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概要編集

五百年前、悪魔の襲来を退けた後にアードラシア帝国で皇族への忠誠を誓い、勇爵の称号を授かった勇者の子孫で、アムスベルグ家の跡取り娘。十七歳。

帝国近衛騎士団・第三騎士隊の隊長。


今代の勇者であり、初代の末裔に相応しく、世界最強の武具である聖剣を僅か十二歳で召喚し、十四歳で近衛騎士隊長に任命される程の実力者で、『初代勇者の再来』『神童』とまで謳われている。


第七皇子アルノルト・レークス・アードラーの幼馴染みだが、アルノルト本人は苦手意識を抱きながらも大切に想っている。弟のレオナルト・レークス・アードラーとも付き合いが深く、二人を愛称で呼ぶ仲。



人物像編集

桜色の髪に翡翠の瞳をしている美少女。その容姿は帝国一の美女であるフィーネにも劣らない程で、普段は鎧を着て行動しているので街へ出れば気付かれるのだが、元の素材の良さもあってドレスで着飾れば民からは気付かれないが、注目を浴びる位には見た目が整っている。


剣と魔法共に優れており、既に勇者の称号とも言える聖剣を召喚する事が出来る才女。

才能には恵まれているが、目的を果たす事への研鑽も怠らない。また、努力を惜しまず相手が誰であろうと敗れたらリベンジの為に猛特訓を己に課し、アルノルト達との予定も潰す位にのめり込む。

一方、胸の発育が乏しいのを気にしており、それを指摘されると後述のアルノルトの蔑称とは違うベクトルで激怒する。ちなみに母親は発育に恵まれてる為、父親側の血筋の遺伝だと思われる。アルノルトの推測では稽古のやり過ぎで胸に栄養がいかなかったと考えている。


表向きは品行方正で通っているが、本来の性格は生粋の負けず嫌いであり(子供が相手でも容赦なく叩きのめすレベル)、短気且つ喧嘩っ早い上に、頑固で極端な思考と力押し一辺倒の側面が強いのが難点で、父親にも問題視されている。

また、現在は幾分かマシにはなったが、幼少期から他の物事について考えず自分本意な部分が目立ち、迂闊な行動や暴力的で話を聞かない事もあり(しかも本人は無自覚。アルノルトは自身の長姉と並んで「理不尽の権化」と評している)、エルナを知る人物達目線ではかなりの問題児であった(アルノルト、近衛騎士団の古参の団員、勇爵家と配下の騎士達など)。尚、具体的には明かされてないが、短編小説での描写から騎士団長のアリーダや副団長のセオドアの教育により、ある程度は矯正された模様。それでも根本的には解決せず、それらの行動や発言が作中でも度々確認されている。ただ、イネスなどの一部の近衛騎士団の一員はエルナの実態を知らず、イネスがエルナの事をシルバーよりも常識があると言った際に、シルバーは驚愕し、そして付き合いが短い故に真実を知らない事とこれから知って苦労していく事に同情している(事実、イネスはエルナとは仲は良いが関係値はまだ浅い方である。また、シルバーも常識知らずだが、エルナを含めた人類最強クラスの中では一番まともな方であり、エルナはどちらかと言えば下から数えた方が早い位に非常識の部類に入る)。

しかし、勇者及びに騎士としての矜持や信念は持ち合わせており、それ故に民を守る事を大事にし、曲がったことが嫌いな正義感の持ち主であり、作戦とはいえ犯罪の手伝いを担ぐ事を嫌ったり(作戦の為に我慢はしてる)、身を挺して子供を庇ったり、いじめとかを目撃すれば介入する等、優しい一面もある。更に相手の為と思ってお節介を掛ける事もあり、意外と面倒見が良い(但し、アルノルト関連だと余計なお世話もとい却って迷惑になる事が多い)。また貴族ではあるので、礼儀や作法は心得ており、それとは別に相手が平民だろうが気にせず普通に接し、身分差による差別はしない等、社交性も備えている。

アルノルトを始め身近な人達の事も大切にしており、自身とはあまり接点がなくともアルノルト達と親しい関係であれば、その人物が理不尽な目にあった場合、その人物の為に報復を考え怒る程の反応を取っている。


水恐怖症持ちであり、そうなった原因は過去にエルナがアルノルトを風呂場で溺死させかけ、それを見て何故かエルナが水恐怖症になったという経緯がある(アルノルトもその事に突っ込んでおり、曰く「何を血迷ったのか」「過去最高に理不尽極まりない理由」)。その為、海や川、船の上だと何時もの強気な性格が一転して弱腰になり、水に近づくのを恐れたり、震えが止まらなかったり、船のちょっとした揺れでパニックになる等、別人のように変わる。尚、長年この事が周囲にバレず、当初はアルノルトや勇爵家の関係者などしか知らなかったが、後にアルノルトからクリスタの護衛を依頼された際に自らの意思で皇帝に話している。



