概要
大発とは、大発動艇の略で、旧日本陸軍が開発し、旧日本海軍でも運用された上陸用舟艇の一種。
兵員や砲を海岸に陸揚げするためのボートで、船首が倒れて道板になるのが特徴である。海軍も十四米特型運貨船の名で採用し、陸海軍共用となった数少ない兵器の一つでもある。
大発の道板の設計は軍事機密であったが、日中戦争中にアメリカ軍により写真撮影され、米軍の上陸用舟艇LCVPの設計に活用された。
兵員輸送専用で道板を持たない小発動艇(小発、十米特型運貨船)とセットで開発されたが、太平洋戦争では車両や火砲が積めて汎用性の高い大発が主力となり、小発は製造中止になった。 また、九七式中戦車も積めるように大型化した「特大発」もある。
これ以外に、中発・超大発もある。
上陸作戦以外にも、ソロモンなどの南方では連絡やちょっとした輸送などボートとして便利に使われた。魚雷艇を相手とするため武装を施したものもあるが、スピードが出ず装甲もないので苦戦した。
戦後も民間で重宝され、東南アジアや太平洋諸国では、日本軍が遺棄した大発を現地人が再利用する例もあった。現在もラバウルの大発退避壕には、当時の大発が保管されている。
ちなみに現存する自動車メーカーのダイハツ(DAIHATSU)とは関係がないが、同社の前身の「大阪発動機」が大阪の「大」と発動機の「発」を略したものであるため、中国語圏では「大発」と表記される。