性能諸元
艦体構造
日本武尊がそれまでの戦艦と一線を画す点は設計当初から潜水戦艦として計画されていることだろう。ただしこれは設計当時はまだ技術的に無理だった事や、技術確立まで待つと対独戦に間に合わない、ということもあり、とりあえず水上艦艇として建造された。
その後、潜水戦艦へと改造され、(新・日本武尊)さらに最終形態のネオ・日本武尊へ改造された
雛壇式艦橋
前世では大量の対空火器をもっていた大和が急降下爆撃で対空能力を奪われたという記憶から、祭壇のような艦橋に高角砲を装備し、急降下爆撃機にめっぽう強くなった(原作では急降下爆撃の成功した描写がないことからも有効性が分かる)。また同様のものが艦首、艦尾にもある。原作の挿絵での外観は高雄型重巡洋艦の艦橋に大和型戦艦の艦橋を載せたものである(コミック、OVAでは大和型の艦橋そのもの)。
水流防御機構
両舷のバラストタンクを要とした日本武尊独特の防御機構。後世第2次大戦時では流石に完全潜水までは行かないが半潜状態になることが出来た。これを利用して以下のような様々な奇想戦法をとる事が出来た。
魚雷防御
独円盤機ホルス16襲撃時に行った。半潜状態になってわざと喫水線上に魚雷を当て、命中後に浮上し被害区画を応急修理する。なお修理した区画には穴に鉄板を張ってから内部に充填剤を注入する。
沈没寸前偽装戦法
半潜状態になり、煙幕・ガスバーナー等を使って炎上している様に見せ、敵を油断させる。そこへいきなり砲撃をするという得意戦法(ただし、炎上偽装をしない場合もあった。この場合、光学的により小型の艦艇であると誤解させることができる)。
超近距離射撃
片側のバラストタンクに注水し、艦を傾けることによって超至近距離の射撃を可能とする。
砕氷能力
半潜能力をえた事によって可能となった。砕氷戦艦「天手力男」には劣るが、大型の流氷程度なら十分砕氷可能。
機関・推進方式
日本武尊の機関はディーゼル・エレクトリック(出力14万9200馬力)であり、通常はスクリュー推進で27ノットだが、緊急時には水流噴射推進装置(ウォータージェット)を使用しての急加速と、球状艦首(バルバス・バウ)に装備されたバウスラスター、艦尾の水中安定翼によって通常の大型艦では考えられない回避運動をとる事が可能である。煙突は一見、舷側煙突の様に見えるが、実は起立可能である。
可変式メインマスト
最頂部に対空レーダーを装備し、レーダー波を撹乱する水幕をよける為に伸縮が可能。新日本武尊への改装後は屈折式になった。
武装
51cm45口径3連装主砲
後世の軍事技術発達により、他国が大和型の46cm砲を上回る艦砲を作る可能性があったため51cm砲を装備。射程は50km余。前後に1基ずつ2基(OVA後半からは前部に1基を増設し3基)を搭載。前方に射撃する場合は高角砲が前にあるため、水平射撃は不可。
巡洋戦艦クラスを一斉射で沈める威力を有しているが、大口径ゆえに搭載弾数が少ない事、自動装填式だが次弾発射に時間がかかること、大口径のため砲身命数が100発(強装弾使用時)と短いことなどが欠点。
末期になると完全なレーダー連動砲になり、噴進弾発射も可能になった。
使用砲弾
通常榴弾。
炉(ロ)号弾(殲滅弾)
気化弾。対空・対地攻撃用。新三式弾(前世三式弾の改善型)の改良版。
Z弾
前世三式弾と同じ着想のクラスター式砲弾。対地攻撃でも有効と見られるが、もっぱら海戦で使われ、対潜攻撃や魚雷防御の他、ビスマルクII世の上部構造物を破壊し、戦闘不能にした。
