『この仕事は、決して報われない・・・想い出を引き裂くのが私たちの仕事なので・・・』
CV:雨宮天
概要
少女の姿をしたギフティア(SAI社が開発したアンドロイド)。
第一ターミナルサービスに所属し、そこに新入社員として入って来た水柿ツカサのパートナーとなる。第3話より彼と同居を開始。
ギフティア回収作業に従事するギフティアは話術などの交渉能力が強化されているはずだが、彼女の場合は何故かポンコツになってしまう。そのため所有者との交渉が上手くいかないことから、現在はパートナーであるツカサに交渉を任せている。ちなみに、回収作業の終了間際には、回収対象のギフティアに対してあるフレーズを必ず言っている。
自身の耐用年数が訪れ回収されることでそれまでの記憶を失ってしまうことを恐れており、そんな思いをするくらいならはじめから想い出など作らないほうがよいという思考の持ち主。そのため、想い出作りにつながるプレゼントを一切もらおうとしないほどだったが、ツカサと公私を共にするうちに次第にそのようなネガティブな思考が失せてゆき、彼と一緒に想い出を作っていきたいと思うようになる。
喋る際、語尾に「~ので」を付ける癖があり、また、困惑したときや都合が悪い事態に直面すると「エラー」と言って誤魔化す。第8話では機嫌を損ねてツカサとの会話を拒む際にも「エラー」と言って彼の言葉を遮った。
ハーブには並々ならぬこだわりがあり、行きつけのハーブ専門店で定期的に買出しを行う(ツカサと初めて会ったのもハーブを買いに来たときだった)のみならず、寮の自室でも自分で栽培を行っている。そんな彼女の入れるハーブティーはツカサのみならず第一ターミナルサービスの社員からの評判も上々である。
カヅキとの関係
稼動直後から3年前までの6年間は、ツカサの上司の桑乃実カヅキとコンビを組んでいた。
当時は今よりも明るい性格で想い出を作ることに対するネガティブな思考もなく、彼女とは年に何回も一緒に遊園地に出かけるなど公私共に親密だった。そのことは、当時アイラが書いていた日記が絵文字を入れたりして明るい文面であることからも察することが出来る。
転機が訪れたのは3年前、現在はアイラの同僚である絹島ミチルが所有していた父親代わりのギフティア(以下、父親と表記)の回収担当をしていた頃だった。
この時彼女は何らかの理由(オーバーワークではないかとカヅキは推測している)で身体に異常が発生していたため、カヅキに父親の回収に連れて行ってもらえなかった。その後彼女が見たのは、ワンダラー化した父親によって右足首を切断され病院で緊急手術を受けているカヅキだった。それから程なくして、彼女はいつも連れて行ってもらっていた遊園地にて、
「お前と一緒に仕事をした想い出は忘れないよ。でも・・・お前とはもう組まない。お互いに、そのほうがいいだろう?」
とカヅキからコンビ解消を告げられた。
彼女の日記はカヅキとの「今年になってからもう3回目」の遊園地に行った日のことで途切れており、コンビ解消を告げられたときは4回目だったと思われる。彼女が今の性格になったのもおそらくこの頃であろう。
コンビ解消以降はカヅキとの直接的な関わりを持つことはカヅキの意向もあり減っていたが、第10話で3年ぶりにコンビを再結成し、アントニオ・ホリゾンが所有するギフティアサラの回収に向かう。そこでアントニオからサラと回収の日まで遊び相手になってほしいと頼まれるが、その時、
「あなた(アントニオ)も一緒がいい。好きな人と一緒に過ごすのが、一番嬉しいものなので」
とアントニオに言い、残り時間を3人で過ごすことを認めさせた。
帰宅後、アントニオに対する発言とツカサのためにツカサから離れようとする自身の振る舞いとの矛盾をカヅキに指摘され口論になるが、
「お前・・・ツカサのために身を引こうとしてるだろう?3年前、私は良かれと思ってコンビを解消した。それが、お前のためだと思ってた。でも違う・・・違ったんだ!そんなの、誰のためにもならねぇんだ。ここでお前がツカサから離れたら、あいつの中にはお前との辛い想い出しか残らねぇ。人ってのはそういうもんだ。後悔して、自分を責め続けるばっかりだ。・・・お前はそれでいいのか?」
というカヅキのこの言葉を受け、自分のやろうとしたことが間違っていたことにようやく気がついた。
ツカサとの関係
ツカサと初めて出会ったのは行きつけのハーブ専門店があるデパートのエレベーターの中だった。そのときはお互い言葉を交わすこともなかったが、程なくして彼が自分の働く第一ターミナルサービスに新入社員として配属されそこで再会し、彼のパートナーとして3年ぶりに現場に復帰することになる。
