概要
巡潜丙型潜水艦は、日本が軍縮条約破棄後に新たに計画した巡洋潜水艦の内、潜水戦隊司令部設備を持たず、水上偵察機搭載を廃止した代わりに、魚雷発射管と魚雷搭載量を増加したグループの第一陣である。
本級は、水上偵察機と搭乗員の不足の観点から巡潜乙型潜水艦から水上偵察機の搭載を廃止した艦級である。船体は巡潜甲型潜水艦や巡潜乙型潜水艦のような新規設計と異なり、完成を急ぐために巡潜3型潜水艦の流用であった。
武装は、上述した通り水上偵察機の搭載をやめた代わりに魚雷発射管を従来の6門から8門に増大させ、魚雷搭載量も巡潜甲型潜水艦や巡潜乙型潜水艦より多い20本搭載(巡潜3型潜水艦も20本搭載できる)が可能である。
水上の速力も巡潜乙型潜水艦と同等で、魚雷装備周りが強化されているため、巡洋潜水艦版の海軍大型潜水艦と言える存在で、本級の建造計画が立てられたマル3計画・マル急計画では、海軍大型潜水艦の建造計画は無かったので、後継艦と言える存在でもある。ただし、後のマル4計画では新型の海軍大型潜水艦である海大7型潜水艦が建造されているので、完全な後継艦とは異なるとも言える。
終戦時残存した艦は伊号第四十七潜水艦の1隻しかいなかった。
主な特徴
- 機関は艦本式2号10型ディーゼル2基を採用。
- 航続距離は巡潜3型潜水艦と同様の14000海里。
- 機関性能の向上により、巡潜3型潜水艦の水上速力23ノットから23.5ノットに向上している。
- 魚雷発射管の数は従来の6門から8門に増加
- 魚雷搭載量が巡潜甲型潜水艦や巡潜乙型潜水艦より多い20本搭載できる。
- 艦名の数字は、当初は巡潜乙型潜水艦を奇数に偶数を本級として交互に艦番号を割り振っていた。 しかし、巡潜乙型潜水艦の建造数が圧倒的に多かったため交互に付けることはやめ、マル急計画で計画された艦は、同じ計画で計画された巡潜乙型改一潜水艦の最終艦伊号第四十五潜水艦の続番となった。
同型艦
1番艦伊号第十六潜水艦
2番艦伊号第十八潜水艦
3番艦伊号第二十潜水艦
4番艦伊号第二十二潜水艦
5番艦伊号第二十四潜水艦
6番艦伊号第四十六潜水艦
7番艦伊号第四十七潜水艦
8番艦伊号第四十八潜水艦
仮称艦名第379号艦~仮称艦名第381号艦 3隻 ― 建造取り消し
関連タグ
潜水艦
大日本帝国海軍
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