演習で、演習終了後には経験値を獲得できる。

ちなみに本作はインターネット環境に接続しないスタンドアローンの為、他のプレイヤーの艦隊と演習を行う事はできない。


戦闘

戦闘指揮

戦闘の流れはブラウザゲーム版とほぼ同じだが、『艦これ改』では艦隊への様々な指示が可能な「戦闘指揮」を導入している。

索敵が完了した後に、各種コマンドを戦闘指揮ボックス枠内に入力して、戦闘開始となる。戦闘指揮ボックスは初期状態では3枠までだが、練度を積む事で最大5枠まで増える。

コマンドは、基本の「接近」「砲撃」「雷撃」「離脱」「対潜攻撃」「回避」「航空攻撃」「突撃」と、艦娘の練度と電探の装備によって選択可能となる「統射(統制射撃)」の計9種類。攻撃対象を指定できない点はブラウザ版と同じだが、敵味方の編成に応じて「砲撃」や「航空攻撃」の組み合わせを変えて最大限の効果を狙ったり、優勢な敵に対して、例えば敵の航空攻撃や雷撃に対して「回避」や「離脱」を選択して、「勝利しつつ離脱」といった芸当も可能となった(「キス島」などではかなり有効な突破法となる)

また、『艦これ改』では「戦力ゲージ」制がなく、どの海域でもボスに勝利すれば「攻略完了」となる。


アニメーション

戦闘シーンには「疑似3D」的なアニメーションが採り入れられており、ブラウザ版とはかなり印象が異なっている。前述の戦闘指揮で「接近」「突撃」「統射」などを選択した場合は、艦隊の陣形、行動を俯瞰した画面に切り替わる。

弾着観測射撃やカットイン攻撃にも、『艦これ改』独自の演出が用意されている。


難点

上手く使えば有効な戦闘指揮だが、ブラウザ版に慣れた提督からは、アニメーションの追加も相まって「余計な手間と時間が増えた」という声もあった(ただし、必要最低限の情報のみを表示して時間を短縮するショートカット機能もある)

「対潜」や「開幕雷撃」が自動でセットされないため、潜水艦相手にうっかり「砲撃」や「雷撃」の選択のまま戦闘に突入して、一方的にボコられるといった事態もしばしば。

売りであるアニメーションも、基本は二次元絵であり、艦娘の立ち絵(ポーズ)によっては、下イラストのようにちょっとシュールな光景が見られたりも。

艦これ改 向こう見ず艦娘大進撃の図

敵に向かって、全速後進?


加えて、深海棲艦側の演出はかなり省略・簡略化されており、鬼・姫クラスでもボイスはおろか、メッセージすら出ない。アニメーションも簡素で、あたかも書割(かきわり)や射的の的のごとく、“一枚絵”のまま轟沈していく、こちらもシュールな絵面となる。

カットイン攻撃時のアニメーションなどは、なかなかの迫力なのだが……

それでも僕は買います。


反攻作戦

深海棲艦が反攻作戦の準備を開始すると、ターンの経過後に海域のヘックスの色が黄⇒オレンジ⇒赤の順で変色、ヘックスが赤になった海域は進攻の準備が整った事になり、敵が進軍する前に「出撃」するか「遠征」で艦隊を派遣する必要がある。


出撃や遠征を繰り返すと色が薄く戻っていく(通称「漂白」)が、阻止に失敗した場合は海域エリアが一層赤く「深紅」となり、敵の反攻作戦が開始される。迎撃には同海域に展開している自軍の艦隊であたり、敵の侵攻部隊を叩かなければならない。

通常海域と異なり、この迎撃戦では連合艦隊を編成して敵を迎撃が可能。ただし、ブラウザ版の「連合艦隊」とは異なり、「前衛艦隊」と「決戦主力艦隊」の2艦隊の切り替え制となる。ブラウザ版と同様にあらかじめ支援艦隊を派遣して援護させる事も可能なので、最大で合計4艦隊で迎撃に当たる。(なので、戦力さえ充実していれば、迎撃はさほど困難でもない)

