『このとき、俺はもう、名前も知らない君の事を好きになっていたんだと思う』
CV:内匠靖明
概要
なお、太字の用語の意味についてはプラスティック・メモリーズの用語の項目を参照
高性能アンドロイド「ギフティア」の開発元SAI社の新入社員の18歳。大学受験に失敗し、親のコネで同社に入社。「第一ターミナルサービス課」という、耐用年数期限の約9年4ヶ月を迎える寸前のギフティアを回収する部署に配属される。そこで以前出会ったことのあるギフティア「アイラ」とコンビを組むことになる。
良く言えば真面目で誠実、悪く言えばマニュアルにとらわれすぎて融通や機転が利かない不器用な仕事ぶりで、同僚の助けを得ながら何とか業務をこなす。
その過程の中で、はじめはぎこちなかったアイラとの関係も徐々に好転し、心を通わせていくのだが・・・・・・
詳細(ネタバレ注意)
第1話では教育係となった絹島ミチルから現在自分が担当している回収案件の1つを任せるからどれか選ぶように言われ、パートナーのアイラの強い希望で白花チヅが所有する孫代わりの少女型ギフティアニーナを選択する。しかしチヅは回収をかたくなに拒んでおり、ミチルも既に3回も門前払いをされている、非常に難しい案件であった。
案の定、タイムリミットが近づいても門前払いを繰り返されどうするべきか困惑していたところ、アイラが家の塀をよじ登って強引に侵入し幸運にもニーナに出会えたことで、彼女の計らいによりどうにか回収に応じてもらった。
しかし、振り返ると自分は結局仕事らしいことを何もしていないことに気づき、帰りの車の中で何ともすっきりしない気持ちになる。
第2話では柳ユタカの所有する少年型ギフティアマックスの回収をミチルに託されるが、アイラが緊張して脅迫めいた文言でユタカに話しかけてしまうため、3回も失敗してしまう。後から謝罪にやって来たミチルから回収が上手くいかないのはアイラと信頼関係が結べていないからだと責め立てられるが、そこで真相を説明しようとしたアイラを遮るように、
「ごめん。次からは気をつけるから」
と発言。失敗は自分の責任であるという、ミチルに嘘の報告をする。
その夜、上司の桑乃実カヅキに飲みに誘われ、その席でアイラのことを教えてもらおうとするが、本人同士で解り合わないと意味がないと言われる。しばらく話し込むうちに、ベテランであるカヅキも自分と同じように、どうすれば良いのか誰にも教えてもらえない状況で苦労しながら仕事をしていることを、そしてアイラもまた、自分の足を引っ張りたくない一心でトレーニングに励んでいることを知る。
そんな姿を見て、自分もマニュアル本に書いてあるとおり「臨機応変に」対応しようということで、本来はマークスマンであるアイラの仕事である所有者との交渉を自分がやってみると彼女に提案する。その後ユタカの自宅に4度目の訪問を行い自分が交渉にあたると、同じマークスマンのコンスタンスやミチルのアドバイスを基にして作ったマニュアルが奏功したのか、マックスの回収は無事成功する。
初めて自分の力で仕事を成し遂げた瞬間だった。
第3話では、会社の規則でスポッターはマークスマンと共同生活をすることになっていると告げられ、アイラの住む寮に引っ越すことに。しかし、部屋に入ると最低限のコミュニケーションしか取ろうとしない彼女に戸惑う。同僚の様々なアドバイスを鵜呑みにして、様々なアクションを起こすものの、彼女は一切反応せず、周囲から同情されるほど激しく落ち込む。
ある日、そんな様子を見かねたカヅキから、アイラはプライベートでは誰に対してもそんな感じだと慰められる。そして唐突に、休日にアイラを外に連れ出すように頼まれる。
仕事でお世話になった人にお礼のプレゼントを買いたいから一緒に選んでほしいという名目でどうにかアイラを外に連れ出すことに成功し、洋服店やハーブの店に連れて行く。ハーブを購入後、それをプレゼントしたい相手が彼女であることを明かし、仕事だけではなくプライベートでも思い出を作りたいからと彼女を遊園地に誘うが断られ、先に帰ると告げられその場を去られてしまう。
帰宅後、明かりを消した部屋で佇んでいたアイラに遊園地で買ったキーホルダーをプレゼントとして半ば強引に手渡すと、それを持ったままの彼女から先に帰ったことを詫びられる。
