そうだ 火星のオールズモビルの基地を叩く!
第13実験戦団としてではなく
本来の第13独立機動艦隊として!
概要
当初は「ボッシュ」という名前だけが判明しておりフルネームは不明だったが、機動戦士ガンダムF90FFにてボッシュ・ウェラーと定められた(サイバーコミックス版のボッシュ大尉とSDクラブ版のウェラー大佐を合わせたと推測される)。
元はカラバのメンバーで、第二次ネオ・ジオン抗争(当時は少尉)ではジェガン(ジムⅢと言っているシーンも)に搭乗し、アムロ等と共に奮戦。
アクシズ落としにおいては、第13独立機動艦隊「ロンド・ベル」の隊員として彼もまたνガンダムと共に押し返す活躍を見せている。
この事は一つの自慢となっており、部下のシド・アンバーにも何度か聴かせているレベルのことだった(シドはシドで『お!大尉、自慢のあれですかい?』と何度だってノリよく聴いてくれる)。
以下ネタバレ注意
「お前らのような
解らんだろうがな」
「ネオジオン第2の反乱の時 俺は見た!
ジェガンのコクピットで
そして思った いつかこのガンダムの力を
手に入れてやろうと!」
「これがガンダム!悪魔の力よ!!」
表面上はMS談義もノリよく聴いたり語ったり、教え子たちの面倒を率先して担う等の人柄の良い人物であるが、一方でかなり屈折した内面を抱えている。
彼は第二次ネオ・ジオンとの戦いに参加した際、コクピット越しにνガンダムから放たれたサイコフレームの光「サイコ・フィールド」を目撃する。
後に「アクシズショック」と命名されたこの現象を目の当たりにしたボッシュは、理屈を無視した強大な力を生み出すガンダムという大きな存在に一種の信仰心を抱くようになってしまう。
漫画「機動戦士ガンダムF90」
「ガンダム」への思いをこじらせ続けた彼は、いつの頃かジオン残党軍であるオールズモビル軍こと火星独立ジオン軍と内通し、ガンダム奪取の計画を企てる。
火星に向かう途中の第13艦隊に機動爆雷を当てるように仕向け、タイムスケジュールを狂わせることで補給艦との接触や地球圏への帰還を難しくした。
作戦は成功し「F90の2号機」を奪取したボッシュは、自身が悪魔とまで称した大いなる力を名実共に手に入れ、最終的には半ば私物化している。
第13艦隊が火星に辿り着いたことで、オールズモビルの施設内部にて改修した2号機に搭乗、デフ・スタリオンが駆る1号機と交戦する。
戦闘時にデフがF90の動作に違和感を感じた事でF90に積み込まれた「疑似人格コンピュータ」の正体を「A.R」と「C.A」について明かす。
この際に【ガンダムに搭載されている疑似人格コンピュータのパワーによるもの=ガンダムの持つ圧倒的なパワー】とも語っており、彼の望むものはまさにこれ以上ない形で手に入ったと言えるだろう。
アムロの言うところの人の心の光を目撃した彼が、ガンダムの宿敵であるジオンに手を貸し、挙句に悪魔となるとは、なんとも皮肉である。
もっともガンダムはジオンから白い悪魔とあだ名され恐れられていたから正しい見方とも言える。
しかし『ガンダム』の力を信奉し過ぎたため、自身の部下であったデフの成長には気づけなかったようで、機体の性能を越えた彼の実力に不意を衝かれて敗北、戦死した。
事実、死ぬ直前まで「落ちろ! ガンダム」と発言しているため、彼が見えていた相手はデフではなくガンダム……かつての戦友を模倣する「A.R」だったのだろう。
大人になれなかった子供、いわゆる小者悪役であるが、一方で強大な力に憧れて手段を問わなくなるという、ある意味人間らしい感情を持っていることから、ガンダムF90 火星独立ジオン軍仕様という個性的ながらマイナーな搭乗機体と共にカルト的な人気を誇っていた。
