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「ここからは暗躍の時間だ」


概要編集

CV:松岡禎丞(PV版)


最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い』の主人公。十八歳。

アードラシア帝国の皇帝ヨハネス・レークス・アードラーと第六紀ミツバの息子で第七皇子。第八皇子レオナルトは双子の弟。

親しい人物達からは「アル」と呼ばれている。一人称は「俺」。

それとは別に皇族の立場を隠し、人類の規格外であるSS級冒険者『銀滅の魔導師』シルバーとしての顔を持つ。


弟のレオナルトが帝位争いに巻き込まれ、他の帝位候補者達は皇帝になる為の手段を選ばず、その誰かが皇帝になれば自身や家族、身近な人達までも排除されるので、そうさせない為に弟を皇帝にする事を決意する。

表では無能で無気力な〝出涸らし皇子〟として振る舞い、裏では策略者または冒険者〝シルバー〟として行動し、弟を皇帝にする為に暗躍する。



また、以下の項目全ては書籍版よりも話が進んでいるWEB原作及びそれよりも先の展開が見れるyoutubeでの先行公開投稿の情報なども記載する為、書籍版の読者はネタバレに注意。



人物像編集

生粋の面倒くさがり屋であり、怠惰を貪る日々が日課となっている。無気力(加えて無能とも言われてるが、実際は違う)もといやる気なし、サボり魔、遊び人、自由人と言った、放蕩皇子っぷりを発揮している。その行動は子供の時からであり、担当の家庭教師を務めた多くの秀才達は匙を投げている。その評判はすぐに帝都全体、そして帝国全体にも広がり、ついたあだ名が弟に良いところを全て吸い取られたという意味を込めて『出涸らし皇子』と呼ばれるようになる(他国にもその名が通っている)。

ただし、同時に子供の頃から考え方が冷静かつ大人びており、下記でも述べるが幼少期のいじめの件でアルノルトが前述の思考に基づいた行いを取っていた時、それを見た帝国北部貴族代表ツヴァイク侯爵は彼の大人びた考え及び先を見据えた考えを見抜き、それに心底感服して、臣下としての対応をきちんと取っている(これによりアルノルトは自分の行動は間違ってなかったと自信を持ち、ツヴァイク侯爵を恩人・尊敬する人物として見ている)。


民や貴族問わず、特に帝都の人間から馬鹿にされているが、本人は気にしておらず、寧ろその呼び名及び扱いを気に入っている。ただ、掌返しで接する人間は逆に嫌い信用もしない(アルノルトが能力を発揮してもこれまでの自堕落な行いが消える訳でない、その事実は変わらないなど、能力面は認めてもそれ以外の部分では認められないという風に考える人物及びこれまで同様に態度を変えない人物には信用し、好印象を抱く)。また皇族でありながら簡単に頭を下げるなど、プライドがない。しかし、自分が悪いと思ってない事には基本頭を下げない(シルバーの時は打って変わって自身の実力に高いプライドを持っている)。

上述のようにアルノルトがそういう風に振る舞う事で民や貴族から皇族として扱われず、尊重はされてない及び侮辱され、誰からも期待されない底辺皇子として扱われている。更には陰口やアルノルト本人を前にしても馬鹿にしたり、本来ならどんな相手だろうと皇族ならば表面上最低限の礼節が必要な臣下もとい貴族でさえアルノルトの前で馬鹿にする発言や態度を取っている者が多い(民も礼節は必要だが、臣下ではない上にアルノルトの行動からそのような不満を思われてもしょうがないと、エルナから言われている)。その影響は他国の重要人物が民の前に現れた際、民達は全員膝をつくが、それがアルノルトの場合だと少数しかおらず、大抵は頭を下げる程度で済まされる程である。


当初は皇帝である父ヨハネスはアルノルトに対する侮辱を止めさせようとしたが、アルノルトが何も言わなかったので、これらの事には静観している。また妻であるミツバの放任主義(本人曰く「放任ではない」との事だが、「自由にやる代わりに責任は自分で果たす」と、アルノルトとレオナルトに言い聞かせている)の影響もある。

その代わりアルノルトは皇族の義務を放棄しており、皇子としての身分はそのままに自由気ままに好きなように生きていけるメリットを得ている(皇帝も前述の事から、余程の事がない限りは容認している)。


そんな行動や態度を取っていたので、上述で言ったように一応臣下にあたるギードと取り巻き達から子供の頃にいじめを受けていた。ただ、一部の取り巻き達は強制的にギードに加担させられており、その取り巻き達を守る為、反撃せず耐えていた。この件はアルノルトが早期に皇帝に告げていれば問題が大きくならなかった可能性もあったが、もしこの事を父に話せば、または明るみに出れば皇帝としてその貴族の子供達及び家系を潰す、と言うより皇族に手を出してる時点で大問題な為、結局は潰さないといけないので、立場の低い貴族達は巻き込まれたとはいえ問答無用で罰せられてしまう。

アルノルトの見立てではこれを改善した場合、多くの血が流れるとの事で、ギードへの処罰は歴史ある大貴族の息子である為、最初の内だったら叱責で済み、問題が大きくなっても恐らくある程度の罰で終わっていたと考えられる(しかし、これはアルノルトがギードに僅かな温情があった側面もあり、ギードも最悪消されてもおかしくはなかった)。だが、仮に大きな処罰を与えても取り巻き達が巻き添えに罰せられる事には変わりないので、あまり意味はない結果となっていた。

それらを耐えていた頃、唯一その真意を悟り褒めてくれたのが北部貴族代表のアダム・フォン・ツヴァイク侯爵であり、アルノルトは彼を掛け値なしに尊敬し、「助言が欲しかった」と彼の死を知った際には涙を流すほどの喪失感にさいなまれた。結果、それが彼の孫娘であるシャルロッテとの縁にも繋がる。


大勢の帝国の民達(他国からも評価は低いが帝国と違って一定の礼儀は尽くされている)から馬鹿にされ見下されているが、本人は民の事を考えており(しかし、本人曰く「やらない善より、やる偽善」であり、あくまで基本的な優先順位は家族である)、貴族でない民達、特に帝都の最外層(外側である程貧困層となる)に住んでいる民達の様子を遊びのついででもあるが確認したり、そこに住んでいる子供達に「賭け事」と評して口実を作り負けたらお菓子を買ってあげたり、親に売られ娼婦としてしか生きられない上にその職業柄入れない店がある彼女達の為に「一日を買って愛の宿に連れていく」という名目で外に連れ出して自由を与えている。

帝位争いもざっくり見れば、アルノルト曰く「どうでもいい、下らない兄弟喧嘩」であり、その事で命を落とす民、兵士、騎士に対して何処か負い目も感じている。

また皇族の義務は面倒くさがりな性格故に放棄してると説明したが、帝国が危機的な状況になれば義務を果たそうとする。この事を父からは「今まで尊重をされず侮辱を受ける代わりに義務を放棄したのに、今更(帝国の為に)義務に縛られるのはおかしな話だ」「立派に務めを果たしても過去の侮辱が消える訳ではないのに理不尽だと思わないか?」と、心配されたが、アルノルトは「それも俺が選んだ事」として受け入れており、侮辱されようが帝国の危機には皇族としての責任を果たそうとするなど、全てを受け入れる器の大きさを見せている(ただ、民の事も考えてるが、これはどちらかと言えば帝国の為と言うより家族や身近な人の為である)。

それとは別に冒険者になったのも帝国に住む民達の為でもある(シルバーの項目参照)。それ以外でも責任ある立場になった時は面倒くさがりな一面は鳴りを潜め、全力で物事や状況に対応する。特に藩国で宰相をしていた時は普段とは真逆にサボるどころかまともな休みを取らずに全力で職務を全うしていた。


アードラーの一族については「馬鹿な一族」と思ってもいるが、同時に誇りにも思っており、幼い頃に見た父や長兄の姿には憧れや尊敬も抱いている(幼少期の出来事をキッカケに父の姿に尊敬を抱き、同じ出来事でヨハネスも子供達の中で一番の信頼をアルノルトに寄せている)。

本人のアードラー像もとい神髄は〝心服〟であり、力で脅して屈服させるなどは二流と考えており、「自らの在り方で心と誇りを得て、心を奪うのが略奪者としてのアードラー」だと思っている。


非常に家族想いであり(敵対してる異母兄弟にも基本は見せない甘さをごく稀に見せる事がある)、家族の事となると普段は見せないやる気と能力を発揮する。

家族を守る為ならば率先して身体を張ったり、真っ先に死ぬ覚悟を見せ、自身の事を蔑ろにしてる面もある。この事はフィーネや母ミツバ、竜人族の長も心配している。

特にミツバはレオナルトが皇帝になる未来予想図を描くアルノルトが、そこに彼だけが映ってないような気がすると考えている(後にこの考えが彼の今後の状況によっては当たっている事が判明する)。

自分への侮辱なども余程の害にならなければ見逃しているが、家族や身近な人達に向けられたら、容赦なく徹底的に叩き潰している。実際に今までちょっかいを掛けても受け流してきたギードに対して、エルナを侮辱された際に初めて彼に反撃として殺気を放ち、彼をビビらせ大勢の貴族の前で恥をかかせている(この際一部の貴族達はアルノルトの実力を見抜いてしまう)。

他には親友兼悪友であるガイが貴族の子供と取り巻き達からリンチされた時にはセバスを使って皇族及び騎士団を動かし、その貴族の家系の悪事を全て暴き破滅させている。


家族以外にも優しさを見せる事はあり、上記の貴族の子供達の件や最外層の件を始め、幼少期にエルナの失態を庇って牢に入れられたり、直接的な報酬を受け取らないリンフィアの為に敢えて冒険者の仕事を受け、その手伝いの礼として報酬を与えたり、ミアにも彼女が子供達にお土産を買う際に本来の報酬とは別に大量の金貨を与えている(本来の報酬金だとお店で買い物ができない及び店側がお釣りを出せないからでもある)。

クロエにも古代魔法の貴重・危険性から弟子入りさせた(修得した後のデメリットについて忠告はしており、クロエの意思を尊重した上でクロエの師となる)が、古代魔法を修得しようとしたキッカケが自分と同じく母を救う事だった為、手助けの側面もあった。


しかし弟のレオナルトとは違い甘さはなく、冷静かつ冷徹な判断も取れ、思考の切り替え及び割り切りも良い。例えば同盟国ではないアルバトロ公国が海竜の起こした嵐で海難にあった際、見捨てる判断をしたり(その時はアルノルトがレオナルトに成り替わってた事に加え、エルナの部下であるマルクからの進言もあり、結局救助活動を行っている)、ゴードンに家族を人質に取られ、無理矢理部下になっていたソニアに対しても気にかけていたとはいえ、一応敵対勢力でもある上、アルノルトが暗躍中でもあったので正体を隠して敢えて厳しく突き放し、ゴードンからの救出も後回しにしている(その段階ではまだそこまで手を回せない状況だった上、仮に行動を起こしてもソニアしか助けられなかった為)。

またレオナルトが悪鬼化した人間達を救う際も口出しや手出しはしなかったが(救う手段を取った際には、バレない工夫をして魔法でレオナルト本人に叱咤激励している。尚、アルノルトの狙い通りレオナルト本人はこれを幻聴と認識している)、その行動にはレオナルトらしいと納得しながらも、それによる大きなリスクから「馬鹿な奴だ」とも評している。

同様に姉リーゼロッテによればアルノルトには「助ける基準」があるらしく、姉曰く「助けるだけの能力、大義、信念を持っている者」のみにアルノルトは手を差し伸べるようである。

また家族の事を第一に考えてるが、状況によっては囮にしたり、護衛を付けさせない(付けられない)、救出の優先順位を低く見積もる時もある。


皇族の中もとい兄弟全員の中では父であるヨハネスに一番似ている。実際にアルノルトの性格と行動や癖などはヨハネス譲りであり(「余裕を見せてる相手の余裕を奪う」「無能を演じる」「遊び人気質」など)、また母ミツバの大局を見極める冷静さ、計算的な思考も受け継いでおり、他者を優先する部分は両親譲りである。

弟のレオナルトの場合は両親や兄よりも異母兄である長兄ヴィルヘルムに似ているとされる。


レオナルトとの関係

弟のレオナルトとは性格は反対だが仲は良好で、その優しい性格を知っている為にアルノルトは弟が皇帝に向いてないと思ってる。しかし同時に期待もしており、レオナルトなら長兄ヴィルヘルムを超える(これまでの帝位争いとは違う別の道でアードラーを変える)皇帝になれるとも信じており、その分レオナルトに対し厳しく見ている所もある。同様にレオナルトを皇帝にする事には積極的だが、アルノルトは自身の帝位には一切興味がなく、それに関する評価は皇族の中で最下位である。また自身の評価を下げる及び嫌われ役を進んでやる事でレオナルトの評判を上げるスタンスを取り、調整役として行動している(ヴィンが軍師になってからは止めている)。

レオナルトも兄の能力や人柄を信頼しており、長年身近で兄の才能を見てきた為、一層兄に負けないように努力を積み重ねていった。更にその信頼から悩みがある度に兄に相談をしており、毎度為になる返答を貰っていた。

また双子特有の感覚による意思疎通能力は味方がドン引きする程のレベルを誇り、軍師のヴィン曰く「(かなり優しめに言って)気味の悪い双子だ」。

詳しく言うなら「互いに遠方かつ連絡の取れない状況で軍レベルの連携が取れる」「先天魔法による、音を使った意思疎通が図れる他国の双子の姉弟を上回る程の意思疎通が可能」と、魔法さえも凌駕する位の離れ業を身に付けている。ただし、どちらかと言えばこれはアルノルトの天性の物事の流れを読む能力によって出来る芸当であり、アルノルトがレオナルトに合わせて行動を取っているに過ぎない(実際に作中もそのように述べられており、作者も同じ回答をしている。しかし、レオナルト側も兄を信頼する必要はある)。

帝位争いが進んでいく中で、帝国南部での問題を解決した後に皇帝から(名付けたのは宰相のフランツ)、アルノルト・レオナルトの両名の事を指す異名『双黒の皇子』を与えられる。他国にもその異名が広まっていき、自分達でも名乗っている。



容姿

黒髪黒目で、顔はかなり整っている。

顔は双子故に弟と一緒だが、レオナルトと違って身嗜みがいい加減であり、「覇気がない」「精悍さに欠ける」等言いたい放題言われている。更に顔は一緒と述べたが、細かい部分では相違点があり、レオナルトとの見た目の違いは、特に目つきの鋭い所や、他にも猫背で髪をぐしゃぐしゃにしている点で異なる。ただ目つきを変え、身嗜みをしっかりすれば完全にレオナルトと瓜二つとなる。

またアルノルトの場合、隔世遺伝により初代皇帝に顔が似すぎている。



恋愛

作中ではフィーネ、エルナ、オリヒメ、シャルロッテ、クロエ(正確にはシルバーに対して)から恋愛感情を抱かれているが、本人は恋愛には興味を示してない(初恋はエルナだが、今現在は大切な幼馴染みとして見ている)。

また本人は「影響力が強い人間とは結婚するつもりはない」と答えており、前述の五名は影響力が強い。

皇帝には帝位争いが終わるまで「結婚する気はない(誰かを幸せにする自信がない)」、物語の序盤でレオナルト相手には「美人な妻を迎えて遊んで暮らす」とそれぞれ答えている。しかし、これらは方便らしく、作者によればSS級冒険者として活動してる限りは恋愛方面には興味関心を寄せない(持ってない)との事。現にミツバはアルノルトが「家庭を持つ気がない」と見抜いている。

つまり物語開始時点(及びそれ以前)から、恋愛そのものには無関心であった模様。



能力編集

大半の人間から無能と見られているが、実際には〝能ある鷹は爪を隠す〟を体現している能力の持ち主(作中でもアルノルトの事をそう評している)で、その実力は作中の登場人物達の中でもトップクラスであり、皇族の中では一番の才能と素質を誇っている天才にして傑物。また暗躍がメインである為、「敵を騙すなら味方から」を地で行くスタイルを取っている。

様々な人材の血を集め、その力を高めたアードラーの一族だが、アルノルトは歴代アードラーの集大成と言える存在である(古代魔法に関しては一種の先祖返りでもある模様)。

表向きは弟のレオナルトが「天才」「万能」と評価されているが、実際にはアルノルトの方が天才かつ万能的な能力を誇っている(武術は除く)。

レオナルトの場合は才能はあるにはあるが、どちらかと言うと「秀才」「努力家」の側面が強く、アルノルトの能力を知った人物達は前述の評価を下している(レオナルト本人も自身の評価を「不器用」と評し、兄の能力と生き方には才能を感じて羨ましく思っている)。

ちなみにレオナルトが明確に兄に勝っているのは剣術とカリスマ性(ただ下記で言うように質では劣る)である。身体能力も勝ってはいるが、魔力や魔法の強化によって結果的に圧倒的な差を付けられている。

大半の人間には無能に見えていると言ったが、ごく一部の人間には警戒されたり、実力や人柄を高く評価されたり、能力を見抜かれてたりしている。そんな人物達の評価を総評するとアルノルトは「曲者」との事。

作中でもアルノルトの実力を初見で見抜けたのはごく一部かつ、トップクラスの切れ者のみである(古代魔法関連に関しては見抜かれてない)。実際にその実力をエリクとヴィルヘルム(ダンタリオン)は帝位を目指す皇族の中でも最大級に警戒し、アルノルトを〝真なる難敵〟として認めており、自分達の貴重な切り札を使う程にアルノルトを排除しようとしていた(実行されるまでは相手の存在や手段の詳細は不明だったが、アルノルトは予め何か仕掛けてくる事は読んでいた為、敢えて自身に注意を引き付け、更に偽装前提の策を立てていたので騙す事に成功している)。

皇帝になる為の素質は充分に備わっており、素質だけならレオナルトはおろか他の候補者達やそれ以外の皇族と比較しても、その中で一二を争える位には高い素質を秘めている。レオナルトも兄の方が皇帝に向いてると考え、また宰相であるフランツの見立てでは、「陛下はアルノルト殿下を自身の後継の皇帝にしたかったのでは?」と考え、ヨハネス本人に問いている。

ただし、皇帝になる者には意欲及びやる気がないと皇帝にはなれない(なってはいけない)と作中でも度々言われており、アルノルト自身やる気がないので、結局その素質は皇族としては宝の持ち腐れになっている。

作者によると、やる気さえあれば大体何でもできるポテンシャルを秘めている。

作中セバスからも「やろうと思えばという条件付きで、何でもできてしまう」と評価されている(レオナルトも同じ評価をしている)。


帝都での反乱を機に、隠してきた能力を発揮する状況になった為、徐々に実力を見せつける事になり、周囲の評価もかなり上がっていく事となる(本人としてはこれは不本意で、帝位争いがなければずっと出涸らし扱いでも良かったと答えている)。

特に帝都での反乱で防衛の立役者として活躍以降は、ゴードン討伐で皇族と関係が最悪な北部貴族を纏め上げ戦功を立てた事に加え、その後に北部全権代官として皇族と北部の関係改善及び領土の統治を成功させた事で、帝国で一定の功績がないと貰えない帝国銀十字勲章(上から二番目に高い勲章。最低ラインの銅でさえ、生きてる間で貰えるかも非常に難しく、それ程に名誉ある勲章。今の所これを贈られた現皇族はアルノルトとリーゼロッテのみで、後者はアルノルトよりも授与されるまでの時間が掛かっている)を授与し、一時的に質だけならば、レオナルト以上の功績を立てている。

また王国が悪魔によって大陸の敵となった際には帝国、連合王国、王国(王都以外の軍人達)による連合軍の総司令官に就き、軍内に圧倒的な指揮と策を発揮し、実力を見せつける。勲章を授かって以降も軽んじてた人間はまだ多くいたが、連合軍の総司令になった事でそれを知った外部の人間達はアルノルトが傑物である事をようやく理解する。


本編の十年後には初代皇帝と同じくアードラシア帝国艦隊総旗艦の名前に自身の名前が使われており、『出涸らし皇子』と侮辱されていた時の評判から一転して、帝国の象徴の内の一つと言っても過言ではない位の名声を得ている(悪魔との最終決戦時には、ミツバ曰く「(戦いが終わった後には)初代勇者と同じ扱い」)。



  • 身体能力

アルノルトの数少ないセンスが低い能力の一つ。

城での稽古をサボっていた為、自他ともに認める程の貧弱さ、体力のなさとなっている。

セバス曰く「一般人以下」。

冒険者として活動しているので、相手の動きを予測は出来るが、魔法で強化しないと身体の方が追い付かない。

その貧弱さは剣をまともに持つ事ができない上、女性であるフィーネを抱える事すらもできない(書籍6巻表紙ではフィーネをお姫様抱っこしているが、魔力または魔法で強化している)。

身体能力は低いが、運動能力は幼少期にイタズラ等で追いかけられた影響(主にエルナから)で平均ぐらいはあり、またそれによって走ったり、飛んだりする事は得意。

素質が二流レベル程らしく、しっかり鍛えてたとしても高い能力を得られなかった模様。ただ、後述の武術のセンスと比べるとまだかなりマシな方であり、ちゃんと鍛えていたなら今よりも身体能力は上がっていた。

だが、魔力を使った身体強化や古代魔法による身体強化ならば人類の規格外レベルに跳ね上がり、人外の身体能力となる。特に後者の方は全力で使用すればエルナに匹敵する身体能力に変化し、体力や五感もそれに見合う程に高まる。やる気がないのもあるが、魔法の力によってお釣りが来る程に補える為か、冒険者になって以降も身体を鍛える事はしてない。

  • 武術(剣技・体術)

