もしかしなくても・・・空の魔王→ハンス・ウルリッヒ・ルーデル
神話・宗教等の『魔王』
元は仏教用語で、仏道修行や善事をしようとする心を妨げる他化自在天の眷族を統べる王のこと。後述のマーラを指す言葉である。転じて、その他の宗教において仏教の魔王と類似した位置付けの存在に対して魔王という訳語が用いられるようになった。詳細は以下の通り。
主な魔王の一覧
ユダヤ教
※キリスト教やイスラム教へも影響しているものを含む。
キリスト教
イスラム教
ゾロアスター教
バビロニア神話
仏教
インド神話
創作作品における『魔王』
上記のように宗教・神話関係の訳語として頻繁に用いられることから、創作作品でも「魔王」の語は多く用いられるようになった。悪魔という悪の具現化を束ねる存在のため、主にファンタジーRPG作品等でラスボスや中ボスを務めることが多い(作品によっては「悪の天才科学者」がこのポジションで、魔法と科学は決して相容れない関係ではないのが分かる)。近年はRPG以外でもこの言葉を目にする機会が増えている。同一作品に「大魔王」も存在する場合、その部下という場合も多い。「大魔王」の項目も参照のこと。
主な魔王の登場作品、及び『魔王』と称されるキャラ
- みどりの魔王(漫画1965年~):横山光輝のロボット漫画。主役ロボが「魔王」と呼ばれ、主人公のワタル少年が、頭に着けた「金の環」で魔王をコントロールする。
- 魔王ダンテ(漫画1971年~):永井豪の作による漫画。
- 指輪物語(小説1954年、翻訳版1972年):「Witch-king」が「魔王」と翻訳されている。どちらかと言うと、同作に登場する「冥王(Dark Lord)サウロン」の方が現在の魔王のイメージに近い。
- チャージマン研!(アニメ1974年):地球を侵略してきた宇宙人であるジュラル星人を統率している長。ジュラル星人の一人ではあるが他のジュラル星人とは容姿が明らかに違う。『ジュラルの魔王』や『魔王様』ともよばれる。
- ガミガミ魔王:『ポポロクロイス物語』(漫画1978年~、ゲーム1992年~)の盗賊。自称「世界征服を企む悪の魔王」。
- ソーサリー(ゲームブック1983年/1985年~):マンパン砦に潜む。諸王の冠を強奪した。
- ドラゴンクエスト(ゲーム1986年~):RPGでも特に多くの魔王が登場(バラモス・ムドーなど)。通称「魔王系」。『ドラゴンクエストモンスターズ』シリーズでは『????系』として、魔王もしくはこれに該当するモンスターが登場している。
- 女神転生シリーズ(小説1986年、ゲーム1987年~):種族の1つとして登場する。
- 魔狩人-DEMONHUNTER-(漫画1986年~、OVA 1989年)の魔王:殺戮対象が魔界を抜けた魔物であり、且つ攻撃魔法をほとんど持たない5人の魔王。そのかわり一対の刃物を武器とする。形態はRAVEのそれに近いが、本作の魔界には政治行為自体が感じられない。「その時代、その地域、最強の悪魔」が魔王ということらしく、魔王を敬愛する者はいない。作中で登場した魔王は六道夜摩、那落迦、ヤミー、ガープ、カオス。
- ランスシリーズ(ゲーム1989年~):魔人勢力の盟主。通常魔人は絶対に勝てない。→魔王(ランスシリーズ)
- ドロンコ魔王:アニメ『アンパンマン』の劇場版『キラキラ星の涙』(1989年)に登場。性格は正統派魔王といえる。
- スレイヤーズ(小説1990年~):この作品世界では魔族と神族が世界の覇権を掛けて争っており、魔族の王を魔王、すなわち固有名詞では『赤眼の魔王(ルビーアイ)』シャブラニグドゥと呼ぶ。さらにスレイヤーズの舞台になる世界以外にもいくつかの世界があり、それぞれに魔族とその王である魔王が存在する。それらの名は『闇を撒く者(ダークスター)』デュグラディグドゥ。『蒼穹の王(カオティックブルー)』、『白霧(デスフォッグ)』が確認されている。
- LIVE A LIVE(ゲーム1994年):中世編における打倒すべき敵…ではなく勇者オルステッドが人間に絶望した存在。→魔王オディオ
