概要
大日本帝国海軍は当初、潜水艦建造に対して攻撃重視の潜水艦を重視し、輸送特化の潜水艦の計画に関心を示さなかった。
だがその考えを変えてしまう出来事があった。ミッドウェー海戦である。
ミッドウェー海戦での大敗により改マル5計画が打ち出され、その時に潜水艦の大増備が計画されたがその数の中には、以前は関心を示さなかった輸送特化の潜水艦である本級丁型潜水艦が含まれていた。
本級は当初陸戦隊110名・物資10トンを搭載し、後部甲板に特型運貨船を2隻搭載する計画であった。
しかし、1番艦の伊号第三百六十一潜水艦が起工した直後の事である。 ガダルカナルの戦いの輸送作戦に通常の潜水艦を使用したが、輸送量がない上、潜水艦の被害は増大した。
以上の点から、当初の陸戦隊110名の輸送を廃し、物資搭載量を艦内125トン・艦外20トンを可能とする輸送潜水艦に変更された(ただし、電池増備の影響で艦内での物資搭載量が65トンに減少したが、魚雷発射管を撤去した艦は艦内での物資搭載量が90トンにまで回復している)。
魚雷兵装に関しては、魚雷を廃することに対し反対意見が出たため2門ほど装備したが、上述した通り物資輸送量を増大させるために伊号第三百六十一潜水艦を除き魚雷兵装を撤去している(伊号第三百七十二潜水艦に関しては他の11隻と異なり、設計変更がされており、魚雷兵装を最初から搭載していなかった)。ただし、大戦末期に大型潜水艦の不足から回天搭載型に改造した艦は魚雷兵装を再度搭載している。
12隻が竣工し、予定通り輸送任務に就いた艦・大戦末期に回天搭載型攻撃潜水艦になった艦があり、武装に違いが出ている。
終戦時残存した艦は伊号第三百六十三潜水艦、伊号第三百六十六潜水艦、伊号第三百六十七潜水艦、伊号第三百六十九潜水艦の4隻だけだった。
主な特徴
- 安全潜航深度は75mまで可能。
- 水上での航続距離は15000海里。
- 水上での速力は13ノット・水中での速力は6.5ノット。
- 水中行動能力が3ノットで40時間可能で、大日本帝国海軍で一番である。
- 輸送量を増大させるためにほとんどの艦が魚雷兵装を撤去している。
- 搭載できる物資の量は艦内65トン・艦外20トン。 魚雷兵装を撤去している艦は艦内90トン・艦外20トン。
- 伊号第三百七十二潜水艦は最初から魚雷兵装を装備しない設計をしていた。
- 艦橋が逆三角形となっていて、電探のレーダー波を海面にそらすようにしている。
- 電探防止塗装の実施。
- 水中充電装置や新型逆探の採用。
- ブロック建造による建造。
同型艦
1番艦伊号第三百六十一潜水艦
2番艦伊号第三百六十二潜水艦
3番艦伊号第三百六十三潜水艦
4番艦伊号第三百六十四潜水艦
5番艦伊号第三百六十五潜水艦
6番艦伊号第三百六十六潜水艦
7番艦伊号第三百六十七潜水艦
8番艦伊号第三百六十八潜水艦
9番艦伊号第三百六十九潜水艦
10番艦伊号第三百七十潜水艦
11番艦伊号第三百七十一潜水艦
12番艦伊号第三百七十二潜水艦
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