アイラ(プラメモ)
あいら
「この仕事は決して報われない…思い出を引き裂くのが私たちの仕事なので…」
CV:雨宮天
少女の姿をしたギフティア(SAI社が開発したアンドロイド)。
第一ターミナルサービスに所属し、そこに新入社員として入って来た水柿ツカサのパートナーとなる。第3話からは規則に従って彼と同居を開始する。
ギフティアの回収作業に従事するギフティアは話術などの交渉能力が強化されているはずだが、彼女の場合は何故かポンコツになってしまう。そのため所有者との交渉が上手くいかず、現在はパートナーであるツカサに交渉を任せている。ちなみに、回収作業の終了間際には回収対象のギフティアに対して必ずあるフレーズを言っている。
若い外見に反して実は19年前にリリースされたギフティアの初期ロット機体。眠りについていた10年間を差し引いてもかなりの稼働年数が経っており、本編序盤時点で既に耐用年数いっぱいまで2000時間(2ヶ月と少々)となっており回収が近い身の上である。
後述の理由で3年ほど現場を離れて課内でお茶汲みをしており、入社直後のツカサとコンビを組まされたことで久しぶりにマークスマンとして復帰した。
しかし元々古い機体であるためか無理を重ねたためか身体能力も右肩下がりに落ちつつある状態であり、それを補おうとトレーニングをしている(ヤスタカ曰く、それは無駄と理解しつつの行動であるという)。
自身の耐用年数が訪れ回収されることでそれまでの記憶を失ってしまうことを恐れており、そんな思いをするくらいならはじめから思い出など作らないほうがよいという思考の持ち主。ツカサをはじめとして同僚と親しくなるのを避けており、思い出作りにつながるプレゼントも一切受け取らない。
しかし、ツカサと公私を共にする中で次第にそのようなネガティブな思考は薄れていき、彼と一緒に思い出を作っていきたいと思うようになる。
喋る際、語尾に「~ので」を付ける癖があり、また、困惑した際や都合が悪い事態に直面すると「エラー」と言って誤魔化そうとする。第8話では機嫌を損ねてツカサとの会話を拒む際にも「エラー」と言って彼の言葉を遮った。
ハーブティーには並々ならぬこだわりがあり、行きつけのハーブ専門店で定期的に買出しを行うだけでなく、自身でも様々なハーブの栽培を行っている。彼女の入れるハーブティーはツカサのみならず、第一ターミナルサービスの同僚からの評判も上々である。
以下、ネタバレ注意
稼動直後から3年前までの6年間はツカサの上司である桑乃実カヅキとコンビを組んでいた。
当時は今よりも明るい性格で思い出を作ることに対するネガティブな思考もなく、事実カヅキとは年に何回も遊園地に出かけるなど公私共に親密だった。このことはアイラが書いていた日記の文面に絵文字が見られるなど明るいものであることからも推察できる。
転機が訪れたのは3年前、現在はアイラの同僚である絹島ミチルが所有していた父親代わりのギフティア(以下、父親と表記)の回収担当をしていた頃だった。コンスタンスが「カヅキとのコンビを解消する直前くらいから彼女は心を殺してしまったかのようになった」と証言している(第10話より)ことからも、彼女が今の性格になったのはこの頃だろう。
この時期の彼女は何らかの理由(オーバーワークではないかとカヅキは推測している)で身体に異常が発生しており、父親の回収に同行させてもらえなかった。その結果、ワンダラー化した父親によって右足首を切断され病院で緊急手術を受けているカヅキを目の当たりにすることとなる。
それから程なくして、いつも出かけていた遊園地にてカヅキから
「お前と一緒に仕事をした思い出は忘れないよ。でも・・・お前とはもう組まない。お互いに、そのほうがいいだろう?」
とコンビ解消を告げられた。
ちなみに、彼女の日記はカヅキと「今年になってからもう3回目」の遊園地に行った日のことで途切れており、コンビ解消を告げられたのは4回目だったと思われる。
コンビ解消後はカヅキとの直接的な関わりを持つことは(カヅキの意向もあり)減っていたが、第10話で3年ぶりにコンビを再結成し、アントニオ・ホリゾンが所有するギフティアサラの回収に向かうことになる。そこでアントニオからサラと回収の日まで遊び相手になってほしいと頼まれるが、その際
「あなた(アントニオ)も一緒がいい。好きな人と一緒に過ごすのが、一番嬉しいものなので」
とアントニオに言い、残りの時間を3人で過ごすことを認めさせた。
帰宅後、アントニオに対する発言と、ツカサのためにツカサから離れようとする自身の振る舞いとの矛盾をカヅキに指摘され口論になるが、