アルノルトとの関係と想い編集

六歳の頃、父テオバルトに連れられて城に来ていたエルナは好奇心旺盛で、立ち話をしてる父から離れて城を遊び歩いていた所で宝物庫に入り、そこで皇国との外交で献上する宝玉を近くにあった名剣で斬り割ってしまう。その事に動揺し、不安に駆られたエルナは泣き出してしまうが、後から入ってきたアルノルトがエルナを隠し咄嗟に庇って自身がやった事として牢屋に入れられる(この時アルノルトは庇った少女がエルナとは気付いてない)。この後に急いで父に事情を話し、少し間を置いて皇帝や宰相に大臣達も勇爵から事の顛末を聞き、皇国との交渉に影響が出るが、後から来たアルノルトの母ミツバの意見により問題は収まる。

その後にミツバから「いつかあの子が困ったら助けてあげてね」と告げられ、ミツバの前でアルノルトに絶対の忠誠を誓い彼の騎士となる(たとえ皇帝が相手だろうと自身の立場を捨ててアルノルトの願いを優先する程)。それから半年間は修行で自分を鍛え磨き、再び城を訪ねた際にアルノルトに謝罪とお礼を言うつもりだったが、城の広場でいじめにあっていたアルノルトの様子から幻滅してしまい、それを見て彼を立派な皇子にする事を宣言し、今の関係に至る(アルノルトにとってはこれがエルナとの初対面となっており、そして結局エルナは宝物庫の件は言えず、次第に言いづらくなって十一年経ってようやく告白するが、アルノルトは大人になるにつれて大分前から気付いてた)。

そこから長く一緒に過ごす内に次第にアルノルトへ恋愛感情を抱いていく事になるが、感情抜きで皇子という立場からアルノルトと結婚出来ない可能性も認識している(過去質問より。ちなみに両親はアルノルトとの結婚には前向きであり、特に母アンナは帝位争い時にはアルノルトの為でもあるが、娘に相応しい相手としてエルナとの婚約を申し込んでいる)。ただ、それでもアルノルトが政略結婚を迫られた時、弟を助ける為にトラウゴットが代わりに婚約する行動を取った際には手助けしている(トラウゴットによると「アルノルトを渡したくない為のいじらしい乙女心(意訳)」)。

同時に作中でアルノルトが数々の縁談を断り結婚をしない態度と行動を取ったが、その所為なのか何処か諦め気味の反応をレティシアとの会話で見せている。

尚、昔はアルノルトの興味を惹く為に様々な手段を使い、色々な自慢または努力で何かを身に付けたりしたが(例として実戦目的の為でもあるが飛行魔法の修得など)、見事にスルーされていたとの事。聖剣を十二歳で召喚できるようになったのもアルノルトに自慢したいが為であった(アルノルトには照れ隠しなのか、自身が水恐怖症なので聖剣を使えるようになれば滅多な事で国外に行かなくて済む、つまり船に乗らなくても良くなる為、必死で召喚する努力をしたと述べており、未だに秘密にしている)。他には過去にアルノルトから近衛騎士になったお祝いで真珠を贈られたが、実はプレゼントが面倒になり、代わりにレオナルトに頼んで買わせた物と知った際は何時も通りに怒って殴ったが、内心意外とショックだったらしい。


エルナのアルノルトへの気持ちは両親や幼馴染みのレオナルトとヴィンを始め周囲も気付いており、そうした経緯故に『出涸らし皇子』アルノルトの最大の価値は今代の勇者であるエルナの心の支えという点である。実際にアルノルトが死亡したと思われた時には後述通り自害しかねないほどの半狂乱に陥り、しばらくはまともに戦えない程に憔悴してしまった。

また、その所為でアルノルトに対して何処か甘えていたり、かなり過保護に見て却って信用してない所もある(作中でも何度か指摘されている。アルノルト自身も過保護な部分はあるがエルナ程に過剰ではなく、作者によると人並み位で、また彼女と違って信用もしている)。


その為、アルノルトが『出涸らし皇子』と呼ばれるのを誰よりも嫌い、そう呼んだ相手には例外なく怒りを向け、アルノルトの身に危機が迫る事にもなれば、場合によっては相手の命を奪う事も辞さない。