城では剣術の指南があったが、こちらも稽古をサボっていたので、セバス曰く「子供のチャンバラの方が安心レベル」。

それ以前に本人も認めているが、武芸に関しては致命的なレベルでセンスがない。だが、本人の天才的な観察力によって技の原理自体は即座に理解しており、肉体と技量が備わっていれば武術の再現はできる。

身体能力と違って剣術や体術等をどれだけ鍛えても技量は上がらない(上がりにくい)ので、アルノルトは身体能力面と同様に切り捨てている(ただ、エルナに身体の脱力によるダメージ軽減の技術の手ほどきは受けており、実行はしてる模様。更に初代勇者の奥義だけはかなりの努力を重ね修得している。作者によると剣術を鍛えてたら、「嫌らしい剣士」にはなっていたとの事)。しかし、エルナの剣術を幾度も見てきた為、エルナの真似事は可能であり、その剣技だけは様になっている。

魔力または魔法で身体能力を強化しても元の武術は同じで、やっても多少マシになる程度である。一応武の技術面を補える魔法を修得しているが、デメリットが余りにもデカいので実戦では使わず、大抵その魔法を使う状況はレオナルトに扮してる時だけである。

だが、前述で言ったようにエルナの剣術だけは様になっており、その影響で身体能力が高まればエルナ及び勇爵家の剣技を一定の技量で再現はでき、そして初代勇者の奥義も修練を重ねた上で魔法で身体強化(通常よりも強力な物)する事で完全再現に成功している。

  • 頭脳

類稀な才能の1つで、後述の『古代魔法』に匹敵する、アルノルトのもう1つの武器。作中でもトップクラスの頭脳の持ち主で、皇族の中でも突出した優秀な頭脳を誇る次兄エリクに匹敵する明晰な頭脳を持つ知恵者及び見識の広い賢人。

上記の身体の鍛練や武術と違い、しっかり勉強をしていたが、あくまで本人が本当に必要なものや今後役立つと目を付けたものに限り、それ以外は普通にサボっていた(サボっていたものに関しては、ほぼアルノルトが身に付けていた、自分の力で事足りると判断したものばかりである)。

また曾祖父グスタフから謀略や軍略等についても学んでいる。

戦術・戦略を始め、政略、決断・判断力、交渉、話術、奇抜・柔軟な発想及び機転、駆け引き・騙し合い(権謀術数)、計画性、洞察力による予想・予測、知識、理解力、人材の運用、領土の運営、これら全てが非常に卓越しており、超一流の域にある。

敵対した者達はアルノルトの知略に最高峰の評価を下し認め、同時に警戒もしている。作中では様々な奇策であらゆる盤面の大半を掌の上で操っており、自身の望む展開を実現させている。

その事で搦め手ばかりに目が行きがちだが、様々な局面での正攻法も実は強く、その力量は帝位争い最強の敵対勢力にして、兄弟きっての頭脳派であるエリクと互角であり(状況によっては僅かに劣る)、そして得意の奇策ではエリクを明確に上回る程。また同じく後述でも説明するが、洞察力及び観察力や勘の鋭さ等でも上回ってる。

とはいえ、全てが完全に計画通りに言った訳でなく、中には予想外の出来事で事態が悪化したり、味方の余計な行動で状況や対応が面倒になったりする場面もあった。

ただ、それらもアルノルトの得意とする機転の高さによって良い落とし所に持っていき解決している。

普段は冷静沈着かつ慎重な策を用いたり、どう転んでも良いように保険をかけるが、時には大胆な策を用いて周りを引っ掻き回したり、一見周りから策が悪手に見えてもその策を良手に持っていく事が出来るくらいに柔軟な思考性を備えている。


本人の多彩な知略の根源となっているのは全体的に物事を俯瞰して観る〝読み〟であり(作者曰く「大局(物事)を神の視点で観ている」)、戦局、政局、人心等、あらゆる局面で恐ろしい程に相手の動きを読める洞察力が最大の武器となっている。特に人の感情をも計算に入れて先を読む予測や予想をしており、それにより状況に適した策を組み立てられるのと同時に人材の扱いが非常に上手く、敵味方の動きをも察知できる。

ヨハネス曰く「他者の扱いも上手いが、自分の扱いはもっと上手い」。

計画や陰謀なども集めた情報と相手側の行動パターンから推察して何度も正確に当てたり、状況分析も相手側と同じ立場になった体で思考し、物事の先の展開を読んでいる。そして、それらを逆に利用した機転も度々披露している。


知識も多種多様に秀でており、政治や軍略等だけでなく、冒険者としても活動する為、モンスターの種類や習性に特徴や生態にも詳しく(二百年以上も冒険者をしているエゴールと同等以上)、薬の知識はそこらの薬師も上回る程に優秀。


観察力自体も作中随一で、病状を知っていたとはいえ相手の動きで病がある事を見抜いたり、態度と行動から反乱兵と味方を明確に区別したり、魔王によって力を強化された存在であるダークエルフの幻術と死体を用いた聖女の偽装死体も見抜いてたり(皇族で見抜いたのは二名だけで、始めはアルノルト、その次にトラウゴット)、国宝級の虹天玉も本物と偽物を見分けられ、SS級冒険者ノーネームが代替わりしている事も看破している。

また遠巻きで見ただけで、悪魔によって生み出された偽人兵の特性及び弱点を即座に見抜いた上で対抗策も直ぐ様編み出している(作中でもトップクラスに入る程に優れた頭脳を持つアンセムとウィリアムは直接対峙したのにもかかわらず見抜く事ができず、策も直ぐに編み出せてない)。その観察力は直接戦闘でも活かされ、相手の動きで技の特性や敵の狙い等を完璧に見抜いている。同時に武の技の原理をすぐに見抜き理解できる。


軍略は司令官(参謀)・指揮官の両方に適性があり、本人の戦術及び戦略は相手の隙を作りだす事を主に考えている。

その実力は歴戦の将軍であるゴードンや、大陸でもトップクラスの知略と実力を誇る連合王国の竜王子(現在は竜王)ウィリアムに、大陸でも三指に入る王国の知将にして第三王子であるアンセムを出し抜き、敗北に追いやっている(三人共にアルノルトよりも実戦指揮の経験はかなり積んでいる)。

人の感情を視野に入れた策の思案や洞察力・観察力などを総括した軍を率いる将としての実力は、歴戦の猛者かつ長年ヴィルヘルムの補佐を務め、多彩な分野問わず頭脳面なら明確にヴィルヘルム以上の能力を持つエリクよりも上回っている(実際に実現はしなかったが、王国との決戦でエリクが元帥だった場合、エリクの策では三重の意味で失敗していた場面があり、アルノルトの場合、王国の策を予想し的中させ、柔軟な思考及び人の感情を勘定に入れた、策と指揮能力により圧倒的な戦果を挙げている)。同様に帝国元帥で『姫将軍』と呼ばれている長姉リーゼロッテをも超えている。

軍を率いる経験自体は余りないが、帝国随一の軍の実績を持ち知将にして武勇を誇っていたローエンシュタイン公爵に「経験豊富な知将」と言わしめる程の実力を身に付けており(元々の才能の高さとグスタフの指導による成果)、アンセムには「脅威度は帝国の姫将軍以上」「レオナルトと組めばヴィルヘルムを超える」と評価され、ヴィルヘルム亡き今はアルノルトに敗北した事も相まってライバル視されている(ただ、アルノルトには古代魔法もあるので、武力・知力の部分での総合力では兄ヴィルヘルムを既に超えている。また自身が戦闘をせずとも魔力や魔法で味方を強化したり、支援補助や敵の妨害もこなせるので、制限がない状態なら単体でも完結している)。

三つの国による連合軍の総司令時には、今までと違い主導する立場になった為、その戦域全体を自由自在に操り、その手腕を見たウィリアムは戦慄し、特にその駒(人材及び軍の部隊)のコントロールはアンセムやウィリアムでも極めて困難な芸当を披露している。しかも自身ではなく平凡な能力の者を巧みに操り(具体的には平凡な能力の者でも実行できる策を僅かな情報のみで直ぐに編み出している)、それを実行・成功させている。更に将軍であるレオナルト、アンセム、ウィリアムをも掌の上で操って互いに焚き付けさせて戦果の向上を図っている。


集団を率いる統率力も非常に優秀。場の流れの読みと人の扱い方を熟知している為、自分の事を認めない相手にも巧く焚き付けて操るのでレオナルトから「いつもどうやって人を動かしてるんだ?」と困惑されている。


奇抜な発想も活かされており、その柔軟な考え方により、日常では全く使えない失敗作の魔導具も戦場で役立つと目を付け有効活用し、王国戦では海上戦にて自身が乗る旗艦に搭載されている兵器を活かす以外全く役に立たない随伴船に対し、天隼を載せて航空戦力の輸送船に変えて海上戦での対応力を高める事に成功している。


流れの軍師グラウに扮してた時も少しは魔法を使ったが、ほぼその知略で帝国一万の軍隊を一千の急造兵(半分は素人な為に数は十倍、戦力差はそれ以上で、圧倒的に不利な状況だった)で撃退している。

公国でも不利な状況からジュリオ公子をサポートしつつアンセムとの戦いに勝利して、帝国とアルバトロとロンディネによる三国の同盟に成功している。


政略はフィーネを狙い、アルノルトを潰す目的で動く若手貴族の集団『白鴎連合』に対し、普段侮られてる事を逆手に皇帝から視察の許可と皇帝自らが認めた証として専用の指輪を借り用いて、『白鴎連合』の貴族達と協力者達の店に出向いて敢えて不敬を働かせ、皇帝からの使命と言う名目(アルノルトが皇帝の代理として視察を行っている為、この場合は「皇帝への侮辱及び蔑ろ」という風になる)で貴族達と協力者達を逮捕している。また根回しで協力者達の借金を内密に立て替えて、立て替えた本人に「不義理を働いた」という体裁で借金をした店を潰したり、貴族達が運営していた店を全て買い取って資金源を奪っている。

藩国で宰相として働いていた際も、藩国の王となったトラウゴットの基盤と支持を磐石にする為、トラウゴットを完全に信用してない者達に恩義を感じさせるようにトラウゴットが釈放する事も計算に入れて、その者達が行った不正を理由に家族を含め捕らえている(ただ信用してない者達は汚職をしてるが民を守る為に仕方なく手を染めた者達が殆どである)。またそれと同時に自身は藩国の前王側にいた力の強い悪徳貴族達を纏めて排除する為に、保身目的で接触してきた重臣貴族の賄賂を受け取り、敢えてその際の不正の証拠も残して後々トラウゴットに提示して確実に捕らえられるように動いている。

これらの行動はトラウゴットと内務大臣と決めた策(発案と実行者はアルノルト)であり、最終的にはアルノルトは帝国に戻らないといけないので、貴族の家族まで逮捕した強引な行動と前王側の重臣達からの賄賂の受け取りはアルノルトを表向きに追放しやすいように自分自身が仕向けた事である。これにより僅か一年で藩国の悪徳貴族を全て排除している。


交渉能力も高く、忠義の問題から帝国から敬遠され、自分達も命令以外で自発的に動かなかった扱いが難しい騎士団ネルベ・リッターに対し、彼らがまだ「活躍の場所を求めている」「必要とされている事を欲している」と、直接言い当てた上、弟を守りたいという想いを話して騎士団長であるラースの信用を勝ち取り、その後に身体を張った盟約で騎士団そのものの信頼を勝ち取っている。同じく長兄ヴィルヘルムの件で帝国から冷遇されていた北部貴族(北部領全体)に対しては、その代表であるローエンシュタイン公爵に自身の地位を賭け(同時にアルノルトは自身の手柄を公爵が全て行ったように細工している)、その後には北部貴族全体にも自身の事をダシにし発破を掛けて、彼らの盟主に就く事に成功している。

  • 人心掌握

単純なカリスマ性はレオナルトに劣るが、アルノルトの場合は必要な人材及び才能ある人材に向けての人望はレオナルト以上である(分かりやすく言えば量及び誰でも惹き付けやすいのはレオナルト、質及び非常に優秀な人材を惹き付けやすいのはアルノルト)。

その人との打ち解けやすさにはレオナルトも「自分にはできない芸当」と評しており、実際それにより、レオナルト陣営の優秀な人材達や一時的な協力者はアルノルトの人望によって集められている。

  • 精神

基本常に冷静で子供の頃から大人びた思考を持ち、今現在は老人と言われても遜色ない程に成熟している。が、ある意味ブッ飛んでもおり、危機的状況でも笑顔で相手と交渉または挑発を掛けたり、皇帝の前で堂々とレオナルトに扮する(これはやり過ぎれば信用を損なう行為にあたる)、相手が自身の力量と目的に気付くと見越して自ら人質になる、レオナルトが絶対に助けに来ると信じ分かっていたとはいえ、城から笑いながら飛び降りる、策の為に敢えて自ら危険に晒される及び囮になる(挙句の果てには自分を暗殺させる)など、常軌を逸している。基本これらは魔法が使えない状況下(正体を露呈しない為)でそうなっており、自身の戦闘手段を封じられて尚余裕を見せる凄まじい胆力を発揮している。

  • 演技力

長年遊び人のような行動を取って『出涸らし皇子』として馬鹿にされていた為、自身の実力を周囲に隠す事に成功し、裏での暗躍を行いやすくなっている。これにより大半の者はアルノルトを侮り、その油断の隙を突かれたり、本来の実力を発揮出来ずにアルノルトに遅れを取ったりしている(ただ全てが演技ではなく、遊び人気質は元来のもの)。またレオナルトと入れ替わった際は余程近しい人達でなければ見分けられない程に違和感がなく、入れ替わったモデル元よりも完璧以上に本物を演じられる(偽物が本物以上に本物に成りきる)と言う、ある意味訳の分からない演技力を披露している。ちなみに弟が扮するアルノルトの演技力は、エルナ曰く「五十点」。

シルバーとして活動する時も口調や態度を変え、そこに〝王魔の銀仮面〟または幻術で偽る事で別人として周りから認識されている。

  • 魔法・魔力

人類最高峰の才能と素質を誇り、文字通り大陸最強の実力者である。特に魔力総量は膨大な量を秘め、作中随一の魔力量を保持している(その量は規格外で、魔法が現在よりも栄えていた、古代魔法文明時代の王族達にも匹敵する程)。

当初はその膨大な魔力量から周囲は勝手に期待していたが、現代魔法に適性がないと判明したら勝手に落胆された(内心アルノルトは周囲が勝手に期待して勝手に失望した事にはイラついたようで、本人は魔力量の多さについては割とどうでも良かった模様)。尚、現代魔法に適性がなかったのはアルノルトの魔力制御不足と現代魔法側がアルノルトの魔力スペックに追及出来なかった事が原因。

より詳しく言えば、アルノルトは魔力の制御が下手と言う訳ではないが、現代魔法の発動条件に必要な魔力が十とするならば、彼はそこに魔力を百の位まで過剰に注ぎ、現代魔法側が魔法として発動する前に耐えきれない為。かといって百より下げて魔力を注ぐ事は出来ず、アルノルトは百の位までが限界であった。しかし、古代魔法の発動には最低限でも約百の魔力が必要であり、アルノルトはこの条件を満たしていたので使用でき、余剰に魔力を注ぎ込んでも問題がない(古代魔法を修得して鍛練を積んだ後は、魔力消費を抑える技術を会得し、更に魔法の威力を弱める事でも発動消費を抑えられるようになった)。


古代魔法の修得条件は、古代魔法が記載された文献(魔導書)を読み解ける素質(正確には素質がある者以外に読む必要がない為、そういう仕様になっている)及び理解力と規格外の魔力量を持つ才能が必要となる。

古代魔法に関しては天才的かつ器用で、修得には長くても三日、最短で一回読んで試しの発動でモノにしており、師匠であるグスタフはそれを目撃した時は引き気味な反応を示し、古代魔法の修得期間を聞いてきた弟子のクロエはショックを受け落ち込んだ(しかも、アルノルトの場合、クロエと違って相性の悪い系統魔法でありながら一度にそれを複数個も同時に修得し、発動に一発で成功している)。

また古代魔法の影響で魔法及び魔力の感覚にも非常に優れており、微細な魔力の変化も感じ取れ、それらの痕跡を見抜く、魔法修得の際に相性を判別できる、コツを掴む等に活用できる(描写的にこの感覚はグスタフやクロエよりも優れている模様)。

同様に魔法に対する耐性もそれに見合う程に強い。

更にグスタフの指導によって魔法の知識は非常に豊富で、魔導具についても詳しい。

古代魔法に関しては師匠であるグスタフよりも圧倒的に才能に秀でており、そして互いを比較すると、アルノルトは魔力量、魔法の効果では上回り、グスタフには魔法の修得数や知識に魔法制御の面では劣っている(制御に関してはアルノルト本人も知らなかった秘密があるので、それを考慮すれば実際は上と言える)。

弟子のクロエには全ての面で勝っているが、彼女の場合は不器用及び適性が偏った特化型かつ剣士でもある為、純粋な魔導師であるアルノルトとはベクトルが違う影響もある。ちなみに魔力量は二倍程の差がある。

しかし、何よりもその才能の真価はアルノルト本人も知らなかったが、長年極限にまで魔力を封じられながらも成長し、その状態でSS級冒険者に君臨していた事である(詳細は後述)。

普段は魔力を抑えており、これは冒険者としても活動するので魔力量の減衰で正体がバレないようにする為。日常では魔力を抑え、冒険者として活動する時はある程度抑制を解いている。

魔法の発動も感知されない程に発動気配の遮断にも長けている(見抜けるのは魔法の感性に優れ、その魔法の影響下に入ったエルフ及びハーフエルフ、観察力などに優れたSS級冒険者など)。

古代魔法を扱う皇族は過去の狂帝(悪魔に肉体を乗っ取られた曾祖父グスタフの事。当時の人間達は皇帝が古代魔法の研究の末に狂ったと認識し、真実を知らない)の影響によって帝国、主に皇族の間では禁忌となっており、その所為でアルノルトは古代魔法が使える事を隠している。


アルノルトが古代魔法を修得するキッカケになったのが母ミツバの病を治療する為。

ミツバの病はどんな医者でも匙を投げ出しており、アルノルトは治療法を探し様々な書物を読み耽り、その過程で古代魔法に傾倒した曾祖父グスタフの事を知る。それを中心に調べあげていくうちに古代魔法による秘密の部屋の存在も知り、その部屋を見つけ本に封印されていたグスタフを解放し(封印されていた事自体はこの時点のアルノルトも知らない)、その礼としてグスタフから弟子として扱われ、古代魔法の修行をつけてもらえるようになる(母の治療の為と言う理由も教授のキッカケになっており、それ以外の目的だったならば恐らく弟子入りは見送られていたと考えられる)。また秘密の部屋を見つけるまでは古代魔法については学んでいたが、古代魔法に適性があった事は本人も認識していなかった。

当初は母の治療に適してそうな魔法のみを会得するつもりだったが、グスタフの指導方針により戦闘系などの魔法を全て叩き込まれる事になる。ただ、上記で言うように才能に恵まれていたので、グスタフは一気に魔法を教える事はせず、適度に期間を空けている(グスタフ曰く「そのペースで覚えられたら魔導書が幾つあっても足りんわい」)。その間にも魔法への見識や謀略なども学び、修得した魔法の練度上げにも充てている。

  • その他

アードラーの一族は様々な血を取り入れた影響(その中には勇者の血も入ってる)で特殊な影響を及ぼす力に耐性や看破する力がある。これは皇族全員に言え、同様に何らかの高い素質と才能を秘めている(個人ごとで違ってもおり、中には血の影響が薄い例外もいる)。アルノルトはその中でも特に強い血の影響を得ていると言える。

その影響により、明晰な頭脳からくる思考だけでなく、本能的な直感(勘)も作中でも随一に鋭い。特に本人曰く「嫌な予感は当たる」と言っており、実際に何度もそれが的中している。それに付随する危機察知能力も同様に秀でている(殺気の気配を捉える等。殺気を発するのも得意)。

更にセバスから暗殺者としての技術を幾つか修得しており、判明してる範囲では執筆の模写や針による一時的な仮死化作業の技術が明かされている。

どうでもいい事や遊びに関しては本気になり、かくれんぼや鬼ごっこは誰にも負けた事がない(エルナやレオナルトはミツバ等から助言を得てようやく勝てる)。ボードゲーム等も単純な実力及び不正でも上手く、レオナルトは百回勝負してアルノルトに辛うじて一勝(百一回目はアルノルトの手心により二勝目を得る)、負けず嫌いのエルナですら明確に敵わない事を認め、ゲーム時の彼には普段とは打って変わって、一切近付かず逃げている(過去に賭けで散々摂取された為、それに懲りた模様)。

城の内部には子供の頃の遊びで罠や隠し通路などを把握しており、皇族の中で一番精通している。ただし、皇帝しか知り得ない場所もあり、全てを把握している訳でなく、あくまでも皇族の中では城に一番詳しいという事である。また古代魔法の秘密の部屋はアルノルトが許可しなければ入れないようになっている(正確には古代魔法の適性がなければ見つけられず入れない仕掛けで、グスタフが存命時にこっそり作った物。アルノルトがこの部屋を見つけた後にはセバスも入れるようにしている)。

皇族の中では皇帝に次ぐ程の個人資産を持ち、その資産は一国の王の資産に匹敵する。それ程の資産があるのは皇族としての資金だけでなく、SS級冒険者としての稼ぎのデカさ、そしてその資産運用をセバスに任せ、店や土地を所持している為。




