概要
制作はゴッドイーターシリーズを手掛けたシフト(原案)と、ディンプス、SCEジャパンスタジオの三社による協議で行われた。
特色
「“奪還”マルチプレイアクション」と銘打たれた本作は、従来のハンティングアクションゲームと異なり、必ずしも敵を討伐することが目的ではなく、「目標の奪還」に主眼が置かれいる。
都道府県から所属するパノプティコンを選び、所属プレイヤーの貢献度合いで都市国家間の序列を決める他、他のパノプティコンへ侵攻して順位を引きずり下ろすなどのプレイも可能。
ストーリー
資源が枯渇し荒廃した未来の世界――PT紀元10万2013年。
外界で生きることが困難となった人類は、各地に牢国(ろうごく)都市「パノプティコン」を建造し、生き残っていた。資源の枯渇した世界で生き延びるため、パノプティコンではあらゆるものを資源・財産として徹底的に管理、幸福の最大化を標榜した強固な監視社会が築かれ、あらゆる人間が懲役によって管理されていた。
パノプティコン間で苛烈な資源争奪戦が繰り広げられる中、一人の咎人が「変革」の予兆を静かにその身に秘める。
人間が生きる罪、懲役100万年。
用語
咎人(とがびと)
懲役100万年を科せられた、ごくありふれた重犯罪者。
この世界では資源を食い潰すだけの存在は罪とされる。主に「ボランティア」と呼ばれる戦闘行為に従事し、資源獲得や敵性勢力の迎撃など危険な環境に晒される、PTの資源確保担当。ワイヤー状の特殊兵装「荊」を持ち、銃火器や近接兵器を駆使して、自身が所属するPTへの貢献を義務付けられている。
PT内での生活は保障されているものの、あらゆる権利が認められておらず、独房内での私語、歩行、横臥すらも禁止され、違反した者には罰として懲役が加算される。咎人を主人公としたこのゲームの序盤では何気ない操作にも懲役を食らうため、プレイヤーは笑うしかない。
市民(シヴィリアン)
PTの維持と発展を支える高度な技能を持った技術者。存在そのものに価値がある人的資源で、もちろん懲役なんて科されていない。とはいえ属するPTの風土によっては過酷な労働を強いられることもあるようで、PT間ではその能力を巡っての奪い合いも頻発している。咎人に比べて非常に小柄な体格は、パノプティコンによる行動抑制の一環。
権利のない咎人にとっては話しかけるだけで刑罰扱いにもなる対象。咎人を見下す市民が大多数を占めているが、実際には咎人に守られていなければいつ攫われてもおかしくない脆弱な立場でもある。奪還ボランティアで見かける律儀なタイプの市民は、プレイヤーにとってちょっとした癒し。
アクセサリ
咎人の監視兼支援用の人型生体アンドロイド。
PTから配給される携帯端末・携行兵器であり、咎人のパートナーともなる存在。PT内及びボランティア中は、咎人に常に付き従い、PTからの指令を伝達すると共にその行動を監視している。専従の咎人以外との交流は禁じられており、話しかけても応答はつれない。
一定以上の権限を得ることで、外見や行動のカスタマイズが可能となる。学習機能があり、長期にわたって咎人と行動を共にした個体は、その咎人に対してある程度の便宜を図ってくれるようになるなど、人間的な一面が生まれる。
咎人の中には懇意の市民に依頼して、不正な改造をしてもらうものもいる。
ボランティア
咎人に対し発行されるPTへの貢献活動、もとい戦闘行為のこと。
市民の奪還、資源の回収、制御システムの制圧、目標の排除など内容は様々で、これらをこなす事で咎人は懲役を減刑されていく。それとともに「恩赦ポイント」と呼ばれる通貨に相当するポイントを得ることができ、それを使って権利の開放や非合法な物品の購入が可能。
なお現在、友軍アブダクターの護衛というタイプのボランティアは、序盤の一回以外に確認されていない。悠然と歩くアブダクターに荊でしがみつく楽しさも、今のところはここでしか味わえない。
パノプティコン
地上に生きる人類が身を寄せ合う牢国都市。
長くて発音しにくいためか「PT(ピーティー)」と略されることが多い。資源に乏しいこの世界ではPT間での小競り合いも多いが、友好的な関係を築き協力する面もある。