それとは別にアルノルトの蔑称改善の為に彼に対しかなり強引な鍛え方をしていた(エルナ自身を基準にした特訓メニューなのでアルノルトでなくても大半の人間には無茶な内容となっている。そしてそれが出来ないアルノルトにイラついて泣く事もあった。アルノルト曰く「(あれこそ)いじめ」)。

更にエルナがアルノルトと遊ぶ為に毎度城に訪れていた事と、アルノルトが屋敷にもよく遊びに来ていた(強制的に連れて来られていた)ので両親や家臣の騎士達からもアルノルトはもはや馴染みとなっている。

アルノルトと関係を築き始めた当初は幻滅していたが、やがて付き合っていく内にアルノルトには優れた才能がある事を認識し、アルノルトが才能はあるのに本気を出さないのは「自分の評判が下がれば、その分レオナルトの評判が上がる為」と長い付き合いで見抜いていた。その為、何が何でもアルノルトの事も評価されて欲しいと願い、周囲に自慢したい、凄いと認めて貰う為に無理矢理アルノルトを引っ張り出して功績を立てるようにしたり、評価を上げる努力をするよう発破を掛けたり、自身もアルノルトの評価を上げる為に独自に行動を取ったりしていた。


しかし、それがアルノルトにとっては迷惑な事(邪魔とまでは思ってない)であり、逆に足を引っ張る事に繋がり、時折アルノルトの痛手になっていた(セバスも基本エルナのアルノルトへの関係と接し方には好意的だが、内心警戒もしており、アルノルトの暗躍中にエルナがいなくて安心している様子を見せている)。作中はそれにより一度命を狙われている。

しかもエルナ本人は知らないが、過去にアルノルトの評価が、より本格的に下がった原因はエルナにあり、その理由はアルノルト達の十歳の誕生日にエルナは熱を出して参加しており(その事を父親や周囲には隠していた)、それに気付いたアルノルトが黙ってエルナを連れてパーティーから抜け出し、セバスや侍女にエルナを任せて、その後に皇帝から黙って抜け出した事を叱られ、その時の行動(素行の悪さ)から貴族達から余計にアルノルトとレオナルトを比較するようになったという経緯がある。尚、アルノルトはエルナに責任がいかないよう勇爵のみに事情を話している(勇爵が皇帝にその事を話したかは不明)。

エルナもアルノルトの考えと乖離して、ズレを起こして空回りしてる事は理解してるが、それでもアルノルトへの想いが強く出てしまう。だが、流石にアルノルトを危険に晒した時は酷く落ち込み、そういった事を控えるようになる。そして、アルノルトとの約束を何よりも大切にしており、約束を守れなかった時や、役に立てなかった場合も相当に落ち込む。


付き合いの長さと人間性故にアルノルトから苦手意識を持たれているが、実はアルノルトにとっては初恋の相手で(だが、すぐに考えを改め最終的に大切な幼馴染みとして認識する)、勇爵家が帝位争いに不干渉という規約を抜きにしても帝位争いからも距離を置かせようとしていた。その為、シルバーである事さえも明かしていない(正確にはいつか明かそうと思っていたのだが、セバスの忠告やエルナが迂闊で腹芸が苦手であることもあって、次第に先延ばしになってしまい、悪魔に掌握された帝国での決戦直前まで明かすことはなかった)。

アルノルトも幼い頃からエルナに庇って貰ったり、一緒に過ごしていた事から家族に匹敵する程に大切に想っており、どんな時でも傍にいてくれた事には感謝している。それにより彼女を傷付けたり、貶す相手には怒りを見せる事がある。


だが、同時に倍以上に苦労もさせられており、特に幼少期の彼女はアルノルトの話や説得を聞かず無茶な行動や理不尽な要求を取り、加えて今よりも暴力的だった。

また、皇子であるアルノルトを昔から付き人のように扱っていた事が噂される程度には認知されていた(どの程度かは不明。作中では冒険者がそれに言及してるが、一部の民もそう認識していた模様)。

更に彼女は風呂場での一件のみアルノルトを殺し掛けたと思い込んでいるが、実際は過去に五十回位は殺り掛けており(本編で更に二回増える)、しかもアルノルトでなければ死んでいたと過去質問で判明している。

この為、アルノルトは段々苦手意識を強め、これらの事が完全にトラウマになっている。アルノルトもエルナにトラウマを幾つか与えているが、エルナと比べれば質も数も遥かに及ばない。

