巡洋潜水艦
じゅんようせんすいかん
巡洋潜水艦とは
- 偵察や通商破壊のため、基地から遠く離れた海域で長期間活動することを想定した大型潜水艦の一種。巡洋型潜水艦、潜水巡洋艦とも。潜水艦砲としては大口径の砲や水上機の母艦機能を持つ者もいた、「水中の巡洋艦」。またソ連・ロシア海軍では保有する原子力潜水艦の等級として使用されており、該当する艦は艦番号に「К」を冠する。
- 大日本帝国海軍に所属した一等潜水艦の分類の1つで、1.として設計された。通称は巡潜、巡戦型。
この項目では2.について扱う。
時は、第一次世界大戦が終焉時したころに遡る。 敗戦国となったドイツの潜水艦技術はとても高く、日本を含む各国はその技術を取り入れていった。
その技術で誕生したのが、機雷潜型と巡洋潜水艦である。
巡洋潜水艦の技術元になった潜水艦は、ドイツ海軍潜水艦U142である。 戦時賠償艦として入手することは出来なかったが、図面を入手したり、ドイツ技術者を招いたことで技術を取り入れた。
そして誕生したのが兵装を日本式にしたU142のコピーである巡潜1型であった。 その後も発展を続け、軍縮条約脱退後には三種類に発展し、大日本帝国海軍の主力潜水艦として活躍した。
模索時期の巡洋潜水艦 巡潜型
巡洋潜水艦の最初のグループ。 後に登場する巡潜甲型、巡潜乙型、巡潜丙型の礎となったグループである。
このグループ内では、水上機搭載ができる艦と出来ない艦が混在している。 また水上機が搭載可能な艦の射出装置は巡潜甲型、巡潜乙型の物と異なり後方に発射する構造だった。
なお、このグループ内の艦艇で終戦時残存した艦艇は一隻もいなかった。
・在籍艦
潜水戦隊旗艦が可能な巡洋潜水艦 巡潜甲型
軍縮条約脱退後、巡潜型から発展して誕生した三種類の巡洋潜水艦の内の一つ。
巡潜甲型の主な特徴は、潜水戦隊司令部設備を持ち、水上偵察機が搭載可能の点で、巡潜3型の発展型として計画された。 ただし、巡潜甲型改二は潜特型の代替として晴嵐が載せられるように改装を行っている。
なお、このグループ内の艦艇で終戦時残存した艦艇は、伊号第十四潜水艦と未成だった伊号第十五潜水艦、伊号第一潜水艦の3隻のみだった。
・在籍艦
伊号第十三潜水艦 伊号第十四潜水艦 伊号第十五潜水艦(2代目)(未成)
伊号第一潜水艦(2代目)(未成)
巡洋潜水艦最大のグループ 巡潜乙型
軍縮条約脱退後、巡潜型から発展して誕生した三種類の巡洋潜水艦の内の一つ。
巡潜乙型の主な特徴は、潜水戦隊司令部設備を持たないが、水上偵察機が搭載可能の点である。 また大日本帝国海軍で竣工した潜水艦としては最多の29隻を誇るグループで、巡潜乙型単体でも竣工が20隻にも及ぶ。
なお、このグループ内の艦艇で終戦時残存した艦艇は、伊号第三十六潜水艦、伊号第五十八潜水艦の2隻のみだった。
・在籍艦
伊号第十五潜水艦(初代) 伊号第十七潜水艦 伊号第十九潜水艦 伊号第二十一潜水艦
伊号第二十三潜水艦 伊号第二十五潜水艦 伊号第二十六潜水艦 伊号第二十七潜水艦
伊号第二十八潜水艦 伊号第二十九潜水艦 伊号第三十潜水艦 伊号第三十一潜水艦
伊号第三十二潜水艦 伊号第三十三潜水艦 伊号第三十四潜水艦 伊号第三十五潜水艦
伊号第三十六潜水艦 伊号第三十七潜水艦 伊号第三十八潜水艦 伊号第三十九潜水艦
攻撃特化の巡洋潜水艦 巡潜丙型
軍縮条約脱退後、巡潜型から発展して誕生した三種類の巡洋潜水艦の内の一つ。
巡潜丙型の主な特徴は、潜水戦隊司令部設備を持たず、水上偵察機が搭載できない代わりに、魚雷発射管と魚雷搭載量を増加した点である。 巡潜甲型・巡潜乙型と異なり水上機を搭載しない仕様としたのは、水上偵察機と搭乗員の不足が明らかになったためである。
なお、このグループ内の艦艇で終戦時残存した艦艇は、伊号第四十七潜水艦と伊号第五十三潜水艦の2隻のみだった。
・在籍艦
伊号第十六潜水艦 伊号第十八潜水艦 伊号第二十潜水艦 伊号第二十二潜水艦