概要
写植記号BA-90とは、例の顔みたいな記号のことである。
メイン画像を見てもらったほうが早い。
写研(写真植字機の日本最大手メーカー)の独自記号で、1960年代に作られたものと考えられる。
1980~90年代にかけて雑誌や漫画などでよく使われた。決まった意味は特になく、単にふざけた印象をつけるために使用されていた。
正式名称は「Full Moon With Face」で、元々は占星術の記号とされるが、その記号とBA-90のデザインは表情が著しく異なっている。Unicode 6.0では文字コードが割り当てられているが、実際にその記号を実装しているフォントは多くはない。
正式名はほとんど知られておらず、顔記号などと通称される。
印刷・表示する方法
この記号を印字できるのは写研の写植機だけである。写研はパソコン向けのフォント公開を一切拒否し続けてきたため、パソコン用のフォントは存在しない。したがって、どうしてもこの記号を使いたかったら手書きするしかない。最近は出版社でもDTP化が進んだため、プロでも気軽に使えない記号となってしまった。
…というのが長年の常識だったのだが、実はイワタの「イワタアンチック体B」にBA-90が収録されている。
CLIP STUDIO PAINTを使っている人はこのフォントのライセンスを持っているはずなので、IMEパッド(Windows)や文字ビューア(Mac OS X)でイワタアンチック体を選択してUnicode U+E5BBを探してみよう。
さらに無料の「GLアンチックPlus」や「にしき的フォント」にも収録されたため、いつの間にか誰でも無料で使えるようになった。
別名・表記ゆれ
ラムちゃん - 母国語(というか母星語)を話すと吹き出しの中が記号だらけになる演出が使われ、その中にこの記号が頻繁に含まれていた。
ぽげムた - 1980年代後半頃から90年代初頭にかけて、エンターブレインのゲーム雑誌「ログイン」で「ぽげムたビゲなみょ〜ん!!」という意味不明な文字列の後ろに様々な記号が並べられるという演出が多用されていたが、その中に決まってこの記号の上に1本毛を生やしたものが含まれていたため、通称ぽげムたマークと呼ばれるようになった。由来は読者がふざけて送ったハガキに書かれていたもので、編集側が気に入って多用するようになったとのことだが、この記号と組み合わせたのは当時の編集者の思いつきである。