アルノルトの初恋もエルナの乱暴さ故にすぐに消えたのが原因である(一応消えた時はエルナの早とちり及びお節介だったのではあるが)。


アルノルトと仲が良いその反面、アルノルトが扮した帝国最強の冒険者シルバーとは折り合いが悪く、アルノルトがシルバーとして初対面した時に思わず長年の鬱憤により、うっかり煽り口調になった彼の言葉に触発されて怒り口論となり、最終的に友好関係を諦め開き直ったシルバーの言葉にエルナはシルバーに対し敵意を向けるようになる。

尚、この時のシルバーは「エルナを手玉にとれた。いやぁ気分がいい! いじめっ子に復讐するいじめられっ子の気分がよくわかる」「余計な敵を作ったことに変わりはないけど……」と、今までの恨みを晴らせてスッキリしたという解放感と、無駄な敵を作ってしまったという後悔の念を同時に抱いてしまう。


その後は帝位争いでアルノルトの協力者という事から一応共闘関係にはなるが、最初は前述の出来事からシルバーが協力者という事が判明する前でも仲は悪く、エルナはシルバーに喧嘩腰で接し、協力者と判明して以降の共同戦線でもエルナ側から突っ掛かっていく事があった。

それでも帝国を守ってきた実力と民の為に行動する理念だけは認めており、アルノルトの協力者という事もあってシルバーと接していく内にある程度は関係が改善された(それでもシルバーに対し突っ掛かる点は変わらないが)。


アルノルトを巡るライバルのフィーネとは早い段階で打ち解ける一方、オリヒメシャルロッテとは性格などの相性から大人げない喧嘩をする。



能力編集

勇者の子孫なだけあって肉体、技術、魔法、頭脳と各々高い能力を備えており、完璧超人とも評されている。また、各分野の専門家にも一定レベルには渡り合ったり、部分的に勝るなどの優れたセンスも持ち合わせている。

向上心も過去の父親以上にあるので、成長速度も早い。



  • 身体能力

作中でもトップレベルを誇り、悪魔相手にもひけをとらない。また幼少期(六歳)から既に大人が扱う名剣を軽々と振り回す事ができる位のパワーを持っていた。

作中未使用だが、肉体の力だけで衝撃波を起こす事もでき、同じく作中では試してないが、シルバーの全方位型の通常結界(軍の一部隊と渡り合えるS級レベルの全力攻撃でも壊せない)も剣を使わずとも殴る、蹴るだけで破壊できる。

スピードと反応速度にも優れ、シルバーの結界が不意打ちで放たれた際には避けており、その後も結界からしばらく逃げ回っていた。

タフネスや体力も化物染みており、同格のノーネームの打撃をかなり喰らっても技術込みとはいえ耐えきり、ノーネームとの戦闘終了後も痛みを堪えながらも動けていた。また、勇者の血を引いてるので回復力も凄まじく、父親であるテオバルトが片脚を失い瀕死の重傷を負いながらも数日程で大体回復し治って動けていたので(シルバーによる僅かな力での治癒魔法の影響もあるだろうが)、エルナもそれに匹敵する回復力を誇る。


  • 勇者の剣技

初代勇者が聖剣を扱う前提で作り出した勇爵家に伝わる剣術(聖剣がなくとも活用はできる)で、対悪魔用に適した技術。エルナの戦闘での主体となるスタイル。

人類規格外のSS級レベルが使用する事を想定とした剣技である為、その領域に至れない者では修得できない(使いこなせない)。

エルナの技量は神童と呼ばれる位に超一流の域にあり、本人の性格もあって攻撃に重点を置き、圧倒的な威力と速度を誇り、精密な斬撃も備えている。その攻撃力は同格のシルバーの強固な結界すらも簡単に斬り裂ける程。

防御面も高く、作中では千を超える大量の魔法(総合的な威力は量の数倍はある)を全て迎撃してみせている。

更に物理的な斬撃及び魔力を込めた斬撃も飛ばせる。

他にもエルナのセンスによって状況に応じて相手の動きから最適な剣技を作り出す事も可能としている。

そして初代勇者の奥義である『星刻』も既に修得している。

この剣技と聖剣と本人の身体能力も相まって並大抵の悪魔相手では一撃で終わらせてしまう位には強力であり、また聖剣を使わずとも悪魔を倒せ、悪魔の権能すらも斬り裂く事ができる。同様に聖剣がなくとも容易く周囲の地形を変えられる位の芸当が可能。

後に高い魔力を備えた前提だが、エルナ独自に聖剣を模倣した奥義も編み出している。


  • 体術

我流ではあるが、抜群の格闘センスを誇り、大陸屈指の拳法家であるリナレスの弟子にしてSS級冒険者であるノーネームと殴り合いが可能な技術とキレを持ち合わせている。他にもダメージを軽減する体の脱力法も身に付けており、アルノルトにも教えている。