『銀滅の魔導師』シルバー編集

アルノルトの冒険者としての顔で、大陸に五人しかいない冒険者最高峰のランクであるSS級にして人類最強の一人。帝国冒険者ギルドの帝都支部所属。

『帝国最強の冒険者』『帝国の守護者』と言われている。

また大陸最強の魔導師でもあり、希少な古代魔法を扱い、その道を極めた頂点のような存在である為、魔法関連の影響力も物凄く大きい。それ故、魔法関連では一種の権威そのもののような存在で、魔法関連に携わる人間がシルバーの気に障るような事をしていれば、能力を信頼され将来の出世を検討されていた人間であろうが、シルバーの機嫌を損ねない為に上の人間から出世を取り消される程。


黒いローブ(黒装束)を纏い、顔には正体を隠す為の銀仮面を装着している。

正体を隠している理由は皇族が冒険者をやっている事自体が問題であり、上記の説明にもある通り古代魔法の問題もあって、正体を隠す必要がある為。また冒険者として皇族がなる事自体初の事案であり、しかもそれがSS級冒険者という影響力が強すぎる存在とまで来てるので、余計に問題をややこしくしている。

レオナルトが帝位争いに参戦する際に、セバスから正体を公表する事を進言された(たとえ皇族でSS級冒険者で古代魔法の使い手であろうが、「これまでの実績と名声から周囲に受け入れられる」とセバスは考え、更にシルバーが「帝国史上最高の冒険者」と評されている為)が、アルノルトは自身のやり易さと、いざって時の最後の手段もとい切り札として使う為に拒否している(正体を明かすのがまだ早いと思っているからでもあり、特に最大敵対勢力であるエリクを警戒している為)。

作中では帝位争いが進むにつれ、明かすタイミング次第ではレオナルトが失脚しかねないので、より慎重にならなければならない状況になっており、また自ら明かす場合はともかく、露見だと狂帝の出来事から勝手な憶測を呼び、確実に最悪の事態になりかねない。だが、上手くいけばリターンもかなり大きい物となっている。

尚、正体を明かす場合、その影響力の大きさから表舞台から消えるつもりでいる。


正体を知っているのは本編以前では師であるグスタフと執事のセバスのみだったが、本編序盤では偶然フィーネにバレ、その後は彼女自らアルノルトの秘密の協力者として手助けをする。

更に物語が進むにつれ同格であるSS級冒険者のジャック、弟のヘンリック、自身やジャックと同格であるSS級冒険者のリナレスにギルド長のクライドに正体を明かし(特に冒険者側は各々の事情や無用な混乱を生まない及びこれまでの実績から黙認している状態)、竜人族の長にも条件を元に教える事になり、そして皇剣により父ヨハネスも正体に気づき、レオナルトも皇剣の特性によって正体を知った(レオナルトの場合、アルノルトがシルバーになる前の一人称の練習をしている所を見たり、シルバー時の行動から「正体は兄かもしれない」と、半信半疑状態だったらしく、作者によれば皇剣が最後のきっかけになり、確信に変わったとの事)。

更に母ミツバも薄々気付いていた模様。

また、アスモデウスとの戦いの後に復活した(正確には表舞台に出た)ヴィルヘルムに暗躍及び対抗する為、裏で合流したトラウゴット、シャルロットにも正体をバラしている。その後に帝国に神結界が張られた為、王国に再度戻り、そこでエルナ、ノーネーム、クロエに正体を明かし、ラファエルと先代ノーネーム戦後にはオリヒメ、ウィリアム、アンセムにも明かしている。

後に帝国の結界を破ろうとしていたエゴールとも合流して正体を明かし(エゴールはアルノルトとは見抜けなかったが、正体がアードラーの一族と以前から見抜いてはいた)、帝国奪還の為に連合軍全体にも正体を打ち明け、そして帝都に突入して天球の結界が破れた事で大勢の人間にも正体を披露する事となった。

更にシルバー外伝にて、別大陸の人間であるアレンにも自ら正体を明かしていた事が判明し、時系列的にはリナレスやクライドよりも早くに教えている。

尚、正体を知った冒険者達は「盛り過ぎだろ」と評している(顔の良さ、皇族という身分、実力最強、連合軍の総司令という地位とそれを務められる頭脳と言った点から)。


ギルドに所属する冒険者ではあるが、SS級の重要度故に大陸全土に渡る影響力を持ち、ギルド内部の権限自体はギルド上層部にも匹敵し、ギルドの鉄則厳守以外はギルドの管理下から外れ自由に行動する事を許されている(ギルドの戦力保護の為)。

また各国の王にも不遜な態度を取れ、シルバー曰く「(要約すれば)SS級冒険者は国の王並」であり、実際にその実力から王達もSS級冒険者が対等に接してくる事を気にしていない。

そもそもSS級とは、人外の存在である悪魔に対する大陸の切り札(超戦力)とも言える存在で、五百年前の悪魔との大戦を経て、再び悪魔が再侵攻した時の抑止力とする為に作られた制度であり、その制度に適した人材(単独で悪魔と戦える人材)がSS級冒険者である。その為、状況によってはギルド長を含めたギルド上層部や各国の王以上に貴重かつ重大な存在となる。

しかし、この制度は一種の脅威認定でもあり、状況次第や見方を変えれば大陸に仇をなす危険な存在ともなる為、謂わばこの制度はある種の保護と同時に一定の縛りでもある。

シルバー曰く「野放しの猛獣に等しい」。


また、その影響力と中立性の組織であるギルドに所属しているので、国への介入は禁止されており(国への肩入れを過度に行えば、その国の力が遥かに増強され、国同士のバランスが崩れ、やがて最終的に大陸の崩壊へと帰結してしまう為)、あまりにも特定の国へ干渉すれば冒険者として不適格判断され、危険因子として他のSS級冒険者が討伐にやって来る事態を招いてしまう(アルノルトの場合、皇族なので正体がバレても始末はされないが、帝位争いの最中で正体が露見されたらレオナルトが帝位争いから脱落してしまう事となる)。実際過去にこの問題が起こっており、SS級冒険者同士の戦闘により国が一つ滅びている。

一応冒険者を辞めて国家に所属すれば問題はないが、少なくとも現在のSS級冒険者は全員が国に忠誠を誓う事がない為、極度の肩入れや最悪冒険者を辞めて好き勝手に力を振る舞えば、討伐対象となる。


これにより表立っての介入は理由がなければ基本出来ない為、本編では幻術で変装した〝流れの軍師グラウ〟と言う姿(灰色のローブを纏いフードで顔を隠した男性)で帝国の問題に二度介入している。

ちなみにグラウの正体がシルバーだと知っているのは、南部での問題解決の際に協力した南部の貴族にして領主であるアロイスのみ(最初にシルバーとしてアロイスに接触し、そして上述の中立の立場からアロイスの前で即興で作り出した存在がグラウとなる)。


冒険者ギルド帝都支部のエースであり、冒険者としての活動歴は四年。経歴自体は他のSS級冒険者と比較しても年数は遥かに少なく、並の冒険者と比べても少ないが、冒険者としての信条やルールの厳守は誰よりも持ち合わせており、荒くれ者が多い冒険者の中でもかなりの常識人であり、SS級冒険者の中では一番まともな常識人である(冒険者に限らず、SS級冒険者に匹敵するエルナやオリヒメを含めても同じで、その中では一番まともな部類となる。また正体が皇族であるので、礼儀や作法も冒険者の中では一番様になっている)。

実際に帝国の皇子でありながら、帝国と敵対関係である皇国で悪魔と異界竜(WEB版はエボリューション・スライム)が暴れた際に、そこに住む住民の為に可能な限り地形に影響が出ないよう配慮し、他のSS級冒険者にもそれを強要する程に冒険者として中立性と鉄則を貫く意思と行動を示している(その際に皇国のSS級冒険者であるノーネームからも「帝国の冒険者だから遠慮しているんですか?」「不思議ですね(貴方は帝国に協力的なのに)。皇国がダメージを負えば帝国は楽になりますよ?」と疑問に思われ、それを問われた時に「国は関係ない。(中立の冒険者として)助けるべきは民である」と返している)。

上述で言うように民への配慮もしっかり考えており、高難度モンスターを倒しても被害が余りにも大きかったらモンスターの死骸を国の復興に寄付したり、他のSS級冒険者達と組んだ際には、他の四名がゲーム感覚でモンスターを討伐しようとしてる中(これは討伐対象がSS級冒険者単体でもその気なら楽に討伐できる位かなりの格下だった事に加え、全員が同格の実力者で組んで固まっていた事から来る余裕によるもの)、真面目に取り組んでいたり、彼らが勢い余って地形を変えないように何度も釘を刺している。

同格のリナレス曰く「優等生」「真面目」。

ただし、他の一般的な冒険者やSS級冒険者とSS級並の実力者と比べた場合であり、シルバー本人も無自覚に非常識な行動を取っている事がある(中には理解した上でわざとやる事もある)。

例えば転移魔法で相手の所在場所や部屋に断りもなく無断で侵入したり(一応フォローすると、大抵は緊急時である事が多い)、軽い脅しのつもりが相手や第三者から見れば死を覚悟させる位の威嚇行為を取ってしまう(本人もすぐにやり過ぎたと認識している)等、何処かズレている一面もある。

特に前者は他のSS級冒険者達のシルバーの非常識な部分の評価としてこの行為を挙げており、四名からは『何処でも転移野郎』と認識されている模様(作者談)。


ギルド上層部も他のSS級冒険者よりもシルバーを評価しているが、そのギルドの意向を前向きにしてる事(他のSS級冒険者と比べても比較的におとなしい、要はギルドの言うことを大抵聞いてくれている)と何者かによって、帝位争いから帝国でモンスターが活発し始めた弊害でその討伐の多さから来る偏り(手柄の多さ及び活躍の集中によるギルド本部の派閥争いの加速化)、そして帝国のゴードンの反乱時による介入を口実に現在のギルド上層部はクライドを除いてSS級冒険者を明確にギルド上層部もとい評議会の傘下にしようと目論む事態を招いている(※)。


冒険者として活動する事になった経緯及びSS級冒険者になった経緯は、母の病の治療法に役立つであろう眉唾だが伝説の薬の発見や、その希少性からそれの材料に使われるであろう伝説及び幻のモンスターを討伐すれば薬ができると考えた為、未知との遭遇が多い冒険者、その中でも最高位ならば可能性があると踏んだからである(後に冒険者になっても治療できる医者を探したが失敗に終わる)。またヴィルヘルム亡き後の帝国の混乱、そしてレオナルトの帝国への想いを聞いてから、皇族として帝国を(密かに身分を隠して)守護し、民の不安を解消する目的も兼ねていた。

そして手始めに冒険者になる為、帝都支部のギルドに出向き、そこで帝国で長年居座り続ける古竜が再び活動を始めたの聞いてギルド職員に場所を問い、そのまま転移で移動し、当時副ギルド長だったクライド率いる少数精鋭の冒険者達が撤退する所に遭遇して、一言断りを入れて古竜を直ぐに討伐した。その後事情を聞き、古竜との戦闘を見たクライドが自身の判断と権限でSS級に推薦し、同時に戦闘で使った銀滅魔法と身に付けている銀仮面から連想して、彼から〝シルバー〟と名付けられる。

これがSS級冒険者シルバー誕生の経緯である。

尚、いきなり最高位のランクを授かるのはあまり前例がなく、基本は実績を重ねてランクを上げていく事となる。今現在の五名のSS級冒険者の内ではジャックを除き、四名全員が高ランクのモンスターを討伐して一発でSS級になっている。また、最年少でSS級冒険者になったのはシルバーが初である(十五歳で就任。しかもその戦闘が初陣であり、加えて討伐対象は大陸最強と言われ、竜の王族とも呼ばれる古竜な上に、その中でも知恵にも優れた漆黒の古竜ファフニールだった為、後にこの話を聞いたノーネームとクロエはドン引きした)。


冒険者としての活動自体は帝都周辺を中心に行動し、本人が高難度の依頼を優先的に回すように帝都支部に根回しをしている。ただ、冒険者の中にはこのような事をよく思わない者もいる為、ガス抜き目的で金貨を幾つかギルドに渡して食事や酒などを冒険者達に奢る事で対応している。更に転移魔法がある為、ギルドの要請次第では帝国全土を移動して各問題を解決しており、場合によっては他国の依頼を受ける事もある。

しかし、本来SS級冒険者ともなると直接的な依頼料は虹硬貨三枚(作中最高額。作者によれば現実の値段に換算すると一枚で数千万はするとの事。つまり約一億は掛かる)が必要となるが、あえてギルドにある依頼を自分から受ける事(上述の高難度依頼を優先的に回すもといシルバー用に残して置く事)で直接的な依頼ではなくなる為、指名料はいらなくなり、大幅に経費を抑えられている。これはシルバーなりの気遣いであり、またそれによって他の帝国及び中でも帝都支部の冒険者達は身の丈に合った依頼だけを受けられ、ギルド側も経費削減と高難度依頼が過剰に溜まらない恩恵を得ている。

ただし、ギルドからの直接的な依頼も何度かあり、こちらは全く受けない訳ではないが結構無視している模様(ギルドからではない個人依頼は制度上から受けている)。とは言え他のSS級冒険者よりもギルドにかなり協力的で依頼を積極的に受けている為、SS級の中では評価が一番高い(その所為で上述で言ったようにギルド上層部はSS級冒険者を自分達の管理下に置けると盛大な勘違いをしてしまうが)。

また他の冒険者への気遣いや面倒見も良く、中でも新人冒険者へのフォローは欠かしてない。


同業の冒険者達(主に帝都支部)の中では評判も高く、実力だけでなく人格者としても評価されており、「良いやつ」「SS級冒険者の鏡」「あんた程の冒険者が金欲しさにこんな所に来る訳がない(行動してる訳ではない)」とも言われている。またエルナがシルバーに協力を要請しようとギルドを尋ねた時、シルバーがエルナに対して不手際を起こしたと勝手に勘違い及び早とちりした帝都の冒険者達は、シルバーの為(自分達の安全の為でもあるが)に文句を言いつつも必死にフォローをする程には関係は良好である(だが、下記でも言うように基本常識がないのが冒険者である為、その対応はフォローと言うよりエルナを無自覚に貶しまくり、結果的に火に油を注ぐ発言や行動をしており、その時のエルナの状況やその場にシルバーが来なければ危うくギルド崩壊の大惨事を招く所だったが)。

新人冒険者達からもその活躍から憧れを抱かれており、中にはシルバーへの憧れから、わざわざ帝都支部の冒険者になる新人達もいる程。

だが同時に、冒険者達の中には規格外の存在であるシルバーの行動に無礼と思ったり、呆れたり、それに文句を言う者もいる(シルバーが同格のエルナ相手に挑発じみた発言をした際など)。ただ、大半がシルバーに無礼などと思っている者達は自分達の事を無自覚に棚上げており、元々冒険者の大半は礼儀や常識がない荒くれ者達の集まりであり、更にシルバーは正体が皇族である為、上記でもあるように寧ろ礼儀は一般的な冒険者よりも遥かに弁えてる(担当受付嬢であるエマ曰く「上級貴族のように様になっている」)。そんなシルバーや常識あるギルド職員達から見れば冒険者達の方がかなりの無礼を働いており、その事に彼らは気付いてない。

他のSS級冒険者達からも能力や理念は一目置かれ、エゴールからは人間性と柔軟な問題解決能力を買われており、ノーネームはその魔法の実力を「努力の賜物」と評価し、人物像も「簡単な人間ではない」と認識している。

仲が悪いリナレスからは「できる事の多さでは貴方に勝てるSS級はいない」「(正体が)老人でも驚かない位に成熟してる」と評され、最悪な仲のジャックからも冒険者としての原則に沿った行動や周囲への適切な手加減ができる技量自体は認められている。また両名共に同じ仮面のSS級冒険者であるノーネームよりもシルバーの方が実力や精神、冒険者としての心得は上と評価している。


帝国の民からも人気があり、特にヴィルヘルム亡き後の暗雲時代の帝国を守護し支え続けて、民の希望になっていた為、帝国は次第に活気を取り戻していき、民はシルバーを『帝国の英雄』として見ている。

またこのように活動していた為、古代魔法に関する評判を最悪から歓声が沸く程に回復させている(間接的な元凶であるグスタフも弟子のその成果には満足している)。だが、上述で言うように状況や明かすタイミング次第では混乱を招いてしまう可能性がある。


シルバー本人の冒険者としての信条は、「たとえ不利になろうが、愚かと呼ばれようと、手が届く範囲なら全力で守る」というスタンスであり、自分が不利になろうが、一人を助ける為にその所為で多くの犠牲が出るかも知れない状況だろうが、自身の力が及ぶ範囲かつ助けを求められたのなら、全力でそれを遂行する姿勢を取る。

だが、何かしらの覚悟や意思を持って他者への助けを求めない者がいれば、たとえその人の家族や友人等の頼みだろうが本人の意思を尊重し、救いを本人が望まない限り手を出さない。

シルバー曰く「助けを求めない者を助けるほど暇じゃない」。



帝位争いが激化してからのシルバーの活躍の多さから、上層部はシルバーが力をつけて管理できなくなる(今の時点である程度扱いやすいのに活躍が突出すれば何れ他のSS級冒険者以上に手を付けられなくなると邪推)のを嫌い、最初はS級冒険者の中から自分達の管轄下に出来そうな未来のSS級冒険者候補を探す案を実行したが頓挫し、その次の案が現在のSS級冒険者を管轄下に置く事だった為にそちらに変更した。

クライド以外の上層部は他のSS級冒険者が報告だけで聞く存在だった上に、シルバーの態度と国への介入(ただし、これには正当性があり、ギルド上層部のミスや思惑から介入と判断している)からSS級冒険者を評議会で手懐けられると判断したが、実際それは盛大な勘違いであり、シルバーやクライド曰く「SS級冒険者は全員一癖二癖もある問題児」であり、自分達の行動を制限しようなら反撃する事も厭わない。

本人達は自由と民の為に冒険者として活動しているので、上層部の思惑で行動する事になれば冒険者を辞め、その力を好き勝手振るまう事態になる(シルバーが比較的に良識があるだけで、他は交渉する間もなく辞めるか、暴れるか、または両方を取る事が予想されており、シルバーも状況によっては最悪そのような行動を取る可能性もある。ただ、全員が自身の影響力を最低限理解しているので、あくまで最終手段としての考えである)。また好き勝手暴れる事態になれば上記で言ったように他のSS級冒険者が対処する事となる。

更に大陸の貴重な超戦力として存在する為に各国からも冒険者ギルドの影響を無視できない状況になってるのにもかかわらず、完全にSS級冒険者を管轄下にしようとすれば、彼らの脱退の事態を招き、大陸にも影響を及ぼし、ギルドの組織・影響力の大幅な低下を引き起こす結果となる。



冒険者としての能力編集

SS級冒険者と言う人類の規格外な存在だけに、その戦闘力は単独で国を滅ぼす事ができる程の力を誇っている(これはSS級並の実力者殆どに共通するが、唯一の例外は結界防御に特化したオリヒメ)。そして人外の存在である悪魔とも単独で戦える実力を備えており、悪魔の中で上級かつ、その中でも魔王の右腕及び側近幹部クラスとも互角以上に渡り合える(寧ろSS級冒険者は「悪魔寄り」と評されている)。尚、補足するとランクが一つ下のS級は、SS級とはランク一つ以上に圧倒的な実力差があり、詳しく説明するとS級は軍の部隊一つと渡り合え(互角ではなく、あくまでも戦えると言う程度)、下位レベルの悪魔にさえ複数人の同格と組んで挑まなければならない位には実力がかけ離れている。

クロエ曰く「S級とSS級じゃ天と地ほど差がある」。

加えて人間とモンスター(悪魔)とではランクの査定が少し違い、同じランクでもモンスター側の方が遥かに高い戦闘力と危険度を誇り、例えばモンスターの危険度がS級ならば、この場合S級並の実力者が複数人は対処に必要となる。ただし、SS級並の実力者は例外で、前述で説明したように戦闘力は悪魔寄りの存在である為、余程の事がない限りは同じSS級ランクのモンスター相手でも単独で討伐可能。

その実力故に殺気だけで並大抵の者は気絶してしまう。


またSS級は、並の攻撃の余波だけで周囲の地形を変えられる程であり、一定レベルの強めの攻撃ならば山を容易く破壊する事が可能な火力を全員が持っている(シルバーなら高難度の大魔法、その中でも一番弱い物ですら大型モンスターごと山を消滅でき、武術家のリナレスなら、それなりの一撃で大型モンスターとその背後にある山二つを消滅させれる等)。更にオリヒメ以外のSS級並の実力者達は、空間を一時的に破壊する攻撃も可能。ただ、作者によると一時的な為、すぐに空間は修復されているとの事。


SS級冒険者の中では最も攻撃力(殲滅力)、防御力、機動力、影響規模、射程距離に優れている。更に支援、回復、妨害、強化もこなせ、手数も圧倒的に多い万能タイプである。

まとめると、転移による仕事の早さ(依頼の解決速度)・あらゆる状況に臨機応変に対応できる万能性・展開能力はSS級でも最強と言われている。また、その万能性と自前の卓越した知略も活用する事で力押しの正攻法だけでなく、相手の不意を突く、罠に掛ける等の搦め手も規格外の中で随一(実際に同格のジャックはあっさり罠に掛かり、ノーネームは遅れを取っている。更にほぼSS級冒険者と同じ実力を持つナイジェルとオリバーを同時に相手取って勝利もしている)。

本人としては相手を分析し、弱点を突く等といった、効率的かつ搦め手の戦闘スタイルを得意とし、力押しは性格上余り好まない。しかし、苦手という訳ではなく、その気ならSS級冒険者の中でも随一に行える。