そして一緒に買ったハーブティーを一緒に飲んで、アイラとの距離を少しだけ縮められた1日となった。
第4話では初めての新規案件で、3年前に両親を亡くしたもうすぐ8歳の誕生日を迎えるいわゆるアンドロイド・チルドレンである若苗ソウタの母親代わりを務めている女性型ギフティアマーシャの回収を担当することになる。それと並行して、ソウタの今後の生活拠点となる施設探しも行うことに。
ソウタの家を訪ねると、マーシャに出迎えられる。彼女から彼との思い出話を聞かされていると、そこに彼が帰宅する。彼女に悪態をつき、自分への挨拶もそこそこに同意書を取り上げ、そそくさとサインをしようとする彼に、
「こんな状態じゃ、サインは貰えないな」
と告げ、同意書を取り返す。それに怒った彼が部屋から立ち去った後彼女から、彼女の寿命のことを彼が知ってからこんな調子だということを告げられる。
一旦会社に戻りそのことをミチルに相談すると、
「ソウタはマーシャの言うことが信じられなくなったことで、マーシャの話す両親のことまで嘘だと思うようになっているから、彼が両親やマーシャからちゃんと愛されていたんだということを解らせることが大切だと思う」
と助言してもらう。
再びソウタの家に戻ってマーシャとともにアルバムを見ながら彼女と話していると、彼の5歳の誕生日に母親が作ったイチゴタルトのレシピがアルバムから見つかる。それを見て、明日の彼の8歳の誕生日パーティーに自分たちも参加して一緒にタルトを作るのはどうかと提案し、マーシャからも賛同を得て準備を行う。同じアンドロイド・チルドレンとしてソウタのことのことが気になり様子を見に来たミチルや彼女のパートナーのザックの協力も得られ、パーティーは成功。ソウタは今までの態度をマーシャに詫び、2人は和解した。
第5話はマーシャの回収予定日前日、買い物から帰る途中の彼女が闇回収屋にさらわれるところから始まる。ツカサたち第一ターミナルサービスのメンバーは聞き込みで得られた情報をもとに、闇回収屋のアジトがあると思われる区域を夜を徹して懸命に捜索する。
しかし、彼女の寿命切れとなる午後1時を過ぎてしまい、彼女はワンダラーとなってしまう。しかも、心配になって後をつけてきたソウタをさらっていってしまった。ビルの屋上で気絶したソウタと一緒にいたマーシャの説得を試みるも、もはや彼女に言葉は届かず、あろうことか彼の首を絞めて殺そうとした。その光景を目の当たりにして、やむを得ずソフトウェア破壊プログラムウィルス銃を発砲。彼女を担当である自らの手で介錯したのであった。
第6話ではマーシャの件では落ち度はないとされたものの、結果責任を問われ故障したアイラのメンテナンスが終了するまでの間事務所待機を命じられる。その合間を縫ってソウタの家を訪れマーシャとのちゃんとした別れの場を設けられなかったことを謝罪する。ソウタからは、
「何で謝るんだよ!?マーシャに会わせてよ!!」
と号泣され責められる。
そしてアイラのメンテナンスが終了した日の夜、事務所にてカヅキからアイラの寿命が約1000時間(約1ヶ月余)しかないことを伝えられる。突然のことにショックを受けるも、
「俺は、アイラと最後まで組んでいたいです!」
と力強く宣言。部屋の外で2人の話を聞いていたアイラを大いに喜ばせた。
第7話ではアイラをデートに誘い、彼女の提案で(第3話で断られた)遊園地に一緒に行くことに。
そこで彼女から、この遊園地にはかつてのパートナーであったカヅキとよく訪れたこと、3年前にここでパートナー解消を告げられたことを聞かされる。
2人で様々なアトラクションを巡り、最後は観覧車に乗ったが、前日までの過労がたたりそこで倒れてしまう。気がついたときには自宅のベッドの上だった。そこでアイラ本人から彼女の寿命について改めて知らされる。そんな彼女に、
「アイラ。俺は最後まで、君のパートナーでいたい」
と告げる。
第8話ではギフティア回収時にOS(人間でいうところの人格)の入れ替えによる継続利用を希望した所有者を担当し、それをきっかけとしてOSを入れ替えたギフティアが何かの拍子に前のOS搭載時の記憶が戻ることがあるのではないかとの淡い期待を抱くようになり、そのような例がないのかターミナルサービスの人間やギフティアに訊いて回るが全員から「ない」と言われる。