ただ、流石に技量自体は専門家には大きく劣る。


  • 魔力・魔法

作中でもトップクラスの魔力量を保持してるが、アルノルトを始め一部の皇族や古代魔法を操れる人間には遠く及ばない。

魔法の技量は剣技と合わせて神童と呼ばれており、熟練の魔導師でも使える者が少ない飛行魔法を僅か九歳で会得し使いこなせる程だった(帝国一の現代魔法の使い手だったザンドラでも実戦レベルでは修得できなかった)。他にも多彩な魔法を高度なレベルで修得しているが、一流の魔導師と比較すれば勝る部分はあれど、総合的には負けている。

そして本人の剣を主軸とした戦闘スタイル故に魔力はともかく、魔法は飛行魔法以外実戦で使わない。その魔力も魔法程ではないにしろ聖剣や奥義以外ではあまり使い道がなかったが、後に高い魔力が必要な聖剣を模した技の基盤として活かされるようになる。


  • 頭脳

頭は良い方で、年上で勉強に熱心だったヴィンにも座学のテストで勝つ程の成績を修めていたが、あくまで勉学の範囲内であり、本人の直情的な性格と短絡的な思考によって政略や謀略に、策略、軍略、搦め手、読み(戦闘とは別の方面)、駆け引きは大の苦手で、察する理解力も今一つである。特に最初の二つは家の方針の影響もある(過去に政治に関わった勇爵家の一員は、その強大な影響と力から排除されており、これ以降勇爵家は政争には踏み入れないよう方針を取るようになった)。

部隊を率いる経験で戦術の方は嗜んでいるが、作中の中ではアルノルトを始め周りにエルナを遥かに凌駕する人物達がいる為、高い方とは言えない。また、弁論も弱く、アルノルトやヴィンにシャルロッテ等から毎回言い負かされている。尚、父親は政争には参加してないが、それに必要な能力はエルナと違って高水準に身に付けている。

しかし、戦闘に関する観察力はあり、相手の動きで対抗策の剣技を編み出したり、相手の技量を見抜く位には備わっている。

戦闘技術に関する指導能力も高く、作中では十一歳のリタを鍛え上げて、生半可な騎士では太刀打ちできないレベルにまで実力を押し上げている。



戦闘力編集

歴代勇者の中でも才能が突出しており、十二歳で聖剣を召喚したそのポテンシャルは五百年に魔王を討伐した初代勇者にも匹敵する程。

冒険者基準に当て嵌めると、人類の規格外であるSS級冒険者と同等であり、一人で国を滅ぼす事も可能な実力者の一員である。

聖剣を使う事でほぼ無敵と評され、そんな彼女に匹敵するのはSS級冒険者ぐらいであり、人外の存在である悪魔でもかつての魔王クラス並でなければエルナへの対処は厳しい。


戦闘スタイルは初代勇者が修めていた剣術を主体とした接近戦を得意とし、聖剣の威力とエルナの身体能力と技術による一撃の重さを駆使した戦法を取る。単純に一撃が強いだけでなく、速さも技も鋭さも備わっている為、相手は何かしらの部分で上回れなければ単に打ち合うだけではエルナには競り勝てない(同格のノーネームとラファエルは実際に速度や技は互角でも力という点でエルナを下回った為、剣技で競り負けている)。また、魔法の使用や剣による斬撃波(衝撃波)、聖剣の奥義を使う事で遠距離戦闘も可能である。尚、魔法に関しては上述でも言ったように戦闘スタイルの関係で飛行魔法以外は使わず、加えて魔法を放つよりも剣による斬撃波の方が威力も速度もある上、聖剣の奥義の存在から基本戦闘には組み込まれてない。

聖剣による純粋な火力は作中でもトップであり、彼女と同等以上の攻撃力を出せるのはシルバー(アルノルト)のみだが、それでも彼の場合は条件がある為、安定性ではエルナに軍配が上がる。

直感にも優れ、咄嗟に最適な動きを取る事も可能。同様に危機察知も高く、不意打ちも然う然う効かない。


ただし、聖剣がなければ他のSS級クラスと比較すると少し見劣りするらしく(それでもSS級レベルはあり、地形を変える攻撃力と国を一人で落とせる戦闘力はある)、また訓練とはいえ近衛騎士団長のアリーダには何度も負けている(しかし、実戦ともなれば別で、悪魔相手やSS級冒険者並の相手には戦闘への意識が変わる。一応アリーダも対人限定ならSS級に匹敵するが、前述の意識が変わったエルナや本場のSS級冒険者相手では明確に敵わない)。