- 魔術士オーフェン(小説1994年~):2部時代終了後のオーフェンがこう呼ばれるようになる。単純な魔術士としての技量の高さもあるが、キエサルヒマ大陸全土を巻き込む悲惨な内戦の扇動者とみなされていることや、原大陸において最高権力者として開拓民から暴虐と圧政の象徴と見られていることからこう呼ばれる。もっと前の「無謀編」時代にも、邪教崇拝部(学校のクラブ活動)から魔王扱いされかけている。
- クロノトリガー(ゲーム1995年):中世でラヴォス復活を目論んでいた人物。→魔王(クロノトリガー)
- RAVE(漫画1999年~):魔界の王。魔界には複数の国家が存在し、RAVEでの魔王は魔界全体を統治する者ではなく、各国の君主の事を指す。魔王の中でも特に強力な4人は『四天魔王』と呼ばれている。実は『大魔王』の地位も存在しているが、長年空白となっている……。
- サモンナイト(ゲーム2000年~):1にて無色の派閥によって召喚の儀式が行われた。魔王ルートはいわゆるバッドエンドなのだが、本来は死ぬはずの人たちが生き残ったり主人公をもとの世界に返したりするため、一部のファンからはツンデレ扱いを受けている。
- ボクと魔王(ゲーム2001年):『スタン』という名前の登場キャラがこれに当たる。諸事情から魔王としての威厳は皆無。
- 空目恭一:ライトノベル『Missing』(小説2001-2005年)の登場人物。魔王陛下と称されている。
- ナイトウィザード(TRPG 2002年~):侵魔の王。やたらいっぱいいる。萌えキャラっぽいのもいる。
- 魔界戦記ディスガイアシリーズ(ゲーム2003年~)および派生の日本一ソフトウェアのシミュレーションRPG。主人公含め多くのキャラクターが魔王であったり敵をなぎ倒して魔王となる。魔王は一人ではなくご近所感覚の別次元の魔界が存在してそれぞれ魔王が存在する。基本的に力こそ正義、悪行こそ積むべき徳の世界観なので傍若無人・唯我独尊で適当な性格をしている。
- VIPRPG(ゲーム2005年頃~):姿はRPGツクール2000のRTP素材。詳細は→魔王(VIPRPG)
- ニーア(ゲーム2010年):本作のラスボス。その正体とそこへ至る経緯から哀しき悪役とも言われている。詳しくは魔王(NieR)にて。
- 魔王(小説)(小説2005年):伊坂幸太郎の小説。
- 魔王 JUVENILE REMIX(漫画2007-2009年):上記を原作とした大須賀めぐみの漫画。
- 魔王エンジェル:『アイドルマスター』(ゲーム2007年~)に登場するユニット。楽曲等のセンスが由来。
- 魔王物語物語(ゲーム2007年):カタテマ氏制作のフリーソフト。作中の本『魔王物語』で言及されている。
- 勇者のくせになまいきだ(ゲーム2007年~):魔王が主人公であり、破壊神(プレイヤー)の力を借りて勇者を倒そうと企む。
- 魔王(テレビドラマ)(ドラマ2007年/2008年):韓国で放送されたテレビドラマ。それをリメイクした日本のTBSで放送されたテレビドラマ。
- まおゆう魔王勇者(小説2009年~):豊富な知識を持った女魔王。長く続く人間と魔族の戦いの根本的原因に気づいており、その改善のために勇者に協力を求め、二人で新たな世界と時代に向け歩み出す。→魔王(まおゆう)
- 日本国召喚 番外編『辺境の魔王』にて魔王ノスグーラが登場、自衛隊&トーパ王国軍と交戦する
- 真奥貞夫:ライトノベル『はたらく魔王さま!』(小説2011年~)の主人公。別世界で世界征服を志していたが、勇者に追われて現代日本に流れ着き、もう完全に庶民に染まってしまっている。
- 神崎蘭子:『アイドルマスターシンデレラガールズ』の二つ名のひとつ、「覚醒魔王」。『グランブルーファンタジー』にも登場した。
- 魔王(プリキュア):『映画スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!』(アニメ2012年)の魔王。
- 魔王ルシ子:『オトカドール』に登場するキャラクター。
- 魔王ムウス、魔王リヴィエール、魔王アズール、魔王サッカーラ、魔王ナナワライ:『オレカバトル』に登場するキャラクター。
