『アラビアンナイト』とは
概要
『アラビアンナイト』とは、アラビア語でまとめられた説話物語集である。日本では『千夜一夜物語』とも呼ばれている。原題は『 ألف ليلة و ليلة (アルフ ライラティン ワ ライラトゥン)』。意味は「千の夜と一つの夜」。
説話は、冒険商人たちをモデルにした架空の人物から、アッバース朝のカリフであるハールーン・アッ=ラシードや、その妃のズバイダのような実在の人物までが登場し、多彩な物語を繰り広げる。説話は様々な地域に起源をもち、中世のイスラム世界が生き生きと描き出されている。
物語
妻の不貞を見て女性不信となったシャフリヤール王は、毎晩一人の処女を連れて来るよう命じ、処女と寝ては翌朝になると殺すようになった。三年もすると都から若い娘は姿を消してしまったが、それでも王は処女を連れて来るよう命じた。
そんな王の命令に苦悩する大臣には2人の娘がいた。姉娘のシャハラザード(シェヘラザードとも)は、父である大臣に「自分に王の伽役をさせてほしい」と願い出る。王と床入りが済んだシャハラザードは物語を語り始めた。話が佳境に入った所で「続きはまた明日」とシャハラザードが打ち切ったため、王は次の話が聞きたくてシャハラザードを殺すことを思いとどまる。
やがてそれが千夜続いたあと、シャハラザードが自分と王の間に生まれた子供を見せると、王は喜び、シャハラザードを正妻として迎えた。
それぞれの説話はシャハラザードが語ったものとして紹介されていく。時に、説話の登場人物がさらに説話を語り、そのまた登場人物が……と多重の枠組みになることもある。