それとは別に単純な剣の腕は同じ剣士にして同格の実力者であるエゴールや先代ノーネームの方が勝っている。

また、本人は搦め手への対処が苦手で、父親である勇爵からは駆け引き、冷静さ、読みの鋭さが足りてないと指摘されている。

それでも本人の戦闘センスと鍛練により生半可な搦め手では通用しないので、他者からすれば厄介な事には変わりない。


魔王アスモデウスとの戦いでは、遂に聖剣を最終解放の状態で使いこなせるようになり、初代勇者と同じくSS級レベルすらも超える次元の戦闘力を発揮できるようになった。ただし、身体能力や技量自体は変化しない為、あくまで聖剣による攻撃力とそれを利用した迎撃防御が圧倒的に跳ね上がっただけである(要は上述でも触れた聖剣ありきの戦闘力であり、その聖剣による火力で他の追随を許さないだけという意味である)。



奥義

  • 『星刻』

初代勇者が編み出した奥義。

魔力を剣に溜め込んで、その状態で五芒星を描いて、そして五芒星の中心を突きながら突撃する。五芒星を通過する事で得られる威力と速度は凄まじく、ノーネームと同じ技同士で衝突した際に力の余波だけで決闘の場である闘技場全体が揺れ、そして力の余剰でシルバーの結界を破っている(作中では時間切れで技を止めたが、結界を破った時点では力の一端しか発揮してなかったので、恐らく完全に放たれていれば周囲一体を消し飛ばしていたと思われる)。

エルナ以外にも父親のテオバルト(作中では未使用)や初代勇者の盟友ノックスの子孫であるノーネームも使え、そしてアルノルトも条件付きで使用できる(前者はノックスが初代勇者に敗れた後にそれを密かに再現して一族に伝承し、後者は一度見て原理を理解し努力を重ねて再現した)。

聖剣の担い手としての初代勇者の最強奥義と言えるが、作中エルナはこの奥義を放つ時は一度も聖剣を使用してない(アルノルトは聖剣を模したシルヴァリー・エンド・セイバーを使用する為、こちらの方がかつての勇者とほぼ同じ忠実性となっている)。

  • 疑似聖剣『聖光』(アストレア)

聖剣を失ったエルナが、独自に新たに編み出した聖剣の模倣剣技。

発動時には剣を両手で頭上に掲げる動作を取り、そして剣を触媒に魔力を剣に集約させて、それが光に変化・昇華し、それにより刀身が消滅する事で代わりに黄金色の極大な光の刀身が形成され、その剣を振るう事で光の奔流を放つ。

その威力は聖剣の第二解放状態の『光天集斬』に匹敵する程で、規模や射程距離もそれに準じる効力を誇る。

但し、欠点として実体のある剣、より正確に言うと刀身がある剣を触媒にする都合上、技を使った後には刀身がなくなる為、一度の戦闘で一回しか使えず、更に技を使っても戦闘が終わらない及び長引いてた場合、予備の剣でもなければ戦闘の継続が困難になり、ここぞという時に使いどころを見極めなければならない文字通り諸刃の剣状態となる。同様の理由から聖剣と同じ威力を保ちながら普通の剣のようには使えないので、運用面と安定性に関しては本家の聖剣には大きく劣る。

また、これは言及されてないが、かつての聖剣の奥義と同等の威力を放つ事から、かなりの魔力を消費していると考えられ、普通の騎士剣で疑似的な聖剣を再現する事から、本来の聖剣よりも魔力燃費と負担が重い事が推測され、更に再現する為にも多大な魔力の持ち主でなければ修得も不可能と思われる。それ故、疑似的且つ限定的とはいえ、四宝聖具の中で最強の聖剣と同じ力を発揮できたのは、エルナの天才的センスと努力と向上心の賜物と言えよう。

ただ、後述の未完成での描写から、威力を抑える事で連発も可能なようで、刀身を消滅させない程度に魔力を光に変換して発動すれば、剣を失わず戦闘を維持する事もでき、続けて技を放つ事もできるようである(だが、後者の場合は魔力消費と負担は余計に増える)。

使い手はエルナ以外にもおり、彼女の指導によってルーペルトが修得している。

エルナと比べたら未完成で威力も精度も程遠いが、それでも強力な火力は有している(上述の欠点が浮き彫りになってピンチにも陥っている)。また、一日一発が限度との事で、作中では一発目が完全な光の刀身にならなかったので、無理をして二発目を放っている。