B型弾
同じくクラスター式砲弾。Z弾とは違い、対地攻撃で使われる。内蔵子爆弾は炸裂弾、焼夷弾、地雷弾など。吉良邸討ち入り作戦で初使用。成形炸薬型子爆弾(前世ではタ弾とも桜弾とも呼ばれた)内蔵砲弾時雨弾(クリスマス島攻略作戦で戦艦比叡が使用)もこのタイプである。
水中弾
前世九一式徹甲弾もしくは一式徹甲弾の改良型と見られる。水中突入時に被帽が吹き飛ぶ事で水面下を疾走し、喫水下を破壊する。また浅深度なら対潜攻撃にも使える。
対潜攻撃弾
遠距離の敵潜攻撃用。先端がドリル状になっており、回転しながら水中を進んでゆき、至近弾でも敵潜は破壊される。
P弾
対潜攻撃用。目標点上空でパラシュートが開いてゆっくり敵潜に落ちていく。
羽衣弾
かなりの粘着力を持った霧状の気体を出し敵機を操縦不能にする対空弾。第3次世界大戦で使われた。
クラスター式砲弾の子爆弾の代わりにメタンハイドレート塊を散布する砲弾。B型地雷弾を投射後の敵戦車部隊に撃ち、自爆を誘う。第3次世界大戦で使われた。
噴進弾垂直発射機
前甲板に18セルを装備。対地・対艦攻撃用噴進弾を発射する。急降下爆撃を警戒してか、1セル間の間隔が広い。コミックでは発射扉がスライドして発射される。
OVA前半では艦橋側に発射扉が跳ね上がっていたが、後半のスタイル変更後は艦首側になり、外見もMk41と同じものになり、発射管が前部だけではなく後部にも搭載され、1セル間の間隔も狭くなり発射管の数もかなり増えていた。なおセルの数は不明である。
二式誘導噴進弾(六式誘導噴進弾)
対艦・対地攻撃用ミサイル。誘導方式は慣性 + 熱誘導。
1
7.8cm25連装対空噴進砲
後部甲板に4基が格納されている。旋回式で信玄型や尊氏にも装備されている。
15cm65口径成層圏単装高角砲
実質的副砲。8基を搭載。新日本武尊初期は6基が残されていたが最終的に撤廃された(ただし表紙イラストには最終巻まで残っていた)。
10cm65口径高角砲
前世の長10センチ高角砲の後世版。艦首・艦尾に連装型(12基)と単装型(6基)合わせて18基を搭載。
7.6cm単装両用砲 12.7cm単装両用砲
共に10cm65口径高角砲に代わってOVAのデザイン変更時に日本武尊に搭載された単装両用速射砲である。対空・対艦・対地戦闘にも使用される文字通りの両用砲で、発射速度は7.6cm砲が勝るが威力は12.7cm砲の方が高い。富森正因艦長によれば、ハンバー川溯上時の対戦車戦闘の際、7.6cm砲では装甲を撃ち抜けなかったが12.7cm砲では撃ち抜いた。
外見はそれぞれオート・メラーラ 76 mm 砲と 127 mm 砲そのものであり、射撃速度もほぼ同じのようだ。
マ式豆爆雷砲
大戦後半から巡洋艦以上の艦艇に標準装備された対魚雷防御用爆雷投射砲。「爆雷」といっても推進器・誘導装置がついており「短魚雷」と言った方がよい。詳細な搭載数は不明。
コミック・OVA版での砲身の外観はMK108対潜ロケット弾発射機になっている。
防御爆雷
対艦噴進弾防御用。レーザー測遠機で距離を測り、接近したところで爆雷を炸裂させて水柱を当て、撃墜ないしコースを変更させる。
25mm3連装機銃
前世九六式二十五粍高角機銃の後世版にあたり40基を装備。新日本武尊初期には4基が残されている。
この他、電波妨害金属片発射機2基、熱線放射欺瞞弾発射機2基、曳航式対魚雷音響欺瞞装置、舷側格納爆雷投射機を装備する。OVAでのデザイン変更後は口径不明のCIWS(ファランクス)が搭載されていた。