都市の防衛にも長け、手加減もジャックと同様に心得ている(他の三名のSS級冒険者はジャック曰く「ドラゴンに編み物でもさせた方が上手くいく」との事で、シルバーもこれに同意している)。また陸海空のあらゆる環境でも唯一最適に戦闘を行える。

SS級冒険者ではないが、それに匹敵するエルナには攻撃力、同じく規格外のオリヒメには防御力では劣るが、それ以外では勝っており、また劣ると言っても攻撃や防御はその二人に迫る事は可能で、本人の状態や、やり方次第では同等以上も出せる。


魔法を扱う魔導師である為、本来なら前衛が必要な後衛職及び遠距離戦を主体とした戦闘スタイルが基本セオリーだが、シルバーは現代魔法よりも圧倒的に強力な古代魔法を扱う上に、それを多種多様に修得しているのでソロで戦える(と言うより攻撃系または攻撃にも転用できる古代魔法を一つだけでも修得していればそれだけで戦える)。更に魔法で常時身体能力も規格外レベルに強化しているので、本人は苦手としているが近接戦闘もこなせ、接近戦主体の相手だろうが格下ならば格闘戦だけでも圧倒できる(一例を挙げると、S級冒険者にして近接特化の魔剣士イグナートが諸々制限を掛けた状態のシルバー相手に近接戦でようやく互角といった所である。戦闘が進むにつれ、所持する魔剣の力を徐々に解放していった事で制限状態のシルバー相手に近接でやっと有利に渡り合えるようになる)。

同格のSS級並の近接主体の相手にもある程度は渡り合え、実質的に遠近共にハイレベルの戦闘を行える。


魔導師ではあるが、前述で言ったように身体能力を強化しているので、肉弾戦も行う魔法戦士のような戦闘スタイルも可能であり、更に剣を造り出す魔法もある為、剣を使った魔法剣士のような戦闘スタイルも取れる。ただし、両方共に技術が伴ってない為にあくまでも真似事に過ぎない(エルナの剣術なら一応様になる位には心得ており、超強化形態の魔法を使えば、エルナの剣技を一定レベルで再現できる)。


頭脳面も上述で説明したように作中トップクラスな為、SS級並の実力者達の中でも一番の切れ者であり、先を見据えた考え、状況判断や洞察力及び観察力による読みの鋭さと分析、駆け引きと策の立案にも優れ、調査や統率力にも長けている。特に統率力は「話を聞いてない」「好戦的」「興が乗ったら何をしでかすか分からない」「戦闘中に喧嘩を始める」等、色々問題ある個性豊かな同格者達を冷静に纏め上げて指揮できる程。また勘の鋭さも作中一である為、物事や状況の本質を捉えられ、同様に危機察知反応も早い。

その為、同格者達の中では暫定的なリーダー格でもあり、能力的にも誰とでも組みやすく直接戦闘も行え、仲間のサポートをもこなせる遊撃手として連携時には活躍する。


本人は戦闘でのアドリブが少ないらしく、あらゆる状況及び相手に対して幾度・幾通りの膨大なシチュエーションを想定し、そこからプランを少しアレンジするのが決まりらしく、その為に実行できる事、必要な事は研鑽して無意識化でも高度な攻撃(行動)が出来るようにしている。


その強大な戦闘力と万能性、先を見据えた知謀による行動と分析力から、規格外の中で最も悪魔側から警戒されており、また正体が悪魔達から勇者同様に恐れられたアードラーの一族である為、これが悪魔側に発覚してしまったら現代の勇者であるエルナ以上に警戒度が跳ね上がってしまう(加えて今のアードラーの一族は全員勇者の血も継いでいる)。

実際に物語の元凶であるダンタリオンは、シルバー(アルノルト)の戦闘力・頭脳面の高さから、魔王を倒した初代勇者に匹敵するエルナよりもアルノルトの方を恐れており、一番の脅威として認識し、デメリットもある対シルバーもといアルノルト戦用の奥の手兼切り札を使用して、魔王を超える存在に進化する手段を取っている。


弱点は近接戦闘技術がSS級並の実力者達の中でも最弱な事と魔法主体の戦闘手段な為、継続戦闘力が低い面である。

前者は本人が武術のセンスがないので、単純な殴り合いならともかく、技量込みともなれば同格達に明確に劣る。その為、接近戦の技量不足を大量の魔力弾による牽制、結界による防御及び捕縛、転移による離脱及び敵を転移で飛ばす、魔力操作の防御、マジックハンドによる近接攻撃の範囲・威力・リーチを強化する等して、カバーしている。

後者は大陸随一の魔力量を誇るが、そもそも古代魔法を使う条件が膨大な魔力量を保持してる事なので、使用消費もそれに見合う位に必要であり、何度も使い続ければ賄いきれない。最終的に魔力が空に近づく程に回復には時間が掛かり、魔力の状態によってはその間眠ってしまう事となる。一応消費を抑える技術や魔法の威力を下げる事でも魔力の消費を節約できるが、本編では暗躍や冒険者としての活動で魔法を幾度も使うので余り意味がなく、帝都での反乱時には帝位争い開始から蓄積された魔力消費の影響と反乱時の魔法使用によって残存量はほぼ空になり、反乱防衛後には肉体が魔力回復を行う為、一ヶ月半も眠ってしまっている。

また帝位争い(本編序盤)が始まってからは、それらの理由から完全な全力を発揮できない状態であった(魔奥公団の最高幹部であるハーゲンティとの戦闘では、作者によるとシルヴァリー・フォースの実戦での試しが目的だった為、完全な全力ではない)。

しかし、後に四宝聖具の一つである聖輪・陽炎をリナレスから託された事でこの弱点は無くなり、それ以降は魔力の消費を気にせずに全力を出せるようになった。


ちなみに他の規格外の人物達は長い訓練や実戦を経て人類最高峰の実力を手にしているが、ポテンシャルがあったとはいえシルバーは僅か二年の修行(実戦無し)のみで人類最高峰になっており、才能だけで言えば規格外の中でもずば抜けている(エルナは幼少期から訓練と実戦を積んでおり、SS級冒険者達はジャックはともかく、他の三名は冒険者として初の依頼一回でSS級に昇格してるが、冒険者になる前に修行や実戦を経験している。そのジャックは修行や実戦に加えて冒険者として下積みを経験し、それから順当に昇格していき、最終的にSS級になっている)。



古代魔法編集

本編の千年前、今よりも魔法が栄え、その時代に使われていた魔法(その時代の事は古代魔法文明時代と言われている)。

現代魔法と違って素質や才能ある者しか使えず、それ故次第に忘れ去られ、伝承する者が途絶えて失われてしまった。現在はそれらを復活させるには残された貴重な書物から読み解く他なく、アルノルトは帝剣城に古くからあった魔導書と生前グスタフがかき集めた魔導書から読み解き会得している(セバスがグスタフに頼まれて手に入れた魔導書もあるが、そちらはアルノルトが手を出してるかは不明)。


素質や才能は上述で説明したように古代魔法文明の魔導書を読める・理解する素質、生まれながら規格外の膨大な魔力量を秘める才能が必要となる。作中でも古代魔法を扱えるのは思念体の存在を含め現状三名のみ。

現代魔法と比べて圧倒的に使い手が少なく、修得条件や魔法自体の難度も現代魔法と比較しても遥かに厳しく、発動消費も尋常ではない。また詠唱の長さも現代魔法が最大で七節なのに対し、古代魔法は十四節が最大となる。

その分、効果は絶大であり、威力(効果)や影響規模、発動速度などは桁違いであり、例えば魔力弾などの簡単な魔法でも現代魔法の最上級を軽く超える威力と魔力消費、難度を誇る。現代魔法は対悪魔用に開発された聖魔法の最上級でようやく下手な(簡単な)古代魔法の難度を上回る程である。

攻撃系及び攻撃にも応用できる魔法を一つでも覚えればそれだけでも十分に戦える位に強力(仮にシルバーが身体強化魔法しか修得してなかったとしてもSS級冒険者として認定されていた程)。


発動消費はネックだが、鍛練により技量を高めれば魔力の消費軽減を行え、また威力を下げる事でも消費を抑えられるようになる。

同様に全ての古代魔法には詠唱が存在するが、こちらも練度を高めれば、詠唱破棄(省略及び短縮詠唱とも呼ばれる)、直接詠唱(魔法名だけを詠唱)、無詠唱での発動が可能になる。ただ、状況によっては無詠唱でも魔法の発動に時間が掛かる場合もある。

また魔法は詠唱する事で威力もとい効果を高められる(本来の詠唱から省略していくごとに効力が低下していく)。魔法の陣を描く事でも魔法の効果を上げられ、消費も抑えられる。

作中では

  • 銀滅魔法(シルヴァリー・フォース状態は除く)
  • エクスキューション・プロミネンス
  • インフィニティ・ダークネス
  • グングニル
  • アブソリュート・ゼロ
  • 〝イージス〟シリーズ
  • デジャブ・クロック
  • ブレイブ・ホルン
  • ゴルド・アードラー

以上の魔法以外は全て無詠唱で発動している(ブラッディ・ランス及びライトニング、ブラック・フェザー、アース・クエイクは省略詠唱で発動。ちなみに銀滅魔法とゴルド・アードラーは完全詠唱でなければ発動できない)。


前述のようにシルバーは無詠唱で大半の古代魔法を操れる上に、詠唱関係なく複数同時に魔力操作や魔法を行使できる(シルバー時は常時無詠唱の身体強化魔法を使っている為、最低でも二つは魔法を同時行使している。帝都反乱時には結界魔法を五千ぐらい張り巡らせながら、転移魔法の門を複数展開し、身体強化魔法、飛行魔法、シルヴァリー・レイを同時に維持して発動している)。

発動座標も任意の位置から魔法を放てるが、基本手元か自身の近く及び周囲から魔法を発動している。


作中では明確に魔法の属性の分類は説明されてないが、本編の五百年前の悪魔との大戦で開発された聖魔法もとい聖属性を除けばシルバーは炎や風と言った基本属性は全て会得していると思われる。また聖属性はなくとも古代魔法限定と考えられる属性または専用の魔法は複数所持している(闇、血、時間、空間、重力、銀など)。



  • 魔力(放出・身体強化・纏い)

古代魔法を会得する過程で身に付けた魔力操作術(厳密には古代魔法ではないが、便宜上記載する)。

膨大な魔力を魔法にせず、そのまま操る技術であり、その魔力は相応に解放する事で可視化し、魔力に慣れてない者(または魔法が使えない者)や心の弱い者は立っていられなくなる。空間にも干渉でき、地震のように周囲に影響も及ぼせる。

尚、これは意図的な放出と余剰な魔力漏れの二パターンがある。

その濃度は大陸各地に存在する〝特異点〟の魔力すらも超える程で、この解放状態は一種の防御壁にもなり、生半可な攻撃は遠近問わずシルバーに一定距離まで近づく程に減速し、最終的には届く前に止まってしまう(S級並の実力者の攻撃でも止まる)。

また魔力を全体或いは部分的に纏う事で肉体による攻撃と防御を同時に上げる事が可能。特に全体から部分的に魔力を大量に配分し纏う場合、他が疎かになるが、その分、局地的に攻撃と防御が大幅に向上する(その強度はノーネームの魔剣・冥神に匹敵する程)。

それとは別に魔力を身体に流す事で身体強化(五感、体力も含む)もできる。こちらも全身や部分的に流す事もでき、同じく部分的の方が全体に魔力を流すよりも効果を高められる(作中では脚に集中して魔力を流し瞬発力を強化している)。更に後述の身体強化魔法との併用も可能。

他者にも魔力を付与して強化する事もできる。

追跡探知にも応用可能で、対象に自身の魔力を付着させる事で対象の追跡が可能となる。

  • ≪魔力弾≫

魔力の光弾を放つ古代魔法。古代魔法の中では消費燃費が良く、修得難度も低い簡単な魔法(現代魔法の最上級を軽く上回る難度と魔力消費量ではあるが)。

攻撃系の古代魔法の中では最も威力は低いが、判明してる部分でも一般的な現代魔導師が全力で放つ魔法を凌駕している事が分かっている。しかもこれは無詠唱かつ、かなり手加減した状態での威力であり、それ故本来の威力から程遠い(作中ではこの状態で千以上もの魔力弾を展開して放ち、魔奥公団の最高幹部の強固な拠点を消し飛ばしている)。また大きさも調整でき、そちらにも威力が左右されるようで、巨大な魔力弾ほど威力や範囲が上昇する(基本は掌サイズ位の模様。レイナ戦では通常よりも巨大な魔力弾を生成している)。

速度や連射性も古代魔法の中でもかなりのスピードを誇る。

単体発動を始め、複数展開により弾幕を張る事も可能であり(単体の魔力弾から無数の魔力弾に分裂させる事もできる。更に弾幕を張る事で相手の視界を塞ぐ運用を披露している)、無詠唱によって効果は低下してるが、作中では数千発ほど展開しており、そこから完全詠唱や加減抜きと言った要素を加えれば更に展開できる。

光弾の操作も自在で、弾の軌道を操り対象の追尾やフェイントを掛ける(本編では出てないが、自動追尾を付与する魔法があり、それと併用すればオートで対象に追尾可能)・複数の光弾を動かして魔法陣を作り、そこから追加で魔法を発動する・光弾を出しそのまま隠し待機させて、任意のタイミングで動かす事で罠のような使い方もできる。更に魔力の光を強めると閃光弾として目眩ましにも使える。また透明化して魔力弾を放つ事も可能。

聖輪を入手した後は魔力消費を気にしなくても良くなった為、最大威力で放てるようになり(通常サイズかつ無詠唱での最大威力の事を指す)、それにより魔力弾の色が黒に変化している。

このようにシルバーの魔法の中ではかなり汎用性の高い魔法で、同格などの強敵相手には牽制程度にしかならないが、前述の使い勝手の良さから利便性に長けている。また強敵相手でも威力の弱さを逆手に強弱をつけて意表を突いたり、上述で言った大きさの調整、単発弾の状態からの分裂発動、自動追尾の魔法との併用、弾の透明化、閃光弾、魔力弾を操り魔法陣を作って強力な魔法を展開するなど、使い手の技量も合わさって拡張性にも優れている。

  • 魔法の槍

魔力弾の派生と思われる魔法。大量に複数展開が可能な魔力弾よりも展開数は劣るが、数を絞ってる分、単純な威力はこちらが勝る。

  • 風の操作

風属性の魔法で、風向きを変えたり、風を操り任意の相手だけに自分の声を届けたり、拡張して広範囲に声を届ける事もできる。また対象に気付かれずに対象の声を風で運び、広い範囲に響かせる事も可能(応用で他者の声を拾い盗聴もできる模様)。

  • 風の弾

風の塊を生成し放つ。魔力弾同様に無数に展開可能。

  • 精神を正常にする魔法

心を落ち着かせる魔法。効果はシンプルだが、戦闘では非常に大きいアドバンテージとなり、この魔法で素人の兵士でも敵を前にしても常に冷静で、相手をよく観察して倒し、味方の指示をしっかり聞くなどの落ち着いた対応が取れるようになる。

敵が冷静さを失っていれば素人兵士でも玄人兵士に匹敵する事もできる。

  • 反発の魔法

魔法陣を地面に仕込み、それを終えたら任意のタイミングで発動し、対象を上空へ跳ばす。体長数十メートル以上はある魔界の竜を上空へ跳ばせる位の効果がある。

  • 銀の鷲

魔法で再現した自律型の巨大な銀色の鷲。ベースモチーフは恐らくゴルド・アードラーだと思われるが、あちらが黄金なのに対し、こちらは銀色である。

あまり意味はないがやろうと思えば一度に複数体の銀鷲を作り出す事も可能。

  • 記憶操作

対象の記憶を操る魔法。だが、記憶を操作すると言っても強い記憶までは操れない。しかし子供に使う場合、常に記憶が曖昧な為に完全に弄れる(大人だとある程度までにしか操れない)。

  • ≪身体強化魔法≫

文字通り身体を強化する魔法で、五感と体力も強化される。素の肉体が貧弱なアルノルトもこれを使えば人類規格外の身体能力、五感、体力を得られる。その肉体のパワーはSS級並であるオリヒメの通常運転の結界を壊せる程。また動作で衝撃波を生み出せ、作中では手刀で鎌鼬を発生させている。

上述の魔力による身体強化(身体に魔力を巡らせる)とも併用可能で、その場合は二重の強化恩恵を得られる。また魔力そのものを纏えば身体強化された肉体と合わさって強力な攻撃を放て、防御力も向上する(これらは効果範囲を狭め部分的に魔力を集中的に流す・纏う事で、より効果を高められる)。

シルバーとして活動する際は常にこの魔法を使っている状態であり、出力も最低限にしている(他のSS級並の実力者と渡り合える程度には保っている)。

作中では未使用だが、全力で使えばエルナに匹敵する程の身体能力になる。しかも無詠唱で同等であり、詠唱有りならば、それ以上の効果を得られる。そこに魔力操作(身体強化・魔力纏い)のブーストも加える事もできるので、更に強化可能。

  • ≪マジックハンド≫/≪マジックチェスト(仮)≫

巨大な半透明の腕と足を作る魔法の発展形。自身の手足と連動している為、腕や脚による打撃力を大幅に強化する魔法であり、リーチと範囲も向上する。また腕や脚で起こす衝撃波も威力と範囲ともに大幅に上昇する。

同じ魔法かは不明だが、作中では完全に見えない腕を使った魔法を使っている場面が存在する。

  • ≪転移魔法≫

魔法で門を開き、そこに入る事で短距離・長距離共に瞬間移動を行う魔法。門は使用者だけでなくそれ以外のものも通せる。

門の大きさは自由自在に決められ、複数同時に展開する事もでき、集団や巨大な物なども一瞬で転移が可能。

余りにも長距離の目的地に移動する場合、中継点(となる場所)を介して転移を複数回連続で発動する必要があるが、複数の転移門を洞窟のように繋げる事で中継点を介さずに長距離の目的地まで普通の連続転移よりも高速で移動する事ができる。

欠点は長距離であればある程に魔力の消費が大きくなり、転移門の複数同時展開も数が多い程魔力の消費が増え、転移門自体の大きさも巨大な程に消費が激しくなる。

正確な転移は行った事がある及び詳細な情報を知っているかが重要。この為、行った事がない場所でも情報があれば転移可能で、起点となる場所があれば大抵の所には行ける(シルバーはあちこちの詳細な情報があるので転移には困らない)。

ただ、あまりにも距離が離れてる場所(大陸中央の帝国から東端にある仙国に移動するなど)に転移するには上述で言ったように複数回発動しなければならず、更に知らない場所かつ中継点がない場合、長距離転移は使えない。また転移門を一度開く工程がある為、強者には察知される可能性がある。

戦闘でも以下のように様々な形で活用されている。

①一時的に距離を取る及び攻撃回避。

②不意打ちで現れての攻撃や攻撃行動を取る味方の前に門を出し、自身も門を出してそこから門を通した味方の攻撃、または味方と入れ替わる事で意表を突いた攻撃を放つ(魔法をバラバラに複数放って発動した魔法同士を入れ替えるといった芸当もできる)。

③転移門自体を防御に使って、門を通った敵の遠距離攻撃を別の門を展開して返させる。

④突っ込んできた敵へタイミングを合わせ、転移門を自身の付近に展開してカウンターのように使う。

⑤転移門を対象の足元に直接出して飛ばす(所謂、落とし穴のようなもの)。

⑥対象を誘導などして、誘導した先に門を展開して飛ばす。

⑦超長距離への攻撃手段として門を使う(転移門を開き、その門に向けて魔法を放つ、門から見える風景を利用し直接その場所に魔法を発動する等。探知結界を併用すれば、より正確に対象に直接及びその付近に魔法を発動できる)。

このように単純に移動するだけでなく、シルバーの運用技量の高さにより、攻撃や防御にも転用できるトリッキーさにも秀でている。

また機動力の強化として、短距離で転移門を複数に展開して連続で転移門を潜る事で超高速移動を発揮し、敵を翻弄する事が可能。これにより強者に察知される欠点も補える。

しかし、個人ならともかく複数人に使えば使用者にかなりの負荷がかかる。作中ではこれを三人分の転移門をランダムに連続展開した為、負担が大きくなり(この場合は針の穴を通すような正確さを求められている上に敵の攻撃にも備える必要があるので、精神的な疲労も大きい)、加えて作中は空で行ったので、平衡感覚にも影響が出始める負荷も重なって、余計に消耗が激しい事態に見舞われている。

シルバー曰く「脳が焼き切れそうになる」。

  • ≪飛行魔法≫

空中を移動・停滞する魔法。飛行速度は術者に左右される。実戦レベル(戦闘中でも他の事を同時にこなしながら飛行する)で扱え、作中でもこのレベルで行えるのは、SS級並の実力者かつ、その中でも飛行魔法が使える者のみである。

古代魔法の中では珍しく現代魔法の飛行魔法とは特に効果の差がない。

人を抱えた状態でもかなりの速度があり、SS級並の実力者でようやく追い付ける程のスピードを誇る。

  • ≪エピゴーネン≫

自身の記憶の中にある対象の人物を完璧に模倣する魔法。具体的には対象の身体能力と戦闘技術(剣術や体術など)をコピーする。通常の身体強化魔法と違って戦闘技術も補える為、シルバーの弱点である近接戦闘技術の低さも完全にカバーできる。更に通常の身体強化魔法とも併用できるので、オリジナル以上の身体能力を得る事も可能。

