概要
巡潜乙型潜水艦は、日本が軍縮条約破棄後に新たに計画した巡洋潜水艦の内、潜水戦隊司令部設備を持たず、かつ水上偵察機が搭載可能としたグループの第一陣である。
本級は、巡潜3型潜水艦の発展型の一つとして計画された。巡潜甲型潜水艦は巡潜3型潜水艦より大きくなったのに対して、本級は巡潜3型潜水艦より若干小さくなった。
武装に関しては、基本的に巡潜甲型潜水艦と同等であるが、上述した通り潜水戦隊司令部設備は搭載していない。
太平洋戦争中、その長大な航続力を利用して東はアフリカから西はアメリカ沿岸海域に派遣され、日本海軍潜水艦全体の商船撃沈数の4割、総撃沈トン数も42%を占めるに至った。
しかし、終戦時残存した艦は伊号第三十六潜水艦の1隻のみであった。
主な特徴
- 機関は艦本式2号10型ディーゼル2基を採用。
- 航続距離は巡潜3型潜水艦と同様の14000海里。
- 水上速力は巡潜甲型潜水艦の23.5ノットより速い23.6ノットを出せる。
- 従来の巡洋潜水艦と異なり、航空艤装を後部から前部に移動させている。
- 大日本帝国海軍最大の20隻の竣工数を誇る潜水艦(ただし、起工数では42隻の潜高小型潜水艦、特殊潜航艇を含む竣工数では約420隻(諸説あり)の回天が最大を誇る)。
- 艦名の数字は、本級を奇数に偶数を巡潜丙型潜水艦として交互に艦番号を割り振っていた。 しかし、本級の建造量が圧倒的に多く、巡潜丙型潜水艦に割り当てられていた偶数に空き番が多くなってしまい、1941年にこれを詰める形で伊号第二十六潜水艦(元は伊号第二十七潜水艦)以降の12隻は改番されている。
同型艦
1番艦伊号第十五潜水艦(初代)
2番艦伊号第十七潜水艦
3番艦伊号第十九潜水艦
4番艦伊号第二十一潜水艦
5番艦伊号第二十三潜水艦
6番艦伊号第二十五潜水艦
仮称艦名第43号艦 ― 建造取り消し
7番艦伊号第二十六潜水艦
8番艦伊号第二十七潜水艦
9番艦伊号第二十八潜水艦
10番艦伊号第二十九潜水艦
11番艦伊号第三十潜水艦
12番艦伊号第三十一潜水艦
13番艦伊号第三十二潜水艦
14番艦伊号第三十三潜水艦
15番艦伊号第三十四潜水艦
16番艦伊号第三十五潜水艦
17番艦伊号第三十六潜水艦
18番艦伊号第三十七潜水艦
19番艦伊号第三十八潜水艦
20番艦伊号第三十九潜水艦
仮称艦名第153号艦 ― 建造取り消し
関連タグ
潜水艦
大日本帝国海軍
第一次世界大戦終焉から第二次世界大戦末期の1等潜水艦
巡潜1型潜水艦 巡潜2型潜水艦 巡潜3型潜水艦
巡潜甲型潜水艦 巡潜甲型改一潜水艦 巡潜甲型改二潜水艦
巡潜乙型潜水艦 巡潜乙型改一潜水艦 巡潜乙型改二潜水艦
巡潜丙型潜水艦 巡潜丙型改潜水艦
機雷潜型潜水艦
海大1型潜水艦 海大2型潜水艦 海大3型a潜水艦 海大3型b潜水艦 海大4型潜水艦
海大5型潜水艦 海大6型a潜水艦 海大6型b潜水艦 海大7型潜水艦
潜高型潜水艦
潜補型潜水艦
丁型潜水艦 丁型改潜水艦
潜特型潜水艦
第一次世界大戦終焉から第二次世界大戦末期の2等潜水艦
第七十一号艦
海中6型潜水艦 中型潜水艦
小型潜水艦
潜輸小型潜水艦
潜高小型潜水艦