装備編集

  • 聖剣・極光(アウローラ) / 神聖剣・極光(〃)

流星から作られた聖なる剣で、四宝聖具の内の一つ。またの名を星剣とも呼ばれている。千年前の古代魔法文明時代の更に前の時代に作られた剣であり、その時から経緯などを含め全容が未だ明らかになってない。

作中最強の武具であり、圧倒的な魔力が秘められている。

五百年前の大戦で魔王を滅ぼした剣でもあり、普段は銀色の状態だが、力を解放する事で黄金色へと変化する。

最初の持ち主であった初代勇者により自身の血を引く者及び相応の力(SS級レベルは必要)を持つ者にしか呼び出せないように封印を施している。

エルナは歴代最年少の十二歳で聖剣を呼び出す事に成功し、これを理由に初代勇者の再来と云わしめている。尚、召喚できた理由は上述で言ったようにアルノルトの為である(アルノルトは肉体が出来てない十二歳での召喚だった事から、負担が大きくて危険だから止めろとエルナに怒っている)。

封印は全部で四段階に施されており、解放される段位が上がる程負担と魔力消費が増大していく。

歴代の勇者は初代を除き最高でも第二段階の解放が限界だった。しかし、エルナは帝位争い開始時点で既に第二段階まで解放でき、それから一年後に第三段階、そして魔王アスモデウスとの戦闘で最終解放にまで封印を解き、完全な神聖剣を扱えるようになった(これにより初代勇者と同等の存在にまで至った事になる)。

只でさえ、第二解放から第三解放でも圧倒的な力の差があったが、最終解放は別次元の域にあり、その状態の通常攻撃でさえ第三解放で放つ最大奥義『光天集斬』すらも足元にも及ばないと言っても過言ではない位に一線を画す威力を誇る。

  • 『光天集斬』

聖剣に秘められた圧倒的な魔力を光の奔流として放つ極光の最大奥義。

その威力と規模と射程距離は凄まじく、特に威力は作中でも他の追随を許さない(解放の段階にもよる。また、第三解放以降は太陽に匹敵する光量を放っている)。発動した時点で周囲一体の地形を吹き飛ばせるが、第三解放ともなれば国を一撃で滅ぼせると思われる(もしくは複数の国を一撃で滅ぼせる可能性がある)。

そして完全形態である神聖剣の状態で放つ最大奥義はまさしく作中最強格であり、魔王アスモデウスとの戦闘での描写から大陸の一部は消し飛ばせると推測される(事実、過去の悪魔との大戦でも、力と力の衝突で威力が幾分か低下した光の奔流により大陸が衝撃で揺れている)。



関連タグ編集

最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い

アルノルト・レークス・アードラー レオナルト・レークス・アードラー


勇者

















作中ではアルノルトと共に帝位争いにおける様々な出来事を切り抜け、その渦中でシルバーとして行動するアルノルトと何度も共闘したり、SS級冒険者ノーネームの先祖及び一族と自身の先祖である勇者との因縁、王国との戦争並びに新たな魔王アスモデウスによる五百年振りに興された人類と悪魔との大戦など、幾つもの局面を乗り越えていく。


しかし、王国と連合軍の戦争終盤でアルノルトが総司令部ごと爆波され生死不明(実際はシルバーとして戦場へ出ており、幻術で擬態したヘンリックが囮を引き受けていた)と聞いた際、余りのショックで半狂乱に陥り、勢いで自害しかねなかったところをノーネームの打撃を受け、そのまま気力を失くしてしまう。


その後、暫定王都にてアルノルトを守れなかった事で暫く会話もできない程に憔悴し自責の念に刈られてたが、少し日が経って多少持ち直し、オリヒメやノーネームとも会話はできるようになったが、まだ本調子ではなかった。

のちに裏切り者の近衛騎士隊長ラファエルと今代ノーネームの祖母でもある先代ノーネームが悪魔側に加担し、自身の命を狙いに襲撃を仕掛けてくるが、今代ノーネーム、クロエがエルナを守る為に対峙、その途中で異変に気付いたエルナが介入する。万全とは言えない状態でラファエルと戦い、そこでラファエルの出生と秘密(勇者の血を継いだ悪魔とのハーフ)を聞かされるが、自身の存在意義ではね除けている。

その後も戦闘が続き、聖剣を扱うラファエルに押され始めるが、途中で今代ノーネームが割り込み、命を捨てる前提で戦っていたエルナを一喝し、友として認めていたエルナを失いたくない為に咄嗟に庇い、ラファエルと先代ノーネームの最大奥義を受ける(その際にかつて自身との決闘で名乗らなかった彼女の本当の名、イングリット・ノックスと教えられる)。