基本的にPT同士の戦いは、勝った方が負けた方を吸収して勢力増強を図るのが一般的で、敵PTを壊滅させるレベルの戦闘はほぼ無いと言われているが……。
余談だが、「PT法」のPTはパノプティコンの略ではないらしい。
天獄(てんごく)
高度な文明を持ち、空中に君臨する都市国家。
地上に生きる人々を「傲慢」と謗り、「傲慢の収穫」のため各PTに一斉攻撃を行う「天罰」を行使する。人間もまた資源と見ているため、天罰の際には多数の市民を拉致していく一方、咎人には価値がないと見なして迷わず抹殺する。傍から見ると天獄側の方が傲慢とも取れる。
ベアトリーチェ曰く、「地上のPTよりは綺麗だが寂しい雰囲気があり活気がない」とのこと。
アブダクター
Will’Oエンジンで駆動する、「略奪者」とも呼ばれる巨大な生体兵器。市民を巡る戦いで投入され、市民を捕獲すると鳥篭(ケージ)と呼ばれる部位に収納して搬送する。様々な機種と武装が存在し、どの攻撃も咎人の命を一撃で奪う強力な力を持つ。
PT同士の抗争で運用されるアブダクターは「人工アブダクター」と呼ばれており、それらの元になった「天然物」と『原初の三機』と呼ばれるオリジナルも存在する。
人工アブダクターは、天獄が操る「天然物」の残骸から技術をリバースエンジニアリングして作られたいわゆる模造品だが、局地戦仕様の機体を用意するだけの資源が確保できないため、機体を上半身と下半身に分割し、ボランティアの内容や戦闘区画の地形、天候などに合わせて本体パーツや装備を付け替えるという形で何とか対応している。結果的に拡張性が非常に高く戦場を選ばない汎用性を獲得した反面、「天然物」と比較すると見劣りする部分がある。
フラタニティ
非合法結社にしてPT世界の実質的流通王。元咎人、元市民の構成員も数多く存在し、自分の知り合いにフラタニティ関係者がいてもおかしくないほどにほぼ全てのPTに深く入り込んでいる。
非合法ではあるが、かれらなしには流通が滞って資源確保が困難になってしまうために、PT上層部もその活動をやむなく黙認している節があるなど、PTよりもヒエラルキーは上とも取れる。
フラタニティの怒りを買った咎人は資源さえ確保できず、活動不能に追い込まれるといわれるほど。その気になればPTひとつを兵糧攻めで滅ぼすことも不可能ではないが、食事処「ガソリン」の店長にだけは頭が上がらないらしい。
登場人物
主人公
プレイヤーキャラクターの咎人。
性別・容姿・声をカスタマイズすることができる。
咎人として参加したボランティア(戦闘)中に重傷を負ったことで記憶喪失になり、「記憶という財産を失った罪」で懲役100万年を科され、第1階層から再教育を受けることになったおたんこなす。ウーヴェの台詞から、彼(彼女)は記憶の定着が不完全でたびたび記憶を失っていたことがわかり、再教育での這い上がりの早さにもお墨付きをもらっている。もしかすると記憶さえしっかりしていれば早々に刑期を終えていたかもしれない。
こうと決めたら譲らない頑固な面があり、きな臭い噂に付き合う人のよさも持ち合わせている。
主人公のアクセサリ
咎人であるプレイヤーのパートナー 兼 監視者である生体アンドロイド。
主人公の先代アクセサリが先の戦闘で大破し、フラタニティによって資源として横流しされてしまったため、再教育プログラムを受講する主人公にPTから改めて配給された。
主人公同様、あらかじめ性別・容姿をある程度はカスタマイズ可能。後の権利申請で服装やセリフなど、編集可能な範囲がさらに広がるため、そこを目標のひとつとするプレイヤーも多い。合成音声で会話するため、戦闘中の応答(セリフ)を入力して設定することが可能で、咎人の趣味がもろに出るらしい。
味方の咎人たち
ウーヴェ・“サカモト”・カブレラ(CV.中田譲治)
勇猛果敢な歴戦の勇士(タフなヒゲヅラ)
過酷なパノプティコン社会で長年生き延びてきた歴戦の勇士。
イカツイ外見とは裏腹に面倒見が良く、彼の背中で教え導かれた咎人は数知れず存在する。