この事から一見便利で有用な魔法だが、デメリットがとてつもなく大きい。

まず、コピーできると言っても時間が数分間しか持続せず長時間の運用ができない事。

次にこの魔法を使ってる間は魔力の身体強化及び魔法での身体強化以外の魔法は一切使えない事であり、魔法主体の戦闘スタイルであるシルバーとは相性が悪い。

そして最大のデメリットは使用者に強烈な頭痛が襲い、肉体の感覚が狂ってしまう事である。これは本来の肉体では行使できない動きをエピゴーネンで無理矢理再現しているようなもので、それにより脳に負荷が掛かり、前述の頭痛と感覚の混乱が発生する。また頭痛は二日間、感覚のずれはそれ以上の期間にまで及ぶ(本編以前に使った際は最大で一週間は感覚のずれが続いた模様)。更にこのデメリットは模倣対象の実力が強い程にデメリットが強まり、最悪肉体が壊れる可能性すらある(SS級並の実力者のコピーは発動後に確実に壊れる)。

このようにメリットを軽く超える位にデメリットが大きい為、実戦ではまず使えず、シルバーも禁じ手として普段は封印している。この魔法を使う場面はレオナルトに成り代わってる時であり、レオナルトの姿で戦闘を行う必要がある時に限り使用している。

  • ≪デジャブ・クロック≫

八節の詠唱で発動する、時を操る古代魔法の一種。時を操る古代魔法は大抵使いづらい上に自分自身に作用する物はほぼ皆無であり、更に他者に使う物も効果はたかが知れ、加えて大量の魔力を消費するので実用性に欠けるが、デジャブ・クロックはその中でもそこそこ使える魔法とされている。

この魔法の効果は他者に少し先の可能性を見せることでデジャブを発生させる。ただ他者に確定した未来を見せるわけじゃなく、確定していない幾つかの可能性を見せるだけであり、しかも少し先だけな為、本当に限られたところでしか使えない。

それでも戦闘中なら十分に役に立ち、この行動をしたら危険である事をデジャブが教えてくれるので、最善の行動を取れる利点がある。

  • ≪アース・クエイク≫

大地が隆起し巨大な土の槍となって、攻撃する。土の槍は対象を捉えるまで増え続け、伸び続ける特性を持つ。

  • ≪ブラッディ・ランス≫

魔法陣から巨大な血の槍を放つ。

その威力は実際に対峙するまで文献でしか語られなかったドラゴンゾンビを短縮した詠唱(ほぼ詠唱破棄)で発動しながら一撃で倒している。また、この血の槍は高温を発しており、その高温の余波でドラゴンゾンビの周りにいたスケルトンの集団も同時に倒している。

  • ≪ブラッディ・ライトニング≫

血のようにどす黒い巨大な雷を発生させる。ほぼ詠唱破棄で発動しながらS級モンスターを遥かに凌駕する存在である悪魔のフルカスをガードの上からダメージを与え吹き飛ばし、瀕死の重傷を与える程の威力を発揮した。また雷との混合属性でもある。

  • ≪ブレイブ・ホルン≫

七節の詠唱で発動し、味方を強化する支援魔法。詠唱後に角笛の音色が響き、対象の能力を底上げする(その際に対象は雄叫びを上げる)。

基本ソロのシルバーにとっては無用の長物だったが、ギルド上層部によって直接的な戦闘を行えない状況になった時に冒険者達が自身の代わりに問題を対処する事になったので、そのフォローの為に使用した。

  • ≪ブラック・フェザー≫

無数の黒い羽を生み出し操る魔法。作中では詠唱破棄で発動しながらも万を超える羽を生成し、辺り一面を埋め尽くしている。

基本的には魔力弾の上位互換であり、威力や射程距離に持続時間、展開できる量、移動速度は魔力弾を超える。また羽一枚一枚ごとに精密な操作ができ、応用で大量の羽を束ねる事で巨大な一対の翼を形成し、攻撃も可能。更に本人は使う気はないが、同様に大量の羽を束ねて翼を作り、自身に付与して飛行する事もできる。

  • ≪イージス≫

六節の詠唱を唱え、蒼と銀で配色された光輝く巨大な盾を展開する防御魔法。〝イージス〟シリーズの中の一つ。防御系の古代魔法の中でイージスと名が付く物は特に防御に長けており、この魔法は結界のように全方位には展開できないが、防御結界よりも遥かに強力な防御力を誇り、水竜レヴィアターノの超巨大な水弾や強力なブレスを苦もなく防いでいる。また盾の規模も帝都全体を覆える程に広い。

  • ≪ファーマメント・イージス≫

八節の詠唱で発動する、雲を纏った蒼と銀の大盾を展開する防御魔法で、イージスの強化版。防御魔法の中で特に強力な防御力を誇るのが〝イージス〟シリーズだが、その中でも最硬の強度を持つのがこの魔法であり、シルバーが使用する防御魔法の中では三本の指に入る程に強力。

大陸最強の攻撃力を誇る聖剣を防げるかは怪しいが(シルバーの直感では間違いなくヒビが入り、最悪だと押し負けていたと告げている)、四宝聖具に匹敵するノーネームの魔剣・冥神の最大奥義『冥影集斬』を余裕で受け止め、ビクともしない程の防御力を発揮し、ラファエルと先代ノーネーム戦では、エルナ、ノーネーム、クロエの全力攻撃で威力が減衰していたとは言え、聖剣の最大奥義(第一段階)と炎神の最大奥義を同時に防いでいる。

  • ≪エクスキューション・プロミネンス≫

巨大な魔法陣とその周りに小規模な魔法陣が六個展開し、その小規模な魔法陣が巨大な魔法陣の周囲を回り、その後に魔力が高まった魔方陣から輝く炎の閃光が放たれる炎系統の魔法。

八節もの長大な詠唱で構成されているが、それに見合う破壊力を誇り、その威力は山そのものを燃やし跡形もなく吹き飛ばす程。また悪魔の中でも最高幹部(魔王の側近幹部クラスには劣る)にあたるハーゲンティの水の権能で作り出した巨大な水牛に対しても、属性の相性が悪いにもかかわらず相殺している。

威力は前述の通り強力だが、シルバーの使う上級レベルの魔法の中では下位に位置し、SS級レベルのモンスターや悪魔に対しては小手調べとして使われる事が多い。

  • ≪グングニル≫

蒼穹を思わせる蒼い澄んだ光と共に巨大な魔法陣が展開され、その魔法陣の中央から虹色の槍を射出する。詠唱は九節。

その威力は魔界の竜ニーズヘッグのブレスを一瞬で飲み込み、そのままニーズヘッグ本体も消滅させる程(大規模魔法でもある為、その余波も凄まじいが、作中では空中にいる対象に放ったので、被害はなかった)。

  • ≪インフィニティ・ダークネス≫

巨大な黒い球体が出現し、触れたモノを全て消滅させる闇系統の魔法。八節の詠唱で発動。

威力も然ることながら広範囲にも影響を及ぼせ、作中では吸血鬼や悪魔に大群のモンスターを消滅させている。後述のダークネス・フォースでの描写から最低出力程度で発動しても森を簡単に吹き飛ばせる模様。

銀滅魔法を修得する前までは攻撃系の魔法の中で最大の破壊力を誇っていたが、闇系統魔法は威力に特化して製作されており、それにより発動に準備が掛かる、魔力消費が大きいという欠点があり、それ故に扱いづらく、更にその中でもこの魔法は他の闇系統の魔法よりも扱いが難しい魔法とされる。

そんな魔法だが、シルバーとは相性が良く、初めて発動した時には現在の威力と比べてかなり程遠いが、古代魔法の修行場にある湖を破壊寸前にするまで吹き飛ばしてはいる。

実はシルバーは闇系統の古代魔法は余り得意ではなく、インフィニティ・ダークネス以外の闇系統の魔法は発動はできるが、余り大した効果を発揮しておらず、この魔法だけが何故か闇系統の中でまともに使える物となっている(前述で言ったようにこの魔法は闇系統の中で特に扱いづらいのにもかかわらず。これより難度が低い闇系統の物も一定レベルで使えはするが、この魔法と比較すると及ばない)。

  • ≪ダークネス・フォース≫

十一節の詠唱による闇系統の強化魔法。弟子のクロエが唯一使える古代魔法で、短期決戦型の強力な魔法。

殲滅系の闇の魔法もとい漆黒の魔力を凝縮して纏い使用者の身体能力を爆発的に上昇させる。また漆黒の魔力を武器に纏わせて強化したり、魔力を飛ばす事で遠距離戦にも対応できる。更に漆黒の魔力を全体から部分的に集中させる事で、より攻撃力を上げる事も可能。

本編では未使用だが、修得タイミングはインフィニティ・ダークネスと同じであり(外伝での様子から修得してないと思われていたが、実際には完全に使いこなせてないだけで覚えてはいた)、弟子のクロエと違って相性が悪いながらも一発で会得に成功している。だが、相性の悪さ故に効果がそこまで高くない事、短期決戦型の強化魔法である為に持続力が難点な事、後述のシルヴァリー・フォースの方が属性系統は違えど完全上位互換にあたるので、実戦では一度も使用していない。

  • ≪アブソリュート・ゼロ≫

八節の詠唱で発動する氷系統の魔法。

発動時に真っ白な球が出現し、触れた対象を基点にその周囲をも凍らせ一面を白い世界に変える。

作中ではヒドラのマグマの粘液を一方的に打ち破り、そのままヒドラごと火山及びマグマを凍らせている。また、マグマを凍らせる程なので周囲の温度も相応に冷えており(結界を張っても寒さはかなりの物らしく、結界がなかったら恐らく凍死の可能性もあったと思われる。現にマグマでの戦闘では常に結界を張って熱さを軽減していたので、そのマグマを凍らせるこの魔法はそれ以上に温度の影響が大きい事になる)、それにより発動した場所の環境やそこにいる生態系に変化をもたらすなどの影響があり、場合によっては悪影響ともなる。


〝結界〟

シルバーが使う魔法の中では最も汎用性、テクニカルな応用力、種類もといバリエーションに富んだ魔法。

大陸随一の結界の使い手であるオリヒメ相手には強度で劣るが、単純な強度や規模、種類などは既存の結界とは一線を画しており、特にその広さは街や都全体も覆える程で、海を割って底の陸地にも着いたり、雲の上から地上にまで拡大できる位には別格の力を誇る。また結界の複数同時展開も可能で、作中では都全体に作用する結界二つを展開しながら自身の身を守る結界を何重にも展開して見せている。

結界の厚さや大きさ、広さも自由に設定可能で、更には柔軟性も持ち合わせており、作中ではそこそこ自由に形を変える事もできると説明されているが、実際はかなりの自由度を誇る。

結界の効果を与える対象も任意に決められ、空中に結界を固定する事もできる(結界を空中に固定するのはかなりの高等技術なようで、魔法先進国と呼ばれている皇国の一流の魔導師達でさえ維持に専念しなければならない位の難度だが、シルバーは容易く他の魔法を同時行使しながらでも行える)。また結界自体の形を変える及び形を保ちながら動かす事も可能。

補足として形を変える柔軟性、苦もなく空中維持(空中での足場)、形状を維持したままの移動はシルバーとオリヒメのみの芸当であり、他の使い手では現状不可能な程の稀少な技術である。

  • 防御結界

基本的な結界。その強度は無詠唱かつ全方位型でもS級レベルの実力者の全力攻撃ですら壊せない程で(SS級並の攻撃でも魔力次第で防げるが、基本は無詠唱な事もあって通常運転の結界ではSS級レベルには簡単に壊される)、S級レベルの海竜の水弾も防御できる。

それ以上の攻撃にも結界を複数展開して重ねて受け止め、徐々に威力を減少させる事で対処可能。強度の精度は全方位に展開して防御するよりも展開する結界の方位面を限定して防御する方が強度が増す。更にそれが狭まる程に圧縮される為、その分強度が上昇する(圧縮率次第ではSS級レベルでも身動きが取れない程)。

単純な防御だけでなく、身体全体に纏って移動した際に接触したものにダメージを与えたり、腕や脚に部分的に纏って打撃の破壊力を上げる事にも使える。また結界を飛び道具のように自身を基点または周囲に展開し射出(相手から見れば壁が迫ってくる状況)したり、対象に直接掛けて結界に閉じ込める(閉じ込めた対象を結界で圧縮して潰す事もできる)、対象の腕とかに一部直接掛けて動きを封じる、敵が放った物理及び魔力を使った攻撃や毒煙などを結界で封じ込めて、そのまま相手に返す等、遠距離攻撃、捕縛、カウンターにも使える。更に環境にも対応できる利便性もあり、結界を纏った状態だとマグマの熱すらも暑いと感じる程度に遮断し、マグマの中でも活動可能になる(同様に魔法でマグマを凍らせる程の極寒の世界にしても、ある程度の寒さにまで遮断でき、その中で活動も可能)。

重力も緩和及び遮断でき、外部からの振動(波の揺れや地震など)も遮断及び緩和できる。

大きさや厚さに広さと形も自在で、糸状にしたり、掌サイズや極薄の物、駒の形状(ボードゲーム用)に階段上などから、街全体や公都全体まで覆える広さや海を割り底の陸地まで見える程の大きさの物までと、任意調整して使用している。

前述通り複数の結界を同時展開でき、その数は確認できた描写でも個人用に範囲を狭めた結界を五千人以上に張り巡らせている。

  • 魔力遮断結界(仮)

魔力から遮断する結界。〝特異点〟の魔力すら、ほぼ遮断できる。詳細が不明な為、通常の防御結界と同一の可能性がある。

  • 呪詛遮断結界(仮)

呪いなどの特殊な影響を及ぼす力から遮断する結界。

  • ≪呪鎖結界≫

呪いが込められた黒い鎖を大量に放つ結界。呪いの効果は様々な弱体化であり、鎖に触れた者は能力が低下し、その数が多い程にその分だけ弱体化の効果が強まる。

強度も相応に高くSS級モンスターの古竜を拘束できる程に頑丈。

鎖は結界の規模によって増加するようで、作中では個人対象から街レベルにまで結界の範囲を広げたり、数百メートルサイズのモンスターに対応する大きさにまで調整して発動している。また呪鎖で敵の攻撃を縛りつけ、受け止める事もできる。欠点としては発動時にラグが生じる事。

対象の選別が可能で、作中では自身に敵意を持った者に自動で反応・追尾するようにしている。

  • ≪治癒結界≫

肉体の回復を行う結界。その回復速度は結界内に入っていれば怪我を負っても瞬時に治癒される(それが致命傷及び即死に近い攻撃を受けてもすぐに治癒される)。

同様に手足が物理的に千切れる、吹き飛ぶ攻撃を受けても結界内なら即座に回復してしまう(厳密には千切れる前に傷が修復する)。結界を張る前でも早めに千切れた部分を患部にくっ付ける事で治す事が可能。

更に回復阻害効果を持つ魔剣の力すらも容易く無効化できる程の出力を誇る。

しかし、結界の外及び発動前に致命傷や即死に近い攻撃を受けてしまえば間に合わない場合がある(回復自体が間に合っても意識が何時戻るかは分からない)。

また、あくまで即死に近い攻撃なら結界内でも回復するが、完全に即死レベルの攻撃を結界の中で受けた場合はそのまま命を落とす。

対象の選別が可能で、敵味方が入り乱れて回復範囲に入っていても味方と認識した者にだけ治癒を施している。また範囲を絞って個人用に治癒する事もできる(個人用サイズを複数展開しての同時治癒も可能)。

  • ≪探知結界≫

広域に展開し、範囲に入ったものを探知する結界。サーモグラフィーのように結界の範囲内のものを視る事が可能で、結界内なら姿を隠していても見つけられる(気配を隠しても同様)。また大型モンスターの体内にある核も探知する事ができる。

広さも雲の上から展開して、それより下の様子(地上)を探知できる程に展開可能。

ただ、SS級並の実力者レベルが高速移動していた場合、探知反応が遅れてしまう。

  • ≪光柱結界≫

光の柱で対象を閉じ込める設置型の結界。

強度は通常の結界よりも強力だが、結界の中では珍しく範囲が狭く、対個人用の結界として作られた魔法な為、実用性は低い。しかし、「強敵相手には使える魔法」とシルバーは評価し、実際ノーネーム相手に有効な効果を発揮した。

  • ≪気配遮断結界≫

気配を遮断する結界。S級レベルのモンスターにも気配を察知されない効果を発揮するが、姿を消してる訳ではない為、視認はできる。

  • 姿を消す結界

結界内にいる存在の姿を隠す結界。任意の対象だけに姿を見せる事もできる。

  • ≪防音結界≫

外部から音を入れない且つ範囲内の中の音を出さない結界。主に密談や幻覚による他者への尋問時に使用する。

  • ≪隠蔽結界≫

外部からの干渉を遮断する結界。周囲の風景に溶け込んでおり、外部の生物や物が結界内に入っても気づけば弾き出されている状態になる(または気づかず通り抜けている)。

  • ≪吸収結界≫

相手の攻撃を吸収する結界。吸収した攻撃は魔力に変換され、相手の攻撃が強い程に変換される量も増える。結界の強度自体も並大抵ではなく、S級モンスターを遥かに上回る悪魔の攻撃すらも防ぎ吸収する。

  • ≪反射結界≫

その名の通り相手の攻撃を跳ね返す結界。

S級冒険者のイグナートの切札である『終火葬』による突きをそのまま跳ね返し、イグナートを重傷に負わせ戦闘不能にしている。

描写を見るにS級以上(前述の『終火葬』は使用者の爆発的な身体強化に加え、魔剣の膨大なエネルギーを攻撃としても解き放つ技な為)の攻撃までなら反射が可能な模様。

  • ≪誤認結界≫

結界内の対象を誤認させる結界。平凡な人間には結界内にいる対象の姿形は見えてるが正確な像は見えてない、要は印象を変える魔法(結界内の対象の印象を目立たないようにする)。

  • 人避けの結界

名前の通り人が何となくで寄り付かなくなる結界。強者には効果が薄く、また遠隔発動なら平凡な人間でも対して効果を発揮しない(疲労がある人間なら遠隔でも有効)。

  • 安眠の結界

結界内の対象を眠りに誘う結界。効果自体はさほど強い訳ではなく、あくまでも眠りを誘発する事が目的なので目が覚めてる者にはほぼ意味がない。眠気がある者に対してのみ大きな効果を発揮する。

  • 睡眠の結界(仮)

安眠の結界よりも強力な睡眠効果を持つ結界。こちらは目が覚めてようが強制的に眠らせる事ができ、魔法に耐性がある者(または強者)は耐えられるが、それ以外はすぐに眠ってしまう。


〝幻術〟

幻を見せる魔法。偽りの映像や物を出したり、対象に夢や悪夢を見せる、姿を変化させる、認識や五感(感覚)を狂わせるなど、種類が多く結界同様に使い勝手が良い魔法。効果範囲も自在に操作できる。

また幻術が使える者が幻術に掛けられた場合、跳ね返す事も可能で、更に発動した術者と掛ける対象(幻術が使える者)に力量差があれば、その分跳ね返された際の効果が強まる作用がある。

強者には見破られたり、耐えられる事が多いが、使い方及び状況次第では通用する。

  • 姿形を変える幻術

自身やそれ以外を別の姿形に変化させる魔法。応用で偽りの何かを映す(見せる)事も可能(巨大な目を作るなど)で、範囲を広げれば周囲の風景を変える事もできる。主に変装時に使う。

  • 姿を消す幻術

自身を含めた任意の対象や物などの姿形を消す(範囲を広げる事で周囲の風景の姿形も消せる)。

  • 分身を生む幻術

自身と同じ姿をした分身を生み出す(複数出す事もできる)。物や他者の分身を作り出す事も可能。あくまで幻である為、実体はない。

  • 対象の恐怖を映し出す幻術

対象の深層心理に干渉し、その対象が最も恐怖を覚える何かを見せる幻術。術者には見えないが、対象にはハッキリ見えている。尋問時に使用する。

  • 夢と思わせる幻術

対象に現実で見た及び起こった事を夢と錯覚させる魔法。ただし、ボロが出る場合もある為、作中でも使おうとして結局止めている。

  • 悪夢を見せる幻術

文字通り対象に悪夢を見せる魔法。幻術の中でも強力なようで、シルバー曰く「(対象の)心が壊れかねない」。それ故に余り使いたがらない。

  • 幻影の霧

幻の霧を生み出し、深い霧の中の対象の感覚を狂わせる。


〝銀滅魔法〟

古代魔法の中でも特殊かつ最強の魔法であり、魔力も性質が銀属性という珍しい属性に変換される。また銀滅魔法を使用した後も魔力自体は散らばっているが、特殊な属性に変化した魔力である為、その魔力の再利用は基本できない。

シルバーと最も相性が良く、彼の得意魔法であり、彼を象徴する代名詞でもある。

他の魔法とは一線を画す強力な魔法だが、魔力の消費もそれ相応に大きく、使う物によってはシルバーの魔力総量の半分を消費する物もあったりする。

また発動までに時間が掛かり(他の魔法のように詠唱を短縮できない)、威力も完全に発揮する場合は魔力をしっかり貯めなければならない。更に同格相手には躱される可能性も示唆されている(と言っても規模の大きさや詠唱後の発動速度から作中では迎撃で対応されている)。

  • ≪シルヴァリー・ライトニング≫

十節からなる銀滅魔法で、雷属性の性質をも備えた魔法。

詠唱の初期に巨大な魔法陣が浮かび上がり、その際に銀色の雷が不完全ながら発生し、詠唱が終盤に近づくと魔法陣が更に巨大化して、同時に銀色の雷が完全に姿を現し、魔法名を唱えた後に巨大な銀雷が放たれる。

