青い 霧とたそがれの中に住み
永遠のときを 生きる一族……
概要
永遠の時を生きるバンパネラをモチーフにした耽美で幻想的な世界観と、繊細で絵画のような絵柄、綿密に構成された完成度の高い物語に未だ熱狂的なファンを持つ。作中で200年近い時が流れており、各話に時代考証がされている。第21回小学館漫画賞受賞。
ストーリー
1744年幼いエドガーとメリーベル兄妹は、何者かに深い森の奥に捨てられる。彼らを拾ったのは老婆、ハンナ・ポー。彼女に愛情をたっぷりと注がれ育てられるが、ある日エドガーが老ハンナの正体に気が付いてしまう。彼女は吸血鬼・バンパネラだったのだ。秘密を知ったエドガーはバンパネラにされるが、メリーベルを村から逃すことに成功する。
3年後、エドガーと再会したメリーベルは全てを知り、自らもバンパネラになることを望む。
バンパネラとして生きるのに必要なことは一つ。それは人間のふりをして人間に紛れ、決して正体を気が付かれないこと。気が付かれて心臓に杭、あるいは銀の銃弾を撃ち込まれれば、消えて塵になってしまうのだ。
エドガーとメリーベルは100年以上の時を共に生きるが、1879年、正体を知った医師によってメリーベルは消滅。
悲しみに暮れたエドガーは、メリーベルの代わりに、人間の友人・アランをバンパネラにしてさらっていってしまう。
それからエドガー・アランの2人は欧州を駆けまわって、200年以上のときを生きていく。
主な登場人物
エドガー・ポーツネル (1740-)
年をとらず、欧州各地を放浪し続ける“永遠の少年”。危機を乗り越えるためなら殺人もいとわない残忍さと、救われない人々への愛情をあわせ持つ。メリーベルいわく「とても青い目」をしている。
メリーベル・ポーツネル (1744-1879)
声-いのくちゆか
エドガーの妹。エドガーがバンパネラになったことを知り、自らもそうなることを望む。誰をも虜にしてしまう明るい性格と可憐さをもつ。
ポーツネル夫妻
夫・フランクと妻・シーラは年長のバンパネラであり、身寄りのなくなったエドガーとメリーベルをひきとった。抜け目なく慎重に行動する。
アラン・トワイライト(1865-1976)
メリーベルとポーツネル夫妻が死んだあと、エドガーはアランを仲間に引き入れ、共に旅をする。利己的で人当たりが悪いが、女の子には優しい。
オズワルド・O・エヴァンズ(1735-1780)
声-子安武人
エドガーとメリーベルの腹違いの兄。エドガーとおなじ青い目をしている。人間として生涯を全うするが、その子孫はエドガーたちとたびたび邂逅を果たすこととなる。
キリアン・ブルンスウィッグ(1945-)
声-皆川純子
1959年、エドガーとアランが西ドイツを訪ねたときの友人。好奇心旺盛でリーダーシップがある。バンパネラに血を吸われた数年後、行方不明に……。
各話あらすじ
オムニバス形式で連載されたため、それぞれが読み切りであり、時系列も異なる。
すきとおった銀の髪
14歳のチャールズは、町はずれに越してきた少女メリーベルに恋をするが、彼女はまたすぐに引っ越してしまう。30年後チャールズは町中で、子どものまま姿が変わらぬメリーベルに出会う……。
ポーの村
森で狩りをしていたグレンスミスは、茂みからとび出てきた少女をシカと見誤って撃ってしまう。少女の名はメリーベルといった。彼女の兄エドガーと村人に連れられ、グレンスミスはポーの村に二晩滞在する。
グレンスミスの日記
グレンスミスの娘エリザベスは、父の遺品から日記をみつける。そこにはバンパネラの住む村についての記述が……。エリザベスは激動の人生を日記と共にし、日記はさらなる世代へと受け継がれる。
ポーの一族
1879年、ロンドンから古い港町へと越してきたポーツネル一家。彼らは身体の弱いメリーベルのために、新たなる生贄を探しにきた……。エドガーは貿易商の一人息子アランに目をつける。
メリーベルと銀のばら
幼きエドガー・メリーベル兄妹は、森の捨て子だった。老ハンナ・ポーに拾われ、スコッティの村で健やかに成長していく。村では、バンパネラの噂がまことしやかに囁かれていた……。
小鳥の巣
1959年春の西ドイツ。エドガーとアランは、ある目的でガブリエル・スイス・ギムナジウムに潜入する。ギムナジウムには、「魔の五月」「ロビン・カーの幽霊」という伝説があった……。
エヴァンズの遺書
エドガーは嵐の中、馬車の落下事故にあい、記憶喪失を起こしてしまう。衰弱した彼を看病してくれたのは、兄オズワルドの孫たちだった。
ペニー・レイン
最愛の妹メリーベルを失ったエドガーは、アランをバンパネラにしてしまう。アランが目覚めるのを待つ間、エドガーはメリーベルへの想いに苦しむ。
リデル・森の中
10歳までエドガーとアランに育てられたリデルは、彼らとの思い出を語る。彼女は「リデル人形」と呼ばれていた。
ランプトンは語る
1966年、ジョン・オービンは、エドガーの正体を追うための集会をクエントン館で開く。エドガーは館に火をつけ、逃げ遅れた少女シャーロッテは焼死する。
ピカデリー7時
第一次世界大戦の少し前、エドガーとアランは友人のポリスター卿に会うためロンドンを訪れるが、彼は殺人事件に巻き込まれ、行方不明になっていた。
はるかな国の花や小鳥
エドガーはアランと共に立ち寄った町で、美しい女性エルゼリ・バードと出会う。彼女は10年以上前のひと夏の恋人を想いつづけていて、幸せだという。
ホームズの帽子
1934年、ジョン・オービンは魔性の少年エドガーと出会い、その魅力にとりつかれる。
一週間
一週間、留守番をすることになったアランは、2人の少女と河畔で遊びすごす。
エディス
アランはエドガーにそっくりな少女、エディスに恋をする。エディスはオズワルドの子孫であり、エドガーが殺したシャーロッテの妹だった。
関連イラスト
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エドガー・ポーツネル/アラン・トワイライト/メリーベル/萩尾望都/花の24年組/ヴァンパイア/ロリババア/吸血鬼/少女漫画/シスコン