迎撃戦に敗北、敵が侵攻した海域に出撃可能な自軍の艦隊が1隻もいない場合は制海権を失い、その海域は深海棲艦に制圧されてしまう。また、最終的に本拠地(鎮守府海域)の防衛に失敗すると鎮守府は壊滅し、ゲームオーバーとなる。


輸送船団・海上護衛艦隊

ある意味で本作最大の特色。

『艦これ改』の基本的な戦略(プレイスタイル)は、資源の豊富な南方・西方の海域をまず開放・制圧し、資源と戦力が充実したところで、敵本拠であるハワイ、北米西海岸を目指すという……、まあ、ぶっちゃけ『提督の決断』である

ただし、占領した地域から、ほぼ無条件で資源・収入が得られる『提督の決断』などの一般的な戦略型ウォー・シミュレーションと異なり、『艦これ改』では、輸送船団の配備とその護衛という重要なワンステップが必要となる。


開放した海域に輸送船団を派遣・配備すれば、ひとまずは毎ターン終了ごとに資源を入手できる(他に、各週、各月ごとにボーナス収入があり、ブラウザ版と同様、任務の達成や遠征でも資源は獲得できるが、「自然回復」はない)。

しかしながら、一定ターンを経過すると敵深海棲艦も輸送船団を襲撃して通商破壊を行ってくるので、手持ちの艦娘の中から最大6隻分の海上護衛艦隊を編成して、各輸送船団を護衛する必要がある。護衛艦隊に配備できる艦船は、基本“対潜”能力のある艦に限られ、さらに旗艦は軽巡洋艦以上の艦種が条件となるため、開放した海域が広がるほど、護衛艦の手当ても一苦労となってくる、

護衛艦隊のいない輸送船団が襲撃されると、為す術なく壊滅してしまう。補充する輸送船の建造は艦娘と同様に工廠にて行うが、輸送船は艦娘ではなく、通常の船舶であり、建造の際には各種資源の他、戦略ポイントも必要となるため、被害が相次ぐとじわじわとダメージが蓄積してくる。


前述の「反攻作戦」は敵海域に隣接している海域でしか発生しないが、通商破壊戦は(輸送船団を配備している)あらゆる海域で発生しうる(ある意味、もっとも深海棲艦らしい戦術とも言える)。

被害の抑制はできても、攻撃の予測・抑止は不可能なため、いらだつ提督(プレイヤー)も少なくないが、一方で常にゲームに緊張感を与え、ウォー・シミュレーションにありがちな“中だるみ”の防止ともなっている。


このシステムを生かせば、これまでスペック的に実装が難しかった小型護衛艦艇(丁型駆逐艦海防艦護衛空母など)の実装も可能に思えたが、結局、販売終了まで追加の実装はなかった。

一方で、ブラウザ版には2017年春イベントで、海防艦、護衛空母(商船改造小型空母)が実装される。

『改』の護衛艦隊にこそ欲しい艦種だったのだが……


ゲームクリアに関して

明確な“ゲームクリア”(またはゲームオーバー)が設定されている点も、本作の大きな特色である。

『艦これ改』では敵本拠である「深海中枢海域」を制圧する事でゲームクリア(勝利)となる。逆に、プレイヤー側の本拠地「鎮守府海域」を制圧されたり、一定期間を過ぎても敵本拠を制圧できなかった時(後述)は、ゲームオーバー(敗北)となる。

ブラウザ版やアーケード版では、プレイヤーが“引退”しない限りは戦い(ゲーム)は果てしなく続くが、「暁の水平線に勝利を刻み」、「いつかと願った静かな海」を取り戻せるのは、(2022年現在では)『艦これ改』だけとなっている。


エンディング

クリア後にはエンディングロールが始まるが、これも『艦これ改』ならではである。

主な戦績・戦歴と評価が表示された後、共に戦った主力の艦娘達(高レベル艦)から提督へのねぎらいのメッセージが送られる。各提督の“戦史”に即した「世界で一つだけのエンディング」という、心憎い演出となっている。

その後、一部の艦娘(クリア報酬艦を含む)と装備、提督レベル・家具・図鑑のみを引き継いでゲームを最初からやり直せる(いわゆる周回プレイ)。


余談だが、明確な“ゴール”が設定されているため、プレイスタイルもブラウザ版などとは少々変わってくる。

“掘り”にも走らず、家具も揃えず(床に段ボール箱のまま)、ひたすらストイックに(あるいは“ウォーマシーン”的に)、勝利に向かって突き進む、といった「早解き」プレイも可能となっている(艦隊「これくしょん」の遊び方としてどうなのかという論点は別にして)