ゲーム「SDガンダムGジェネレーション」シリーズではFにて漫画「ガンダムF90」のシナリオが追加された際にラストバトルが映像化、スピリッツでは撃墜時の台詞として「俺のガンダムが、負ける!?」とガンダムと言う悪魔の力を手に入れたにもかかわらずもう1つのガンダムに負けたことを認められずに敗北するなど、ファンだけでなくGジェネレーション開発陣も同様の印象を抱いていることが分かる。
「アムロさん…お供をさせてください
そうでなければカラバからあなたについてきた
甲斐というものがありません!」
アムロ「もういい!みんな離れろ!!」
「アムロ大尉!!」
アムロ「ガンダムの、力は…!」
「あれが…ガンダム!!」
突然の再評価
2022年1月に発売されたガンダムエース内の「F90FF」最新話において「彼がカラバからロンド・ベルに至るまでアムロについてきた部下であった」という新設定が生まれたことで、「アムロと共に戦った自慢でジェガンだけでなくジムⅢとも言っていたのはなぜか、『人の心の光』が起こした奇跡を間近で目撃した彼が、なぜジオンと手を組んでまでガンダムを手に入れるという野心に取り憑かれたのか、そこまで執着するガンダムを『悪魔の力』と呼ぶのはなぜか」という原作であった疑問点・釈然としなかった点が30年の時を経て一気に解消されたばかりか、それまでの情けない敵役という単純な評価では語り切れない存在となり、ガンダムファンは衝撃を受けることになった。
もっともガンダムとアムロはジオン側から連邦の白い悪魔という異名で呼ばれていたため、単に白い悪魔と同じ力を手に入れて喜んでいるという解釈もできる。しかしこの異名の初出はF90の7年後に発売されたギレンの野望であるため、当時の作者がアムロを意識した表現として設定したとは考え難い。
更に新事実としてかつてはジオン軍に所属していたことが判明した。
UC0116年にはフォン・ブラウン教導団に所属している。
関連イラスト
※3枚目がボッシュ大尉のイラスト
関連項目
機動戦士ガンダムF90 ガンダムF90(火星独立ジオン軍仕様)
- デフ・スタリオン:部下にして宿敵。部下として目をかけつつもボッシュは最後まで「ガンダム」しか見ておらず、デフ本人を見ることはなかったが、空想の産物である可能性の獣「ユニコーン」ではなく、現実の馬「スタリオン」の名字を持つ彼によって、ボッシュの怨念は討たれることになる。
- アムロ・レイ:かつての上官。グリプス戦役から第二次ネオジオン抗争までどんな苦境だろうと戦友としてボッシュはお供してみせたが、アクシズ・ショックからアムロが帰還することは無かった。
- ブライト・ノア:当時のロンド・ベル隊の司令官。実は年齢がボッシュとほぼ一緒。
- ジョブ・ジョン(F90):ある意味、ボッシュと同じくアムロとガンダムに憑りつかれた、かつてのWBクルー。F90FFでは協力関係にある事が確定し、悪い意味で意気投合している。
- カムナ・タチバナ:一時的な復帰ではあったが、ロンド・ベル隊として共に第二次ネオジオン抗争でアクシズ落とし阻止に加わっている。
- ユウ・カジマ:同じく第二次ネオ・ジオン抗争でアクシズ落とし阻止に参加し、またアクシズ押し戻しに手を貸したりアクシズ・ショックを目撃している。なお、彼はその光を見てかつての一年戦争のある戦いで関わったある少女を思い出した。
- イアゴ・ハーカナ(NT):漫画版『機動戦士ガンダムNT』では彼もまた第二次ネオ・ジオン抗争でアクシズ落とし阻止に参加。彼もまたアクシズ・ショックを目の当たりにしており、それに対してボッシュとは真逆の感想を抱いた人物。