「お前…ツカサのために身を引こうとしてるだろう?3年前、私は良かれと思ってコンビを解消した。それが、お前のためだと思ってた。でも違う…違ったんだ!そんなの、誰のためにもならねぇんだ。ここでお前がツカサから離れたら、あいつの中にはお前との辛い思い出しか残らねぇ。人ってのはそういうもんだ。後悔して、自分を責め続けるばっかりだ。…お前はそれでいいのか?」
というカヅキの言葉を受け、自分のやろうとしていることが間違っていることに気付く。
ツカサと初めて会ったのは行きつけのハーブ専門店があるデパートのエレベーターだったが、その時はお互い言葉を交わすこともなかった。程なくして、ツカサが自分の働く第一ターミナルサービスに新入社員として配属され再会、彼のパートナーとして3年ぶりに現場に復帰することになる。
コンビを組んだ当初はツカサのことを仕事上のパートナーとしか見ていなかった。仕事においては「足を引っ張りたくない」という思いからトレーニングに励んだり、自身の能力の限界を超えて活動しようとするなど真面目かつ健気に振る舞う。
一方で、プライベートでは思い出を作ることに対するネガティブな思考から必要以上の接触を避け、規則に従ってツカサと同居を始めてもほとんどコミュニケーションを取ろうとしなかった。親交を深める目的で遊園地に行こうと誘われても断っている(第3話)。
しかし、彼からプライベートにおいても良い関係を築きたいという思いを何度もぶつけられ、彼に「おはよう」と挨拶されて「おはよう」と返すなどその心に変化が訪れ始める(第4話)。
その後、若苗ソウタの所有するギフティアマーシャの回収を行うことになり(詳細は水柿ツカサを参照)、その際には
「幸せな思い出や綺麗な思い出が救いになるとは限らない。思い出が綺麗なほど、辛くなる事もある。怖くなる事もある。去っていく方にとっても、残される方にとっても…」
と自らの思い出についての持論をツカサに明かすが、
「(そんな思いをするくらいなら)思い出なんて、いらないと思ってるの?…その方が、俺は悲しいよ」
と返されている。
また、マーシャの回収が不本意な形に終わってしまった直後は彼に辛い仕事をさせてしまったことを申し訳なく思うものの、自分の前では悲しそうなそぶりを見せずに微笑む彼を見て「マーシャのことはもう忘れてしまったのだろうか」と複雑な気持ちを抱く。
しかし、ミチルからツカサが独断でソウタの元に赴き涙ながらに謝罪したことを知らされ、カヅキからも自分の寿命の事を聞かされた彼が最後まで自分のパートナーでいたいと宣言したことを教えられ、彼が微笑むのは悲しみを乗り越えようとする彼自身の強さであり、彼の自分に対する優しさであるということを理解した。
この事件をきっかけとして、ツカサは仕事上のパートナーを越えた特別な存在であると意識するようになり、表情にも言動にも喜怒哀楽が出るようになる。しかし、同時に彼の心を傷つけたり苦しめたりすることを極端に恐れるようにもなる。
ツカサにデートに誘われそれを承諾する(第7話)と、以前は断った遊園地に行き様々なアトラクションを回り、そのなかでカヅキとの過去やツカサと公私を共に過ごす今の自分の気持ちを伝え、そして帰宅後に自分の寿命が近いことと、それを今まで黙っていたことを詫びた。そのことを既に知っていたツカサからそれでも最後まで自分のパートナーでいたい、一緒に思い出を作りたいという気持ちを伝えられると、微笑みながら小さく頷いた。
この頃から、ツカサのことを思うとドキドキとモヤモヤした気持ちがあふれるようになり、自覚はしていないもののツカサに対し恋心を抱くようになる。
しかし、花火が舞うカーニバル会場で抱きしめられながらされた愛の告白に対しては
「無理です!」
と拒絶してしまう(第8話)。
その光景を覗き見していた海松エルとアンディ(と視聴者)のみならず、後日そのことを聞かされた同僚も驚く予想外の発言だった。もっとも、これはツカサの愛を拒絶したのではなく、突然のことに気が動転して気持ちの整理がつけられず勢い任せに言ったものに過ぎなかった(第9話)。
そして、ミチルの助言に従い時間を置いてよく考えた結果、ミチルの眼前で
「ツカサからは離れる。それがお互いにとって一番いい」
という結論を出した。
これに困惑したミチルは「ツカサに対する気持ちは恋心なのだから離れる必要はない」と諭すが、首を横に振りながら
「だとしたら、なおのこと私は・・・ツカサから離れないと」
と言って聞かず、理由を問いただすミチルに自らの寿命が理由だと明かす。
それから間もなく、カヅキからツカサとのコンビ解消を告げられ、困惑するツカサをよそに淡々と受け入れた。
そしてカヅキとコンビを再結成した日、仕事を終え帰宅した後彼女から、