登場艦娘・深海棲艦

本作には、ブラウザ版で2015年秋季イベント突入!海上輸送作戦』までに実装されていた艦娘と、初の連合国側の艦娘となるアメリカ海軍アイオワ級戦艦1番艦・「アイオワ」が実装されている。

「図鑑」はブラウザ版を踏襲しつつも新規に用意された。項目はNo.260まで用意されているが、実際にはNo.251のアイオワまでしか埋まらない。

(一説には、2016年冬季イベントで実装のザラなどが、追加実装される予定だったとも伝えられているが)


キャッチコピーの「いつでも、いつまでも」通り、「季節限定イベント」の概念が存在しないため、プレイヤーのペースで「掘り」を進められ、熱意と根気と運次第で、ほぼ全ての艦娘を入手できる。(オートセーブ機能がない点を活用(悪用?)した「リセマラ」技も使える)

鹿島のように本家(ブラウザ版)で入手不可となっている艦娘も入手可。本家ではイベント中に入手できず、多くの提督が泣いた武蔵グラーフ・ツェッペリンなどの激レア艦も「クリア報酬」として用意され、(高難度での複数回の周回クリアが必要だが)確実に入手できるようになっている。

初風など、ドロップ海域が複数用意されて、ブラウザ版よりいくらか入手が容易となっている艦娘も少なくない(秋月が20隻も着任した」提督もいたとか)。

一方でZ3のように、本家で建造可なのに、『改』ではドロップ限定という例もあるが。


ある意味、本家でも当初掲げられていた(が、諸般の事情でままならなくなっている)、「入手機会が一度切りの艦娘は作らない」の理想を、異なる形で具体化したゲームとも言える。

(あるいは、当初は「半年も続けば上等」と考えられていた本家のサービス終了後の「アーカイブ」としての役目も担っていたのかもしれないが、現実は……)


オリジナル艦娘

前述の通り、『艦これ改』オリジナル艦娘、および初のアメリ艦娘として、高速戦艦「アイオワ」が、ブラウザゲーム版に先駆けて実装された。『艦これ改』リリース当時の大きな話題であり、現在のPixiv上でも、キーワード『艦これ改』で検索・ヒットするイラストの大半がアイオワである点からも、当時の人気と盛り上がりが窺える。

センシティブな作品

ただし、アイオワは後のイベントでブラウザ版にも登場したので、本作オリジナルの要素ではなくなった。

(余談だが、アイオワのブラウザ版への後追い実装は、『艦これ改』リリース当時に既に運営側からリークされてしまっており、せっかくの新ゲームデビューに水を差したと批判を浴びた)

その後のアップデートで鹿島と、その入手任務(難易度「甲」以上)が追加実装されたものの、『艦これ改』オリジナル艦娘の追加は販売終了まで実現しなかった。


もっとも、アイオワ、鹿島とも、現在(2018年夏)ブラウザ版では入手不可、もしくはイベント限定の状態が続いており、これから確実にゲットするのであれば、今なお『改』が唯一の手段ではある。


批判されている点

大きな問題点として、一周目で手に入れた全ての艦娘および装備が引き継げるわけではなく、引き継ぎ可能な艦は最低だと20隻、最高でも88隻のみとなっており、引き継がなかった艦娘や装備は完全にロストする事になる

特に最低難度の“丁”では、艦隊開放などに必要な“鍵艦”を優先すると、プレイヤーが自由に選択できる艦娘はたったの4,5隻しかない。

そのため引き継ぎたいと思っている艦娘についてはよく考えなければならない。


さらに、クリア後には強制的にエンディングに入ってしまうので、引き継ぎに備えた作業は、最終海域への出撃前に全て済ませておく必要がある

したがって、最終ステージの“クリア報酬艦”以外の、道中でドロップした艦については、強制的に放棄を強いられる(図鑑には記録されるが)