その威力は通常発動で天を割り、大地を揺らしている。また作中では重力波を受けた状態かつエルナを結界で守りつつ更に魔力が充分に貯まってない状態(八割の威力)でありながら、SS級モンスターの霊亀の黒いブレスを押し返している。

SS級冒険者であるジャックとの戦いでは、彼の強力な奥義である巨大な光矢とも引き分け、周囲一帯を吹き飛ばしている(作中では省かれてるが、ジャックとの小競合いでは魔力温存の為に最大火力では放っておらず、ある程度は力を抑えて発動している)。

最大出力で放てば魔法に耐性があるヴリトラにも致命打は与えられないが、ダメージ自体は通る程の効果を発揮している。

また両腕から放つ事で二射同時に発動する事も可能。

  • ≪シルヴァリー・レイ≫

シルバーの魔法の中で特に彼を象徴する魔法であり、十節の詠唱で発動する超広範囲殲滅型の銀滅魔法。消費量はシルバーの全体魔力総量の二割を持っていく。

詠唱後に銀の光球が両手の間(もしくは片手)に生まれ、魔法名を唱える及び光球を押し潰す事で発動する(発動する前でも周囲への影響力が強く、大地や大気を揺らしている)。

光球を押し潰した後に巨大な七つの光球が顕現し、七つの光球から無数の銀の閃光を全方位に放つ。

光球はシルバーが敵と定めた者を自動で狙い討ち滅ぼしていく。また光球を動かす事も可能で、設定上は光球自体をぶつけて攻撃に使う事もできる。

銀滅魔法の中でも強力な魔法で、超広範囲に攻撃できるだけでなく、銀光を一点集中にして放つ事も可能。その場合は超広範囲に拡散して放つよりも威力が圧倒的に上昇する。

作中では拡散された中の銀光一つでも、S級モンスターを遥かに凌駕する悪魔のフルカスの最大全力攻撃を相殺したり、無数の銀光を集束した一撃はフルカスや大量のモンスターと悪魔を一掃し、老竜二体のブレスを一方的に吹き飛ばしてそのまま討伐したりしている。SS級モンスターの古竜ファフニールに対しても最大ブレスを一瞬で消し飛ばし、ファフニールを討伐している。

魔法耐性が極めて高いSS級レベルのヴリトラに対しても拡散・集束型ともにダメージを与えられ、後者は特に高いダメージを生み出している。

覚えた当初は「母の病を治す魔法以外は無価値」と判断していたので、この魔法は攻撃魔法故に「母を救えない魔法」だった為、嫌っていたが、現在は「人を助ける役に立つ魔法」として好きになったという経緯がある。

  • ≪シルヴァリー・エンド・セイバー≫

十節の詠唱で発動し、詠唱しながら周囲の銀属性の魔力をかき集め、詠唱後に一振の剣を形成し、銀光の奔流を放つ銀滅魔法。

銀の終滅剣と呼ばれ、シルバーの聖剣とも言える魔法(聖剣・極光の所持者であるエルナがこれを見た際に内心「聖剣のパクリ」と感想を抱いている)。

シルバー及び銀滅魔法の中でも奥の手・切り札にあたる魔法の一つで、銀滅魔法の中でも珍しい一点集中型の魔法でもある(しかし、作者によると他の魔法と比べたら広範囲魔法としても該当している模様。実際に奔流やその余波などでも影響範囲や射程は凄まじく、霊亀戦では聖剣と同時攻撃だったとはいえ、オリヒメの結界がなければ周囲一帯を消していた。ちなみにこの時は全力から程遠い状態で放っている)。

剣である為、銀光の奔流を放つ以外にも斬撃や刺突、投擲も可能であり、武器としての汎用性も備えている(高密度の魔力で出来ているが、生成後には物理的な剣としても該当するようで、魔法対策した相手にも通用している)。

また銀光の奔流がシルヴァリー・エンド・セイバーの最大攻撃であり、エルナで言うところの聖剣の最大奥義『光天集斬』に該当する。

上述で説明したように銀滅魔法は、発動した後に魔力が銀属性に変化し、それが周囲に散らばり、本来ならその魔力は再利用する事はできないが、この魔法はそれを再利用する為の物。発動消費自体は銀滅魔法の中では最も少ないが、発動するには事前に他の銀滅魔法を使わなければならない。

威力はそれまでに使用した銀滅魔法の質(使用する銀滅魔法の出力、難度が高い物もとい銀滅魔法でも強力な物ほど良い)と使用した銀滅魔法の量に左右され、そこに使用者の魔力を合わせた物で破壊力が決まる。

特に量が重要視され、銀滅魔法を使うほど威力が高まる。ただ、質も相応に必要であり、事前に使った銀滅魔法が本来の出力から遠くても威力に影響し、使った銀滅魔法の難度が低い場合も威力にかかわるので、こちらも高い方が良い。

理論上は作中最強の攻撃力を誇る聖剣を超える威力を出す事もでき、事前に発動した銀滅魔法が強力かつ使用量が多い程に、条件次第で聖剣以上の力を発揮できる。だが、その分制御も難しくなり、更にシルバーはまだこの魔法を完全に使いこなせておらずもて余しているようで、後述のシルヴァリー・フォース抜きでは現状として聖剣以上の威力は出せないでいる。

この魔法の上位互換としてシルヴァリー・グリント・レイが存在するが、全てが劣る訳でなく、こちらは消費燃費の良さ、制御のしやすさ、他の魔法との併用のやり易さ、最大攻撃である銀光の奔流を放たなくても剣としての機能による通常攻撃も必殺レベルの破壊力がある、などの利点がある。更に剣としての機能によって魔法に対する耐性や防御能力を持つ相手にも有効という長所がある。


超強化形態

  • ≪シルヴァリー・フォース≫

シルバーの必殺技及び奥の手兼切り札の一つにして、シルバーの超強化形態とも呼べる銀滅魔法。シルバーの対同格者及び古の悪魔用の魔法でもある。

十二節の長大な詠唱後に銀光が生み出され、それがシルバーの中に入った後に膜のような形で再出現し、シルバーの全身を銀光が纏う。または詠唱しながら銀光がシルバーを包んでいき、最終的に全身を包み込む等、二パターンある。

この魔法の効果は総合的な強化魔法であり、身体能力(体力も含まれる)、感覚(五感や魔力的な物も含む)、魔力操作が遥かに強化される。だが、最大の特徴は全ての魔法が銀滅魔法に強化される(銀属性が付与され、更に名称にシルヴァリーと付く模様)点であり、使う魔法一つ一つが必殺級の物に昇華される(魔法の種類問わずに全て効果が強化される)。尚、元から銀滅魔法だった物は他の魔法よりも更に強化される。

ちなみにシルバーが纏っている銀光はフォースの余剰エネルギーであり、いわゆる副産物である。だが、そのエネルギーは通常時で使う結界の防御力を格段に凌駕しており、最高幹部クラスの悪魔の攻撃を容易く防ぎ、更に魔王アスモデウスの右腕であるストラスの影の権能すらも一切寄せ付けず無効化する程。この余剰エネルギーも銀属性ではある為、この形態になる前にシルヴァリー・エンド・セイバーを発動しても追加で魔力を流して威力を上げる事が可能(フォース形態が続く限り追加で流し込める。尚、流し込む程に消費が増加していくので、フォース形態の維持の為に一定レベルが限界となる)。

また魔力操作の向上によって銀滅魔法を含む、ほぼ全ての魔法が難度関係なく無詠唱で発動可能になる(作中では元から銀滅魔法だった物は威力を出す為にあえて詠唱して発動している)。更に発動する魔法の魔力消費も大幅に抑えられるようになり、上級レベルの大魔法も同時に発動できる。

この形態になったシルバー曰く「SSS級」との事で、実際にその戦闘力はエルナやSS級冒険者達を一対一で圧倒できる程の力を誇り、SS級並が数人で組んで挑んできても互角以上に渡り合える戦闘力を発揮する。また魔王クラスを除く悪魔にも圧倒的に上回れる。

強大な力を使用者にもたらす一方、欠点もあり、詠唱が長い故に発動までに時間が掛かる事と魔力消費が膨大な点である。

特に後者の方はシルバーの全体的な魔力総量の半分を消費し、更に持続維持にも多少魔力を消費するなどの大きいデメリットがある。四宝聖具の一つ聖輪を手に入れた後は、ある程度の魔力消費の欠点は解消されたが、それでも完全には賄いきれてない。

  • ≪魔力弾≫

通常時と同じ魔力の光弾を放つ。しかし、銀属性を付与された影響で銀弾となり、その威力も通常時の比ではなく、無詠唱で発動しながらもSS級の悪魔であるハーゲンティの水の権能で作り出した水鷲を一撃で貫き吹き飛ばし、そのままハーゲンティの右手を引きちぎっている。

ちなみに水鷲は、シルバーが通常時で放つエクスキューション・プロミネンス(山を一撃で吹き飛ばす威力)と相殺した水牛よりも更に強力な存在であり、それをこの魔法は一方的に貫いてハーゲンティにもダメージを与えられている。つまり、この魔力弾は一発で山を数個分は吹き飛ばせる破壊力を秘めている。加えて補足すると、無詠唱で使用している為、これでも本来の威力ではないので、更なる威力を出す事も可能。また基本サイズは通常時と同様に拳及び掌ぐらいだが、そこから大きさを上げる事でも威力や規模が向上する。

しかも魔力弾は速度及び連射、複数展開による弾幕が真の持ち味であり、つまり一撃で山数個分を消せる光弾(基本サイズ)を膨大な量かつ高速連射して放てる事を意味する。

  • ≪身体強化魔法≫

通常魔法と同じく肉体を強化する物だが、厳密にはシルヴァリー・フォースを発動した時点でデフォルトで付いており(銀属性も付与されている)、他の魔法と違って既存の身体強化魔法自体をそのまま強化した訳ではない。

その効果は途轍もなく、単純な身体能力が人類最強(シルバー曰く「人類か怪しいレベル」)であるリナレス及びエゴールの二名を大きく上回るパワー、タフネス、スピード、スタミナ、五感を得られる。

剣術などの武の技術は変わらず補えないが、その圧倒的な身体能力のパワーで近接戦闘最強クラスの上記二名と互角以上に渡り合う事も可能で、上手く力のごり押し主体のペースに乗れば、肉体による接近戦のみで両名に勝つ事もできる。

またリナレスの本気状態の肉体から繰り出されるパワー全開の最大攻撃を超える拳打と脚打を放つ事もできる(それに伴う衝撃波の範囲や射程も凄まじい物となる)。

作中では瀕死の重傷だったとはいえ、最高幹部の悪魔であるハーゲンティを拳の一撃で跡形もなく消滅させている。更に作者によれば魔法に極めて高い耐性を持つヴリトラ相手にも肉弾戦のみで倒せるとの事(ただし、フォースによって強化された魔法の方が手っ取り早く倒せる模様)。

  • ≪飛行魔法≫

通常時より強化された空中を自在に動く魔法。

  • ≪転移魔法≫

通常時よりも強化された転移の魔法。第二形態になったアスモデウス戦では、強化された転移門を短距離で複数出して味方と共に超高速移動で翻弄した。

また作中では披露されてないが、銀属性が付与された事で転移の距離が帝国から仙国まで中継点を介さず及び門同士の重ね掛けをせずとも一度の発動で行けるようになっている。

  • ≪呪鎖結界≫

呪いの鎖を放つ結界。銀属性が付与された事で黒から銀色になり(シルバー曰く「銀鎖」)、鎖の強度や呪いの効果なども強化されている。

  • ≪シルヴァリー・エクスキューション・プロミネンス≫

銀属性を付与した強化型エクスキューション・プロミネンス。炎は銀焔となり、詠唱もハ節から十節に増えている。

また初めて発動した時には【リベラティオ】によってシルヴァリー・フォース自体の性能とエクスキューション・プロミネンス自体の性能の両方が二割増しになっていた為、普段のシルヴァリー・フォース形態で放つエクスキューション・プロミネンスよりも大幅に強化されていた。

魔王アスモデウス戦では、シルヴァリー・レイと同時発動している。

  • ≪シルヴァリー・ライトニング≫

巨大な銀雷を放つ銀滅魔法。元から銀滅魔法である為、フォースの恩恵は他の魔法よりも更に受けており、その威力は直接詠唱でSS級悪魔のハーゲンティの最大技である翼を持った水牛を一撃で消し、ハーゲンティにも瀕死の重傷を負わせている。

完全詠唱の場合、魔王の右腕であるストラス相手にゼロ距離で放ち、ストラスを消滅させただけでなく、地面が大きく抉れ、クレーターが出来る程の威力を発揮した。

  • ≪シルヴァリー・ジャッジメント≫

魔法陣から銀色の閃光が放たれる銀滅魔法。元から銀滅魔法だった事で他の魔法よりも更にフォースによる強化の恩恵を受けている。作中では銀の魔力弾で魔法陣を描いてその後すぐに直接詠唱で発動している(魔法陣を描いている為、通常の直接詠唱よりも効果は上昇している)。

第一形態の魔王アスモデウスが防御を取る程の破壊力がある。

  • ≪シルヴァリー・レイ≫

七つの巨大な光球から無数の銀の閃光を放つ銀滅魔法。フォースの恩恵は元から銀滅魔法であるので、他の魔法以上に大きい。

第一形態の魔王アスモデウス相手に完全詠唱で発動し、その危険度は第三解放した聖剣に匹敵する程(その状態で放つ聖剣の最大奥義には流石に大きく劣る)。

第二形態となったアスモデウス相手にも完全詠唱で使用し、その時は【リベラティオ】によってシルヴァリー・レイとシルヴァリー・フォースの効果がどちらも二割ほど強化されていた為、第三解放した状態で放つ聖剣の最大奥義にも匹敵かそれ以上の威力を出せていたと思われる。

  • ≪シルヴァリー・エンド・セイバー≫

シルバーの聖剣とも言える、銀の終滅剣と呼ばれる銀滅魔法。銀滅魔法な為、フォースの恩恵は他の魔法よりも強い。

銀滅魔法の中では特にフォースとは様々な面で非常に相性が良い。

セイバーは銀滅魔法の中では消費燃費がとても少ない点が優れており、そこにフォースの魔力消費の大幅軽減効果によって、より低燃費で発動でき、更に銀属性以外の魔法もフォースによって銀滅魔法に強化変質し、元から銀滅魔法だった物は、より強化されるので、発動しやすさの向上に加え質と量の両方の面でセイバーの破壊力の強化補正が乗り、それとは別にセイバー自体もシルヴァリー・フォースによって大幅に強化される為、総評すれば三重の威力上昇の恩恵を得られている(また上述で言ったようにシルヴァリー・フォースの余剰エネルギーも上乗せ可能で、フォース形態を維持している間に限り余剰の魔力を込め続けられるので、此方も含めると四重の威力上昇の恩恵になる)。

早い話が魔法の中でも消費燃費が最も低い魔力弾(銀属性になった事で出力も桁違いに上がっている)を大量に放つだけでも途轍もない破壊力のシルヴァリー・エンド・セイバーを発動できると言う事である。

作中では第一形態の魔王アスモデウス戦を終えた時点で第三解放した聖剣の『光天集斬』に匹敵していたが、第二形態になったアスモデウス戦直前で【リベラティオ】によってシルヴァリー・フォースとシルヴァリー・エンド・セイバーの効果がそれぞれ二割上昇した為、第三解放の聖剣の最大奥義も超える威力を出せる状態になった(この時点ではセイバーはまだ未使用)。

【リベラティオ】後には同じく二割強化されたシルヴァリー・レイとシルヴァリー・エクスキューション・プロミネンスに加えてそれ以外の多数の銀滅魔法も使い、それらを触媒にした為、最終解放した聖剣には遥かに劣るとは言え、第三解放した聖剣の最大奥義をも圧倒的に上回る威力を出せるようになった(しかも通常攻撃での破壊力であり、セイバーの最大攻撃の銀光の奔流はそこから威力が格段に上がる)。

因みに第三解放した聖剣の『光天集斬』が太陽の光量に匹敵しており、この事から【リベラティオ】以後のシルヴァリー・エンド・セイバーは太陽以上の光量を放っている事となる。

  • ≪シルヴァリー・グリント・レイ≫

古代魔法の中でも最長十四節の詠唱を誇り、開発者が最後に残した最強の銀滅魔法。

本来ならシルバーの実力では、唯一満足に発動できなかった魔法だったが、【リベラティオ】によってグリント・レイが強化及び負担が緩和(制御力と消費燃費)し、更に同じくシルヴァリー・フォースの効果も強化され、その上でシルヴァリー・フォースのブーストが掛かった事で発動できるようになった。

発動条件はシルヴァリー・エンド・セイバーと同じく銀滅魔法を事前に使う必要がある。

発動方法はこれまでに使用した銀滅魔法(銀属性)の魔力を左手に集束して球体を出現させ(アスモデウス戦ではセイバーを一旦解除して再度球体に変化させている)、同時に右手には全魔力を集中して同じような球体を出現させる。その後に二つの球体を合わせ、それらが真っ白な銀の球体へ変化し、更にまだ周囲に散らばっている銀属性を球体へ集束して詠唱する。そして両手の間にある白銀の球体が一際輝き始め、それを強く押し潰した後に魔法名を唱える事で発動し、その後に螺旋を描く一つの白銀の閃光が放たれる。

魔法名と発動した状態からシルヴァリー・レイの単体仕様に見えるが、前述の発動条件から分かるように、実際はシルヴァリー・エンド・セイバーの強制変換型の銀滅魔法(シルヴァリー・レイ+シルヴァリー・エンド・セイバーの要素を合わせたようにも見える)。

早い話がシルヴァリー・エンド・セイバーの上位互換であり、その効果は周囲の魔力を銀属性に変換して、それを吸収していく事で威力を上げていくと言うもの。

発動条件故に発動初動時点でもシルヴァリー・エンド・セイバーを上回る威力を誇るが、そこから更に超広範囲の魔力を変換吸収しながら威力をどんどん上昇させる為、理論上は最終解放した聖剣の最大奥義を遥かに凌駕する破壊力を生み出す事も可能(セイバーでも理論上は可能だが、上述通りグリント・レイはセイバーの上位互換であるので、後者の方が聖剣以上の威力を容易く生み出せる)。加えてシルヴァリー・フォース状態ならばグリント・レイ自体の破壊力もそこから更に格段に強化される。

魔王アスモデウス戦では最終解放した聖剣の最大奥義に匹敵する破壊力を発揮した。

ただし、シルヴァリー・エンド・セイバーの上位互換と述べたが、セイバーの説明でもあったように全ての部分で上位互換ではない。あちらは発動する際の魔力消費がほとんど少ないのに対し、こちらは【リベラティオ】とシルヴァリー・フォースの影響でようやく発動できる魔力消費までに軽減する必要がある程に膨大な魔力量が必須となる。

次にその膨大な魔力故に制御力も相応に求められるので、発動のしやすさではセイバーに劣っている。

また初使用時のアスモデウス戦では効果を充分に発揮したとは言えず、全能力を強化するシルヴァリー・フォース形態で発動しながらもその時は暴発寸前の綱渡り状態であり、加えて聖剣と皇剣の最大奥義により魔力吸収が阻害され、その問題を解決する為、フォース形態を最終的に解除して、その力をグリント・レイに回している(シルバーがグリント・レイを使いこなせていれば阻害を気にせずとも魔力の吸収は可能だった模様。尚、本来はシルヴァリー・フォース形態を維持した方がまだ御し易かったが、本人がグリント・レイ自体をもて余していた事で、制御力なども強化されている筈のフォース状態を解除して少しでもグリント・レイの足しにする方がマシと言う判断を取ったので、本末転倒な事になった)。

シルバーの最強魔法であるが、上述で言ったように現状は通常時及び(普段の)シルヴァリー・フォース形態では発動出来ない代物だが、実はこれには訳があり、とある影響によって満足に発動出来ない状態となっている(後述)。


アードラーに伝わる魔法

  • 『ゴルド・アードラー』

十三節の詠唱による召喚魔法で呼ぶ巨大な黄金の鷲で、正式名称は〝鷲王ゴルド・アードラー〟。

人間界や魔界とはまた違う世界から召喚される最強の守護神鳥で、鷲王と名乗っているが、実際は〝神〟のような存在であり(作者曰く「神様を召喚しているようなもん」)、アードラーの礎、由来となったのがこのゴルド・アードラーであり、アードラーの一族の象徴そのものである。

初代皇帝にして古代魔法の使い手であったアルフォンスの盟友で、古代魔法文明終焉後の戦乱時代をアルフォンスと共に戦い抜いた。またアルフォンスと盟約を結んでアードラーの子孫を手助けする事を誓い、アードラーの一族のみに伝わり許された召喚詠唱と契約で顕現する。尚、分類は一応古代魔法に該当するが、血の濃度が初代皇帝に近づけば古代魔法の適性がなくとも召喚はできる。ただし、その場合は複数人のアードラーの大量の血と後述でも言うように命を捨てる必要がある。

神のような存在であるので、その召喚には途轍もない膨大な魔力が必要であり、魔力が足りない場合、使用者の生命力も必要となる(そうなれば確実に使用者は死んでしまう)。

それ故、過去に召喚に成功した者はごく僅かしかおらず、しかもそれさえも自爆召喚、つまり命と引き換えにした召喚であり、古代魔法が使えた歴代のアードラー達は完全な召喚とは言えなかった(この事をシルバーは「アードラーを守る為、アードラーの命を奪う矛盾の存在」と評している)。

唯一完全な召喚を成功させたのは初代を除きシルバーのみで、現在二回の召喚に成功している。これによりシルバー=アルノルトは歴代アードラーの中でも才能に秀でている事を証明している。