そんなある日のこと、出張に来た第三ターミナルサービスの女性マークスマンアンディと仲良くなったターミナルサービス専属のギフティアのメンテナンス係の海松エルから、彼女の地元のカーニバルにアンディを連れて行くことになったので一緒に来て欲しいと頼まれ、アイラと一緒に行くことになる。アンディはまさにOSの入れ替えにより再利用されているギフティアで、入れ替え前はオリヴィアという名前で性格も今とはずいぶん違っていたが、エルとは仲が良くカーニバルにも一緒に行ったことがあった。
カーニバルでは様々な場所を回ったものの、アンディにオリヴィアの記憶が戻ることはなかった。
「OSの入れ替えは人間が記憶喪失になるのとはわけが違う」
というミチルの言葉を裏付けるものとなった。
淡い期待が裏切られ複雑な心境になるが、そんな自分に対する、
「アンディとはオリヴィアとの思い出を共有するのではなく新しい思い出を作りたい」
「思い出を作れるのは今、この瞬間しかない」
というエルの言葉に感銘を受け、アイラとの残り時間を大切に過ごそうと決意する。
その直後、アイラとはぐれたことに気づき、探しに行くことに。
しばらく探すとアイラは見つかり、そこで彼女から、
「アンディの記憶、戻らなかったんでしょ?」
と切り出される。いずれ記憶がなくなる自分とパートナーでいることが苦しいなら言ってほしいと告げる彼女に、
「ああ・・・苦しいよ・・・苦しくて苦しくて胸が張り裂けそうだ!それでも俺は・・・ずっとアイラのパートナーでいたいんだ!!」
と彼女をきつく抱きしめながら自らの思いを叫ぶ。どうして?と尋ねる彼女に、
「俺は・・・アイラが好きだから」
とついに愛の告白をする。だがしかし・・・
「無理です!」
と拒絶されてしまう。
第9話ではショックのあまり真っ白に燃え尽き仕事も手につかない状態に。そんな様子を見かねたミチルからアイラと引き離され、しばらくの間ミチルの部屋でザックと過ごすことに。
アイラと別々の部屋になった最初の夜、ミチルから「失恋」のショックを口実に公私混同するなとしこたま叱られ、その後は過去のミチルとカヅキとの関係を引き合いに出しスポッターとしていい加減な仕事をするなと諭される。
翌日、アイラから告白の返事はもう少し待って欲しいと言われ(「無理」というのは突然のことで今すぐ答えられないという意味だった)、
「どんな答えを出したとしても、ずっと君のパートナーでだけはいさせて欲しい」
と答える。
別の日の夜、寮の近くの帰り道でアイラの寿命のことを知り1人すすり泣くミチルと出会い、そこでアイラの寿命のことは知っていたのか、告白した前だったのか後だったのか尋ねられ、「前」と答える。
「別れるしかないのよ!なのに何で!?何がしたいわけ!?」
「あんたがやろうとしてるのは、凄く辛い事なのよ!いい結末なんて待ってないのよ!それでも、逃げずに向き合えるの!?」
このような調子で涙ながらに声を荒らげ問い詰めるミチルに対し、
「俺は、アイラとの想い出を作りたい。アイラに、想い出を作って欲しい」
「俺は、最後の瞬間まで、アイラのパートナーでいるって決めたんだ」
と冷静に、しかし力強く自分の決意を告げる。
しかし、その日の夜、自分の部屋を突然訪ねてきたカヅキからアイラとのパートナー解消を告げられる。
第10話ではパートナー解消の理由を教えるようにカヅキに詰め寄るも、社内恋愛は禁止という取ってつけたようなあいまいな返答をされた挙句、コンスタンスと組むように命じられる。
コンスタンスと回収対象との交渉に出かけた帰り、寄り道した喫茶店で彼から昔のアイラとカヅキとの話を聞くことに。そこで今の第一ターミナルサービスの回収のやり方はもともとはアイラの手法であったこと、パートナーだったカヅキもはじめはその手法の意義を理解できずにいたが、アイラとのコンビを解消後には逆にその手法を第一全体でやるべきと第一の全社員を説得したこと、そしてカヅキが今でもアイラのことが大好きであることを、そんなアイラのことをツカサに任せてもいいと思っていることを知る。