加えて、装備に関しては「ロック技」が使えないため、残しておきたい装備を艦娘に積んでおいたり、不要な装備を廃棄・整理しておく必要があり、かなり面倒な作業となる。


一方で一周目では艦娘の保有上限が最大でも200隻であり(クリア後の引継ぎデータでようやく300まで拡張)、図鑑を埋めるには最低でも一度はゲームクリアする必要がある。

さらに初見ではわかりにくいが日数(ターン数)に制限が存在し、その間にゲームクリアをしなければ強制ゲームオーバーになってしまう。通常プレイの上で問題になる程の期間ではないとは言え、延々と「掘り」に勤しむわけにもいかなくなっている。

この“ゲームクリアの強制と一部の艦の引き継ぎ上限”については「キャラの切り捨てを強要されている」という批判も少なくない。

「これでは『艦隊これくしょん』ではなく、『艦隊せれくしょん』だ」との嘆きも……


さよなら艦これ改

他に、(攻略本などには紹介されていたにもかかわらず)No.244245がどうしても埋まらないとの話もあった。(上掲のイラストは「入手不可」とされていた時期にアップされたもの)

販売終了から半年以上も過ぎた頃になって、ようやくとあるプレイヤーから「最高難度の最終海域3面・S勝利でのドロップ」が報告されたものの、極めて攻略の難しい条件で、新たな「ツチノコ」が生まれてしまった。


深海棲艦

センシティブな作品

深海棲艦側では、新型深海棲艦「運河棲姫」「中枢棲姫」が登場。しかし、前述のように深海棲艦側の演出が簡素なため、オリジナルのメッセージやボイスは用意されなかった。

中枢棲姫はのちにブラウザ版にも登場して声もついたが、運河棲姫は2017年冬時点でもブラウザ版未登場で“無声”のままとなっている。

一方で、2016年冬イベント登場の集積地棲姫などは登場しない。


評価

度重なる発売日延期と厳しい前評判

本作の存在が公となったのはブラウザゲーム版のサービスが開始された2013年頃であり、それから約1年後の2014年11月に第一弾トレーラーが公開、発売時期も2015年の春頃になると発表された。


しかし、2015年5月→2015年8月27日→2015年11月26日→2016年2月18日と発売日は二転三転し、公式サイトやゲーム雑誌でもなかなか情報が開示されず、ゲームシーンの映像さえ出てこない状況からファンはかねてより不安視していたが、2016年1月18日の報道でソフトの開発が完了したとの報告が運営Twitterにて成された。


だがそれも束の間、同年1月28日に公式サイトで公開されたゲーム画面のチープさが指摘され、ファンの間で「一昔前のフラッシュゲームのよう」「パワーポイントで作ったよう」などと揶揄されたり、さらに発売前後にはバグの存在(※)が発覚した事もあって一時はファンの間で大きな物議を呼ぶ事となった。


※致命的なバグについては発売後に追加パッチで修正されている。が、一部の装備(探照灯など)の効果が発揮されないなどの細かい不具合は、最後まで修正されなかった。


気まぐれゲームレポート 12 「ゲームソフト発売延期の原因」艦これ改!

折悪しく、『艦これ改』発売の約1年前に放送されていたアニメ版の不評などから運営への不信感が高まっていた時期でもあり、発売前の評判はかなりの荒れ模様となった。


発売後

しかし、蓋を開けてみればシミュレーションゲームとしての体裁は整っており、キャラゲーとしても納得の行く出来という事で、おおむね多少の不満点はあったとしても遊ぶ上では特に問題のないゲームとの評価に落ち着いた(上述のキャラの引き継ぎ制限についてもゲーム性を損なわせるほどのものとは言えない)。

発売後2週間で約16万本(パッケージ版のみ)が出荷されており、売り上げ面で見れば必ずしも「失敗作」とは言えない評価を出している。ちなみに、ファミ通の集計・発表によれば、2016年の売り上げは17万2千本。ゲームソフト全体では年間33位だったが、PSVita用としては4位と、機種別ではTOP5に食い込んでいる。

Android版のリリース前は「ブラウザ版ができない間の手軽な暇つぶし」としても認知されていた。

「(表向きは)18歳未満は登録・プレイ不可」の本家と異なり、『艦これ改』は年齢制限がなく、未成年でもプレイできるメリットもあった。(中学生の提督もいたと伝えられる)


