概要
乳房吊りとは、SMプレイにおける「吊り」の一種で、巨乳の女性の乳房の根元を縄で縛り、天井や樹木などを利用して、乳房だけで全体重を支えるように吊り下げることをいう。乳房を含めて緊縛された女性が吊り下げられただけでは、「乳房吊り」とは言わない。
英語では"Tit Hanging"もしくは"Breast Hanging"と呼ばれる。
SMプレイの中でも拷問(Torture)に類するハードかつ危険なプレイの一つであり、乳房のうっ血を伴う激痛に加え、乳房が垂れるなどといった影響が避けられないことから、精神的な悦楽を追及する日本の一般的な緊縛の文脈で扱われることは多くない。一方で、欧米のSM愛好家のうち、過激性を追求するサークルではプレイに取り入れられる機会がままある。
起源は中世の拷問とも言われるが定かではない。日本国内では遅くとも1980年代にはマイナー系SM雑誌で乳房吊りのグラビアを掲載しているものがある。アダルトビデオで採りあげられた事例は少ないが、1996年に制作された『乳房吊り霧子』(演:紺野霧子)が大手AVレーベル(現h.m.p)からリリースされ、広くレンタルビデオ店に置かれたたことから、「乳房吊り」というプレイの存在がSMマニアの間で知られることになった。
日本国外においては、1990年代後半より、アメリカのINSEXをはじめとする欧米の過激なSMサイトで、乳房吊りを扱ったグラビアや動画などのコンテンツが散見される。
一方、2次元の分野では、商業コンテンツとして乳房吊りを採りあげたものは表現規制の問題もありほとんどない。有名なものではPILのアダルトゲームを原作とする「学園ソドム」OVA版(1998)において、学校を爆弾で支配下においた化学教師の指令により、女生徒の一人である野上雪香が校舎3階の窓から乳房吊りにより吊り下げられ、警察やマスコミなど衆人環視の中、男子生徒の一人に凌辱されるというシーンがある。