そして、気持ちの整理をつけたアイラから愛の告白を受け、それを承諾。2人は晴れて恋人同士になる。
相思相愛となった2人は夢のような楽しい時間を過ごす。職場でも人目をたばからずいちゃついたり、アイラを喜ばせるために何をしようか考えたが、アイラに料理を作ってあげたいと言われた際は「先を越された!」と悶絶したり、一方的に何かしてもらうのは気が引けるということで一緒にオムライスを作って食べたり(第11話)、一緒に映画を見に行ったり、公園で膝枕をしてもらったり(第12話)・・・・・・
・・・・・・しかし、どんなに2人が愛し合っても、時間を止めることはできなかった。
アイラとの別れ。そして・・・・・・
第12話にて、カヅキに新しい回収案件を回してほしいと催促したところ、彼女から案件の代わりにあるものを渡された。アイラの回収同意書だった。
その後も周囲には平静を装ったが、部屋に戻った後アイラに同意書を見せると、彼女との別れを惜しみ動揺する。
「辛い思い、させちゃってるね」
アイラにこう囁かれながらそっと抱き寄せられると、ふと我に帰り意を決し、同意書にサインした。
翌日、アントニオ・ホリゾン所有のサラの回収をもって、コンビとしての仕事は全て終了する。そして第一ターミナルサービスのメンバー(提案したのはミチル)の計らいでアイラの送別会が第一の会議室で開かれた際は、楽しそうに過ごすアイラを嬉しそうに眺める。
会の帰り、回収の際回収されるギフティアにいつも何と言っているのかとアイラに尋ねると、
「大切な人と、いつかまた巡り会えますように」
と答えられる。
最後の日(第13話)、ツカサはアイラと夜通し窓から外を眺めながら、自分と組む前のアイラの思い出話を聞いていた。夜が明けると、アイラとともに寮の自室を大掃除。それから一緒にお風呂に入り、そして最後もいつもどおりしようと会社に向かうも、カヅキたちの計らいで自由に過ごすように言われ、遊園地に向かう。
遊園地では様々なアトラクションを巡り楽しい気分に浸るも、日が沈み始め自分の影が長くなっている様子を見て、ふと我に帰る。今日でアイラを回収しなければならないのだ、と。
閉園間際、アイラがカヅキと組んでいた頃からずっとお気に入りのベンチの前でアイラと人の流れを見つめながら語り合っていると、間もなく閉園の放送が流れる。それを聞いたアイラから手を引っ張られて観覧車の前まで連れて行かれ、アイラが係員と交渉して観覧車に乗れることになり、一緒に乗ることに。
観覧車の中では饒舌なアイラとは対照的に、刻一刻と迫る別れの時を意識して思いつめたまなざしで相槌を打つだけになってしまう。アイラからお互いの好きなところを言い合ってみようといわれた際には、「すぐ転ぶところ」「不器用なところ」「背がちっちゃいところ」などと答える。アイラからはけなされてると思われたが、「好きなところだよ。ちゃんと」とうつむいたまま囁く。いろいろ言い合った後、最後に、
「辛いのに泣くのを我慢して、頑張って笑おうとするところ。そんな笑顔が素敵なところ。でも・・・ちょっと心配かな」
と言われたあたりで乗っている観覧車は頂上に達する。
「私、とっても幸せだった。・・・そろそろ、夢の時間は、終わりなので」
地上に下り始めた観覧車の中でこうアイラに言われると、アイラからギフティア回収用の指輪をみせられ、観覧車が一周する前に回収して欲しいと頼まれる。
その頼みを聞いた後、アイラの前で大粒の涙を流し、彼女に初めて泣き顔を見せた。
そして、観覧車が一周し終る直前にそっと指輪をはめ、
「大切な人と、いつかまた巡り会えますように」
と彼女の耳元でつぶやき、最後の別れのキスをして彼女の回収を終えた。
その後、9ヶ月間の研修でいったん第一ターミナルサービスを離れた後、再び第一に戻り、新しいパートナーとコンビを組み仕事をすることになった。新パートナーに関しては映像では手と足しか映っておらず詳細は不明だが、ツカサが握手をする際しゃがむような動作をしたこと、彼に比べて細く小さな手であること、青年男性型のコンスタンス、女性型のシェリー、少年型のザックがいるため、アイラの代わりとなる少女型の可能性が高いと思われる。