- リベラ・アマルガム:第二次ネオ・ジオン抗争でアクシズ・ショックを目の当たりにしたジェガンのパイロットの1人。ユウやイアゴの様に良い影響を与えたり、ボッシュの様に思想が歪むと言ったケースがある中、彼はあまりに強大なサイコフレームの光を見て、『恐怖』と言う感想を抱いた。
- カール・シュビッツ:アナハイムエレクトロニクス社のテストパイロットを務めるベテランのMS乗りであり、かつて第二次ネオジオン抗争当時に新生ネオ・ジオン側のMSパイロットを務めていた古参兵。過去をあまり話したがらない等ボッシュとは対照的な面が多い。漫画『F90FF』では、第二次ネオ・ジオン抗争でのアクシズ落とし阻止に参加している姿も描かれている。
- フル・フロンタル:説明不要。
- ミノル・スズキ:地球でアクシズ・ショックを目の当たりにしたことを切っ掛けに、地球連邦軍に入隊した人物。奇しくも彼もF90のパイロットを務めることになったが、遥か木星圏の一国のコロニーレーザー発射阻止にわずか7人と7機のMSのみで赴く絶望的な戦力差の作戦を成功させ最年長のパイロットと旧式機のタッグながらも無事生還を遂げた。
- バズ・ガレムソン:機動戦士ガンダムF90と同時期(機動戦士ガンダムF91の前後に当たる時期)のアナハイム・エレクトロニクス側の対応を描いたシルエットフォーミュラ91において、ボッシュと近い立ち位置(主人公の上官で後に敵対、最終的に主人公に討たれる、ラスボスとしては小物と評される)にあるキャラクター。ただし気さくで情に厚く、敵対しても教え子の命はできるだけ救おうとしたボッシュに対し、バズは気前はいいが非情で、敵対したり使えないと判断したものは容赦なく切り捨て、自らの独断専行や軍紀違反は上層部に都合のいい成果と引き換えに不問にさせるなど、性格や軍の腐敗に対する考え方は完全に正反対である。2022年4月、ガンダムエース掲載の機動戦士ガンダムF90FFのラストに登場するが、今後、ボッシュの評価を一変させたような新設定がみられるかどうかはまだ不明である。
- シャルル・ロウチェスター、カナタ・サワメ:教導団での部下であり、共に火星生まれで火星独立ジオン軍での部下でもある。ニュータイプとしてジオンの怨念返しではなく未来を考える任を与えられている。
- グレーデン:機動新世紀ガンダムX〜UNDER THE MOONLIGHT〜に登場するテロ組織「宇宙の眼」の首魁。かつての第8次宇宙戦争時において宇宙革命軍に属していたが、D.O.M.E.を巡る戦いでサテライトキャノンがぶつかりあった光を見て、ニュータイプという力に魅せられている。
- 刹那・F・セイエイ:『機動戦士ガンダム00』の主人公。古谷徹と同一人物が演じた人物が乗るガンダムの放つ光に魅せられ、自身もガンダムになろうとしたもの繋がり。ただしこちらはボッシュとは逆にガンダムに「神」を見出した事、憧れた存在の本性がアムロとは逆に醜悪だった事、そしてある意味ガンダムの力を手にした時点で満足したボッシュとは逆にガンダムを超えるために切磋琢磨していった事などが異なり、そのためボッシュと違い道を踏み外さなかった。
- アマクサ:ボッシュの死から16年後に作られた1年戦争時代のアムロの戦闘データを再現したバイオ脳を載せたF9シリーズの遠い子孫。皮肉にもF90の1号機と似たアプローチを取っているが、そのバイオ脳を以て圧倒的な性能を発揮するその在り方はまさに「悪魔の力」と言うべきものであり、そしてアムロをただの戦闘マシンとして徹底的に利用し尽くすという恐ろしい代物でもあった。自身の何もかもを粉微塵に粉砕するであろうこのシステムと出会わずに散ったことは、ある意味ボッシュにとって最大の救いだったのかもしれない……。