主人公のことは以前から顔見知りであるらしく、再教育プログラムの間も何かと気にかけ面倒を見てくれる。
マティアス・“レオ”・ブルーノ(CV.石田彰)
Shazな親友(シャズなマブダチ)
主人公と同じ時期に第1コードの教育プログラムを受けた新人の咎人。
初めは記憶喪失の主人公を嘲笑する発言もあったが次第に打ち解け、共にボランティアを乗り越える「相棒」として、ときには協力、ときには張り合いながら上位コードに昇格していく。
モザイク街育ちで昔はヤンチャをしていたらしく、楽天的なノリや歯に衣着せぬ発言も目立つ。
良くも悪くも今どきの若者らしい正直な男。「Shaz(シャズ)」と言う単語をよく口にする。
一方で、仲間想いで頼まれると嫌とは言えないところもあり、その性格が災いすることもしばしば。
飄々とした快楽主義者(スカしたC調男)
主人公の所属するPTと友好関係である「ノーグPT」に属する咎人。ウーヴェのライバルにして悪友。常に自分が楽しめるかという部分に焦点を置いて行動しており、懲役を減らすことや仲間のことはどうでもいいと考えている快楽主義者。冗談とも本気とも取れる発言で周囲を煙に巻き、なぜか別PTの主人公PTに入り浸っているなど本心が読めない。
ベアトリーチェ・“リリィ”・アナスターシ(CV.中村繪里子)
運命と変革の鍵(ヒロイン)
数奇な運命を持った謎の女性。パノプティコンの深部に囚われていたところを主人公に救い出された後、ユリアンの機転で咎人としてデータベースに登録され、主人公と共に戦いに身を投じる事になる。
元がエンジニアだったためか、誰も追随できないほどにマニアックな話を展開する悪癖がある。アブダクターへの愛着はひとしおで、彼女の感性からすれば「かわいい」らしい。子供相手にまでアブダクター絡みの濃い遊びを展開してドン引きされることも。
エルフリーデ・“サカモト”・カブレラ(CV.東山奈央)
戦闘系最強乙女(アルティメット・ガール)
ウーヴェの実子。幼い体格とは裏腹に高い戦闘力を持った咎人。非合法な闘技場「ロイヤルラウンド」に君臨する現役最強のチャンピオン。ベテランであることを自負しており、主人公やマティアスに対し先輩風を吹かすこともあるが、戦闘技術から精神面のケアまで精通した頼れる存在である。
ニーナ・“エリザベス”・ディアス(CV.中上育実)
男勝りで強引な性格だが、面倒見のいい姉御肌。冒頭のムービーでは対アブダクターの立ち回りを魅せてくれる。咎人でありながら、刑罰を気にせず自分のしたいように行動する自由人でもある。
主人公が記憶を失った際もボランティアで共闘しており、再教育プログラムの際には一度様子を見に現れている。また、新人歓迎会を企画し、間接的ながら咎人同士の交流の場を作った。
カイ・“ヴォルフ”・シルバ(CV.宮下栄治)
涼やかな顔立ちのクールな青年。あまり群れず口数が少ないため冷たい性格に思われがちだが、内面は仲間想い。周囲を冷静に観察し、ときには主人公に助言をくれることも。
ハル・"ベイブ"・ヴィトー(CV.江口拓也)
誠実なメガネの青年。普段は紳士的で爽やかな性格だがかなりのドM。ボランティア中は活き活きしている様子が窺え、戦闘を反芻してはドン引きするような発言をすることもある。妹のアンを溺愛しているが、若干過保護な面も。
アン・“チャーム”・ヴィトー(CV.麻倉もも)
礼儀正しい黒髪の少女。世話好きでしっかり者だが、よく転んだり迷子になったりとどこか抜けたところがある。自分の失敗談を吹聴する兄のハルに気苦労しているが、共にボランティアに参加するなど堅い信頼で結ばれている。
なお、ヴィトー兄妹の刑期は常に同じ年数で揃えられている。
マリー・“アルマ”・ミラン(CV.夏川椎菜)
気弱で人見知りの激しい少女。「ガソリン」での歓迎会で主人公と友達になる。後ろ向きな言葉を漏らすこともあるが、主人公や他の咎人との交流で、徐々にだが積極的に発言するようになる。武器マニアで、武器のことを語り始めると止まらなくなる。
セルジオ・“ヘルゲート”・コクトー(CV.後藤ヒロキ)
