まともな物理学用語として
本来は「同じようなパターンが空間を伝播する現象」を意味し、要するに波の事である。
例えば、波の動きを記した方程式は「波動方程式」と呼ばれ、物理学者シュレディンガーが「動く微粒子は振動する」という理論を表した波動方程式「シュレディンガー方程式」で説明される量子力学の一分野は「波動力学」と呼ばれる(もっとも、シュレディンガー自身は後々量子力学の主流解釈に疑問を呈し、有名なシュレディンガーの猫という思考実験で批判しているのだが)。
もっとも、本ページで説明したい意味はこのようなまともな物理学用語ではなく、疑似科学・オカルトの用語である。
疑似科学・オカルトにおいて
昔からあった目に見えない力・エネルギーなどの概念が、オカルト的な考えと結びついて出来た概念であり、「生命エネルギー」に近いニュアンスで扱われる。
これに基づいた偽医療・インチキ健康グッズなどで「波動に影響する」などと称した商品もある。
ちなみに……
物理学用語の「波動」に相当する英単語がwaveであるのに対し、疑似科学用語の「波動」の方はvibrationである。要するに、元々別々の語が日本語に入る際に同じ単語で訳されただけで、両者には全く何の関係もない。逆にまともな物理学用語と同じ名称であるだけに、仮説や疑似科学でしかない段階にありながらあたかも科学的裏付けがあるかのような錯覚を覚えさせるのである。
フィクションにおいて
もっぱら「なんだかすごいパワーとかエネルギー」を指して使われる。
SFものでは、物理学的用語としての「波動」を発展させ、現実にまだ開発されていない架空の高出力エネルギーなどにこの用語を当てはめることがある。(代表格が宇宙戦艦ヤマトの波動砲である)
ファンタジー色の強いフィクション、特に異能バトルものにおいては、本来の意味の「波動」とは意味合いが大分異なる場合が多く、「気合いによる不可思議なエネルギー」的なニュアンスで使用されることが多い概念である。また、気配を感じるときの表現としても使われる。