「お前は3年前の私と同じ理屈(詳細はカヅキとの関係を参照)でツカサから離れようとしているんだろうが、そんなことをすれば私のように後悔するだけだぞ」
と諭され、自分が間違っていることに気付く。
そして翌日の会社で同僚たちが見ている中、深呼吸して今までの自分の苦悩をありったけ吐き出した後
「あなたのことが…好きです」
とツカサに涙ながらに告白、晴れて恋人同士となった。
ツカサと恋人となってからは、カヅキと組んでいた頃のように豊かな表情と感情を取り戻していく。そして、書くのを止めていた日記を再び書き始める。そこには
「昨日、大好きな人と恋人になりました」
と書かれていた。
職場でも人目をたばからずいちゃついたり、ツカサを喜ばせるために料理を作ってあげたいとミチルに料理の作り方を教えてもらおうとしたり、そのことを知ったツカサから一方的に何かしてもらうのは気が引けると言われで一緒にオムライスを作って食べたり(第11話)、一緒に映画を見に行ったり、公園で膝枕をしてあげたりする(第12話)など、思い出を作っていく。
自身の回収が近い影響か、夜中に突然不安に襲われ涙が止まらなくなってしまい、ベッドで寝ていたツカサに涙ながらに抱きついてしまう(第12話)。
後日、仕事が終わり部屋に戻るとツカサから自身の回収同意書を見せられる。サインを彼がやることを聞かされ、サインをしても大丈夫かと何度も聞き、彼女との別れを惜しみ動揺する彼に、
「辛い想い、させちゃってるね」
こう囁きながらそっと彼を抱き寄せる。
ツカサが意を決して同意書にサインすると
「ありがとう」
と後ろから抱きつきながらお礼を言った。
翌日、アントニオ・ホリゾン所有のサラの回収をもってコンビとしての仕事は全て終了する。その後、第一ターミナルサービスの同僚の計らい(提案したのはミチル)で自身の送別会が会議室で開かれた際は、歩けなくなるくらい盛大にはしゃいで楽しんだ。
その帰り、ツカサに回収されるギフティアにいつも何と言っているのかと尋ねられると、
「大切な人と、いつかまた巡り会えますように」
と囁いていたことを明かした。
なお、このフレーズはサラの回収の際にも言っているのだが、サラには
「あなたも」
と返されている。
最後の日、ツカサと夜通し窓から外を眺めながら彼と組む前の思い出話を話していた(第13話)。夜が明けると2人で自室の大掃除を始め、それが終わると一緒に入浴し、身支度をした後にこっそりツカサへの手紙を部屋に置くと、2人で会社へと向かう。同僚へと宛てた手紙を置いていつもと同じように仕事をしようとするが、出社してきたカヅキに会社を追い出されてしまい、2人は遊園地に向かう。
遊園地では様々なアトラクションを巡り、最後の時間を心置きなく楽しむ。
周囲がすっかり暗くなり、カヅキと組んでいた頃からお気に入りのベンチの前で人の流れを見つめながら語り合っていると、園内に閉園を知らせるアナウンスが流れる。それを聞きツカサの手を引いて観覧車の搭乗口に向かうと、係員に頼み込んで最後に観覧車に乗ることを承諾してもらう。
観覧車の中では、刻一刻と迫る別れの時を意識し思いつめたまなざしで相槌を打つだけになってしまうツカサに対し、お互いの好きなところを言い合ってみようと持ちかける。
「すぐ転ぶところ」「不器用なところ」「背がちっちゃいところ」などと答えられ、けなされてるように感じたが、
「好きなところだよ。ちゃんと」
とうつむいたまま彼が呟くと、にっこりと微笑む。
色々と言い合った末、最後に
「辛いのに泣くのを我慢して、頑張って笑おうとするところ。そんな笑顔が素敵なところ。でも…ちょっと心配かな」
と言ったあたりで、乗っているゴンドラは観覧車の頂上付近に達する。
「私、とっても幸せだった。…そろそろ、夢の時間は、終わりなので」
地上に下り始めたゴンドラの中でこうツカサに伝えると、ギフティア回収用の指輪を差し出し、観覧車が一周する前に回収して欲しいと頼む。
その頼みを聞いた後、大粒の涙を流すツカサに
「泣き顔…初めて見せてくれたね。ずっと、我慢してきたんだもんね。ツカサは、我慢しちゃう人なので」
と彼の手を両手で握りながら囁くと、右手で彼の涙をそっとぬぐい、
「ありがとう。私のために泣いてくれて…ありがとう」
とお礼を言った後、彼の頬をつまんで上に引き上げ、微笑みながら無理に彼の笑い顔を作った。
そして、ツカサに指輪をはめられ
「大切な人と、いつかまた巡り会えますように」
と耳元で囁かれた後、涙を流しながら最後の別れのキスをして、彼に回収された。
劇中の描写で英語の綴りが「Isla」となっている。基本的に作中のギフティアは全て英語圏の典型的なネームを流用したものとなっているため名前の意味はない可能性が高い。