ウーヴェと同じくベテランの咎人。軍人気質で、常々主人公ら若い咎人に厳しい態度で当たり、様々な知識を享受する。それらは若者の成長を願ってのための行為で、彼らと身近に接するためにわざと低い階層に留まっている。
ビリー・“レパード”・コレル(CV.山下誠一郎)
マティアスを「兄貴」と呼び慕うリーゼントヘアーの青年。マティアスがモザイク街でヤンチャしていた頃の仲間。喧嘩っ早い性格だが、実はヘタレ。歓迎会に出席していないので当人と直接会話しないと仲間になってくれないが、普段いる場所の関係上、気付かれずにスルーされることが多い。
なお、会話では妙な横文字のワードを多用する。
シズカ・“フェイク”・ローラン(CV.雨宮天)
フード姿の淑やかな女性。常に丁寧語で物腰も柔らかく見えるが、その内面はかなり苛烈。ボランティア中には直接的な罵倒や皮肉もたっぷり聞ける。
人類の歴史や過去の文化に精通した知識人であると同時に独特の趣向も持ち、変態じみた美学を主人公に語って聞かせることも。アクセサリに並々ならぬ愛情を注いでおり、彼女のアクセサリは一際派手な装い。いつか、アクセサリに自分以上の美を見出すことが夢であるらしい。
その他
アリエス・M(CV.原由美)
幽界の導き手(会えないガールフレンド)
戦闘で深手を負い、幽界で朦朧とする主人公の前に現れた不思議な女性。しかし彼女と会えるのは、休息中に現れる夢のような不可思議な空間でのみ。何かしらの目的があって主人公に接触しているようだが、その全貌は不明である。
輪っかのような髪型は夢に出る羊がモチーフなんだとか。
ナタリア・“9”・ウー(CV.浅川悠)
戦う“法と秩序”(戦うパノプティコン)
安全保障局 第35社会防衛群 社会調査会隊長。パノプティコン上層部の意志の代弁者であり、厳しい取り締まりで恐れられている憲兵。仲間を守りたいという愛情が強く、普段はそれを押し隠して厳格に振舞っているため、彼女の言動にイラっと来るプレイヤーも少なくない。
PT上層部が時折訳の分からない命令や納得いかない指示を出したりすることに対して、表面上は諾々と従っているものの内心歯がゆく思っている。後にボランティアでも共闘可能。
ユリアン・サダート#e(CV.赤羽根健治)
小柄な協力者(リトルビッグフレンド)
ボランティアで奪還する市民(シヴィリアン)の一人。他の市民に比べ繊細で真面目な性格であり、恐妻家という名ののろけ屋でもある。敵勢力のアブダクターに拉致されたところを主人公とマティアスに助けられ、以後は交流を続けて仲良くなっていく。ハッキングやデータ解析の技術に長け、アクセサリの改造や、主人公が入手したコードの解析などにも協力してくれる。
PTの生産計画局に定められた家庭を持ちながら、何かと妻の惚気話が飛び出すことから一部では「仮想妻なんじゃないか?」と言われているが、真偽は定かではない。
シルヴィア・アナスターシ(CV.井上麻里奈)
追撃の戦乙女(危険なビューティー)
高度な文明を誇る空中都市「天獄」の対地上部隊で隊長格を務める女性。行方不明となっている姉・ベアトリーチェを探すために地上へと降りてくるが、同時にある任務もこなしている。
性格が苛烈なうえに思い込みが激しく、おまけに視野が狭いので相手の言い分を一切聞かず、一人で勝手に盛り上がって周囲に理不尽な思いをさせることが多い。おまけに嫉妬深くツンデレの気まであるなど、戦闘能力は一流ながらも人格面ではかなり残念な子。
地上最狂の咎人(ぶっちぎりのヤバイヤツ)
プレイヤーのPTと敵対するホウライPTのエースにして、世界最強の咎人の一人。高い戦闘能力に加え、人口アブダクターの原型の一つ、「憤怒の烈火(レッドレイジ)」を半身のように操る危険な人物。
その行動理念は狂気とも言え、アリエスに導かれる主人公や、本作のキーであるベアトリーチェとも深く関わっていく事となる。元はニライカナイPT所属だったが、ある事件が原因でニライカナイは崩壊、以降ホウライPTに身を寄せている。
余談だが、パッケージ裏の絵で彼の頭上の数字(残刑期)は|9,999,999|(カンスト)と表示されている。