概要
地蔵とは、もともと『地蔵十論経』のなかに「よく善根を生ずることは、大地の徳の如し」とあるように大地の徳そのものを呼ぶ語だったものが、バラモン教の大地の神(または豊作の女神)プリティヴィーの信仰とあいまって擬人化し「地蔵菩薩」という仏教の修行者として誕生した。
「釈尊入滅から弥勒菩薩来迎の56億7千万年のあいだ、一切の衆生を救い続ける」という使命を負った菩薩様で、豪華絢爛な衣装を纏うことの多い菩薩の中で、珍しく坊主頭に衣と持物のみのシンプルな姿で一貫している。持物は錫杖と宝珠が基本。
十界(迷いの六道と悟りの四界)のあらゆるところに赴いて人々を救いに出ることから、またの名を無辺身菩薩(むへんしんぼさつ)とも称される。この辺りについては「六地蔵」というかたちで表わされることが多い。この時には持物がさまざまに変化する。
江戸時代以降、道端に祀られるようになったもの。祀られている場所は事故や行き倒れ等の不幸があった場所が多く、死者を供養したり行路安全を願うためである。このため身近で見られることが多く、「お地蔵様」の愛称で親しまれている。
また“子供の守護者”しても信仰され、観世音菩薩と並んで水子(みずこ/流産・堕胎によって死んだ胎児)の供養の主催者としても崇められている。
地獄に赴いて救済を行うとも言われ、中国では十王信仰と結びつき、閻魔大王と同一視された。
「地蔵」の名を冠するキャラクターがいるため、仏教の地蔵のイラストを探す場合は「地蔵菩薩」で検索するか、仏教関連タグといっしょに検索するのが望ましい。
御利益
五穀豊穣、身体健護、病気平癒、救財、水子供養、安産、子授け、子供守護、先祖供養……等々
観世音菩薩と並んで数多くの御力を発揮する菩薩様である。
御真言
オン カカカ ビサンマエイ ソワカ