ただし、肝心のゲーム自体の評価・評判としては、敵が手強くなっている、というよりも史実に準じて組み込まれた「反攻作戦」や「海上護衛戦」などのイベントを始め、独自の追加機能や仕様が、プレイヤーにとっては「煩雑なもの」とマイナスの評価をされがち(特にブラウザ版に慣れ親しんだユーザーからは)。

他にも原作や後に稼働を開始したアーケード版と比較すると全体的に難易度が上昇しているなど、頭を使う大人向けな面が強くなっている。

高難易度ではルート固定に非常に高い索敵値が要求されるなど、ゲームバランスがおかしいとの感想も数多い(本家では開発不可の紫雲が開発可能など、救済策も一応は用意されてはいるのだが)。

「余計な手間をかける追加要素より、手抜きにしか見えないグラフィックや音声に力を入れてほしかった」といった声も少なくはなく、アマゾンのレビューでも多くの不満点が挙げられている。

そうしたことから、「延々待たされた挙句、いざ遊んでみたら演出などは酷くチープな割に余計なところに手が込んでいた」としてクソゲーとまではいかないもののガッカリゲー扱いされることもある。


販売終了

2016年12月15日、公式サイト上で2017年1月をもってパッケージ版、DL版ともに販売を終了するとのアナウンスがなされた(再ダウンロードは販売終了後も可能)。

リリースから約1年足らずでの販売終了、しかも普通はパッケージ版の出荷停止後も継続販売されるダウンロード版まで販売停止との唐突なニュースに、上述の「悪評」で静観していた向きからは「やっぱりか……」、やり込んでいた現役ユーザーからは「なぜだ!?」の怒り、戸惑いの声が上がり、また一時期、空気は荒れ模様となった。

販売終了と同時に、角川ゲームスの公式ホームページも早々に閉鎖。販売終了後もホームページはしばらく閲覧可能な例が多い中で、やはり異例の幕引きだった。

販売終了の理由を推測する向きもあったが、公式には「諸般の事情」としか明らかにされなかった。


ちなみに「1年未満」という実売期間は、2015年5月から2016年2月までの延期期間よりも微妙にであるが短いものだった。しかしファンからは実際の発売予定ではなくトレーラーが公開された時期(2014年)から計算し、延期期間を2年近くだと認識されている(上記リンクでもそう計算されている)。

現在ではパッケージ版を中古で購入するしか入手手段はなく、平均で2000円台の価格がついている。


残念ながら、短命に終わってしまった一方、前述の「販売終了半年後のドロップ報告」にも代表されるとおり、今なお根強いファンがついているゲームでもある。


しかし、後日発売された書籍『艦これスタイル』にて、艦これの歴史の中に艦これ改の文字は無かったため、公式で黒歴史扱いされてしまったようだ。


ただ、週刊ファミ通の艦これ10周年記念特集内の年表では「2016年2月18日『艦これ改』発売」と記されている。


余談

艦これ一言劇場 : 霞17【艦これ】改

なお、発売する前から本作をクソゲーオブザイヤー(KOTY)”の最有力候補に挙げようとするアンチの動きも目立っており、バグ発見当初はネットニュースにもなったが、こちらも発売からしばらくして「普通に遊べる」レベルの出来であることが明らかになると、そんな声も次第に消えていった(発売直後にはスレに選評を上げる者もいたが、それもスレ民による検証の段階で“候補作には成り得ない”と判断された)。


※KOTYも初期は、いわゆる”ガッカリゲー”がノミネートされることもあったが、2007年の「『四八(仮)』ショック」以降、基準が厳しくなっており、“ゲームとして破綻を来たしている作品”でもなければまず候補にならない。


外部リンク

前述のとおり公式サイトは閉鎖されており、現在は無関係なゲームサイトとなっているので公式サイトを確認したい場合はWayback Machineを使用してください。


2016年12月29日の公式サイトのアーカイブ(若干表示が崩れています)

https://web.archive.org/web/20161229141757/http://kancolle-vita.com/index.php



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艦隊これくしょん 艦これ派生作品 黒歴史


プレイステーション・ヴィータ シミュレーションゲーム

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