潜水機能を持った戦艦、あるいは戦艦並みの巨砲を搭載した潜水艦。現在のところは男のロマンという名の架空の代物。
例
海底軍艦
大日本帝国海軍が建造を試みていたトンデモ戦艦。ドリル戦艦にして潜水戦艦兼空中戦艦兼潜地戦艦とかいうロマンマシマシ仕様。
新・旭日の艦隊
旭日の艦隊に登場した戦艦「日本武尊」が改装を受けたもの。前作では戦争に間に合わせるため潜航能力は限定的 (半潜水艦) だったが改装によって予定していた潜航能力を得た。
鋼鉄の咆哮シリーズ
「鋼鉄の咆哮2 ウォーシップコマンダー」から登場する超兵器。
ガンダムシリーズ
機動戦士ガンダムSEED
いずれも宇宙戦艦だが潜航能力を有する。
機動戦士ガンダム00
同上。
実在した?潜水戦艦
潜水艦は水中に潜って身を隠せることが最大の武器であり、水上での砲撃戦はその最大の武器を捨て去るものである。このため大口径砲と自身のそれに耐えられるクラスの重装甲をもつという戦艦の特性との相性はまるでよくない。大戦期の潜水艦は甲板砲を積んではいるが、これは商船相手に一撃で大きな破壊をもたらすものの、高価でかさばるためほいほい撃てるものではなく、なおかつまだまだ信頼性も低い魚雷をできればあまり撃ちたくないため積んでいるという面が大きい。
しかし、さすがに大型戦闘艦との撃ち合い目的でないとはいえ、大口径砲を搭載した潜水艦は実在する。
M級潜水艦
イギリス海軍の、ある意味大人気のジョン・アーバスノット・フィッシャー提督の作品の一つ。商船になりすまし、襲撃のため浮上してくる潜水艦を返り討ちにするための囮船、Qシップ対策として開発された。主砲として戦艦主砲である12インチ (30.5センチ) 砲を搭載。したものの構造上砲をほとんど旋回させられず艦ごと回頭して狙いを定める必要がある、一発撃つごとにいちいち再装填のため浮上しなければならないなどの制約があった。
結局第一次大戦で大した活躍をすることはなく、1番艦M1は商船との衝突で沈没、2番艦M2、3番艦M3はワシントン海軍軍縮条約の制約で巨砲を搭載できなくなり、それぞれ水上機搭載潜水艦と機雷敷設潜水艦に改装された。
スルクフ
フランス海軍の巡洋潜水艦。ワシントン海軍軍縮条約の制限のため砲は20.3センチだがこれでも重巡洋艦の主砲であり、潜水艦の砲としては十分でかい。しかもそいつを本格的な砲塔形式、しかもしかも連装で搭載した。最もこいつはこいつで浮上してすぐに砲撃はできないという欠点はあるが。最期はM1同様、商船との衝突によって沈んでしまった。
現代の戦艦?
そんなこんなで大口径砲を大して活かせないうちに大戦はおわり、大口径砲はミサイルにとってかわられ、潜水艦も水中高速潜水艦の出現により大砲を捨て去った。ある意味ここでようやく潜水艦は潜ることもできる艦=可潜艦から真の潜水艦と成ったともいえる。
性能の向上した潜水艦は、港から消えただけで敵海軍に脅威を与える存在であるうえ新たにミサイルを搭載したことで魚雷の射程を超える目標や内陸への攻撃も可能となった。ミサイル自体は発射してしまうと自分の位置を暴露してしまうという砲と同じ欠点を有するが、撃つまではどこにいるか非常にわかりずらいことに変わりはない。
そして、核という新たな火を得たことでいよいよ潜水艦は本格的な戦略兵器となった。酸素不要かつ強力な原子力機関によってその気になれば出航から帰港まで食料の続く限り潜ったままでいられる隠密性を手に入れ、冷戦中、米ソ原潜はそれを活かして対立する陣営の近くの海に忍び込み情報収集活動に勤しんだ。さらに核弾頭付きのミサイルが敵国中枢に大きな一撃を与えることを可能にした。この二つの核を組み合わせた戦略原潜は、保有する国に強力な抑止力 (へたに核攻撃すればその時までどこにいるかもよくわからない原潜から核ミサイルがすっ飛んでくる) を提供するものであり、国防の重要な要素となっている。イギリスに至っては戦略原潜以外の核戦力を全廃してしまった。
潜水艦は今や戦艦に勝るとも劣らない主力艦、戦略兵器であり、米英海軍はそれを意識するかのように、かつて戦艦につけていた名を原潜に受け継がせている。
関連タグ
・架空艦
・モンタナ - SSN-794。一部を除き州名を授かったバージニア級攻撃型原潜の21番艦。モンタナ州はその名をつけられるはずだった戦艦2隻がいずれも計画中止となっており、大戦当時の48州中唯一戦艦名にならなかった州となってしまった。念願かなった…と言えるだろうか。