ただし、それでも初代皇帝と違って召喚には準備と条件が必要であり、それを満たさないと生命力を持っていかれる。

本編及びそれ以前での召喚方法は特殊な地形を利用し、そこに巨大な魔法陣を描き、それに魔力を充填させる事でゴルド・アードラーを顕現させている。

上記の召喚条件及び存在であるので、当然圧倒的な戦闘力を誇り、今よりも強者が多かった大陸中央の乱世をアルフォンスと共に終わらせ、五百年前の悪魔との大戦も召喚できる者がいればもう少し戦況が違っていたと語られている(召喚できる者がいる前提で、更に顕現時間の制約がなければ少しどころか、かなり大きく戦況が変わってたとの事)。詳細はまだ未確定だが、神のような存在故に世界を滅ぼせる存在と同等以上に戦える程に桁違いの戦闘力を秘めていると考えられる(上述のシルヴァリー・グリント・レイをゴルド・アードラーならば打ち破れる事が作者により示唆されている)。

少なくとも、魔法に対し極めて高い耐性があったとはいえ古代魔法文明時代の魔導師達(ただし、王族には到底及ばない)でも討伐できなかったヴリトラを一方的に蹂躙して倒し、魔王アスモデウスの右腕であるストラス以上の実力を誇るウェパルを簡単に葬っており、加えて悪魔との大戦にいれば戦況が変わってた事、五百年前の大戦時の魔王ルシファーの大参謀であったダンタリオンすらも非常に警戒していた事から、作中でも最高峰の戦闘力は持ち合わせている(SS級は超えている)。

戦闘手段は、黄金の光を纏い放ちながら嘴や爪に翼での物理的な攻撃と黄金の光自体を放出する(黄金の光に触れた物は焼かれ消滅し、その威力はウェパルの権能と魔界の城すらも容易く蒸発させている。作中未使用だがブレス等も放つ事が可能)。この黄金の光は聖剣に似た性質の光を発している。

また体長も自在に変化させる事も可能で、召喚時は体長数十メートル、ヴリトラとの戦闘時には数百メートルにまで大きさを変えている(通常の鷲のサイズにもなれる模様)。

当人は威厳のある性格で、会話もできる。一人称は「余」であり、神のような存在故にアードラーの一族以外には尊大な態度を示している。

アルフォンスを「友」と呼び、彼の死後も変わらない友情を抱き続けている。同様に彼の子孫にも慈悲深さを見せており、歴代召喚者達はゴルド・アードラーを呼ぶ度に命を落としている為、その事に哀しみを見せている。その為、アルフォンスと同じく命を削る事なく自身を召喚するアルノルトには「良い召喚者」と高い評価を下し認めている。尚、当人は内心何時でも呼んでほしいと思ってる模様(だが、条件が条件だけに気軽に呼べないのが現状である。シルバー曰く「ポンポン呼べる存在ではない」「気軽に召喚していた初代皇帝がおかしい」。ただ、作者によるとアルフォンスも言うほど簡単ではなかった模様)。

アードラーの一族には『余は何時でもアルフォンスの子らと共にある』と言う程に大切に思っているが、アードラーに敵対する存在には容赦せず、徹底的に蹂躙して消している。

上述で言うように召喚には膨大な魔力を消費する為、条件がなければシルバーでも召喚できないが、こちらもシルヴァリー・グリント・レイ同様にある理由で初代皇帝のように気軽に呼べないのが真実である。


その他の本編未使用の魔法

  • 重力魔法
  • 水中でも活動できる魔法
  • 自動追尾を付与する魔法
  • 解毒の魔法(治癒結界と同じかは不明)


装備編集

  • 〝王魔の銀仮面〟

シルバー時に装着する銀色の仮面。

シルバーを象徴する物であり、正体を隠す為としてグスタフに譲られた秘蔵品の銀仮面。

数ある魔導具の中でも途轍もない超強力な逸品で、その効果は強力な認識阻害であり、装着者の声や匂いに相手に与える印象までも変えれる優れ物。特に大きな欠点もなく、唯一のデメリットは装着していると使用者は違和感を感じる(シルバー曰く「煩わしいな」「(少し)窮屈」)程度。その為、アルノルトもあらゆる認識を阻害する便利な魔導具として認識し、仮面のデザインも気に入っていた(他者からは不評で、多くの者が「変な仮面」と思っている)。

またかなり頑丈に出来ているようで、聖剣レベルの攻撃でようやく破壊できる程の耐久性を誇る。

しかし、実は認識阻害は只の副産物でしかなく、真の効果は装着者の魔力を極限にまで抑制するのが本来の目的であり、使用者の力を鍛える為の魔導具として製作されたのが真相。

この銀仮面は古代魔法文明時代の王家の魔導師達が修行用に使っていた物であり、同時に拘束具でもあった代物で、古代魔法文明時代の王族達は更なる力を得る為にこの銀仮面を装着していた。装着してる間は使用者の魔力が大幅に制限され、本来の力を発揮できなくなるが、その間に魔法を使っていれば次第に魔力が成長していき、仮面から解放された際には装着する以前(鍛練する前)よりも実力が向上している結果となる。

古代魔法文明時代の王族達は、その才能と銀仮面の抑制鍛練によって世界を滅ぼせる程の領域に至っていた。

それ故に、その力による影響で世界が滅びるのを恐れた当時の魔導師達は魔法を捨て隠遁し、意図的に古代魔法文明を衰退させた。

これが古代魔法文明の終焉の顛末であり、その時代の魔導師が衰えたのではなく、古代魔法に世界が耐えられなくなったのが真実であった。

しかし、それ程の実力者は王族や特権階級などの一部だけだった上にある日突然に彼らが隠遁した為、その後に混乱が起き、凄惨そのものだった模様(それが初代皇帝とゴルド・アードラーが戦い抜いた動乱もとい古代魔法文明の黎明期である)。

他には封じられた使用者の魔力を一時的に緩める特例用の機能【リベラティオ】が備わっており、修行を監督する師匠の許可が降りれば制限が僅かに解放される(作者曰く「二割」)。上述の様々な魔法の説明にあった【リベラティオ】は、実際には強化状態ではなく本来の力を短時間だけほんの少し戻した状態が正しい。

ちなみに銀仮面の真の効果をアルノルトは当初知らず、それを譲ったグスタフも長年気付かず、アルノルトが仙国で古代魔法文明に精通していた竜人族の長と出会った事でようやく知り、同時に銀仮面の正式名称もそこで初めて知った。

尚、本来なら銀仮面の効果で魔力は抑えられ、仮面を外して魔力を解放する事で成長と力を封じられていた事を実感するが、アルノルトの場合は才能の高さ故に仮面を着けた状態でありながら自身で実感できる位に実力が成長し続けており、それが原因で銀仮面の真の効果に気付かなかった(全力を出す機会が少なかったのも要因の一つ。普通なら仮面を装着してる状態だと実力の向上が表面化されず、装着者は窮屈に感じる。上述のシルバーが装着してる時に感じたデメリットの感想がまさにそれだが、本人は多少程しか感じず、しかも「そういうものか」と直ぐに慣れてしまった為に余計に本人も気付きようがない状態になった)。

つまり、装着者の才能次第では銀仮面の抑制による窮屈さを苦に感じない場合もあり、そういう者こそが世界を破壊する力を得られるということである(グスタフでは、この次元に至るのは不可能との事)。

銀仮面の真の効果を知り、現装着者のアルノルトの様子を聞いたグスタフ曰く「(お主は)異常」。

まとめると、本編のシルバーは聖輪入手前までは全力を出せない状態だった上に銀仮面により無自覚に力を極限にまで抑制させられた状態で戦っていた事になる。

魔王アスモデウス戦では、初代皇帝の思念体による【リベラティオ】で一時的かつ僅かな力の解放を体感し、ラファエルと先代ノーネーム戦で遂に自ら銀仮面を外して本来の魔力を解放している。


  • 聖輪・陽炎(ヴェスタ)

流星から作れた四つの武具・四宝聖具の内の一つで指輪型の形状をしている。

四宝聖具の中ではシルバーが所持するまで唯一明確な使用者が長年おらず(厳密には聖符もだが、あちらは使用者がいないだけで常に利用されていた)、かなり長い年月の間ギルドで保管されていたが、ノーネームの問題に関わった際に宝の持ち腐れになるということでリナレスから譲られた。

他の四宝聖具とは違い使用者を選ばない利点があり、その代わり効果が限定的という特徴を持つ。

その効果は使用者の魔力の急速回復であり、魔導師に取っては優良な代物だが、前述の特徴から弱い魔導師が使っても恩恵が余りなく、強力な魔導師が使う事で初めて途端に化けるというピーキーな性能をしている。

使い方と持ち主次第では「弱小国を強国に変える」、それなりに強い魔導師が装備すれば「戦局を変える魔導師に早変わり」と評されている。

それを作中最強の魔導師であるシルバーが装備した事で前述の評価を遥かに上回る効果を発揮する。またこれにより弱点だった戦闘継続力の低さは解消され、同時に魔力の消費を気にせずに常に全力を発揮できるようになった。

しかし、消費が余りにも大きいと回復が追い付かない事もあり、例えば魔力総量の半分を持っていかれるシルヴァリー・フォース(仮面装着時)だと持続消費も重なり回復が次第に間に合わなくなる。また魔力総量が多ければ多い程回復に時間が掛かる点は変わらないので、シルバーの魔力総量だとほぼ魔力0の状態から完全回復までに数日以上は掛かっている(それでも聖輪入手前だと魔力が無い状態から完全回復までに一ヶ月半は掛かってる為、格段に改善はされている)。

〝王魔の銀仮面〟の抑制から解放された後はアルノルトの魔力消費効率の最適化と相まって、皇剣のバックアップに近い擬似的な無尽蔵の魔力回復力を発揮している。


  • 黒装束

シルバー時に身に纏っている黒いローブの魔導具。

〝王魔の銀仮面〟程ではないが、優れた隠蔽効果を持ち、更に高い防御力を誇る防具としての機能も備えている。
























































真の力編集

〝王魔の銀仮面〟の説明であったように『銀滅の魔導師』シルバーとしてではなく、『出涸らし皇子』アルノルト・レークス・アードラーとして戦う方が、アルノルト本人は強い。

しかし、〝王魔の銀仮面〟を外せば、銀仮面によって抑制された魔力が溢れ、以前のような抑制された状態に戻るのが困難になる。その抑制されていた本来の力は古代魔法文明時代の王族に匹敵する。

即ち〝世界を滅ぼせる力〟を宿している事を意味する。

千年前の古代魔法文明時代の王族達はその力の強大さ故に隠遁し、またアルノルトも悪魔との戦いで銀仮面を外す事態になれば終わった後に全てを捨て、姿を消す覚悟を持っていた。

そして、五百年前の魔王の大参謀であったダンタリオンとの決戦を前に遂に銀仮面を外す決意を決め、人類を裏切った先代ノーネームとラファエルとの戦闘で外すのであった。

仮面を外した後は自力でコントロールして力を抑制しており、本来の力を抑えているが完全ではなく【リベラティオ】時を多少上回る出力がデフォルトでの最低出力となっている。


戦闘力

〝王魔の銀仮面〟による極限の抑制から解放された魔力は世界を破壊可能な領域にあり、これまでのシルバーとは一線を画す超越した力を発揮する。

具体的には魔法を使う度に空間にヒビが入り、裂け目ができて、やがて世界が耐えられずそのまま崩壊してしまう事態に発展する(SS級レベルの実力者も空間にダメージを与える事自体は可能だが、すぐに世界の修復力が作用する程度に留まっている)。また物理的に規模の程度はあれど大陸を吹き飛ばす事自体可能だと思われる。

この状態で使う魔法(及び魔法によって強化された身体能力から繰り出される物理的な攻撃)は空間そのものにダメージを与えられる。更にその余波でも周囲の空間にも多大な影響を及ぼす為、特定の対象を倒す場合は早めに仕留めなければならない(そうしなければ次元が耐えられず世界が破壊される為)。

しかも、その状態で戦えば「恐らく体がもたない」とアルノルトは推測しており、魔力や魔法で身体強化しようが、それらを差し引いた元の肉体強度に左右される為、長時間の戦闘は行えない(アルノルト曰く「(全力での戦闘可能時間は)数分だろうな」)。

この為、作中では全力を出さずにあくまで一定以上の魔力を解放するだけに留めている。


仮面を外し本来の魔力を解放した為、それにより魔法の威力、速度、規模、魔力消費の効率化、制御力など、全てが仮面装着時とは比べ物にならない程に圧倒的に上昇する。上述のシルヴァリー・グリント・レイも仮面を外して魔力を解放したならば普通に発動可能となり、ゴルド・アードラーも同様に初代皇帝のような召喚が出来るようになる。この二つが使用可能になったのは、仮面装着時は常に無駄な魔力を大幅に消費していたからであり、仮面を外せば消費効率が本来の仕様に戻り、燃費がかなり良くなった為、使えるようになる(同じように全ての魔法も無駄な消費ロスが発生しており、そちらも大幅に改善されたので、上級レベルの大魔法も以前と比較にならない位に連発出来るようになった。特にシルヴァリー・フォースは発動消費が大分効率的な燃費になり、持続時間も桁違いに上がっている)。

また本来の力だと、仮面装着時とは違いシルヴァリー・フォースを使わずとも銀滅魔法も含めたほぼ全ての魔法が無詠唱で発動可能になっており、詠唱の長さによるタメや隙も問題が無くなった(無詠唱ではあるので威力は落ちるが、それでも仮面装着時の詠唱発動の魔法よりも圧倒的に上回る威力は出せる)。

同様に上級レベルの大魔法を一度に複数同時に発動できるようにもなっている(例として複数の銀滅魔法を一度に数個発動するなど)。

そして、本来の力にシルヴァリー・フォースの力を上乗せする事で、世界を滅ぼせる力は更なる領域へと至れる。加えてその状態でシルヴァリー・グリント・レイを放てば大陸を一撃で吹き飛ばせる事が推測される(魔王アスモデウス戦での描写から。ただ、それ程の威力を放った時点で次元が破壊され、世界=星そのものが崩壊する可能性があるが)。


その戦闘力を他と比較する場合、例えば苦手である近接戦闘に限定しても魔力による身体強化または魔法の身体強化を使うだけで人類最強の肉体と最高峰の武術を極めたエゴール及びリナレスを肉弾戦のみで容易く倒せる程になる(仮面装着時のシルヴァリー・フォース形態でも同様の事は可能だが、フォース形態は簡単とはいかず上手くペースに乗せなければならない)。

そして作者によると、仮面装着時のシルヴァリー・フォース形態の自身(人類最強のSSS級クラス)を速攻で圧倒して倒せるとの事。

尚、これらはシルヴァリー・フォース形態ではなく、通常形態での戦闘力であり、シルヴァリー・フォース形態になれば強さの次元が桁違いのモノとなる。

実際に仮面無しでシルヴァリー・フォース形態になった際に、力試し感覚でSS級レベルの先代ノーネームとラファエルを瞬殺及び一方的に蹂躙している。


仮面を外した上で力を抑制した状態の通常形態での戦闘力もSS級レベルを超えており、この加減状態ですら仮面装着時の全力をも上回る為、シルヴァリー・フォースを使わずともエルナや四名のSS級冒険者以上の戦闘力を発揮できる。

また、抑制されているとはいえ魔力消費効率も大きく改善されているので、安定性と継続戦闘力もシルバー時よりもかなり向上している(抑制を少しずつ解いた後には聖輪とのシナジーで魔力が無尽蔵に近い状態となっている)。

天使化したダンタリオンとの戦いでは、フォース形態で初代勇者の奥義を使用した後から力を徐々に解放していき、半分以上の力を解放している(それにより全力でなくとも空間に影響が出始めている)。


使用魔法

仮面装着時(シルヴァリー・フォース含む)とは比較にならない程の出力に上昇した魔法。破壊力、速攻性、範囲、消費効率など、あらゆる要素が最早別次元となっている。特に攻撃一つ一つが空間(次元)そのものに直接的なダメージを与えられる為、魔法のレベルが高い程に世界の破壊を加速させる。


  • 魔力

魔法の源。抑制された状態でも他の存在どころか魔力の濃い〝特異点〟と見比べても別格だったが、本来の力は途轍もない程の出力であり、単純な放出だけでもシルバー時の強固な結界にヒビを入れ、そのまま破壊する所だった(瞬時に結界を張り直した為、事なきを得た)。

常に余裕の態度を見せていたラファエルが驚愕し、震える程の威圧感を発揮している。

シルバー時では、魔力纏いを部分的に集中させる事で魔剣・冥神に匹敵していたが、抑制から解放された現在は全体に魔力を纏った状態でも魔剣に匹敵かそれ以上の強度を誇ると考えられる(集中的な部分纏いは明確にそれ以上はある)。同様に、この状態に身体強化魔法による肉体と併用すれば高度な攻防一体を発揮でき、只でさえエゴール、リナレスを遥かに凌ぐパワーを更に格段に強化し、一つの動作だけで決定的な破壊力を生み出せる。

  • ≪魔力弾≫

魔力の光弾を放つ、古代魔法の中でも最低難度の魔法。だが、仮面を外し更に抑制した状態での威力でさえ仮面装着時の魔法を大きく上回る(少なくとも仮面装着時の中級レベルの魔法に匹敵かそれ以上はあると思われる)。

そして魔力を完全に解放した状態で放てば古代魔法の中で最低レベルかつアルノルトにとっては通常攻撃感覚とはいえ、空間に直接ダメージを与えられる為、他者にとっては一撃が超必殺級の威力となる。しかも無詠唱で発動しているので、完全詠唱による効果の向上が可能。他には弾の操作に連射力の高さや数千以上もの複数展開力、大きさ調整による威力・規模の上昇と言った汎用性と拡張性にも優れている。

  • 結界

多種多様なバリエーションがあり、応用にも優れた魔法。無詠唱でありながらアルノルト本来の魔力にも耐えられる強度を持ち、シルヴァリー・フォース形態の魔法の余波にも短時間ながら耐えている。

  • ≪身体強化魔法≫

肉体を強化する魔法。戦闘時には常に無詠唱で発動している。その強化度合いはシルバー時の比ではなく、シンプルな身体能力だけでエゴール及びリナレスと言った作中最高峰の肉体を持つ二人を圧倒的に凌駕し、そして近接戦闘だけで倒せる程。完全詠唱すればそこから更なる肉体の強化を得られる。

魔力を完全解放せずとも一定以上の出力であればシルヴァリー・フォースを使わずに初代勇者の奥義及び剣術も扱えるようになる。

  • ≪転移魔法≫

門を開き任意の位置に瞬間移動する魔法。銀仮面から解放された事で一回の転移距離や転移速度もシルバー時よりも遥かに上昇している。

  • ≪インフィニティ・ダークネス≫

巨大な黒い球体を放ち、触れたモノを消滅させる闇系統の魔法。天使化したダンタリオン戦の序盤では抑制しているが、仮面を外した状態ではある為、仮面装着時の銀滅魔法を上回る威力を誇っている。

  • ≪シルヴァリー・レイ≫

七つの巨大な光球から無数の銀閃が照射される銀滅魔法。

帝都や帝剣城に向けて使用した際は抑制状態だったが、それでも【リベラティオ】時を超える威力(通常時と比較した場合)を備えている。

  • ≪シルヴァリー・エンド・セイバー≫

周囲の銀属性の魔力をかき集め、一振の聖剣を生成する銀滅魔法。天使化したダンタリオンの特性を確実に知る為に実証目的で使用した。その後にシルヴァリー・フォースを発動して、余剰エネルギーを後付け吸収し威力の底上げをしている。シルヴァリー・レイ一回分と余剰エネルギーを注ぎ込んだだけだが、仮面を外している(力は一定レベルに抑制してる)ので、魔王アスモデウスを超えたダンタリオンが回避を選択する程の威力を発揮している(ダンタリオンの命を奪う事もできる)。

また、物理的な剣として生成されている為、天使形態の翼による魔力吸収の影響を受けない唯一の有効打となる(身体強化による攻撃も通用するが、威力は当然剣には遥かに劣る)。


超強化形態

  • ≪シルヴァリー・フォース≫

使用者の能力を全て上昇させる銀滅魔法にして、アルノルトの超強化形態。他の魔力及び魔法同様に抑制が解かれた事で以前とは桁違いの恩恵を使用者にもたらす。また、本来の魔力で発動している為、発動時の消費は以前よりもかなり抑えられ、持続時間も以前とは比較にならない程に圧倒的に上昇している(連続発動も可能になっており、聖輪の恩恵がなくても一応再発動はできるが、聖輪がなければ発動回数は圧倒的に低下する)。

通常形態でさえ世界を滅ぼせる力を秘めてる所に、この形態になれば更なる次元の戦闘力を発揮する。

発動時に纏う余剰エネルギーの銀光は第一解放の聖剣の最大奥義すら何もせずとも防ぐ程の強度を誇り、更に手で聖剣の光を掴む芸当も披露している。

ラファエル戦では、身体強化された手刀による銀滅の斬擊波(衝撃波)でラファエルの右腕を簡単に斬り落とし、同じく強化された銀の結界魔法はラファエルを拘束する程の効果を発揮している。

また無詠唱の銀氷の魔法で先代ノーネームが所持する魔剣・炎神の炎すらも無効化して、一撃で先代ノーネームを倒している(発動速度も先代ノーネームが反応に遅れるスピードで放たれている)。

天使形態のダンタリオン戦では、ダンタリオンの特性や自身の力を抑制した状態もあって最初は苦戦したが、途中から少しずつ適応していき、初代勇者の奥義でかなりのダメージを与えた後に徐々に力を解放していく事で、完全ではなく一定以上の出力で発動しながらも互角に渡り合っている。

