概要
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先代パルス国王・オスロエス五世の嫡子。アンドラゴラス三世の甥であり、アルスラーンにとっては従兄弟に当たる。
本編より柄登る事16年前、パルス歴214年にアンドラゴラスが火事に見せかけてオスロエスを暗殺した際、共に焼き殺されかけてしまうも辛うじて生き残り、隣国マルヤムに逃れた。脱出の際、顔の半分に大きな火傷を負い、それ故に炎を無意識に恐れてしまうトラウマを持つ。
マルヤムでは盲目の第二王女・イリーナと交流、互いに惹かれ合った。
しかし、その地で安寧に暮らす事を良しとせず、父の殺害、そして王位を不当に奪ったアンドラゴラスの復讐の為、前国王の嫡子である自分が正統なパルス王位継承者であると銀の仮面を被って身分を偽り、ルシタニアの客将となってパルスに侵攻させた。その際、国内に潜伏していた邪教・ザッハーク一党の魔導師ととも手を組んでいる。
一部の者には自らの正体と正当性を明かし、アンドラゴラスの忠臣であったカーラーン・サーム達もヒルメスを正統な王位継承者と仰ぎ、臣下となっている。
知略・武勇に長けているが、復讐のために残虐なやり方もいとわず、考え方や言動で視野が狭い節がある。
第2部ではアルスラーンに敗れたヒルメスはイリーナを伴ってチュルクに逃れ、その後も王位奪取のために隣国で暗躍し続け、いく度もアルスラーンと対決する。第1部と比べて、考え方がやや軟化しており、自分がアルスラーンと比べて器量で劣っている点があることや、己の欠点についても自覚するようになった。
原作者の田中芳樹氏によれば、この物語は貴種流離譚を反転させたものと語っており、本来は主人公に多い貴種流離を主人公の敵も貴種流離の立場となっており、二重の貴種流離譚の物語になっている。
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アルスラーン戦記には幾つかの『真実』が存在する。
一つは『銀仮面卿がヒルメス王子である真実』。これは火事を生き延びたヒルメス本人と、彼を匿ったマルヤム王家のみが知り、以降はヒルメスとマルヤム王族(イリーナ)が意図的に流布しない限り広まる事は無い。
もう一つは『アルスラーンがアンドラゴラスの本当の子では無いという事実』。これはタハミーネ出産当時の関係者しか知らない。ヒルメスがこれを知るのはアルスラーンが王位を継承した時、第一部終了後の事である。
そして、隠された三つ目の真実がある。それは『ヒルメスはオスロエスの子供では無い真実』である。
ヒルメスの母はオスロエスの妃である。しかし本当の父親はオスロエス・アンドラゴラス兄弟の父、ゴダルセス。つまりオスロエスの異母弟だったのである。
ゴダルゼスは名君であったが迷信深く、パルス王家に伝わる『オスロエス・アンドラゴラスと言う名の王子』の話を含め占いを盲信した為、オスロエスの妻と関係を持ち、生まれたのがヒルメスだった。
王弟アンドラゴラスは兄からこの話を聞かされ、「ヒルメスを殺してくれ」との懇願に答えたのが暗殺の真実である。この事から真実を知るのはオスロエス・妃・ゴダルセス・アンドラゴラス四名のみであり、最後に残ったアンドラゴラスは口外しないつもりだったと思われるが、彼が生きていた事を知り、かつ復讐に焦がれている様子を見て一度だけ真実を口にする。
以降、この秘密を知るはヒルメスただ一人となる。