ヴェノナ文書
べのなぶんしょ
ヴェノナ文書(英:Venona)とは、アメリカとイギリスの情報機関が解読した、戦時中に活動したソ連のスパイの交信記録を解読した文書である。
概要
1995年7月11日に、アメリカ合衆国の国家安全保障局(NSA)、連邦捜査局(FBI)、中央情報局(CIA)が、情報公開法に基づいて一斉公開した、1940年から1944年にかけてアメリカで活動していたソビエト連邦(ソ連)のスパイが、本国と暗号電文で行っていた交信を、アメリカ陸軍が密かに傍受したものをアメリカのNSAとイギリス情報部が協力して解読した『ヴェノナ作戦(VENONA)』に関連する文書である。「ベノナ文書」とも呼ばれる。
この文書によれば、日米開戦はフランクリン・ルーズベルトによるアメリカ民主党政権の内部に入り込んでいた、ソビエト連邦やコミンテルンのスパイによる工作活動によって仕組まれたものであったことが明らかにされており、日米戦争(太平洋戦争)が引き起こったのは日本の奇襲攻撃(真珠湾攻撃)によるものではなく、ルーズベルト、スターリン、チャーチルらの思惑によって政治的に追い詰められた日本が自衛戦争打って出たためであることが、より鮮明に裏付けられている。
例として当時のアメリカ政府において、日本に対する最後通牒である『ハルノート』を草稿した人物であるハリー・ホワイト財務次官補が「Jurist(ジュリスト)」「Richard(リチャード)」というコードネームを持った、ソ連のスパイであった事実がファイルの解読で確認されている。
更には、なんと当時の合衆国大統領であったルーズベルト自身も、「Captain(キャプテン)」というコードネームで呼ばれていた事が判明している。
ただし、第二次大戦前夜時点ではコミンテルンはすでに解散しており、現時点での評価は「典型的なコミンテルン陰謀論」の域を出ていない。