概要
ディスコ・キッド(Disco Kid)とは、東海林修(しょうじおさむ)の作曲による1977年度全日本吹奏楽コンクール課題曲(課題曲C)である。
吹奏楽コンクールの課題曲は一般にマーチ(行進曲)をはじめとするオーソドックスな作品が多く選ばれているが、1970年代の後半にはポップス調の課題曲が数多く作り上げられていた。(岩井直溥「ポップス描写曲『メイン・ストリートで』」(1976)など)
そのポップス調の課題曲の中でもこの曲はとりわけて根強い人気を誇っており、現在ではその愛好会が設立されるほどの人気曲となっている。
曲の前奏から本題に入る直前に、楽譜には無い「ディスコ!」という掛け声を入れた演奏が当時のコンクールで評価されたことから、現在行われている演奏では演奏者と観客が一体となってこの掛け声を入れることが一般化している。
(なお、この習慣は作曲者の指定によるものではなく、あくまで演奏者側の立案によるものである)
ポップス調の曲でありながらも難易度は決して易しいものではなく、演奏するバンドは高度な技術とグルーヴ感(一体感、ノリ)を要求される事になる。
また、当時まだ「ロックやエレキギターは不良が好むもの」という偏見や風潮が残っていた時代において、このような作品が課題曲として登場し、また広く普及した事は、日本の吹奏楽が時代を先取りした斬新さと新たなジャンルを取り込む柔軟性を持ち合わせていたことを伺わせる。
曲の構成
♩=112 4分の4拍子
ハイハットが刻むアップテンポのリズムに乗るピッコロのソロ、次いで加勢する輝かしいホーンセクション、そして会場全体が一体となった『ディスコ!』の掛け声で曲は幕を開け、軽やかでノリのよい本題へと流れ込む。
所々にフィルインを散りばめるドラムスの8ビート、エレキベースら低音楽器のリズム隊に支えられ、曲全体を通して軽快で小気味よいリズムと明るく賑やかなメロディが奏でられていく。
また、中間部のB♭クラリネットによるスリリングなアドリブソロ、終盤のノリを落とした緩やかな雰囲気に乗せてのユーフォニアムのソロなど、決して勢いと賑やかさのみに終始しないのもこの曲の魅力のひとつでもある。
主な演奏団体(関連動画)
東京佼成ウインドオーケストラ(Tokyo Kosei Wind Orchestra)
シエナ・ウインドオーケストラ(SIENA Wind Orchestra)
宝塚アカデミー音楽団(Takarazuka Academy Wind Orchestra)
土気シビックウインドオーケストラ(Toke Civic Wind Orchestra)
NHK交響楽団(NHK Symphony Orchestra,Tokyo)
ホワイト・タイ ウインドアンサンブル&海上自衛隊東京音楽隊(White Tie Wind Ensemble & JMSDF TOKYO BAND)
海上自衛隊横須賀音楽隊(JMSDF YOKOSUKA BAND)
関連タグ
ディスコ ナイトクラブ ミラーボール サタデーナイトフィーバー
響け!ユーフォニアム - 原作小説の公式ガイドブック『北宇治高校の吹奏楽部日誌』収録の短編『冬色ラプソディー~北宇治高校 定期演奏会~』に登場。
主人公の黄前久美子が定期演奏会の希望曲のひとつに挙げ、同定期演奏会の第3部のプログラム最後の曲として演奏することとなる。
外部リンク
参考文献
- 佐伯茂樹(解説) 東京佼成ウインドオーケストラ『吹奏楽燦然』CDブックレット 日本コロムビア 2012年4月11日リリース 7~8ページ