- マオ:『えんどろ〜!』(アニメ2019年)に登場するキャラクター。元々テンプレな魔王だったがとある原因で時間遡行してからは冒険者学校で教鞭を振るっているロリ。人間社会の常識を理解しており、敬語もマスターしている。
- オーマジオウ:『仮面ライダージオウ』(ドラマ2018年~)に登場するキャラクター。主人公で、仮面ライダージオウに変身する常磐ソウゴの未来の姿であるとされている。
- 勇者と魔王:pixivのオリジナルイラスト群、及び関連するイラストに付けられるタグ。
- 魔王(転スラ):『転生したらスライムだった件』(小説2013年~)に登場するキャラクター達。8人おり、(元は10人)新星リムル=テンペスト。迷宮妖精ラミリス。破壊の暴君ミリム・ナーヴァ。暗黒皇帝ギィ・クリムゾン。夜魔の女王ルミナス・バレンタイン。白金の剣王・白金の悪魔レオン・クロムウェル。眠る支配者ディーノ。大地の怒りダグリュール。というメンバーになっている。
魔王の歴史的変遷
まず最初にある魔王は「宗教的敵対者としての魔王」である。これはキリスト教における「悪魔」の一種が代表であるが、災害や堕落の象徴とされる。この時点では「神の敵対者である悪魔の中でも力を持っている者」程度の定義しかなく、ある種「概念的」である。
次いでフィクションの中に現れるのは「物質的実体を持った魔王」である。ドラゴンクエストのりゅうおうを思い浮かべてもらえばわかりやすい。勧善懲悪のシナリオにおける「敵」であり、「悪」として魔物の軍勢という現実的脅威を率いて人間を侵略する立ち位置にある魔王である。
そして、近年のフィクションで頻繁に見られるのが「政治家としての魔王」である。これは前述の「軍勢を率いて人間を侵略する魔王」からの発展形であり、「軍隊があるなら国家もあるのでは?」「国家があるなら経済もあるのでは?」「経済があるなら教育、ひいては何かしらの思想があるのでは?」という考え方から生まれた比較的新しい魔王像である。このような世界観の下では、「魔物(or魔族)」は「人間とは異なる姿・思想を持つ異民族」とされることが多く、魔王も「魔物を取りまとめる統治者」としての側面が強調されやすい。「絶対正義の人間vs絶対悪の魔王」の構図を打ち崩し、「異なる正義vs異なる正義」という物語構造を作りやすい。
このように一口に「魔王」と言っても、意外とその姿に対するイメージは歴史と共に移り変わっている。このように様々な側面を見せることができるキャラクターとしての魅力も、魔王を冠したキャラクターが多数創造され続ける理由の一つだろうか。
関連イラスト
この他にもさまざまな『魔王』が作られている。
伝統的な作品における『魔王』
ゲーテ原作の歌曲における『魔王』
そのまま『魔王』(原題『Erlkönig』)と題した詩を書いている。後にシューベルトが曲をつけた。『風の様に馬を駆り、翔りゆく者』と称され、文中に登場する人間の親子を付け狙う。ネット上ではこの詩(の日本語訳)を改変したジョークをしばしば目にすることができる。
トールキンの作品における『魔王』
『指輪物語』に登場する「アングマールの魔王」。冥王サウロンの配下であり、ラスボスではない。「魔王」は「Witch-king」の訳であり、字義的には”魔術の王”または”魔法の王”である。正確に言えば「黒魔術で堕落した邪悪な王」であり、上記に多い「魔界の支配者」としての魔王とは少し異なる。
実在の人物における『魔王』
武将・織田信長の肩書「第六天魔王」が有名。戦前の思想家北一輝が「片目の魔王」と呼ばれていた。『平治物語』で讃岐に流罪された崇徳上皇は、自ら「大魔縁」になってこの国を呪うと宣言。
海外での扱い
魔王は元が仏教用語であり、英語などには該当する用語が無いので、海外では様々な単語に対応する。
- Archenemy(大敵)
- Dark Load(暗黒卿、悪神)
- Demon King(最もメジャーな訳(私見))
- Devil King
- Four Demon Gods(四天魔王:RAVE)
- King of Demons
- Load Dark
- Magus(魔術師:クロノ・トリガー)
- The Devil
- Witch-king(魔法使いである王:指輪物語)