今代ノーネーム改めイングリットに庇われた後に、再度奥義を放とうとするラファエルと先代ノーネームに対し、イングリット、クロエと共に各自できる最大攻撃で迎撃しようとする。

ラファエルの聖剣と先代ノーネームの炎神による奔流を何とか受け止めるが徐々に押され、最終的に突破されて奔流が迫ってくる。

その際、死ねば楽になるのかと自問し、アルノルトの事を想う。

















「また会える……?」



その呟きと同時にシルバーが救援に駆けつけ、エルナ達を奔流から守る。

そこで初めてアルノルトがシルバーであった事をエルナは知る。


そのまま戦闘を引き受けたアルノルトによってラファエルと先代ノーネームとの戦闘が終わった後にアルノルトへ様々な思いがよぎるが、それでもエルナは怒らずに寧ろ自分の為にずっと隠していた事を察して、負い目を抱いたアルノルトを抱き締めて再会を喜んだ。


そして、帝国にて全ての元凶で五百年前の魔王の大参謀であったダンタリオンとの決戦が始まり、エルナは帝国に出現した魔界の門にて迎撃を担当し、そこから現れる大量の魔竜や悪魔をアルノルト、リナレス以外のSS級冒険者とクロエと共に立ち向かう。

戦闘の最中、魔王を超えて天使と化したダンタリオンと対峙するアルノルトとレオナルトに聖剣を託す形で勝利に多大な貢献をする。


アルノルトがダンタリオンを討伐した後、アルノルトがこれまでの人類と悪魔との因縁、そしてアードラーとアムスベルグの呪いとも言える宿命から全てを断つ為に聖剣を含めた全ての四宝聖具を回収して、魔界の門へ突入し、そのまま門を閉じてその中で大陸と魔界の狭間の次元に四宝聖具を要とした結界を随時構築・維持する為に再会も儘ならない永い別れとなってしまう。












三年後、その間にアルノルトを救う為に世界中を周り、次元の穴を開く魔導具や強力な結界を張る魔導具を探し回っていた。

尚、アルノルトが魔界と大陸の狭間に結界を構築する為に聖剣を持ち去った為、聖剣を失うが、アルノルトを助ける為のキッカケで新たな奥義を生み出し聖剣の代用を得ている。

そして帝国で魔奥公団の残党による異界の竜での襲撃が起こり、北部に出向いていたエルナは急いで帝都に帰還するが、そこで次元の狭間から帰還したアルノルトと再会し、レオナルトとリーゼロッテの結婚式を襲撃した魔奥公団の残党をアルノルトと共に退けた。戦闘後にそのまま姿を消そうとするアルノルトを呼び止め、フィーネと共に「連れて行って欲しい」と願い出た(この際の会話はフィーネとエルナの愛の告白とも言え、アルノルトもそのように捉えている)。


その場は一旦逃げられたが、逃亡先を当てて再びアルノルトを見つけ出し、そこでアルノルトの現状を聞かされる。

結界の構築で魔力を失い、本物の出涸らしになった自分を無価値と思い込むアルノルトに「聖剣を失った自分に価値がないか?」と逆に問い返し、そして〝何者になる前からずっとアルの傍にいた〟と伝える。

これによりアルノルト自身がフィーネとエルナの想いを受け入れ、二人への愛を自覚して非公式ながら妃となる。


その後は近衛騎士団の隊長としてレティシアの護衛任務などをこなす一方、フィーネに並ぶ帝国指折りの美女として諸外国の貴族にも言い寄られるといった、正式に結婚していない弊害も発生していた。

のちに偽シルバーによるフィーネへの襲撃が起こり、襲撃解決後に駆けつけたエルナはアルノルトから正式にフィーネにプロポーズをしたと報告される。互いに早い者勝ちと決めていたとはいえシルバーの正体もアルノルトの妃もフィーネに先を越されたショックは大きく、自分が一番になれないと思わず口に出してしまう。


それに気付き自身の発言の酷さから動揺して涙を流すが、そんなエルナに対しアルノルトは、エルナが初恋の相手だったと告白し、そして〝父が母へ送り、今度はその母から渡された愛する人へ受け継いできた指輪〟をエルナに贈り、フィーネが居ない時は一番として扱ってもらうという形でアルノルトの妃になる。



後にアルノルトとの間に娘を設けており、性格もエルナに似てかなり強引な性格に育った模様。

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