「大切な物を平気ですげかえられるようなヤツの世界なんて、ロクでもねえからだよ!!」
CV:浅沼晋太郎
プロフィール
人物
狡噛慎也が監視官の頃に部下だった執行官。物語開始時点で故人。
一見陽気だがかなり暴力的な性格で、執行中に女性に襲いかかった潜在犯を死ぬ寸前まで暴行したり、潜在犯を怒らせて犯罪係数を上げて射殺したりなどがしょっちゅうだった。また、かなりのスケベで唐之杜志恩や六合塚弥生に痴漢をして逆に彼女達にお仕置きを食らっていた。
だが刑事としての能力は非常に高く、シビュラシステムが成立する前から刑事を続けていた征陸智己が一目を置くほどである。
そんな性格の彼の趣味は意外にもカメラで、その腕前は桐野瞳子が佐々山が撮った自分の写真を見て「かわいい…」と思わず呟くほど。
消せない過去と妹への思い
小説版では彼の境遇が描かれている。父親と妹との3人暮らしで、父親は稼いだ金を薬につぎ込む薬物中毒者であり、佐々山と妹はそんな父から虐待を受け育っていた(虐待が止められなかった理由は、シビュラはあくまで社会構築システムなので家庭の問題には干渉しないため)。そのためか妹のマリとの絆は深く、佐々山が車を買った時は2人でドライブデートをしていた。またこの時にマリにねだられカメラを買っており、この頃からカメラを始めている。
ある時佐々山はマリの写真を撮る時の表情から父親から性的虐待を受けている事に気付く。マリは熱のこもった視線で佐々山を見つめ、彼に触れられる事を求めていた。その時佐々山は自分の中に父親と同じ劣情を抱えていることに気付く。そんな自分が許せず、佐々山はある日マリの部屋に忍んで行く父親を殴り、肉団子の様になった父親を引きずって公安局に行って潜在犯として捕らえられ、執行官となった。
妹のマリに対しては「一線を越えない自信は無かった」「彼女の事をこの世の何よりも愛おしく思っていた」と肉親以上の愛情を持っていると思われる描写があった。また執行官を続けていたのも、単純に楽しんでいた以外に「どこかで妹を守ることに繋がってると思ったからだ」と妹に対する思いもあった。だが「標本事件」の1ヶ月前にマリは自殺してしまい、遺書には「さみしい」と残されていた。そのため佐々山は「標本事件」の捜査が始まった頃には自暴自棄になっており明らかな命令違反を繰り返していた。
『刑事』としての最期
狡噛とは順調なコンビとは言い難く、一定の緊張感を持ちながらの関係だった。だが狡噛は刑事として佐々山を尊敬しており、佐々山が刑事を辞めるとなった時には頭を下げて彼に「俺はまだ、お前から学ぶべきことがあるんだ」と説得していた。また佐々山自身もマリが死んだ事で無気力になっていたが、狡噛の言葉を受けて刑事を続ける事を決意した。
だが3年前の後に「標本事件」と呼ばれる広域指定事件の捜査中に、瞳子が事件の犯人である藤間幸三郎に捕まっていることを突き止め、扇島の警備という命令を無視して単独で瞳子の救出に向かう。そこで槙島聖護を発見し、彼の後を追って藤間の元へたどり着いた(佐々山は槙島が裏で事件の手引きをしていることにも気付いていた。そして佐々山が残した情報が狡噛と槙島の因縁を生むことになる)。そして瞳子を救出しようとした際に藤間にボールペンで刺されて重傷を負い、さらに瞳子を救出した後藤間が投げた手榴弾から瞳子を庇って瀕死の状態になってしまう。そして泣きじゃくる瞳子に狡噛を呼びに行くよう促して彼女を逃がし、佐々山は自分の『新しいお姫様』を探すためその場から去ろうとする藤間に『呪い』と称した言葉を投げかけ、『呪い』という言葉に反応した藤間に引きずられて行った。
その後プラスティネーションされた標本となって狡噛に発見される(また検死の結果、生きたまま解体されたことが判明した)。
このことが起因となり、監視官だった狡噛は、佐々山が死んだことで犯罪係数を上昇させてしまい、セラピーよりも捜査続行を優先して降格され、執行官となっている。
狡噛の刑事像に大きく影響を与えた人物で、彼の死を契機に狡噛はタバコを吸い始め、自身の体も鍛え始めた。「気に入らなければ俺を撃て」という狡噛のセリフは、かつて佐々山が狡噛に言った言葉である。
彼が残した『刑事魂』は狡噛に受け継がれ、そして狡噛から常守朱へと脈々と受け継がれている。