コンビを組んだ当初はツカサのことを仕事上のパートナーとしか見ていなかった。仕事においては「ツカサの足を引っ張りたくない」という思いから、トレーニングに励んだり自身の能力の限界を超えて活動しようとするなど真面目かつ健気にふるまう一方で、プライベートにおいては想い出を作ることに対するネガティブな思考も手伝い、規則に従ってツカサと同居を始めてもなお会話などのコミュニケーションを取ろうとしなかった。第3話では彼に遊園地に行こうと誘われたが断っている。
しかし、彼からプライベートにおいても良い関係を築きたいという思いを何度もぶつけられるうちに、第4話の冒頭では彼に「おはよう」と挨拶されて「おはよう」と返すなどその心に変化が訪れ始める。
第4話では若苗ソウタの所有するギフティアマーシャの回収を行うことになり(詳細は水柿ツカサを参照)、その際に、
「幸せな想い出や綺麗な想い出が救いになるとは限らない。想い出が綺麗なほど、辛くなる事もある。怖くなる事もある。去っていく方にとっても、残される方にとっても・・・・・・」
と自らの想い出についての持論をツカサに明かしたところ、
「(そんな思いをするくらいなら)想い出なんて、いらないと思ってるの?・・・・・・その方が、俺は悲しいよ」
と彼に諭された。
マーシャの回収がツカサのウィルス銃による強制破壊という不本意な形に終わった際は、彼に辛い仕事をさせてしまったことを申し訳なく思うと同時に、自分の前では悲しそうなそぶりを見せずに微笑む彼を見てやるせない気持ちになった。マーシャのことはもう忘れてしまったのだろうか、と。
しかし、ミチルから彼が独断でソウタの元に赴き涙ながらに謝罪したことを知らされ、カヅキから自分の寿命の事を聞かされた彼が最後まで自分のパートナーでいたいと宣言したことを知ったことで、彼が微笑むのは悲しみを乗り越えようとする彼自身の強さであり、彼の自分に対する優しさであるということを理解した。
この事件をきっかけとして、ツカサは仕事上のパートナーを越えた特別な存在であると意識するようになり、表情にも言動にも喜怒哀楽が出るようになる。そして、彼の心を傷つけたり苦しめたりすることを極端に恐れるようにもなる。
第7話ではツカサにデートに誘われそれを承諾する。第3話で断った遊園地に行き様々なアトラクションを回り、そのなかでカヅキとの過去やツカサと公私を共に過ごす今の自分の気持ちを伝え、そして帰宅後に自分の寿命が近いことを、今まで黙っていたことを詫びた。そのことを既に知っていたツカサからそれでも最後まで自分のパートナーでいたい、一緒に想い出を作りたいという気持ちを伝えられると、微笑みながら小さく頷いた。
この頃から、ツカサのことを思うとドキドキとモヤモヤした気持ちがあふれるようになり、すなわち自覚はしていないもののツカサに対し恋心を抱くようになる。だが、第8話にて花火が舞うカーニバル会場での彼から抱きしめられながらの愛の告白は、
「無理です!」
と拒絶した。その光景を覗き見していた海松エルとアンディ(と視聴者)のみならず、後日そのことを聞かされた同僚も驚く予想外の発言だった。もっともこれはツカサの愛を拒絶したのではなく、突然のことに気が動転して気持ちの整理がつけられず勢い任せに言ったものに過ぎなかった(第9話より)。
そして、ミチルの助言に従い時間を置いてよく考えた結果、ミチルの眼前で
「ツカサからは離れる。それがお互いにとって一番いい」
という結論を出した。
これにミチルは困惑し、ツカサに対するドキドキとモヤモヤした気持ちは恋心なのだから離れる必要はないと諭すが、首を横に振りながら、
「だとしたら、なおのこと私は・・・ツカサから離れないと」
と言って聞かなかった。理由を問いただすミチルに、自らの寿命が理由だと明かした。
それから間もなく、カヅキからツカサとのコンビ解消を告げられ、困惑するツカサをよそに淡々と受け入れた。
そしてカヅキとコンビを再結成した日仕事を終え帰宅した後彼女から、
「お前は3年前の私と同じ理屈(詳細はカヅキとの関係を参照)でツカサから離れようとしているんだろうが、そんなことをすれば私のように後悔するだけだぞ」
と諭され、自分が間違っていることに気づく。そして翌日の会社で同僚たちが見ている中、深呼吸して今までの自分の苦悩をありったけ吐き出した後、
「あなたのことが・・・好きです」
とツカサに涙ながらに告白した。2人の想いがこの瞬間ようやく1つになり、晴れて恋人同士となった。