魔界の門を閉じる際には無詠唱で発動している。

  • ≪シルヴァリー・レイ≫

七つの巨大な光球から銀の閃光を放つ銀滅魔法をシルヴァリー・フォースで強化した物。ラファエル戦では、直接詠唱で発動してラファエルを消し飛ばしている。抑制した状態の威力も高く、天使化したダンタリオンのシルヴァリー・レイを相殺している。

後に抑制を一定以上解放した状態かつ直接詠唱で発動し、全方位からの自爆前提の至近距離で放っており、ダンタリオンに瀕死のダメージを与えている。

魔界の門を閉じる際には直接詠唱での全力発動をし、門に多大なダメージを与えて門を閉じている。

  • ≪魔力弾≫

シルヴァリー・フォースによって銀滅魔法になった魔力の光弾。ダンタリオン戦では、無詠唱で全方位から囲むように大多数の光弾を展開している。一発の破壊力はシルバー時のフォース形態での効果でさえ山数個分を消し飛ばせる威力を備えていたが、銀仮面を外した影響でその時の威力を大きく上回る力で放てるようになった(力は抑制してる)。

  • ≪身体強化魔法≫

シルヴァリー・フォースに付随している肉体を強化する魔法。抑制している状態では天使化したダンタリオンに遅れを取っていたが、初代勇者の奥義を使った後から抑制を解いていく程に近接戦闘でも互角に戦えるようになった(ただし、まだ完全な魔力を解放してないので、全力の身体強化ではない)。

  • ≪飛行魔法≫

シルヴァリー・フォースで強化された空中移動の魔法。

  • ≪シルヴァリー・ライトニング≫

巨大な銀雷を放出する銀滅魔法をシルヴァリー・フォースで強化した物。天使化したダンタリオンとの戦いでは、零距離で直接詠唱して発動(抑制状態)。それなりのダメージを与えたが、直接詠唱だった事に加え搦め手としての運用だったので溜めの時間が不十分であり、大きな有効打ではなかった(と言ってもSS級並の実力者達にとっては十分致命傷な一撃ではある)。

  • ≪治癒結界≫

肉体を回復させる結界をシルヴァリー・フォースで銀滅魔法に強化変換した物。一定以上の出力で使用。

  • 防御結界

シルヴァリー・フォースで強化した、物理や魔法の衝撃を防ぐ結界。一定以上の出力で使用。

  • ≪シルヴァリー・グリント・レイ≫

周囲の魔力を銀属性の魔力に強制変換して吸収し、そのまま威力を上昇させながら螺旋を描いた銀の閃光を放つ最強の銀滅魔法をシルヴァリー・フォースで強化した物。

一定以上の魔力を解放したフォース形態で放った為、以前のように制御に苦戦する事なく完全詠唱しながらスムーズに発動している(フォース抜きでもグリント・レイ自体が本来の力に近い状態になった影響もあり、こちらも一定以上の出力で放っている)。同時に魔力消費も大きく改善され、この魔法を使った直後に続けて大魔法を放てる位の余裕がある(こちらも前述と同様フォース抜きでも本来の力に近い状態だった為、フォース形態との相乗効果により消費効率がかなり最適化された)。

威力は魔王アスモデウス戦の比ではなく、天使化したダンタリオンが放ったシルヴァリー・グリント・レイを相殺している。尚、グリント・レイ同士のぶつかり合いだと先出し、後出し関係なく互いに周囲の魔力を吸収しあう為、最終的に互いに限界が来て共に爆散し、銀属性の魔力を撒き散らしてしまう(アルノルトのシルヴァリー・グリント・レイはフォースで強化していたが、互いの性質上により同じ効果の魔法同士の衝突では強化してようが意味をなさない。その為、厳密には同等の威力によって相殺した訳ではなく、前述の説明通り限界によって散ってしまっただけである)。

  • ≪シルヴァリー・エンド・セイバー≫

周囲の銀属性の魔力をかき集め、銀の終滅剣を生成する魔法をシルヴァリー・フォースで強化した物。

天使形態のダンタリオンとのシルヴァリー・グリント・レイ同士の衝突で拡散もとい衝突により吸収しきれなかった銀属性の魔力を媒体にし、それを超高圧縮した為、ダンタリオン戦の最初に生成した物よりも圧倒的に格が違う銀の聖剣が生み出された(また、その時とは違い一定以上の魔力を解放した為でもある。ちなみに作中では無詠唱で発動し、大魔法としては最初に無詠唱で発動した物となっている)。

天使形態のダンタリオンの翼との相性により威力は低下していたが、単純な力は無詠唱でありながら最終解放した聖剣に匹敵している(この為、完全詠唱での発動やシルヴァリー・フォースの余剰エネルギーを吸収する事により、そこから更なる威力も出す事自体可能だった)。

最大攻撃である銀光の奔流でダンタリオンの羽で作られた剣の奔流を相殺し、その後の接近戦で最終解放した聖剣並の威力を誇るダンタリオンの剣をレオナルトとの同時攻撃で砕いている。

そして、ダンタリオンにトドメの一撃として突き刺し、圧縮された銀属性の魔力を溢れさせて爆発を起こして、ダンタリオンを討伐した。

  • ≪シルヴァリー・ブルー・グリッター≫

十二節の詠唱を唱え蒼と銀の魔法陣が出現、その二つが混ざり合い一つの大きな蒼銀の魔法陣が完成し、そこから蒼銀の光線が放たれる。

アルノルトが新たに生み出したオリジナルの古代魔法で、アルノルト専用の銀滅魔法。

古代魔法ではあるが、現代にて生まれた魔法ではある為、〝現代の古代魔法〟といえる代物(アルノルトに限らずグスタフもこれに該当する魔法を幾つも生み出していた)。

とある敵との戦いで披露し、その際のアルノルトの言葉と詠唱の長さから、既存の古代魔法ひいては銀滅魔法すらも凌駕している模様(流石にシルヴァリー・エンド・セイバーとシルヴァリー・グリント・レイには劣ると思われる)。

モチーフは魔法名と詠唱の内容から、フィーネをイメージして生み出されたと考えられる。



剣術

  • 勇者の剣技

初代勇者が扱っていた聖剣を使う前提及び、対悪魔用に適した剣術(聖剣がなくとも剣があれば活用できる)。使用者も人外の実力を要求される程に難度が高い物となっている。

普段のアルノルトでは扱えないが、剣技は何度も見てきたので、シルヴァリー・フォースを使う事で一定水準で扱えるようになる。

また、魔力を解放し全開の出力(或いはそれに迫る出力)での身体強化魔法でも使用可能になる。

抑制を一定以上解放したフォース形態の身体強化と相まって天使形態のダンタリオンとも剣技で互角に斬り合っている。

  • 奥義『星刻』

初代勇者が編み出した奥義。魔力を剣に溜め込んで、その状態で五芒星を描いて、そして五芒星の中心を突きながら突撃する。五芒星を通過する事で得られる威力と速度は天使形態のダンタリオンでも避ける事が出来ず、そして魔法と魔力を吸収し、物理的な防御力も極めて高いダンタリオンの翼の羽で出来た剣を砕き、ダンタリオンの横腹を深く抉る程のダメージを与えた。

本来は勇爵家及びノックスの一族に伝わる奥義だが、アルノルトは一度見ただけで原理を見抜き解析し、そこから絶え間ない研鑽と魔法による身体強化で身体能力を上げる事で完全再現している。

再現には、通常の身体強化魔法(仮面装着状態)では不可能だが、シルヴァリー・フォースであれば使えるとの事(シルバー時の通常の身体強化魔法でも最大出力ならエルナと並ぶ程に強化されるのだが、恐らくアルノルト本人のセンスの無さが原因で要求水準以上の身体能力が必要になったからだと推測される)。

尚、上述で説明したように銀仮面を外した状態で、最低限ではなく一定以上の魔力解放した身体強化魔法でも再現可能。更にこの奥義を放った時は最低限に魔力が抑制された状態のフォース形態だった為、魔力を完全解放(またはそれに迫る出力)した身体強化魔法ならばそれ以上の力で奥義を放てる。当然だが、同じように魔力を解放したフォース形態はそれすらも圧倒的に上回る奥義となる。

アルノルトが修得した理由は魔法が効かない相手を想定した時に対応できるようにする為であり、実際にダンタリオンの翼に影響されないシルヴァリー・エンド・セイバーを使っていたが、セイバーの最大攻撃だとダンタリオンの翼に吸収されるので、セイバー自体の最大攻撃ではなく、担い手自体の最大攻撃であるこの奥義が使われた。













































「――勇者が今、奇蹟を必要としている!!」


装備

  • 神聖剣・極光(アウローラ)

流星から作られた聖なる剣で、四宝聖具の内の一つ。またの名を星剣とも呼ばれている。

作中最強の武具であり、五百年前の大戦で魔王を滅ぼした剣でもある。普段は銀色であり、力を解放する事で黄金色へと変化する。

最初の持ち主であった初代勇者により自身の血を引くもの及び相応の力を持つ者にしか呼び出せないように封印を施している。

アルノルトが呼び出せたのは勇者の血が流れていた事(上述で言ったようにアードラーは勇者の一族の血も混ざっている)と聖剣を扱える力が既に備わっていた事により、条件を満たしていた。更に初代勇者と同じく最終形態の聖剣として召喚が可能。

アルノルトは召喚出来た理由を「幼馴染み(エルナ)の想いが召喚を可能にした」としている。

しかし、これは本人が「勇者なんて俺のガラじゃないから、そういうことにしておこう」と、半ば認めたくない故に無理矢理理由付けした言い訳である(現に実力はともかく、性格や行動共に勇者とは到底言い難いラファエルですら血の影響もあって、聖剣を召喚している)。

天使化したダンタリオンとの戦闘時に予想外の一手を打つ為に召喚を試みて顕現に成功し、最終解放した聖剣に匹敵するシルヴァリー・エンド・セイバーとの二刀流を披露して、ダンタリオンとの戦いに決着をつけた。

  • 『光天集斬』

聖剣に秘められた圧倒的な魔力を光の奔流として放つ極光の最大奥義。作中アルノルトは未使用だが、この奥義自体は使用できる。

最大火力は【リベラティオ】時のシルバーの通常形態で発動した(正確には発動時はシルヴァリー・フォース形態で、途中で解いている)シルヴァリー・グリント・レイに匹敵する。



余談編集

アルノルトのコンセプトは最強の主人公として設定が作られており、それ故に圧倒的な力を備えているが、物語の根幹はあくまで政争がメインである為(作者曰く「政争7・戦闘3の割合」)、戦闘の力だけではどうにもならない展開及び舞台設定を用意して簡単にはいかないようにしてるとの事。

また本編開始の時点で実力も精神も既に完成された主人公であり(本編開始前の外伝では弟子を取って師匠も務めている)、そういった実力と精神の成長の要素は弟のレオナルトが担い、未熟なレオナルトを完成されたアルノルトが支え導くような形を取っている。



関連タグ編集

最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い

小説家になろう

レオナルト・レークス・アードラー フィーネ・フォン・クライネルト エルナ・フォン・アムスベルグ

クリスタ・レークス・アードラー オリヒメ・クオン シャルロッテ・フォン・ローエンシュタイン

























































これが最後の――暗躍だ。


物語の元凶であるダンタリオンを消滅させたアルノルト。だが、魔界の門は出現したままであり、このままでは魔界から悪魔や魔竜が現れ続け、やがて人類が滅びるのも時間の問題になる為、会合したメンバーはSS級レベルの実力者総出で外からの全力攻撃で門を閉じる作戦に出ようとする。

しかし、そんな中アルノルトだけは別の事を考え込んでいた。

悪魔との戦いにより今は全員が満身創痍で、特にレオナルトの負担が誰よりも大きく、四宝聖具によって本来なら圧倒的に不足してる実力を無理矢理SS級レベルに上げてる為にかなりの負担を使用者に及ぼすので次に強化すれば命に関わるという問題もあった。仮に無茶をしても全員の攻撃で門を閉じれる保証がない(アルノルトの場合、逆にこじ開けてしまう可能性がある)。

そして荒れ果てた帝国を見て、これまでの人類と悪魔の因縁、それにまつわるアードラーとアムスベルグの宿命を思い返す。

悪魔という脅威がある為、皇族は血を磨き優秀ではなく傑物の皇帝を定め、勇爵家は勇者の力を継ごうとする。


謂わばこれは一種の〝呪い〟であり、人類ひいては皇帝家アードラーと勇爵家アムスベルグを縛る呪い。


悪魔の存在がある故に両家は血を磨いた傑物の皇帝と勇者という役割を諦められない。



アルノルトはその呪いを断つ為にある決断を下す。














「……誰かがしなくちゃいけないことだよな」

「必ず帰ると……約束する」

「すまない」


























会合した場所には聖剣、聖杖、聖符、そしてアルノルトが身に付けている聖輪、全ての四宝聖具が揃っており、それらを手元に呼び寄せ、転移魔法で門に移動する。

アルノルトが決断した方法は四宝聖具を要とした結界を構築し、次元の狭間に展開する事だった。


四宝聖具は各々が圧倒的な魔力を秘めており、アルノルトはそれを軸にした強力な結界を張る事で大陸と魔界の次元を切り離そうと考えた。

しかし、それは完璧に機能するまで結界を製作・維持する者が必要であり、どれ位の年月を必要とするか分からない途方もないもの。

だが、アルノルトは未来の為に自身がやり遂げたい事として決意する。


転移で門に近づき、オリヒメが時間稼ぎで張った結界を破って門の中に突入し、穴の強い力に引っ張られて魔界までいかないように抵抗しつつ、シルヴァリー・フォース形態になったと同時にシルヴァリー・レイで門を閉じに掛かる。

門は外に広がる性質上、内側もとい中からの攻撃には弱く、そこに膨大な攻撃を与える事で急速に閉じていく。

同時に四宝聖具を要とした結界の構築に掛かり、大陸と魔界に繋がる次元の狭間に発動、そして巨大な魔法陣が出現し、そのまま構築者のアルノルトを魔法陣に固定して展開される。

これによって大陸と魔界の狭間の経路は一先ず遮断したが、そこから崩壊せず尚且つ構築者がいなくても永久機関として機能するようにアルノルトは調整し続ける。



いずれ、みんなの元へ帰る為に
























現実世界で三年後、アルノルトはこれまでの功績とシルバーとしての活躍が表沙汰になった事でかつての蔑称は無くなったどころか行方不明になったことも相まり、これまでの活躍を書き記した〝アルノルト英雄伝〟が出版され、大陸を救った英雄としてアルノルトは祭られており、更に帝都の中央広場に自身とレオナルトを模した背中合わせの銅像が建造されるまでに至った。


そして、三年経っても結界が完成しない中、懐かしい声が聞こえた。敬愛する皇太子ヴィルヘルムと悪魔の陰謀で命を散らせたエリク、ゴードン、ザンドラ、グスタフ、そしてアルフォンスを始めとする歴代の皇帝達の思念体が後を引き受けてアルノルトを現実世界へ送り返した。

次元から放出され帰還した場所は連合王国であり、そこでゴードンの妻と娘に再会し、同時に彼女達を見守っていたヘンリックの行動と機転によりウィリアム個人にだけ連絡をし、そこから世界中を飛び回ってたセバスとも合流して更にはウィリアムから報告を受けたトラウゴット達と共に帝国へ秘密裏に帰還する事となった。


その間に最愛の姉と弟であるリーゼロッテとレオナルトの結婚式が行われる事も知り、前日に帝国入りしたが、不穏な動きを察知し即座に行動を起こして、いつもの暗躍で済ませるつもりだった。しかし、結婚式当日に魔奥公団の残党による帝都襲撃があり、その被害が大規模なものとなった為、近衛騎士団やエルナと共に再びそれを撃退し、シルバーの復活を宣言する。


それからは人知れず姿を消すつもりだったが、三年もの間アルノルトを待ち、誰よりもアルノルトを愛しているフィーネとエルナが呼び止め、「連れて行って欲しい」と願い出る。その場は一旦転移魔法で姿を消し、帝都上空に移動して帝都にいる人々に第三勢力(世界の抑止力)として帝国を守護する事を宣言する。その後、更に転移した先は幼馴染みのガイが営む道場で、そこでガイと再会する。

何故そんな探せば見つかる場所に転移したか、ガイには見破られた。


〝自分を見つけて欲しいから〟


ガイはそんなアルノルトを意気地なしを通り越してヘタレと徹底的に非難。レオナルトと違い、女に対して覚悟が出来ないとまで言われてしまう。同時にアルノルトは自分が弟と違い、本当は非常に臆病だと打ち明ける。レオナルトは失敗を恐れずに立ち向かうが、アルノルトは失敗を恐れるから何もしない。どうしてもやらなければならないときは、失敗を恐れるからこそ、失敗しないためにあらゆる手を尽くす。帝位争いで必死だったのも、最初はレオナルト、エルナ、クリスタ、ミツバの四人だった大事なものがフィーネを筆頭にどんどん増え始めたためで、それを失うことを恐れる余り心をすり減らしていた。


ガイはそんなアルノルトを理解しながらも世の中の人間はお前みたいには出来ないと諭すと共に、アルノルト自身が既に二人に傍にいて欲しいと願っている本心を見抜いていた。案の定、二人に見つかってしまい、アルノルトは自分の現状を明かす。


結界を作る過程でアルノルトは結界と密接に繋がってしまい、そちらの維持に殆どの魔力を持っていかれてウィリアムが用意した宝玉(魔力を補う物)を用いなければまともに戦えない上、右足も杖が無ければ歩行も困難な状態になり、本物の『出涸らし皇子』になってしまった(結界が完成すれば魔力と右足は元通りになるが、それまで今の状態が続く)。


そんな自分でも良いのか、と問うがフィーネとエルナは既にそんなものを気にせずにアルノルトも遂に観念して二人に傍にいて欲しいと願い、実質二人を妃として連れ帰ることとなる。


古代魔法を使うSS級冒険者の自分はレオナルトの補佐を表立って出来ず、もう無能を装うことも出来ない。しかし魔力の枯渇によって、最強の魔導師でもいられないにもかかわらず、最強の魔導師を装っていかなければならない暗躍を今後も続けることになる。

だが、レオナルトによりシルバーとしての活躍になぞった一代限りの皇帝相当の地位〝銀爵〟を与えられ、皇帝領の一角に領地を貰い受ける事で以前と同様の暗躍を幾分か補えるようになる。また、親族達もアルノルトを休ませてあげるべきだと考えて以後は、いざとなれば「シルバーことアルノルトがいる」という風潮を払拭するべく奮闘の決意を新たにする。


尚、皇帝相当の地位を得たことで複数人の妃を持つことも承認され、フィーネとエルナの二人を妃に迎えることには問題が無くなっている。



安息の日々

それからはフィーネ、エルナとはプラトニックな男女関係を続けており、平穏に暮らすが二人と関係を深めるには至らず、ミツバや仲間達にも心配されていた。何より、ある意味最も望んでいた平穏な時期が心地よいので本人もそのきっかけがつかめなかった。


しかし、過去に古代魔法欲しさでアルノルトから古代魔法を学ぼうとし、魔力不足で不適格とされたアルテンブルク家の息子ヴィムが、シルバーへの憧れ又は恨みが執着に変貌して、旅で手に入れた古代の魔導具に乗っ取られてシルバーを構成する全てを得ようと暴走する。その為に、シルバーを隣で支えた蒼鴎姫のフィーネを奪おうとしてきた。


リンフィアから報告を受けたアルノルトは久方ぶりに出陣し、フィーネを奪おうとした偽者のシルバーに本気で殺意を向け、新たに編み出した銀滅魔法で文字通り消滅させる。自分の最愛の妃を、かつての白鴎連合のようにシルバーを構成するトロフィー程度にしか扱わない者に渡す気など毛頭無かった。


屋敷に戻ったアルノルトは自分の中で大きくなっていたフィーネへの気持ちを自覚、シルバーの顔を明かせるフィーネとの時間はアルノルトにとって数少ない安らぎだった。それが不変でないと分かっていても、続いて欲しかった。失われるかと思われた時、非常に怖かった。それほどまでにフィーネを愛していることを自覚して、遂にプロポーズをして結ばれる。


尚、どちらがアルノルトの妃となるかはフィーネとエルナの間ではあくまで早い者勝ちと決められていたが、エルナもまた王国でその美貌故に貴族達に迫られていたのを聞き、エルナに対しても皇帝から母に送られ、そして母が自分の最愛の人に送って欲しいと渡された指輪を初恋の相手のエルナに送って、エルナにもプロポーズをする。


二人と結婚した後は円満な仲を続けながら平穏な日々を送るが、シャルロッテがレオナルトの側室になる話が持ち上がり、レオナルトからも相談を受ける事になるが、その解決策として自身の妃へと迎え入れる事を密かに思案する。だが、確かにシャルロッテを女性として好ましく思ってはいるが、「フィーネとエルナのように愛しているか?」と問われれば、首を縦に振ることは出来なかった。ローエンシュタイン公爵からは死の間際に彼女を託されており、その誓いに背くこともアルノルトには出来ず、政略同然でシャルロッテを娶るのを躊躇していた。

が、アルノルトが悩む間にフィーネとエルナは既にシャルロッテを迎える準備に取りかかっており、間接的に背中を押されたアルノルトは北部貴族の会議に乱入し、子供にツヴァイク侯爵家を継がせるという条件の下でシャルロッテを妃として迎え入れた。不器用ながら、シャルロッテに向ける気持ちを打ち明け、本人も気の利いた言葉は期待していないと言って屋敷へと入っていった。

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